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【見】 3-A 矢川 誠壱[ バンドメンバーに勉強会に誘われていた。 だけど、「今日は予定が」と断ったら 「なにすんの?」と何気なく聞かれた。 真面目に「林間学校で一緒だった子と 会う予定が」と答えれば食いつかれた。 ちなみにバンドメンバーには林間学校での 班員はすでに知られている。 男子生徒が己と雨宮しかいなかったことも含め。 だから、余計に「デートか」と食いつかれた。 これまた真面目に「いや、飯盒で炊いた米で おはぎを作る」と答えたら、 全員が虚空を見つめていた。 きっとあれが宇宙猫顔というやつだろう。 いや、あの顔はわりと面白かった。 そんなことも考えつつ。] 日下部さん、いい感じかも。 てかもち米って、炊き方 米と同じでいいのかな。 [ 首元に巻いたマフラーを、 顎を隠すようにずり上げる。 息を吐くとほう、と白く舞った。] (@15) 2020/11/29(Sun) 20:27:39 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ もう1ヶ月になるか、あの林間学校から。 音を立てていた上蓋が静かになる。 そっと鉄の取っ手に枝を刺し、 軍手を履いた手を伸ばし、取って、 逆さまにした。このまま蒸らすのだ。] …日下部さんはさ、 林間学校、どうだった? [ そんな曖昧な問いかけを投げて、 それから15分。ぼんやり逆さまのままの 飯盒を見ながら彼女の話を聞くだろうか。 その後は、きっと己の話も続けて。 訥々と語りながら作られたおはぎは、 予想よりも美味かった。] (@16) 2020/11/29(Sun) 20:27:59 |
【見】 3-A 矢川 誠壱……難儀、だな。 [ 息を深く吐く。] なんか、…まあ、でも、 腑に落ちたし、あー…うん、 これでなんか、向き合える気がする。 [ また一口、すすった。] …日下部さんは─── [ 問いかけようとして、やめた。 難儀なこの感情をこれからどうするのか、 どこへ、持っていくのか、それは、 きっと彼女が、彼女自身で決めることだ。] (@18) 2020/11/29(Sun) 20:29:09 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 難儀だ。本当に。 友達で、特別な人で、大切な人。 今以上の関係を求めたとして、 それが全て消えてしまうことだってある。 それが怖いと思わないわけではない。 だけど、やっと向き合えるのだ。 やっと、知ることができたのだ。 今までわからなかった。 わかろうとしなかった。 この、恋愛感情を。 きっと蔑ろにはしない。 それくらいわかる。信頼してるから。 だから、いつか、きっと、俺は。] (@19) 2020/11/29(Sun) 20:29:25 |
【独】 3-A 矢川 誠壱/* 汐里ちゃんのロルやっぱりめっちゃすきですね…うわーーーうわーーーーせつないーーーー吐きそう いらないと言われてもお返事投げつけます そして五反田くんんんんんあああああ幼馴染はーーーーうわーーーうわーーーあーーーーーー語彙力ないですごめんなさい (-218) 2020/11/29(Sun) 22:00:07 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 嫌な言い方をしたな、と自覚していた。 だから、その低く響いた声に対して 苛立ちは浮かばない。己が悪い。 取り消したのに、続けられたその声は、 まるでおもちゃを取られた子供みたいに、 拗ねたような色をのせていて。 ぎゅ、と心臓が掴まれるような心地が したのはどうして、だろう。 その意味を深く聞くべきかどうか迷って、 結局、やめた。 それよりももやもやする気持ちの方が 大きくなってしまっていたから。 風に掻き消えて仕舞えばいいと思ったのに 届いてしまった、自分勝手な呟き。] (@24) 2020/11/29(Sun) 22:34:09 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 詰まりながら言い返された事柄に、 ぐ、と腹奥から熱い何かが上がって、 喉が震える。肩を掴んだ手に力がこもる。 そのまま抱き寄せて、すぐそこの 木の幹に雨宮の背中を押しつけて、 閉じ込めてしまおうか、なんて。 「だからなんだよ」 「聞こえてたからって」 「俺と同じ気持ちにはなんないだろ」 そう乱暴に吐き出してしまえたら、なんて。 この感情に名前をつけることもできぬまま。 できるわけなくて、奥歯をぎ、と噛んで、 視線を投げるだけにとどめる。 落とした先にある唇から、逸らして。 深く息を吐いてから、問うた。 すこしだけ、足が速くなる。 食い気味に返ってきた答えに、 いつのまにか噛んでいた唇を解いた。 だがそれも、深いため息の後、 続いたことにもう一度結ばれる。] (@25) 2020/11/29(Sun) 22:34:51 |
【見】 3-A 矢川 誠壱───なにそれ。 [ 足が止まる。] …俺には言えないことなの。 [ 低く唸るような声だった。 眉が強く寄り、半ば睨むようにして 彼の方を見た。掴んだ手の力が 余計に強くなっていく。] (@26) 2020/11/29(Sun) 22:35:14 |
【見】 3-A 矢川 誠壱話してくれたっていいじゃん。 俺には話せなかった? ──女の子と遊ぶ方がいいんだ? で?彼女作るわけでもなく、 不特定多数引っ掛けて捨ててんの? ───なにやってんだよ。 [ 苛立ちが募った。 何に対してか、は、なんとなくわかる。] (@27) 2020/11/29(Sun) 22:35:46 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 口にすることもできないまま、 小さく舌打ちをした。] それで、満足どころか、 なんにも思わなくなって? [ ぐ、と身を乗り出して手のひらを 雨宮の首元に添え、掬い取るように 顎にかけて掴み、上を向かせれば 乱暴に口付ける。 無理やり歯列を破り、舌を滑りこませ、 蹂躙するように、わざと呼吸すら奪うように。] っは、っ… [ 離した唇。眉を寄せる。 ああ、何やってんだ俺。 最低だな、わけわかんねえ。 体調悪い雨宮にこんな。 大事な、友達なのに。 ───友達。 あやまらなきゃ、] (@28) 2020/11/29(Sun) 22:38:50 |
【見】 3-A 矢川 誠壱 ───飯盒炊爨おはぎの会 [ 彼女の口が開かれた。 聞こえた声に、薪に落としていた視線を そっと上げて、見つめた。 燻る煙の向こう側。 電車の走る轟音が響き渡って、 音を伝える空気を全てかっさらう。 だけど、わかってしまった。 その唇の動きで。 少し影になったその、表情で。 だから、目が離せないまま。 まっすぐそちらをみて。 響いた音が静かな反響すらすべて 消え去ったあと。] ───そう。 [ ひとこと、頷いて、微笑んだ。] (@31) 2020/11/30(Mon) 0:23:29 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 彼女の気持ちは彼女のものだ。 それをどうするか、なんて それは彼女しか決めることができない。 ねえ、とかけられた声に、瞬きを2度、 繰り返した後ゆっくりと上げた。] ───うん、思い出すよ。 日下部さんもさ、いつか 思い出してよ。 飯盒で炊いたもち米、 案外美味かったよなーって。 ───難儀な、恋をしてる 仲間がいたなあってさ。 [ きっと、これから先、何かあっても 彼女とこれ以上詳しいことを、 そしてその結果を、話すことはない。 互いの未来に見えるものはまだぼやけていて わからないことばかりだけれど、 交わらない道だということはわかる。 ただ、それが同じように難しいものだと いうことも、ふくめて。 だからこそ、なにもいわないだろう。 なにも、いえないのだ。] (@32) 2020/11/30(Mon) 0:24:09 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ ただ、彼女がすでに決めたその未来に どうか輝く光があるようにと願う。 続いていく茨の道の先が、 明るい場所であるようにと願う。 そしてなにより、 愛おしい人と共に歩む未来が訪れ、 温かな幸せが降り注ぐようにと願うだけ、だ。]* (@33) 2020/11/30(Mon) 0:24:52 |
【見】 3-A 矢川 誠壱[ 事情をきちんと聞こうともせず。 そんな行動に走っていたその詳しい理由も 心境も、悩みも、聞こうともせず。 「俺でもいいなら話聞くから」とか 言えたらよかったんだと思う。穏やかに。 ───だけどそれが、できなかった。 苛立ちに身を任せて捲し立てた。 腹がたった。 その場所に己がいないことに。 立つことができないことに。 特別だと思っていたのが自分だけかも しれないとよぎったことの悔しさに。 響いた声。 木々がざわめく。鳥が鳴いた。 低く続いた拒絶に、ずき、と痛んで、 体が、勝手に動く。] (@34) 2020/11/30(Mon) 1:22:36 |
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