人狼物語 三日月国


83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着:ぶろーくんはーと 真白 千由里

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[明け方の街、駅のはずれにあるベンチ。
 過ぎゆく誰かに見向きされることはなく
 喉がちりつく煙の味で青臭い名残を誤魔化した。

 無意識にトーク画面を開いた指先は
 意味のないスクロールを繰り返す。

 ぽつりぽつりと白い吹き出し、
 いくつか並んだ緑の吹き出し。

 辿り着いた最新は『迷惑だから』と短い文章。
 数年あまり続いたメッセージ交換の、
 あっけなさすぎる終わり方だった。
 
 それでも未練たらしく緑の吹き出しは連なる。
 最後の最後は四角い「応答なし」の発信履歴だけ。

 何度開いたところで会話履歴を辿ったところで
 新しい通知が届かないことは数ヶ月前に分かってた。]
(8) 2021/07/01(Thu) 14:37:25

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[きっと今頃、あの人は清清してる頃。
 奥さんと二人で楽しくやってる頃。
 彼女のお腹に芽生えた命を可愛がって、
 こっちのことなんか1ミリも頭の中にない。

 そういう人なんだよ、彼は。
 そんなところは出来れば知りたくなかったけど。]
(9) 2021/07/01(Thu) 14:38:10

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[短い煙草を腰掛けたまま地面に押し付ける。
 彼と出会った頃には覚えてしまった味、
 「車が臭くなる」と嫌がられて一度は離れた匂い。

 喫煙はしない、お酒はほどほど。
 いかにも教師っぽい真面目な顔をした彼が
 本当はただの狡い大人だってことは
 自分だけが知る「特別」な秘密だと思ってた。

 朝は早くて仕事熱心。
 授業は全然楽しくないけど、個別指導は意外と上手。
 そんなに目も悪くないくせに伊達眼鏡なんか掛けちゃって
 女子の中じゃ「魔法使い」なんて揶揄われてた。]
(10) 2021/07/01(Thu) 14:39:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[そんな人だからきっと誰も知らなかったよ、
 彼が——先生がしてたこと。絶対内緒の放課後のこと。

 始まりのきっかけはなんだったっけ、
 生徒指導なら散々目を付けられてた気がするけど
 生意気に揶揄ってみせたのを彼はただ鬱陶しげに
 なんてことのない顔で受け流して。

 でも、そう。気づいた頃には。
 

 
『ちゆのこと、いつかお嫁さんにしてね』



 子どもじみたプロポーズをぶつけて、笑われたっけ。
 でも、それくらいの関係だった。そう思ってた。]
(11) 2021/07/01(Thu) 14:43:39

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[たぶん、ちゆのことバカにしてたよね。
 しょせん子どもって……まあ頭は悪いんだけどね?

 気付いてたんだよ、左手の薬指に痕があることは。
 分かってたの、車の中にわざと落としていったピアスが
 いつもちゃんと返されてくる理由だって。

 それでも奥さんがいるって教えられたとき
 それでも、彼が
欲しい
って思ったの。
 
 ちゆには彼しかいなかったんだもん、
 
彼との子どもを殺しちゃっても
大好きで
 何をしても何をされてもあなたが、あなただけが
 大好き、だったのにさ————]
(12) 2021/07/01(Thu) 14:47:39

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ただ一人、愛してくれる人がいなくなった。
 どうしようもなくて寂しくて、
 満たされたくて代わりを探した。

 何人目だかわからない。
 今のところ、欲しい愛には出会えてない。
 セックスが気持ちよくたって
 別れ際に残る味は気持ち悪くて大嫌い。
 
 だから今度は、今度こそはって
 なんとなく行き着いたウェブページ。
 ……気付いたら、指が勝手に動いてた。*]
(13) 2021/07/01(Thu) 14:48:42

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[冷たい人は嫌、
 可愛いねって甘やかしてくれる人がいい。

        
——あの人が何度も言ってくれたみたいに。


 歳の近い人も嫌、
 大人っぽくて格好いい人がいい。

          
そう、先生くらい歳上の。

 
 愛してくれなきゃ嫌だけど、
 甘いだけじゃ物足りない。

          
          悪いことをしてるんだって、
          ほろ苦い蜜の味を求めてしまう。
(72) 2021/07/01(Thu) 23:22:52

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[彼がいなくなって、ぽっかり空いた穴の分だけ
 何かで埋めてしまわなきゃ寂しくてどうにかなりそうだった。
 ひと晩のそれがたとえ紛い物であったとしても。

 メールなんて使うこともめっきり減ったけれど
 書かれたアドレスに文字を打ち込んでみれば
 少し経ってスマホの通知が鳴っていた。]
(73) 2021/07/01(Thu) 23:23:10

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

  — ホテル・ザ・ラピス —

[初夏の季節に似合わない長い袖のパーカーは
 指の先までしっかりと覆い隠している。
 昼間の陽射しはなくなったけれど、蒸し暑いのは確か。
 その代わりにパーカーの下はノースリーブで
 太腿の覗くショートパンツは電車でちらちら視線を集めた。

 ラブホテルよりずっと豪華な内装をくるりと見回す。
 こんな場所じゃあ子どもっぽくて浮きそうで、
 誰から身を隠すわけでもないけれど
 なんとなくフードを被って足を踏み入れてしまった。

 
  『今日はあいてる?』


 目当ての人を探す直前、さっき届いたLINEを開く。
 ヒロキって誰だっけ——ああ、あの人か。
 どんな人だったか忘れた。まぁいいや。


  『ごめんなさい💦
   今日は友達とごはん行く予定で…
   またいつか誘ってください💕』


 そんな「いつか」はどうせ訪れないけど。
 昼間に充電し忘れた黄色いバッテリーのスマホを閉じて。]
(74) 2021/07/01(Thu) 23:23:42

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ロビーの人たちにぼーっと視線を移した。
 そんな条件ぴったりの人がいるのかなって、 
 正直いって半信半疑だったけど。

 何気なく眺めたソファにラフな格好の男性がいた。>>57
 目があったのはたぶん、無意識に見つめてしまったせい。]


  えと、


[変な子だって思われたかな。慌てて軽くお辞儀を返す。
 なんだろう。嬉しいようで、ちょっと寂しいような感じ。
 彼ももしかして——なんて思い至って、]


  ま、待ち合わせ……ですか?


[まるで関係ない人だったら、
 やっぱり変な子って思われたかも。
 でも不審者ってほどじゃないでしょ、たぶん。
 そうやって自分に言い聞かせながら。*]
(75) 2021/07/01(Thu) 23:24:15

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[目が合ったその人の言葉にぱちり、瞬き。 >>99
 えっと……って思い出すような素振りをみせて
 かしこまっていた表情をふにゃっと緩めた。]


  なんだ、よかったぁ。
  えへへ、ごめんなさいジロジロ見ちゃって。


[途端に軽々しい喋り方をして、
 彼の隣に開かれたスペースにも軽々しく腰を下ろす。
 目的が同じだったら、きっと心配の必要もなくて
 すらりと伸びた指が組まれるのを眺める。
 それから遠慮のかけらもなくその人の顔を見つめる。]


  たぶんね?どんな人かわかんないけど
  いい人だったらいいなぁ。


[落ち着いた大人の男性。
 だけどきっと、それだけじゃないって思うのは
 ここに来ているから、なんて理由ではなくて
 「羨ましい」なんて口にしてみせる軽さのせいでもなくて。

 感じたのはもっと直感的な何か、
 危険な香り……とかたまに聞くやつ。]
(104) 2021/07/02(Fri) 14:59:30

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ふふ、お揃いですねぇ。
  お兄さんみたいな「いい人」、だったら
  うれしいんですけど。


[隣に並んで、それでも目を見て話そうと思ったら
 自然と彼の方へ距離を詰めていたかもしれない。
 パーソナルスペースなんて忘れてしまった悪い癖、
 願いと聞かれて一瞬だけ観葉植物へ視線を泳がせ >>101
(105) 2021/07/02(Fri) 14:59:56

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  愛を探しに、みたいな?


 わざとらしい猫撫で声を奏で、小首を傾げて
 浮かべた笑みはうっすら唇に。

 ――そうして、お兄さんは?と出掛かった言葉。
 踏み込みすぎてしまう気がして引っ込めた。
 だってほら、この人が「ちゆの」じゃなかったら悲しい。]
(106) 2021/07/02(Fri) 15:03:39

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ……あたし、真白千由里。
  「ちゆ」って呼ばれてます♡


[そのくせ名前だけはちゃっかり伝えてしまった。
 羨ましいって言葉の通り、彼の印象に残ればいい。
 そう、今日じゃなくても忘れないくらい。*]
(107) 2021/07/02(Fri) 15:05:51

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[聞かれて答えた「願い」というのは
 これでも結構まじめなつもりだったんだけど。
 彼が小さく笑うのが見えて、ちょっと口を尖らせた。>>126


  ……変、かなぁ。


[別に怒った訳じゃない。その証拠に甘ったるい声色のまま。
 「可愛い」って本気かお世辞かわからない言葉は、
 やっぱり子どもに見られているような気がして
 だけどそういう感じは擽ったくて嫌いじゃない。

 可愛がられるのは好き。愛されるのはもっと好き。
 彼は――みんなはそうじゃないのかな、
 身体だけで十分なんて人もたくさんいることは知ってるけど
 
忘れられない夜が欲しい。
ちゆは、それだけじゃ足りない。



  ほんとに?
  かっこいいお兄さんにそんなこと言われたら
  なんか意識しちゃうじゃないですかぁ


[冗談っぽく揶揄うみたいに笑った。
 でも重ねられた手の温もりからすり抜けることはしなかった。
 瞳はずっと、彼の表情ばかり映してる。]
(135) 2021/07/02(Fri) 21:36:26

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ……そうなんだ。
  じゃあ、やっぱりお揃いだ。


[寂しげな秘密の共有には、寂しげな顔をして>>127
 彼の言葉を一つとして疑いはせずに同情を浮かべる。
 気づけばまた二人の距離が縮まっていた。

 頭の上に触れる温度を感じたら、
 なんとなく目を伏せてしまったけれど
 重ねられた手の下で指先がぴくりと動いた。]
(136) 2021/07/02(Fri) 21:36:44

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[別に謝らなくたって、離れなくたっていいのに。>>128
 困ったような笑みに首を振ってみせたら、]

 
  タイガさん。かっこいい名前!


[彼の名前を繰り返して、にーっと同じ顔をした。>>129


  ……それにしても、
  会うまで相手がわかんないって変な感じですよねぇ。
  
  ね、タイガさんはどんな人がいいって言ったんですか?


[そうして向けたのは興味、あるいは詮索。
 ちゆみたいな子……だったらいいのになぁ、なんて
 そわそわしちゃう気持ちは中学生だったいつかに似てる。*]
(137) 2021/07/02(Fri) 21:38:18

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[気持ち悪いなんて、そんなことないのに。>>149
 彼ぐらいの歳だと世間じゃあもう「おじさん」なのかな。

 
たぶん目の前の彼と同じくらいだったあの人を、
一度もそんな風に思ったことがなかったのは
学校にいた男性教諭がおじいさんだらけだったからか
純粋に、出会ったあの時が若かったからか。
……そんなことはもうどうだっていいんだけど。


 意識するのが嫌だったら、近くに座ったりなんかしない。
 ちゆは全然――アリだよって食い下がろうとした。
 でも多分、なんか躱されたような気がして
 「まだ若いじゃないですか」なんて
 お世辞っぽくも聞こえる言葉に行き着いた。

 自分じゃない柔軟剤の匂いが鼻をかすめる。
 他人の温もりを感じられる距離感は心地いい。
 恋人みたいな内緒話、ふと感じるいつもより早い心臓の音。
 そんなものを積み上げた先で行き当たるのは
 甘くてうっとりするような、ひとりでに抱く夢見心地。]
(166) 2021/07/03(Sat) 1:19:08

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  えー、誰がそんなこというんですかぁ?
  タイガさん絶対、すっごくモテそうなのに。


[相変わらずしまりのない声できゃらきゃら笑う。
 別にかわいこぶってる訳じゃないけど、
 可愛いねって甘やかされたいのはいつだってそう。
 「好き」を見せびらかしたら恋も愛も
 手に入れられるような気がしてる。

 だから思わせぶりな指先に暢気に笑って
 人なつっこい猫の真似事をする。]
(167) 2021/07/03(Sat) 1:19:36

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[たとえばきゅんとするような甘いキスの後、
 たとえば恥ずかしくてドキドキしちゃう夜のとばり。

 そんな時に誰かの心を強請ること以外、
 愛される方法ってよくわからない。

 
そうして繰り返した先に残ったものは
穴だらけの心と傷だらけの腕だったけど
季節に似合わない長袖に隠して、見えないようにして。
(168) 2021/07/03(Sat) 1:20:49

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[確かに、クリスマス。
 タイガさんの言った例え話に納得の顔で手を叩いた。

 そうだとしたら、「何を頼んだの?」って聞くのは
 そんなにおかしい話じゃなかったはず。
 だけど彼は言葉に詰まって、それから首を振るのを見て
 きょとりと目を丸くしていた。]


  ……そっかぁ


[やがて語り聞かせてくれたなら、
 膝のあたりに肘をついて前屈みに視線を向けた。

 そんなの、ちゆならいくらでも応えてあげるのに。
 ちゆだったら、いくらでも愛されてあげるのに。
 「ちゆじゃダメ?」なんて突拍子もなく言いたくなるのを
 だめだめ、と、ぐっと堪えて飲み込みながら。
 
 その表情を窺いながら相づちを返していたけれど
 答えるのがちゆの番になったなら、んー、と少し考える。]
(169) 2021/07/03(Sat) 1:24:16

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[誰かがちゆのものになってくれたら良いな、
 そんな答えじゃ重すぎるかな。

 視界に飛び込むためだったらなんだってする。
 愛してくれるなら、なんだってする。
 欲しいもの、一回くらい手に入れてみたいけど
 ――――ちゆが欲しいのは、]


  ……ふつうの。 
  普通の、しあわせな恋。


[それ“で”いいとは言えなかった。
 それが簡単なことじゃないことは分かってる。
 だからね、はにかんだ笑みを浮かべてみせて。

 「きっと出来るよ」と言う彼は、どんな恋をしたのかな。
 どんな恋人がいたのかな――それとも、今もいるのかな。

 しばらく繋げていた話が、そのうち時間に遮られてしまう。
 去り際の台詞にはとりあえず小さく頷いた。けど、]
(170) 2021/07/03(Sat) 1:25:28

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ひとりでに感じてしまった名残惜しさがばかみたいに、
 同じエレベーターの同じ階、
 同じ部屋へと廊下を渡っていた。

 それでも別々の部屋へ向かう最中だとしたら
 隣に並んで会話を弾ませるのもなんとなく、
 なんだか気まずい気がして。

 ぎこちない空気を引き連れ彼の少し後ろを歩く。
 でも、進む足が突き当たりの部屋へ向かうのを見れば
 確信めいた何かに、そんな躊躇いは吹き飛ばされていた。]


  ……もしかして、ここですか?


[タイガさんがドアの前に立ったとき、隣から顔を覗かせる。
 身長差の足されたぶん、さっきより上目がちに見つめる。*]
(171) 2021/07/03(Sat) 1:26:59
(a7) 2021/07/03(Sat) 1:34:27

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[会いたくなったら目的もなく会いに行って
 声が聞きたくなったら電話をするの。

 今頃なにしてるんだろうとか、
 どうしてLINEが返ってこないのかなとか
 誰かに知られたらどうなっちゃうのかな、とか
 そんな心配しなくていい、普通の恋。

 「好き」を口にしたら困った顔をされるでも
 涼しい顔で「ありがとう」を言われるでもなくて
 当たり前に、同じ言葉を返してもらえるような恋。

 そんな恋の味はどれだけ甘いんだろうね、
 「愛してる」って心の底から言われることは
 どんなに幸せなんだろうね。]
(215) 2021/07/03(Sat) 21:13:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[二人きりのエレベーターでちょっと嬉しくなってた。
 タイガさんと同じ階に降りて、
 その足の向かう先を無意識に目で追いかけてた。
 振り向いたあなたにぎゅっと抱きしめられたら
 たまらず胸がドキドキしたの。

 その瞬間に思った……ううん、違うね。
 隣に座った時からずっと思ってたよ
 ちゆも、今夜愛されるならあなたがいいって。]


  ふふ、ちゆも同じこと思ってた。


[腕の中でくすくす笑って答えたけれど
 思いのほかあっさり解放されてしまった。
 不思議がって顔をあげれば、どうしてか謝るものだから
 ぱちぱち、瞬きを繰り返したあと。]


  ……はっする。


[じーっと見上げて、覗き込んで
 悪戯を思いついた子どもみたいに両目を細めた。]
(216) 2021/07/03(Sat) 21:14:58

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[運命、って言葉が擽ったかったのは同じ。
 でもね、そう思ったのはあなただけじゃなかったよ。

 ふいに踵を浮かせる。両腕は彼の首根っこに絡んで
 背伸びだけで届かない距離を引き寄せて縮める。]


  愛します。
  だから……ちゆのことも、
  
愛してくれますよね?



[また内緒話をするみたいにひっそり囁いた。
 かと思えば顔が近づいてそのまま、
 躊躇いもなく唇を奪おうとした。
 ちゆからは、触れるだけ。柔らかい感触を押しつけただけ。
 彼はどんな顔をしたかな。離れたら、楽しげに見つめた。*]
(217) 2021/07/03(Sat) 21:15:38

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[愛してる――今はまだ「好き」かな。
 感情の芽生えるきっかけなんて考えたことはないけど、
 気づいたら好きで、その先は愛があると思ってる。
 彼の事は好き。だから、愛を口ずさむのも難しくない。]


  うふ、気が早すぎますかねぇ
  あたしたち出会ったばっかりなのに。


[知り合ったばかりでこんな風に恋なんて
 単純バカだって思われる?それとも純粋で可愛い?

 近づいたのはその反応を楽しむためだった。
 彼は同じくらい楽しそうに笑うだけだった。

 でも、そういう余裕な素振りっていかにも大人っぽくて
 ちゆみたいな子どもじゃ簡単には崩せない表情に
 どうしようもなく心を惹かれてしまう。]
(248) 2021/07/04(Sun) 0:36:26

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[短いキスは、まだ「可愛い女の子」でいたかったから。
 熱くて甘いのも好きだけど、ささやかな悪戯だった。

 やっぱり大人は余裕だ。
 ちゆだって別に緊張した訳じゃないけど、
 思ってたより彼は平然としてる。]


  ……、ほんとはもっと!
  こんなもんじゃないですよ?


[その問いかけになんだか負けたような気がして
 取ってつけたように言い返す。
 ほんとだよ?好きなのは、本当。
 こんな風に心がふわふわするのって
 なんだかすごく久しぶりだし、恋してるって感じで、]


  ――…ッ んう……


[それをどうしたら伝わるか、なんて考えてたら
 今度は彼の方から唇を塞がれた。]
(249) 2021/07/04(Sun) 0:36:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[瞬きして、心臓がびくりと跳ねるのを感じて
 油断しきっていたせいでたちまち蕩かされていく。
 薄く唇を開いて、彼の舌が潜り込んだら
 ぁ……、と力の抜けた声をあげて。

 抱きしめる腕に思わず力が籠もっていた。
 そうしてちゆも首を傾け、彼の味を深く知ろうとして。
 人目も憚らず溶け合う熱に溺れてしまえば
 離す頃には少し酸素の足りない頭がくらりと惑う。]


  ……ちゆだって、


[濡れた唇でいっそう甘い意地っ張りをして
 離れるのも腕をほどくのも名残惜しいから
 ぎゅっと彼の胸に顔を埋めてみた。
 あぁ、このまんま触れていたいなんて思いながら。]
(250) 2021/07/04(Sun) 0:37:29

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

 

  ――えっ。


[程なくして、彼の言葉にぱっと顔を上げた。]


  えっ、と……いいんですか?
  せっかくホテルなのに外、って

  ……あ、ちゆはぜんぜん嬉しいんだけど!


[デートは好き。恋人同士って感じがするから。
 身体だけじゃなくて「好き」を言ってもらえるのは
 愛されてるって思えて嬉しい。

 でも――彼とこうして会ってるきっかけだって、
 話に夢中で忘れてしまったわけじゃない。
 だから、良いのかな、とか心配にはなる。]
(251) 2021/07/04(Sun) 0:38:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[それで彼が頷いてくれたら遠慮するのはやめたけど
 夜のお出かけについついはしゃぎそうになって。]


  アクアリウム!行きたいっ
  ふふ、デートなんて久しぶり。


[心惹かれた行き先を口にするやいなや、
 彼がスマホを持つ手と反対側へと回り込み
 答えを聞くよりはやく腕を組んでぴったり寄り添う。
 
 じゃあ行きましょ、なんてせっかちに唆して
 歩き出したら腕を掴んだ手はしれっと下の方へ。
 彼の手元に辿り着いたら、当たり前みたいに指を絡める。

 
――懐かしいってふいに思い出したのは、
深夜のドライブのことだった。
*]
(252) 2021/07/04(Sun) 0:39:12

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[愛されたくて、誰かの特別になりたくて、
 普通の、幸せな恋がしたい。それが願い。

 タイガさんの求める恋はどんなものだったか、
 でも、彼の方からデートに誘ってくれたこと。
 それは純粋に、純粋な「恋」の始まりみたいで
 どうしようもなく嬉しくなっちゃう。]


  ……ふふ、どうせならたくさん振り回してね。
  ちゆはねぇ、フラペチーノ飲みたいなあ
  アイスカフェラテでもいいんだけど、


[だから手を繋いで、「教えて」って聞かれたことが嬉しくて
 苦いのは嫌とかコンビニのレジ横のが案外おいしいとか
 ごくごく他愛ない話をしてみる。
 そうしたら普通の恋人同士にも見えるんじゃないかって
 彼とタクシーへ乗り込んだとき、
 運転手さんの視線をちらっと窺ってみたり。]
(265) 2021/07/04(Sun) 7:35:36

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ……そういえば、タイガさんっていくつなの?  

  ちゆはね、水族館あんまり行ったことないから新鮮。
  デートはなんか、ドライブばっかりだった気がする。


[金曜日の夜か休日だけ、たいてい遠くへ出かけていった。
 もしも彼にその理由を聞かれるなら
 バレちゃダメだったからって嘘じゃない返事をした。
 「ワケあり」なことは大人の彼なら感づいてしまったかな。
 そういう火遊びするような子、幻滅しちゃうかな。

 そんな気がかりと裏腹にちゆは平然と隣を歩く。
 夜の街灯より暗く彩られた世界は幻想的で、
 すごい、って思わず溜息を漏らした。]


  ねぇ、すっごく綺麗だね!


[手は繋いだままで、彼より少し先を行く。
 水槽の薄明かりを背負って振り返り、笑った。

 きっとすれ違う誰もちゆ達のことを知らない。
 だから手を繋いで歩いていたら、恋人にだって見えるよね。
 ――今だけは恋人なんだって、幸せぶってみてもいいよね。]
(266) 2021/07/04(Sun) 7:35:54

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  えへへ、ちゃんと繋いでますよーっ


[はぐれないように、って言われたら
 繋いだ指先にほんの少し力を込めてみようか。

 ぴったり寄り添って歩いていれば
 ふと、どこかで甲高い鳴き声がした。
 次第に近づいてきたそれは子どもの泣き声だった。
 
 お母さんと、子ども。
 二人の様子を見ていればつい足が止まりそうになった。
 手にはさっきよりも力が込もるのを感じたけれど
 その瞬間は親子のやりとりに目を向けたままでいた。]
(267) 2021/07/04(Sun) 7:36:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ なんで怒られてるのかな、 
          悪いことしちゃったのかな
       怒った顔のお母さん ……怖いな、

  あんなに泣いてかわいそう。
          ……かわいそう?
       お母さんとお出かけできるの羨ましい。
 
       
ちゆもあんな風にお出かけしたかった。


  ちゆだったらもっと優しくするのにな
        こんな外で大声だしたりしないのに、
          あんなに泣かせたりしないのに、

  あぁ  
      でも、
            
殺しちゃったからダメだね。


  あの人の子ども。
  あの人との子ども。
  先生と、ちゆとの子ども ……死んじゃったけど。

              あ なんか、お腹痛い。]
(268) 2021/07/04(Sun) 7:37:30

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ずきん、ってお腹の下の方が痛んだ気がした。
 それから彼の謝る声がして顔を上げた。
 子どもが苦手――そう言った彼が眉を下げるのを見れば
 手を引いてさっさと親子の横を通り過ぎた。]


  ちゆも嫌いなんだ、子ども。


[子どもの泣き声が遠ざかって見えなくなった頃、
 へらりと笑って彼の方を向いて言い放つ。
 「苦手」じゃなくて「嫌い」
 その言葉がもつトゲに自分じゃ気付けないでいた。

      
だってしょうがないじゃん、本心だもん。
(269) 2021/07/04(Sun) 7:37:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[それがタイガさんにどう思われたかは知らない。
 もし軽蔑してる目をされたって、
 たぶんちゆはヘラヘラと苦笑いするだけだけど。

 静かになった館内で彼の口から聞いたのは、
 やけに弱々しい台詞だった。
 
 ずっと見て欲しい人がいるのかな。
 いるとしたら――現在進行形だよね、それは。
 彼女?それとも奥さん?
 蓋を開けたいような開けたくないような躊躇いで
 それと同時に感じたのはシンパシーだった。]


  わかんないけど、自分だけ見ててほしいのはわかるよ。
  ……ちゆならずっと、
  タイガさんのこと見てるのにね!


[一夜の関係に相応しく笑い飛ばしながら
 口にした内容は全部本心だった。
 叶うなら、ちゆはきっとそれを望む。
      
   
そしたらあの人のことも忘れられる気がした。
(270) 2021/07/04(Sun) 7:38:24

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[でも、その先の質問には答えあぐねて
 真面目くさった顔で視線を水槽に移す。]


  ……先、かぁ。


[そんなの考えたことなかった。
 普通の恋。――その先は、結婚?
 困ったな、普通のお付き合いも結婚もわかんない。
 好きな人といられたら、幸せ?
 好きな人との子どもは嬉しい?

   
あたし、あの時、逆らったら幸せになれてたの?
(271) 2021/07/04(Sun) 7:39:02

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[人並みが通り過ぎる。
 閉じ込められた金魚たちが悠々と泳ぐ。
 でも、きっとここが彼らの居場所。

 彼の方へ顔を戻せば、瞳にはちゆが映っていた。
 薄暗がりの小さな鏡に気づいて、ふっと笑った。]


  一緒にいられたら、なんでもいいかな
  結婚してもしなくてもいい。
  子どもは邪魔になるんだったらいらない。

  ずっとちゆだけ愛してくれたらいいの。


[曖昧な答えは、彼の求める答えになれたかな。
 それ以上は考えたこともないのが本音だった。
 ずっと変わらずに「恋」ができたらそれでいい。
 そしたらいつかは、きっとこんな長袖も着ずに済む。*]
(272) 2021/07/04(Sun) 7:39:58

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[彼は咎めることなくちゆの話を聞いてくれた。
 それがなんだか嬉しくて、楽しくなっちゃって
 可愛いって褒められたのは金魚じゃなくてちゆの方。
 不意打ちだったからちょっぴり驚いてしまったけど
 手を繋いで歩く時間は紛れもなく幸せなものだった。

 過ぎ去った親子のことなんか知らない、
 意外?もっと「家庭的」みたいな方が良かったかな。

 ちゆには好きな人だけ居ればいい。
 誰か一人が「愛してる」って言ってくれたらいい。
 みんなにとって、それは当たり前のことだとしても
 ちゆにとっては昔から特別なものだったから。

 嫌な顔されなくてよかった。
 子どもが得意じゃないのはお互い様かもしれないけど、
 なんにもない二人だけの未来図を認められたような
 そんなキスに胸が鳴って、ひどく安心した。]


  ちゆも、もっと早くタイガさんに会いたかったな。


[彼の瞳を見つめたまま、同じ言葉を返す。
 一番目じゃなくてもいいけど、もっと先に出会えてたら
 あの人より前に知ってたら、もっと幸せだった気がする。]
(300) 2021/07/04(Sun) 19:07:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[でも、今からじゃダメなのかな。
 意地悪な運命を嘆く彼は、
 今からじゃちゆを選んではくれないのかな。

 大人の狡さを知らない訳じゃない。
 むしろ痛いくらいにわかってる。
 でも、彼の秘めているかもしれない一面からは
 わざと目を逸らして、知らんぷり。

     
     気付いたら戻れないくらい虜になってるの、
         そういうのも……嫌いじゃないよ。
(301) 2021/07/04(Sun) 19:09:01

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[金魚を横目に通り過ぎていったら、
 アクアリウムは出口に差し掛かっていた。
 楽しかったね、ってありきたりな感想を口にしながら
 その実ほとんど彼しか見ていなかったのは内緒。

 そのまま二人でカフェに立ち入る。
 苦いコーヒーの香りが鼻を掠めていった。

 「これにする!」と迷わず選んだのは限定フラッペ。
 タイガさんのより高くなっちゃうから、と
 ディスプレイのレモンケーキを前に口には出さない葛藤。
 彼の顔を見て、頼んでいい?ってそろりと尋ねて
 結局は誘惑に負けてしまう。

 ミルクたっぷりのフラッペは冷たくて美味しい。
 レモンケーキを一口食べたら思わずほっぺたを押さえて
 おいしいね、って同じものを食べる彼の方を見た。
 
 向かいに置かれていたのはアイスコーヒー。
 ちゆは苦いのダメだから、すごく大人っぽく見えて
 水滴のついたグラスを持つ手も格好良くて。]
(302) 2021/07/04(Sun) 19:09:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  うん?


[名前を呼ばれて、フォークを置いた手に彼のが重なる。
 さっきまで普通に繋いでいたはずなのに
 その指が肌を滑る感覚にドキドキしちゃった。

 二人っきりになれる場所——、
 現代文のテストは全然ダメだったけど
 そういう台詞の意味はすぐに理解してしまう。]


  ……ふふ、いいですよぉ


[暢気な声の返事をする。
 重ねられた下でくるりと手のひらを返したら
 指先でつうっと彼の手を擽る、なんてことのない悪戯。]
(303) 2021/07/04(Sun) 19:11:19

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

 

  ちゆもタイガさんのこと、もっと教えて欲しいなぁ
  だって、……愛してくれるんですよね?


[それがただの言葉だけじゃないことなんて、
 初めからわかりきっていた。

 それなら、と、ケーキの残り一欠片を口に放り込む。
 甘酸っぱいのを噛み締めて彼の方を見れば
 「いつでも行けます!」って悪戯っぽく笑った。*]
(304) 2021/07/04(Sun) 19:13:02

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[再び手を繋いで帰る道中、
 心臓の音はずっと早く鳴っているのがわかった。
 初めて会った男の人とふたりでホテルに行くなんて
 普通の人が見たらあんまりよくないことなんだろうけど
 ちゆにとっては、ちゃんと純粋な気持ちだ。

 またエレベーターを上がって同じ部屋の前に行く。
 ドアを開けると安いラブホテルとはまるで違う景色だった。

 柔らかそうな大きいベッド、
 見慣れない豪華なインテリアにまた気分が上がるのは
 だって、珍しいんだから仕方ない。]


  ん?


[気づいたら彼の手をすり抜けて、部屋の中を見回していた。
 おしゃれなティーパックに目を奪われてたら
 名前を呼ばれてぱっと振り向く。]
(316) 2021/07/04(Sun) 22:52:23

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[なにか思いついたような、悪戯っぽい笑顔。
 そうして告げられた「ごっこ遊び」の一言で
 ただの綺麗な部屋が特別な場所になった気がした。]


  ――おかえりなさい、……あなた!


[ドラマで聞くような台詞を口にしてみたら
 やけにテンションが上がっちゃって、
 本物の「お嫁さん」みたいには言えなかったけど。

 抱きついた腕にきゃらきゃら笑って、
 そんな声は唇を重ねたらたちまち甘い囁きになって。
 こんな風に幸せな「お嫁さん」だったら憧れちゃうかも
 ……なんて、ひとりでに少し寂しくなった。]
(317) 2021/07/04(Sun) 22:52:45

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[なぞる指先もキスもくすぐったい。
 だけど心地良くて、ぎゅっと身を寄せたまま感覚に浸る。
 
 
あの人じゃない、
この人も会ったばかりの人なのに
 アプリで会った知らない人よりずっと幸せ。

 何が知りたいって、そんなの
 好きな人のことなら何でも知りたいよ。

 血液型も星座も、思い出話も、愛し方も、]


  全部って言ったら、欲張り?


[心臓の音、ちゆと同じくらい早い。
 「ほんとだ」って笑いながら胸板を撫でて下ろしたら、
 お返しに彼の――左手をとる。]
(318) 2021/07/04(Sun) 22:54:18

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ちゆも、一緒。
  タイガさんに触れられたら
  すっごくドキドキしちゃうみたい。


[彼がしてみせたみたいに自分の胸に導いた。
 確かめてもらうように押しつけて、
 重ねた手、親指の腹が彼の薬指をなぞる。

 「もっと見せて」と、彼の言おうとすることはわかった。
 でも、名前を呼んだその声にはわざと答えてあげない。]
(319) 2021/07/04(Sun) 22:54:33

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ちゆのこと、好き?


[無邪気な顔を装って質問を返す。
 重ねた手をそのまま持ち上げたら
 節ばった指にうっすら残る日焼けの痕に視線を落とす。]


  ちゆは好きだよ、タイガさんのこと。
  ……ねぇ、一番好きって言ったらさ
  あたしが一番だよって言ってくれる?


[多分あなたには他の――もっと大事な人がいるってこと
 分かってて「一番」を強請ってみたのはわざと。

 見上げたら被ってたフードが滑り落ちた。
 それに構わず、背伸びをしたら口付けひとつ。
 彼は頷いてくれたか、狡い大人の躱し方をしたか
 それとも強請った言葉を贈ってくれたか。]
(320) 2021/07/04(Sun) 22:55:19

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  お風呂、いこっか


[でも、困らせてしまう前には掴んだ手を引いて
 甘えた声で足を進めようとする。*]
(321) 2021/07/04(Sun) 22:56:10

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[彼は「愛してる」を言ってくれる訳でもなく
 「一番好き」をくれる訳でもなく、
 でも、奥さんとそんなに上手くいってないってことは
 だったらちゆも——なんて余計な期待を掻き立てられる。]


  ……かわいそう。


[彼の弱音に思わずぽつりと呟いた。
 そんな顔されたら、無性に抱きしめたくなっちゃう。
 なんだろうね、この気持ちは。愛情?同情?
 とにかく放っておけなくなって、]


  大丈夫だよ、……大丈夫
  タイガさんの寂しいの、
  全部ちゆが受け止めてあげるから。


[触れ合わさった唇を柔らかく啄んで返した。
 何を言って欲しかったんだっけ、ちゆ、
 彼の顔を見たらどうでもよく思えてしまった。]
(358) 2021/07/05(Mon) 16:24:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[甘くて狡い言葉たちにあっけなく支配されてしまう。
 ううん、元からそこに強情さなんてなくて
 思えば始まりはいつだって単純馬鹿に流されてたっけ。

 与えられるそれが愛情めいた何かなら、期待には十分。
 ハグもキスもその先も、ちょっとおかしいことだって
 愛した人に——愛されたい人に望まれるなら
 ちゆはなんだってしてしまう。

 あなたが言うならお風呂は後でいい。
 痛いって程じゃない感触がジリ、と肌に食い込んで
 まるで指輪みたいに刻まれたのをみれば
 「いいよ」って答える以外の選択肢はないの。]


  ……わかった。
  離れないよ、タイガさんのこと、好きだから。


[「好き」って何度も言葉にしたら、
 インパクトとかそういうの薄れちゃうんだっけ。
 でも、だからって、口にせずにはいられない。
 あなたが求めてくれるから、受け止めてくれるから、

 
同じ感情が、あなたにもあるような気がしちゃうから。
(359) 2021/07/05(Mon) 16:25:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[「大丈夫」の言葉でどれだけ包み込めるかは知らない。
 あるいは飼い慣らされてただけなのかもしれないけれど
 そんなことには気づかない——気付かないから、
 
 彼がちゆをベッドへ運ぼうとするのなら
 「お姫様抱っこだぁ」なんて無邪気に笑ってみせる。
 
 柔らかいシーツの海に寝転がって。
 目線を彼の方へ向けたのと同時、
 ハイヒールが脱がされるのが見えた。
 
 お姫様みたい、でもその先に彼がしてみせたのは
 従順な執事だってしないようなこと。]


  ひゃッ、 んん……!
  た、タイガさん……っ 
きたないよ、



[足なんて。外を歩いたこんな夏場、
 きっと汗だってかいたのに。
 擽ったさもあるけど、恥ずかしさの方が勝る。
 反射的に彼の手から逃れようとする足は
 それでも捕らえられたならぷるぷると震えただけ。]
(360) 2021/07/05(Mon) 16:27:23

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[そのうちベッドに手をついて、上半身だけ起き上がる。
 「恥ずかしいよ」って彼をどうにか嗜めたなら
 おもむろに自分の上着へと手を掛けた。

 季節には似つかわしくない服装、
 彼は何も聞かずにいてくれたけど
 それは、まだ見せてない“そのままの”あたしだ。]


  ……ねぇ、タイガさん。
  ほんとに綺麗じゃなくても、可愛くなくても、
  ちゆの汚いところも愛してくれる?


[不安を滲ませ、尋ねる。
 そしておそるおそるパーカーを引き下ろして、
 ノースリーブから覗く肩を、二の腕を露わにして。

 ……肘から先はやっぱり躊躇う。
 知らない誰かに見せるならこんな不安もなかったのに
 彼に嫌われたくないからだって自覚する。
 でも、ちゆのこと全部知って欲しいから。]
(361) 2021/07/05(Mon) 16:28:50

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[脱ぎ捨てた上着の下にあるのは汚い傷痕だった。
 赤黒い筋が手首を通り越して、
 肌の柔らかいとこまで無数にはしった左腕。

 反対の腕はそれよりいくらかマシだったけど、
 重ねられた痕は皮膚ごと腫れ上がってしまっている。
 けして綺麗だといえない肌は、
 真新しい傷だっていくつか残してた。]

 
  ちゆ、寂しいの嫌いで……

  一人でいるとたまに消えたくなっちゃうの
  でも、痛くなって、赤いの見たら
  生きてるんだなって……死にたくないなって、思えて

         
——やっぱりダメかな、こんな女の子。



[手首を返して、自分から彼に醜い腕を見せつけて
 そのくせ彼に向ける声は泣き出しそうに震えてしまった。
 あぁ、せっかくの気分を下げちゃったかも。
 ……きっと好きじゃないよね、こういうのは。*]
(362) 2021/07/05(Mon) 16:30:34

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[絶対に足なんか綺麗じゃないのに
 彼は躊躇うことなく舌を這わせていくから
 それが擽ったくて恥ずかしくて、何も言えなくなる。]


  んっ……あ、ひゃっ……


[ちゆが小さな子どもだったら、
 大声をあげて笑っていたに違いない。
 でもこそばゆさの中に甘い熱を感じてしまって
 心の奥ごと擽られるみたいで
 ブラウスの裾をぎゅっと掴んでいた。

 恥ずかしい。恥ずかしいけど、
 ――ちゆの全部、愛されてるみたいで嬉しい。
 そんなことを思ったら、閉じた脚の内側が疼いてしまった。]
(407) 2021/07/06(Tue) 0:07:22

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[そうして耐えかねて、彼の方に手を伸ばす。
 触れた肌とちゆの手のひらと、どっちが熱かったかな。
 綺麗に引き締まった身体をつうっと指先でなぞって
 おへその辺りまで下りたら胸にキスして、離れる。

 ちゆの肌はそんなに綺麗じゃないから、
 いつもは暗い部屋でしか曝け出さない。
 でも、タイガさんなら受け止めてくれるような気がして
 ……ううん、受け止めてほしくて
 「可愛い女の子」にはありえない、汚い腕を見せてしまった。

 『意外とそういう感じ?』とか、
 『そういうのやめた方がいいよ』とか、
 明るい朝になって気づいた人には言われたっけ。

 
あの人は、あの人だけは――
初めて傷をつけてしまった日、それを面白がるように見て
『いいじゃん』って軽く笑ってたっけ。
(408) 2021/07/06(Tue) 0:07:50

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



   え、……あぅ


[タイガさんはそのどちらでも、どれでもなかった。
 ふいに腕を取られる。それでぱっと顔をあげたら、
 熱い舌が腫れ上がった傷をなぞっていった。]


  ……、……嘘ばっかり。


[呟いた声が細く震える。
 甘いわけないって、そんなことちゆにだってわかるよ。
 ほんの少しカッターの刃でなぞったら、
 それだけで血が滲むくらいぼろぼろの肌だもん。

 ――でも、それが嘘でも冗談でも
 少し笑って、笑おうとして、泣き出しそうになる。]


  タイガさんは……、やさしいね


[腕の傷に目を落として、俯いたまま呟いて。]
(409) 2021/07/06(Tue) 0:08:29

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[「おそろい」の言葉にこくりと頷く。
 彼も同じだって思ったら、むしょうに安心してしまう。

 確かめるような舌の感覚が擽ったくて
 ふいに思い出す小さな痛みが癒やされていくみたいだった。
 それだけで、痕が消えるわけでもないけど。]


  ……ううん、大丈夫。
  タイガさんが嫌いにならないなら、平気


[頬に彼の手が触れたなら顔を上げて
 もう何度目かのキスをして。]


  全部、ちゃんと受け止めてくれる?
  可愛くないとこも、めんどくさいところも
  「寂しい」のも「いとしい」のも、


[……タイガさんの気持ちはね、ちゆは全部欲しいよ。]
(410) 2021/07/06(Tue) 0:08:59

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[――なんか、懐かしい響きだ。
 聞き覚えのある台詞が、ちゆの腕を眺める彼から飛び出した。
 
 
ふいに思い出したのはあの人の顔だった。
ちゆのダメなとこ見たら楽しそうにしてたとこ、
あの人は傷口なんか絶対に触れようとはしなくて
不安がるちゆを見たらただ頭を撫でただけで、


 こんな風に言ってくれた人って、はじめてだ。]


  あのね、
  タイガさんの弱いとこもみせてね。
  ちゆが全部受け止めるから。


[目を閉じて思い出す人より今は目の前の彼を見てしまう。
 ……見ていたかった、んだと思う。
 あの人が最後までくれなかったもの、
 タイガさんならくれる気がして。*]
(468) 2021/07/06(Tue) 20:28:07