人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 無敵の リヴィオ

「アリソン・カンパネッロの正体は……アレッサンドロ・ルカーニア。
 通称”黒眼鏡”……ノッテのカポ・レジームです」

本人の証言もきちんととっていますよと、男は言う。
あなたも知っているだろう。
いつも黒いサングラスをかけ、ノッテをまとめ上げている実力者の事を。

エルヴィーノがそこに行き着いたのは一つの奇跡と、幸運があったから。
決して自分一人の力でそこにたどり着いたわけではない。
マフィアがマフィアを潰すための法案を作る知恵を授けてたなんて、なんて茶番だろうか。

「彼が所長代理を唆しお金を渡して、あの法案が成立しました。
 これって……真っ黒な、マフィアの金を使った違法献金ですよね」

「でも、ただ僕が一人で叫んでも……僕が逮捕されてもみ消されるだけでしょう。
 人を雇って活動を大きくするなんて時間もない。……けど今は、ひとついい方法があるじゃないですか」

早ければたった数時間で瞬く間に広がってしまう、現代にしかない方法。
ソレは。

「インターネット……SNSによる炎上を、目指してみようと思います」
(-5) 2023/09/23(Sat) 21:22:20

【神】 花浅葱 エルヴィーノ

「…………」

この日の逮捕者の名前を聞き、明らかに顔がこわばっていた。

「……残されたのは僕だけ、か」


最早それだけしか、言えない。
このまま、明らかな罪もなく逮捕されるものを増やすわけにはいかないと、わかってるのに。

粛々と続く朝礼を聞きながら、ぐっと握った拳には深々と爪の跡が残っていた。

#警察署_朝礼
(G1) 2023/09/23(Sat) 21:30:12

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「ルチア!」

逮捕の報を受け、何をからも優先して訪れた牢の中に、あなたは居るだろうか。
そこに居たなら、気が急いたように牢の鍵を開けあなたの目の前までやってくるはずだ。

怪我をしてないだろうか。
憔悴してないだろうか。
何か異常は?

それを確かめるために、あなたの顔を覗き込むに違いない。
(-18) 2023/09/23(Sat) 22:34:08

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「……っ。殴られたのかい?」

側によれば、床に膝をついて。
一昨日のように、寝ているあなたの横についた。
状態を確認すれば眉は下がり、声が震えただろう。

「鍵を管理する人間が牢の中に入ったしね……あとの上司はそもそももうまともじゃない
 鍵を開けて近づく人間はちゃんと選んでるよ」

手を伸ばして、痛くないよう赤くなった頬にそっと触れる。
どうしてこんなことにと、思う。
こんなことにならないように、あなたを追うのは自分だと、ずっと告げていたのに。

最初から、捕まえるために言ってたのではない。
傷つけない、そのためだけにそう言っていたのだ。
(-22) 2023/09/23(Sat) 23:07:24

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

エルヴィーノ・ルカ・バディオリ


男の印象は、良く言えば落ち着いている。悪く言えば冷淡。
警察署内であまり親しい人間を作らず、淡々と仕事をし、昼休みは同僚たちに食事を取らされ、シエスタは時間いっぱいまでだらだら休んでいる。
そんな、何処にでも居る現代の人間だ。

「はは、色々やってたら寝るのを忘れてしまってね」
「……? そういえば昨日の夜から何も食べてないかもしれない」

生活のズボラさは折り紙付きで、いつも同僚の頭を悩ませている。
そもそも胃が小さいのだろう、彼が物を食べている様子は、昼に促されている時くらいしか補足することは出来ない。
仕事をさせれば普通だが、私生活に置いては最悪の人間。
そういう印象を持たれていたことだろう。

(L1) 2023/09/23(Sat) 23:15:06
公開: 2023/09/23(Sat) 23:20:00

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

だけどその実は。
男は睡眠障害を患っていた。
過去に事件で幼馴染を一時的に失い、初恋の少女が交通事故で半身不随になって、今も廃人状態。
特に後者に於いては薬物中毒であることを知っていたのに見て見ぬふりをしていたとして、酷く心を病んでしまっていた。

愛情は時に、歪に混ざり合い、変質する。

既に恋などという感情はないが、重い執着が、そこにある。
男は自分のことなどどうでも良かった。もっと言えば、関係のない人間のこともどうでも良かった。

ただ、幼馴染には普通の、安全で幸せな生活を送って欲しいと思っているし
少女には、普通に生きるだけの力を与えたいと思っている。
それが二人の人生を強制的に変えてしまう自分勝手なものであってでもというもので、

それはただの自己満足で欺瞞だった。

(L2) 2023/09/23(Sat) 23:16:27
公開: 2023/09/23(Sat) 23:20:00
エルヴィーノは、もう、大事な人は、作りたくなかった。
(a3) 2023/09/23(Sat) 23:16:51

エルヴィーノは、大事な人が居ると、その人に不幸が訪れて、僕は一人になるから。
(a4) 2023/09/23(Sat) 23:17:21

エルヴィーノは、自ら独りになりながら、独りになることに酷く怯えていた人間だ。
(a5) 2023/09/23(Sat) 23:17:35

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

「……。署内も静かになったね」
「全く、キミ達が全員いなくなったら……僕は昼すら食べなくなってしまうよ」

いつもはここで、犬のような後輩に捕まって。
呆れたように同期に皮肉を言われて。
忙しない同期に厄介事を持ち込まれて。
シエスタになれば一番弟子とチェスの勝負をする。
穏やかな上司と世間話だってしたし。
しわくちゃ顔の同僚に、書類の間違いだって指摘したり……してたはずで。

「おかしいな。
 最初からあまり付き合わなければ問題ないって思ってたのに……皆居なくなってしまった」

力なくつぶやかれた言葉は静かに宙に消え、手に残った爪痕だけが、皆大事な人になってたのだと語っているかのようだ。


「……僕に何かを託すなんて、本来おかしいんだけど」

でも約束をした。
僕は、やらなければならない。
たとえ失敗したって、声を上げることが大事だと……背中を押してもらったから。

これで僕が逮捕されることになったとしても、構わない。
命を狙われようとも、構わない。
大事な人達に正しく幸を与えられたら、それでいい。


今、それができるのは……自分しかいないのだ。
(L3) 2023/09/23(Sat) 23:19:09
公開: 2023/09/23(Sat) 23:25:00

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡

/*
ありがとうございます!
PLの事情で明日日中どうしても動けないので、夕方から夜くらいから始めたいと思います。
反応とかいい感じに挟んでもらえたら喜びます、どうぞよろしくお願いします!
(-33) 2023/09/24(Sun) 0:04:10

【魂】 花浅葱 エルヴィーノ

昨日は夜、早めに家に帰った。
ルチアにそう促されたのもあるけれど、これからやる仕事の準備が必要だったから。

「アカウントいくつくらい取っておくかな……」
「こういうのって画像とか動画があったほうがいいんだよね……何か使えそうなのあるかな」

パソコンに向かって、何やら独りで作業をする。
眠れない身体はこういう時便利だが、明日のためには少し寝ておかなければならないのも当然で。
最後は大事な薬を飲んで就寝するのだろう。

就寝する前に、デスクに置いている写真立てに目を向けた。

「おやすみ、いい夢を」

けれども僕はきっと、夢を見ない。
(_0) 2023/09/24(Sun) 0:39:18

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 無敵の リヴィオ

「マスコミ関係者の知り合いとコンタクトを取りました。
 発信力の高い人間を紹介してもらったところです。
 依頼料は多少かかりますけど……むしろその方が信頼できるでしょう」

発信はその人に。
内容が内容だから、マスコミだってきっと食いつくはず。
自分自身の力は微力だが、複数のアカウントを使って広めるという。

「良い手段ではありませんけど……これ以上、警察がただのお飾りになるわけにはいかないですから。
 先輩も拡散に協力してもらえると助かりますが……一番は、所長代理の逮捕の際に協力してもらえれば」

何せこの男は、警察にも関わらず肉弾戦は不得意だ。
余り物を食べないのだから細いのは当然で、一応は鍛えたりはしてるものの、他の男達に比べれば筋力は劣る。
だから逮捕の時、複数の人間が必要だと……そう、思ったわけで。

男はあなたの事を信じている。
きっと、一緒に戦ってくれると、そう思っている。
あなたもとっくに、男にとっては大事な人間のひとりだった。
(-48) 2023/09/24(Sun) 0:57:56

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「怪我したのは顔だけかい? いい男が台無しだね」

乱れた服を見て、大丈夫だと主張するあなたに苦笑する。
乱れたままにしておくのはどうにも胸が痛むから、キミらしくないよと、抵抗がなければそのまま服を整えてやる。
牢屋のどこが快適になるんだろうと思ったが、案外セキュリティに穴もあるようだからそんな物かと肩をすくめた。

「気にならないわけ無いだろ。
 こういう時勢じゃなければ別だけど……今は、何が起きても不思議じゃないし」

実際あの法がまかり通ってしまうまでは、ここまで頻繁には会ってなかったはずだ。
無事かどうか心配で、様子が変われば気になって、確認しなければ気がすまないようになってしまった。
それでも別に、近寄るなと言われれば、これは素直にそれを聞くだろう。
そうであるなら相応のやり方で幸を与えて満足する人間だからだ。

「あのさ……気になってることがあるんだけど。
 キミ、……抵抗って言葉、知ってるかい?嫌なら嫌って、言って良いよ……僕にだって、誰にだって、さ」
(-114) 2023/09/24(Sun) 7:27:19

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 無敵の リヴィオ

「何言ってるんですか。僕を育てたのはあなたでしょうに」

ひとつ上の先輩。
配属されたばかりの自分をユーモアを交えながらも、色々手引してくれたのは他でもないあなただ。
だから、大型犬みたいな後輩にも同じように手引をしたし、そうした小さな事が、今の自分を作ったといっても過言ではないだろう。

軽く背を叩く手を受け入れて、小さく笑った。

「そうですか。僕もまだ準備がありますから、動けるのは明日になります。
 計画はあとでスマホに送っておくので目を通しておいてください」

よろしくお願いしますと、頭を下げる様子に疑いの色はやはり、ない。
翌日ある夢を見たけれど、それでもあなたを信じていることだろう。
例え、その場にその時現れる事ができなかったとしても。
あなたの立場凶狼としてでやれる事をやっているのだと、そう信じているのだ。
(-116) 2023/09/24(Sun) 7:43:28

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

男である身体、その欲の受け口は、その精を取り込むような場所ではない。
中に入れたままにしておくべきではないけれど、果てたばかりの頭ではそんなことを考える余裕はない。
ないけれど、まだ眠れる気はしなかった。

「ん……、」

優しく触れてくる唇も、汗を掬う舌も、撫でる手も全部が心地よくて、くすぐったくて、ふ、と小さく息を漏らした。
それが少しずつまた色の付いた吐息になったなら、あなたはまた自分を喰らおうとするだろうか。
それでいい。
そうしてあなたとなんの夢を見ずに眠れる事ができたなら、きっと目覚めた朝には柔らかく笑えるはずだ。

この時の男は、翌日にあなたが居なくなるとは、露ほども考えていないのだから。
一人になった男は、何を思うだろうか。
それは、なってみなければわからないことだ。
(-118) 2023/09/24(Sun) 7:55:34

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「……彼ら、って。誰ですか?」

やったことは臓器売買だ。
臓器提供を受ける人、それはなんらかの病に侵された少年少女ということになるだろうか。

「…………」

勿論やったことは許されない。
臓器提供を受けた人は助かったかもしれないが、差し出した方の未来は閉ざされている可能性すらあるのだから。
それでも、他人がどうなろうと何かに幸を与えたい。
その気持だけは、男は
とても理解が出来た。


「……、信じます。
 あなたは、ここで嘘はつかない……、でしょう?」
(-119) 2023/09/24(Sun) 8:01:01

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「じゃあ聞くけど……殴られて抵抗したかい?」

それとも、昔の女だから許せたのだろうか。
もしくはそこからもう嘘なのか、自分にはわかりそうもない。
人の服を着せ慣れてなんてないから難しくはあったが、なんとか見た目は戻ったはず。
服から手を離して、じぃっとその顔を覗き込む。

「何でも受け入れてしまってない?
 全てを受け入れてしまうのは、良いことではないと、思うけど」

だって。

「僕は、キミの事だって、受け入れたいと……思うし」
(-209) 2023/09/24(Sun) 19:21:32

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「取り調べじゃないからこそ、信じてみてもいいじゃないですか」

取り調べなら。
状況や方法の話なら、証拠を用いて判断しなければならないし、被疑者の話をそのまま鵜呑みにしてはいけないのは、それは確かだ。
だけど今は、ただ、理由を聞きに来た部下であり、あなたは上司。
ただの愉快犯などではないと、信じたい心のままに信じてみても、それは罪ではないはずだ。

勿論、それで様々に手心を加えるようになれば話は別、ではあるけれど。

「……はい。そろそろ行きます。
 ですが……また来ます。被疑者への暴力は……なくさないといけませんから」

ぺこりと頭を下げて、牢を出る。
次に来る時はもう、忌々しい法はなくなってるかもしれないが。
それでもあなたは、ここを出ることは出来ないのだろう。きっと。
(-212) 2023/09/24(Sun) 19:31:01

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

――かつん。

廊下に靴の音が響く。
ゆっくりと、あなたが居るとされる牢の前に着くと、ふぅ、と静かに息をついた。

「イレネオ? 大丈夫かい」

正義感のあるあなたが、犯罪を起こしたり、マフィアに通じていたりするなんてことは全く思っていない。
あんな法がなければ、あなたが逮捕されることはなかったはずと、そう信じてここまで来たようだ。

ちなみに、首輪のように連なったあなたの噛み跡は、当然まだくっきりと残っている。
隠そうとしても見えてしまっているそれはどうにもならないから、早々にシャツを着るのはあきらめて、タートルネックにスーツを合わせてみた。
普段とイメージは少し違うだろうけれど、仕方のないことだ。
(-213) 2023/09/24(Sun) 19:39:01

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「じゃあ何されたら抵抗するのさ……?」

素朴な疑問である。
殺される以外なら良いとか言いそうで、ちょっと怖さすら感じた。

「……だからね。
 受け入れてもらえるのなら、同じだけ受け入れたいだろって話。一方通行じゃ、そんなの……友達ですらないじゃないか」

そんなに分かりにくい話をしてるかな?
とこちらも首を傾げた。
(-223) 2023/09/24(Sun) 20:50:10

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「僕が言うのも何だけど」
「もう少し自分を大事にした方がいいと思うよ、キミ」

真顔で言った。
本当に殺されなければ良いって思ってるなんて、予想外もいいとこだ。怖すぎる。

「どうして、僕が危害を加えられることには怒って喧嘩をするなんて言うのに。
 自分が危害を加えられることには無頓着なんだよ。
 僕だって、キミが怪我をしたり襲われたりしたら嫌に決まってるだろ!」

嫌がってほしいんだよ、そういうのは。
頼むからと。そんな気持ちであなたを見た。
僕だって、喧嘩しに行ってやる。
(-241) 2023/09/24(Sun) 22:47:20

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「…………
から

大事だから
に決まってるだろ、馬鹿!」

あなたのことが、大事だからこそ言っている。
あなたが、僕のために喧嘩をすると言ったのは、同じ意味ではなかったんだろうか。
違うとしたら、それはなんて大きな自惚れだったんだろう。

「なんか混乱してきたけど……、別に。
 今回のはキミに非があったとか、受け入れる理由があったのなら、それはそれでもういいよ。
 ただ、僕のために喧嘩をしたから喧嘩を僕がまたしに行くって話じゃなくて……。
 キミが誰かに謂われない暴力を受けるなら、それは僕が嫌だから喧嘩をしにいくって、言ってる。
 それは、僕はキミが大事だからだよ」

どう言えば、伝わるのかわからない。
でも知りたい。
何かおかしいと、思ってたから。

「従順なお人形がほしいわけじゃないから、言ってるんだ……。
 
キミは何にでも、従順すぎる
と思ってる。
 おかしいだろ、頭撫でただけで子供みたいにお休み3秒のごとく寝るし。ねぇ、一体何があったの。
 マフィアになって、なかなか会えなくなってからの事……何を隠してる?」
(-264) 2023/09/25(Mon) 0:30:02

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「キミが女に優しいのは知ってるけどね……。
 でも、相手が女性だからと言って、いつでも100%男が悪い……なんてことはないから」

それは覚えておいてねと、息をつく。
自分が悪いと思えば、殺されたって文句は言わなそうだと思ったからだ。

それはそれとして。

「聞きたいよ」

即答だ。
御魔化されてやるものかと思った。
そこに何か今の原因があるのなら、やっぱり、聞きたい。

「頭撫でるだけの人がそんなに……頭に浮かぶことあるかい?
 他に、何かされてない?
 面倒っていうと……マフィアとしてのキミを育てた人……とかになるのかな……」

教育係とか、上司とか。そんな風に聞こえたけれど。
(-272) 2023/09/25(Mon) 1:27:21

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「可愛がられてた……………」

なるほど、そういう事か。
一種のマインドコントロール洗脳だ、これは。
警察としてそういう事件は幾度も見てきたから、それだと推察した。
ちょっと殺意が湧いた、その男に。
僕の幼馴染になんてことをしてくれたのだと。


多分”可愛がられていた”などという単語では済まされないことも、されていたに違いない。
これでは、男が望む状態には、決してならない。
昔みたいに、自分を出すということを、最早知らないんだから。

……それでも、全く覚えてないわけじゃないと思う。
あの日あなたは、素を見せてくれていたから。
なんとかそこから、立ち直るきっかけを作ってあげれたら…………。

「…………」
「ルチアは……そいつと僕、どっちが大事?」

これは今の状況を確認するための問。どっちと答えてくれても構わない。
やることは多分、変わらないだろうから。
(-307) 2023/09/25(Mon) 7:46:53

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

「そこから出してはあげられないけど……ちょっとまって」

柔らかい笑みを見て、少しだけ安堵を。
何人か牢屋に入ってる人を見たけれど、傷がある人が多かった。
あなたは大丈夫だろうかと気にしながら、牢屋の鍵を出す。

「僕がそっち行くから。
 あぁ、大丈夫、危険な人の牢屋には入ってないから安心して良いよ」

かちゃりと扉を開けて中に入る。
鍵を管理していた上司は牢の中。
男はその直属でもあったから、これくらいの特権はあっても許されるだろう、多分。
いや、みつかたら絶対に始末書ものだが。

「……ん? あぁ、これ」
「これはキミが見えるところまで沢山痕をつけるから……、これじゃないと、
か、隠れなくて
……」

10cm上の視界から、まじまじと間の抜けた視線を受ければ、気恥ずかしそうにタートルネックの襟を更に上げる。
あなたがそれを見たいと思うのであれば、襟を下ろしてみても男は抵抗をしないだろう。
(-309) 2023/09/25(Mon) 8:10:22

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

僕にとっては。

「……キミが一番危険かもね」

ほら、言ってる間にそうやって襟をめくるし。
なんて悪態をついた所で、嬉しそうにしている様子なのは悪くないなと思うから、もうとっくに絆されてしまっていて勝てそうもないのだけど。

「ん……っ、そんなに痛くはないよ、もう」

首を撫でられくすぐったそうに身を捩ったが、それよりも気になるのは、あなたの顔色だ。
日に日に人が居なくなる中、どうしても確認をしなければならないこともあった中、ここに来るのはあなたが捕まった翌々日。
嬉しそうにしていても、上機嫌にしていても、なんとなく、顔色が悪いのが気になる。
そればかりか、襟元を掴んでいる方と反対の手には包帯が巻いてあるし……。

「……キミも、怪我をしたのか。
 どうしたの、それ。捕まる時に何かあったかい?」

何も知らぬ男は、心配気に眉を下げた。
(-362) 2023/09/25(Mon) 14:37:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

首の赤い首輪は、痛みは引いてきていても、もう暫くなくなることはない。
消えてなくなったらまた、つけさせてあげてもいいけれど。
でもそれにはひとつ、あなたと約束したいことがあった。

「こら、今更隠しても駄目だよ」
「まったく……僕には危険なことをするなって言いながら、キミは一人で危険なことをするから」

だからこんな事になるんだぞと、咎めるように見上げた。
少しだけ決まり悪そうにしている様子を見て、ふぅ……と小さく息をついた。

「キミが僕を心配してくれるように、僕だって心配する心くらいある」
「一人で無理をするのは、良くない」

正義感の強いあなたのことだから、一人で無理をした結果なのだとそう思っている。
何が原因だったとしても、大怪我をしたり居なくなられるのはいやなのだ。

僕は、独りにされるのがとても怖いから。


「……一人で背負い込まないって……約束、できるかい?」
(-374) 2023/09/25(Mon) 15:54:22

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

「当たり前。……心配、すごくした」

後ろに隠れた手をそっと取って、その手の甲を、痛くない程度に撫でた。
どんな怪我なんだろうか。
それは包帯の下に隠れてしまってるから、知りようもないけれど。
顔色の悪さから読み取れるのは、痛そうだ、ということだけ。

「約束してくれるなら許すよ」

安心させるように、目を細めて。
軽く伸ばした手をあなたの頭に乗せた。
もう大丈夫と、2,3度ゆっくり撫でてやる。

「日に日に皆が捕まっていくから、僕も時間の問題かもしれないけど……、ここから出してあげられるように頑張るから、待ってて欲しい」

「いい子にしてるんだよ?
 そしたら、ちゃんとご褒美をあげよう」

何が良いかな? とあなたの眼鏡に手をかける。
ほら、僕の目を見て、言ってごらん。
(-387) 2023/09/25(Mon) 17:00:21

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

――甲を撫でただけでは、親指の具合には気付く事はできなかった。せっかく包帯を巻いているのを暴くような真似もしたくはなかったし、あまり強く聞くのも嫌がりそうな気配がしていたから。
それでも、痛そうなのはわかったから、あとで痛み止めを正規の手段で差し入れするつもりで居たが。


「キス、されるのかと思ったのに」

あの時はキスどころか変顔をされたけど、今度は違うと思う。
思ったけど、その唇はなかなか降りては来なかった。

「キス、されるのかと思ったのに」

ガラスの壁のない金の瞳をじっと見て、くすりと笑う。
強引なくせに、こんな時はいつも止まるし。
なんでも確認しようとする。
そんな、犬のようなあなただ。

”いいよ”をしたら、多分。



あなたが躊躇するなら。
目を閉じてあげようか。
(-420) 2023/09/25(Mon) 20:39:12

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「それで僕に、男の恋人の事聞いたの?」

あれは本当に、何の話かと思ったのだ。
答えた内容については、今も見解は同じだ。
ただ、男を受け入れたことがないわけじゃない……とは、あの時言わなかったが。


「まぁ、過去のことを言ってもしかたないよね……。
 そいつにはちょっと殺意沸いたけど」

「でもよかった。ここでそいつだと答えられたら、振り向いてくれるまで頑張らないといけないとこだった」

それは手順が増えるだけ。
やることは何も、変わらないんだけど。

黒眼鏡が言っていた。
『マフィアとして生きさせなくするなら、生きる意義を奪え』と。
『そしてそれをやるなら自分に依存させるのがセット』だと。


「キミを愛しておいて、居なくなったやつなんか、いらないよ。
 それなら、
僕がずっとキミのそばにいる
。キミには、僕が居るし、絶対に裏切らない」

古ぼけた首輪が見えた気がした。
それはきっと、その男が昔かけたものなんだろうから、今、それに力はない。
だったら今は僕が、それに力を与えようと思う。

――僕が家族でも恋人でもなんにでもなるから、それならもう、ノッテも要らないよね?


いつかで良いから、人に依存しなくても生きれる世界で息がしやすくなって欲しいんだ。
(-422) 2023/09/25(Mon) 20:54:34

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

/*
おっかしいな……セリフの位置変えた時消したはずが残ってダブってるな……(悲しい

大事なことは2度……言ってません。言ってないよ。
申し訳ない……!
(-425) 2023/09/25(Mon) 21:12:23

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

「さぁ……でも」
「元気、出るだろう?」

血の気のない顔に、少しだけでも色が戻るならそれでいいじゃないかと思う。

男は別に真面目な男ではない。
シエスタを好むし、面倒そうに仕事をするし、自堕落だ。
それでもやるべき仕事はダメ出しを貰わない程度にこなす器用さはあるから、あなたの教育係になったのだが。

それがどうして、ここまで好かれることになったのかは、正直分からない。
自分が傷つくことくらいはどうとも思わない上、目的のために手段はあまり選ばないタイプだから、下手をすれば嫌われるくらいの人間だというのに。
だけど不思議なことにそれを嫌だとは思わないから、こうして近づかれることを、許したのだ。

(-449) 2023/09/25(Mon) 23:20:17

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ

唇を受け入れて、二度、三度。
こうして唇を食べられてしまうのもまぁ、悪くない。
元々自分は、大事な人に幸を与える事を目的にして生きてきたから。
今更認めないなんて言えないし、
あなたはとっくに、自分にとっても内側の人間だった。
だからまぁ、欲深いのくらいは許せるよ。



撫でられればくすぐったそうに笑って、その手を繋ぐ。
黒眼鏡に調教師ハンドラーと呼ばれた男は、決して無理をさせぬよう……その手綱をしっかりと握った。
(-450) 2023/09/25(Mon) 23:21:13

【独】 花浅葱 エルヴィーノ

/*
お前!!!!!!!
そういうのは、死亡フラグっていうんだよ!!!!!!!
(-467) 2023/09/26(Tue) 0:05:10

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 法の下に イレネオ

動く視線を追って、見つめる。
何かソワソワしてるのはわかる、きっと何か言いたいのだと、黙ったまま。

「……レオ?」

きょとんとした顔で、こてりと首を傾げた。
あなたがそんな風に呼ばれているのは、聞いたことがない。
昔呼ばれた愛称なのかもしれないが、そういう話も聞いたことはなかった。
けれども思い入れがあるのか、それとも誰も呼ばぬ名で呼んでほしいのか理由はわからないが、あなたはそう呼んでほしいらしい。
それなら、断る理由はなくて。

「……わかった。じゃあここでいい子に待てたらね」

本当は今すぐだって呼んで構わないのだけど、それじゃご褒美の意味がない。
無事にここから出ることができたら、その時は呼ぼう。
約束するよと頷く。

「また痛み止め持っては来るけど……、
 仕事に戻らないとだから、僕はそろそろ行くよ」

何度だって、いつだって。
生きてさえいれば呼んであげるよ。――レオ。


「またね」
(-476) 2023/09/26(Tue) 0:28:40

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「キミの助けにはなるけど、手は出さないよ」

多分、会うことはないだろうけれど。と、息をつく。
そういう日が来るなら、その決着は自分でつけるのが一番だろうし。……多分。

3ヶ月で恋人と別れていたのは、飽きる以前に、他人に依存するのを避けるためだったのかもしれないな。
なんて、頭の片隅でそんな事を考える。
まぁ、勿論。3ヶ月で終わりになるようなことには絶対にしないんだけど。
幼馴染の鎖は、一生消えないのだ。

「だから、僕がキミを愛するって、言ってるんだよ。
 家族にもなる、恋人にもなる。だけど僕らは幼馴染だ。
 だから
一生壊れない

 ……ルチアも僕のこと、一生愛してくれるでしょ?」

さて、僕にだって愛し愛される行為がどういう事かなんて、子供じゃないから知っている。
愛された経験だって、ある。……つい、最近に。
それをそのまま行うのはどうかと思うけれど、キミには多分、一番重い首輪になるはずだ。

やったことはないけど、僕にだって、ちゃんと出来るよ。

吸い込まれるように、その海の遠浅のような緑の瞳に僕を映した。
あなたの視界にも、もう僕しか映らない。
あぁ、やっぱり、その顔には傷がないほうがいい。
ぺろりと、口の端にある傷を舐めて、その唇に己の物を重ねる。
脳に送る酸素を奪うように、その思考を茹だらせるように、角度を変えて、舌を入れて、二度、三度。

あなたはきっと、抵抗などしないだろう。
愛されることを、ずっと、ずっと待ってたんだから。
(-520) 2023/09/26(Tue) 8:43:12

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

後退りをされたら、その距離をすぐに詰めて。

今のあなたなら、そうだろう。
心を支配されたまま置き去りにされてるのだから、仕方ない。
そんな拒絶は、男の心の傷にもなりやしない。

「……、は」

やると決めたらそれが成功するまで、どんな方法だろうとやるのがエルヴィーノという男だ。
周りの誰が傷つこうとも、自分が傷つこうとも。それを無理だと思うことすらしないのだから。

ものを食べぬ薄い身体では、あなたを支えるのは本当は難しいけれど、その重みが心地良い。
力が抜けて、恍惚とした顔を向けるあなたの言葉には説得力の欠片もない。
てらりと光る唇は、まるでグロスを塗った女のようで、愛らしい。

「愛せなくても良いよ」 
今は。

「キミのその目に、僕しか映らないようにしてあげる」

待つわけないし、無茶じゃない。
決めたんだ。
僕が、キミのためにできることを、するんだと。
幸を祈るのが浅葱の言葉だけど、僕は祈るだけじゃ満足なんて出来やしないから。

キスをしていた間に、整えたばかりの服をはだけさせて。
その首に顔を埋める。
準備がないからこの行為を今ここで最後まではしやしないけど、
その首にたくさんの噛み跡と鬱血痕をつけて、新しい首輪にしてあげよう。
僕の首についているものと、同じものを。


牢屋にいる間期待で眠れないくらい、溺れるほどに愛するよ。
(-526) 2023/09/26(Tue) 10:24:58

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

あなたの抵抗に、少しだけ不安の色を表情に浮かべた。

「……ごめん。不安にさせたいわけじゃないんだ」
「僕、上手く出来てないかな?」

だってわからない、こんな事、やったこともない。
行為への慣れなさが如実に出ているのは、あなたなら直ぐにわかってしまうんだろう。
でも、やってやれない事はないと思っているから、止めてはやれない。
ここで引き下がるわけにいかない。
キミが本当の意味で、僕のところに戻ってきてくれるまで。
その時キミが、別の人を見ていたとしても。
それまでは僕だけを見ててくれないと、困るから。

「でも……、大丈夫」
Ti amo tanto con tutto il cuore.心の底からキミを愛してるよ

無抵抗になったあなたに事を運ぶ事に、おそらく最後まで、心のどこかに罪悪感を持ち続けたまま。
それでもあなたの身体を弄っては、反応の良い所を探していく。

耳たぶを噛んでは吸い上げて、首には沢山の印をつけて、胸に、腹にと赤い花を咲かせて。
流石に己の下半身に熱が溜まってきた気がするが、それは今日は駄目と耐え凌ぐ。
多分、直接刺激を与えられてるあなたも、兆していると……思うのだけど。
触れてみようかと手を伸ばして、スラックスの上からやんわりとそこを撫でてみた。
(-536) 2023/09/26(Tue) 11:53:24

【独】 花浅葱 エルヴィーノ

/*
ルチア……お前も死ぬのか?
死ぬな、死んだら死ぬぞ。
(-542) 2023/09/26(Tue) 12:29:22

【独】 花浅葱 エルヴィーノ

/*
うわーーーーーん、大型犬
死なないで(泣いてる
(-546) 2023/09/26(Tue) 13:05:14

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「―――別に、所構わず盛りたいわけじゃないんだけど」

その声色には、流石の男も反応して、口づけていた顔をゆっくりと上げた。
ただ、こうしなきゃ残ったままの鎖を断ち切れない。
そう思ったから始めたことだ。
覚悟はとっくにできている。…………けれど。

「じゃあどうしたら、キミはそこから出てきてくれるの支配から逃れてくれるの

キミはきっとそんな事されてないとか、そういう事を言うのだろうな。

「僕はただ……」

例え、失望されてしまったとしても。
例え、嫌われてしまったとしても。
例え、一緒に生きられなかったとしても。


「キミに自由になってほしいだけだよ」

ぽたりと、溢れた涙が頬を伝う。
言わなくても良いことを言ってる自覚はあるけれど、止められなかった。
(-556) 2023/09/26(Tue) 14:42:19

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

――その日男は、朝礼の後姿を消した。
一箇所牢屋に立ち寄ったけれど、それを知るのは本人のみだ。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか」

人気のない会議室でノートパソコンを開き、協力者に指示をする。それは事前に手を回した、マスコミの折り紙付きの情報発信者インフルエンサー

僕はこれから、警察としては褒められない手を使って、ある人物を告発する。

(33) 2023/09/26(Tue) 14:54:51

【置】 花浅葱 エルヴィーノ



『反社会組織取締法』施行の立役者、
ヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノ氏。
使用された多額の献金は、違法献金!
資産家、アリソン・カンパネッロ女史の正体は、
アレッサンドロ・ルカーニア
マフィアのカポ・レジーム、
”黒眼鏡”
だ!

これを皆は許せるだろうか?
あの署長代理を即刻更迭せよ!

(L7) 2023/09/26(Tue) 14:58:18
公開: 2023/09/26(Tue) 15:00:00

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

SNSで唐突に発信されたニュースは、瞬く間に広く拡散された。
発信者が何万ものフォロワーを抱えるインフルエンサーだからというのもあるが、その内容があまりにも衝撃的だったからだ。
拡散され、炎上し、その矛先はすぐに警察へ向かう。
今頃きっと、署の電話はなりっぱなしに違いない。

その状況をしかと見届けた僕は、直ぐに告発文を手にして署長代理の部屋へ移動する。
そこに前日約束した彼は居ない。
ずっとSNSに齧り付いていたから、彼が自首をしたことは……まだ知らない。
それでもともに来てくれた警官と、どさくさに紛れて逃げられぬよう、すぐに取り押さえることができる場所に陣取っていた。

逮捕令状?
そんなものは必要ない。……と、思っている。
自分が施行した法律をもって、今はまだその男を逮捕可能のはずだ。
証拠の証言もしっかりと抑えてあるから、取締法がなくなったとしても署長代理を勾留することは可能だろうし。
警察はそもそもがこういったスキャンダルを重く捉える組織だから、
罪はどうあれ、彼を署長代理に据えたままにはもう、出来ないはずだ。

(34) 2023/09/26(Tue) 15:00:45

【人】 花浅葱 エルヴィーノ



―――そうしてその日、銃声がひとつ、鳴った。



これはヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノが
電光石火で逮捕されることになる少し前の出来事だ。
(35) 2023/09/26(Tue) 15:03:03

【魂】 花浅葱 エルヴィーノ

  


「…………約束」

「……僕が守れなかったかも」



つぶやかれた言葉は、宙に消えた。

  
(_1) 2023/09/26(Tue) 15:18:08

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

涙を流したその花浅葱が、じっとあなたの瞳を見つめた。
確かに、ちゃんとはっきり抵抗したことは……、思っていたよりもずっと、その支配力は弱いものだったのかもしれない。
だけど、信じて良いのかわからない。

抗いづらい感覚と、想い出があなたの中にはしっかりと残っているし、鳴りを潜めただけのものがいつ表面にでてくるかはわからないのだから。

「僕が都合がいい人間なのは、わかってたけど」
「これしか、僕がしてあげられることは、ないと思ったから」

それで駄目なら、じゃあ、僕は何をしたら。
キミに幸を渡せるんだろう。

それがいくら考えても、わからない。

「……大丈夫、なの? 絶対?」

信じないわけじゃないけれど、念を押すように問う。
子供の頃に戻ったかのようなやりとりだ。
(-566) 2023/09/26(Tue) 16:05:56

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「……する」
「はは、何年ぶりだろ。指切りなんて」

言葉を噛み砕いて聞いて、それから素直に小指をあなたに差し出した。
困ったような笑みを浮かべて取り交わされる約束が、未来永劫果たされることを本当に願っている。
駄目だった時は今度こそ好きにしていいと許可も出たから、今度はきっと、大丈夫だ。

誰かの想定外のことは全く知る由もない。
男は何も期待はしていなかった。
男の目的はやりたいことをやる幸を与えるだけだったから、その方法が分からなくて悩んでいるだけ。
大事な人が幸せであればそれで良かった。
やっぱり男は、自分のことは何も考えてはいないのだ。

……ひとり置いて行かれなければ。
自分にとっての不幸は、何もない。


「…………、
ごめんなさい


小指を切れば、今やったことを潔く謝った。
覚悟をしてたとはいえ、悪いことをした自覚だけはあったから。
(-598) 2023/09/26(Tue) 19:23:37

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「うん……あ、でも服は直すよ」

一度直して、またぐちゃぐちゃにしてしまったそれを、もう一度ゆっくりボタンを詰めていく。
さっきよりは多分上手に出来ているはずだが、それでも襟の上まで付いてしまった痕は隠せそうもない。
せめて自分のようにタートルネックが着れればと思ったけれど、そんなものはここにはない。
そのうち差し入れしよう、お詫びも込めてと、心に誓った。

「ちゃんとって……、約束は守ってるし。
 昨日は酒じゃなくて
使って寝てきたのに」

生活の自堕落さ以外で心配させるようなことをしただろうか?
そんな事を考えて心外そうな顔をする。
あんなことを言ってるけど、頭を撫でればきっとまた、すぐに寝てしまうんだ。

「そっか。……うん、それなら僕ももう一度資料を見てみる。
 名前が分かれば少しは調べやすいしね……っと、そろそろ仕事に戻らなくちゃ。
 
今日はとても、忙しいんだ


頭を撫でられれば、くすぐったそうな笑みを浮かべて立ち上がる。
傷や痕を除けば、あなたは今日も完璧だ。
(-612) 2023/09/26(Tue) 20:17:35
 


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