［テキパキと店員さんに話をする麗央くんを見て、
　すごいなあ、って思う。
　そう言えばあたしこういうお店って来たことなかったな。］

　　あれ…お揃い、って言ってたけど、色は別々でいいの？
　　あたしはどっちの色も好きだからどちらでもいいけど、
　　三上さんはみかん色でいいの？
　　形はティアドロップ好きだなぁ。

［麗央くんが見繕ってくれた貴石はどちらもとても綺麗な色
　いつでも身に付けることができるお揃いを持てることに
　それがこんなに綺麗なものであることに、
　目を細めてにこにこしてた。］*

［ぴとりと頬に手が当たれば視線を麗央くんへ向けて。
　目尻に向かう指先に、反射的に目を閉じつつ］

　　────ぁ。

［なるほど…って納得して、麗央くんを見て頷いた。
　ピアッサーまでもさくさくと購入手続きを済ませた麗央くんの手際の良さに感服してしまう。
　お金半分こしよ、って言ってみたけど、出させてくれたかな…］

　　……ふふ。良かった。
　　あたしも、三上さんにお願いしようと思ってた。

［帰りがけ、ドラッグストアで消毒液と脱脂綿を購入。
　ピアスホールは綺麗に開けたい。
　屋台でりんご飴と、夕ご飯になりそうなものを買ったら、お部屋に戻ろう。］*

［それなら。就職したら、その時は、あたしから何かまた
　お揃いのものをプレゼントするね、ってお約束にして。
　今回は、麗央くんのご好意に甘えさせてもらっちゃおう。

　屋台を見て、晩御飯を買って、お部屋に戻る。
　浴衣での移動は大変だ！
　でも、麗央くんの浴衣姿も見られたし、
　浴衣デートできて良かったな。

　先にお風呂をお借りして──今日は、ちゃんとでてこれたよ。
　麗央くんを待っている間は、
　髪を乾かしたり、肌を整えたりだけど、
　麗央くんがゆっくりお風呂に入ってくるなら、
　ピアスの穴を開けてもらう為に、
　氷で耳朶を冷やして麗央くんを待ってるよ。］*

［耳朶を冷やして待つあたしを見て、
　お風呂上がりの麗央くんがピアッサーを開封して。］

　　うん。冷やしたし、たぶん大丈夫。
　　───よろしくお願いします。

［髪を逆方向に流して手で持つ。
　機械で耳朶を挟まれると、麗央くんが、
　息がかかるほど近くにいて…違う意味で緊張しそう。
　…ちょっとだけ、怖かったから。
　いくよ、って合図だけちょうだいってお願いして──…］

　　……っ、う

［つぷり、針先が耳朶を貫くのは一瞬だったけれど。
　その瞬間はぎゅっと膝の上で手を握って。
　無事、小さな「麗央くん」があたしの耳元を飾った、
　と思えばもう、麗央くんが血を拭いたり、ホールを清めたり
　してくれていて───……］

　　なんで麗央くんが謝るの。
　　お願いしたの、あたしだし。

［麗央くんに開けてもらって嬉しかったんだよ、って
　消毒したりお話したりで、冷やしていた耳の感覚が
　戻ってくれば、ジンジンと痛みだしてきたりはする。
　ぎゅう、ってハグしてくれたのをいい事に、
　此方からも抱き返しつつ、痛い〜、ジンジンする〜…
　なんて、甘えてみたりして。］*

［消そうと思わなければ消えない傷、
　裏を返せば、消そうと思えば消してしまえるのだから。

　消えない傷を残すより余程正常、なのだと思う。
　ジンジンと痛む耳朶だって、
　それが麗央くんとのお揃いを付けるためのステップなら
　…嬉しいとまでは言わないけれど、甘受したい。］

　　麗央くんとのお揃いのためなら、頑張れるよ。
　　───あいしてる。……って、なんだか照れちゃうね。

［大好き、よりもより大きくて深い響き
　に聞こえるそれに覚える少しのくすぐったさ。
　頭を撫でる優しい指先に、少し痛みが和らいだ気がした］*

［しばらくの間麗央くんに甘えていれば、痛みも少しずつ引いて。
　不意に耳を愛でられて、身体が跳ねた］

　　っ、ひゃ
　　え、あ、
　　………だ、だいじょぶ、だと、思うけど

［抑えきれて>>-569なかったのか、と
　今更思い出して瞬き。］

────いいよ、キス……して？

［ 唇を指さして、誘ってみた。］

［女は度胸だって言うけど(言うよね？)
　1度は遊ばれてもいいと覚悟を決めたんだから
　愛して貰えるなら、これほど幸せなことはないと思う。］

　　──っ、ふ

［再度のキスは、昨日より、少しはマシになったかなあ。
　糸を引く唇を離して、
　カーテンを閉めに行く麗央くんを見送り。］

　　………………、

［わかってはいることでも、直接口に出されると
　やっぱりなんだか、恥ずかしかった。
　頬を朱に染めて、視線が彷徨うけれど、
　手を引いてくれたら…おいでって言ってくれたら、──］*

［…顔がいいってずるいと思う。
　ただでさえ極上のイケメンなのに。
　お姫様抱っこって。王子様かな。惚れるわ。……惚れてたわ…］

　　お、重いよ……

［口ではそう言うけれど、
　たぶん、降ろす気はないんだろうな、って思うから
　言われた通りに捕まって。

　ベッドに横たえられれば、
　麗央くんがつくる影が落ちた。

　心臓が早鐘を打つけれど、
　麗央くんの頬にそっと手を伸ばしてみた。］*

［指先が触れた頬が、顔が、笑みの形に彩られる。
　部屋の照明が少しずつ帷を下ろせば、
　反比例するように緊張感が高まる。

　確認するように落とされた囁き>>-805

　なんて返事を返すのも、
　恥ずかしくて言葉が出そうになかったから
　頬に触れていた手を少し奥へ、麗央くんの首元に。
　そのまま上半身を起こして、麗央くんの耳元

　小さなに口をつけるように
　耳朶をはむりと唇で挟んだ。］*

　　っ、あ

［熱い吐息が耳にかかる。
　ぞくりと首筋を抜ける、あの感じ。
　追いかけるように、麗央くんの舌が滑り、また息を詰める。

　部屋着にしていたTシャツとハーフパンツ、
　撫でるような優しい手つきなのに、
　さらりと脱がされてしまう。
　白レースの下着が仄かな光の下に晒されながら、
　…あたしは、恥ずかしさから、麗央くんの顔を見れないでいた。

　

　胸なんてそんな自信があるわけじゃない。
　麗央くんなら───綺麗とか、大きいとか、
　そういうお胸もたくさん見てるんだろうな、とか
　そういうのも込みで……腕で、半ば隠すようにしてしまっていた］*

　　──えっ？ 違っ、やっ……！

［ふっと麗央くんの手が離れたと思えば、
　あらぬ所を触られる。悪戯な言葉と共に。

　ひゃう、と息なのか声なのか、
　嬌声と言うには少し艶の足りないものを零して

　麗央くんの指先は気まぐれで、触られる、と
　覚悟を決めた一瞬のうちにひらりと離れ、太腿に。
　肩透かしを喰らったような気持ちでちらりと彼を見上げると

　───見透かしたように笑う麗央くんの顔があったから。］

　　……………っ！〜〜〜〜〜！！！

［わざとでしょ、絶対。

　胸元を隠すのも忘れて、ぺしぺしと麗央くんの胸元に反撃。
］**

［少しの間。
　 ──ニヤニヤ顔で見透かされていた事への
　羞恥が消えるまでの間、ささやかな反撃を繰り返して。

　攻撃の手を止めれば、待ってましたとばかりに
　両手首が縫いとめられていて。
　強請る言葉に拒否もなく、また、抵抗もしないのは
　紛れもなく同意の証。］

　　───あ、っ、…………は

［指先を自らの唾液で濡らす彼がとても色っぽいと思った。
　見蕩れている間もなく、刺激は与えられるのだけれど。
　好きな人の指が触れれば、
　柔らかかった其処も、芯を持つ。］*