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【人】 花信風 トット昨日よりはいくらか軽い足取りで食堂に来たけれど、 見回して、それから何も言わずに食事を取りに行った。 食べる量も昨日よりは多い。 食べたくなくても食べなきゃいけないのだし、無理やり詰め込んでいると言えばそうだろう。 (7) 2022/05/04(Wed) 21:26:20 |
トットは、その声を聞けば 眉を下げて少し微笑んだ。 (a2) 2022/05/04(Wed) 21:36:59 |
【赤】 花信風 トット──いつもより慌ただしく教室に入ってきた。 この状況がいつもと違うこと。それはトットも認識している。 どういう事なのか話し合いしたくて、半ば躓きかけるようにして机の前に止まった。 「お」 「おはよ! あの、……うーん?」 (*6) 2022/05/04(Wed) 21:57:21 |
【赤】 花信風 トットこんにちはの文字に頷いて。 クロノが来れば、心配そうに駆け寄った。 「クロノ!」 「あの、その、えと、う、うまくいかないときもある、とおもう」 「けど、けど、だいじょーぶ……?」 (*11) 2022/05/04(Wed) 23:52:25 |
【赤】 花信風 トット/* アア〜襲撃よろしくお願いします……!! トットは……今回で……吊られますわよ ウッ ウッ ウッ 引き当てちまいましたわね 天然誑…… (*12) 2022/05/04(Wed) 23:53:58 |
【人】 花信風 トット「……おっきくなったかー?」 「ちゃんとさいたかー」 朝食のあと。 園芸部の管理している花壇で花に水をやっていた。 こんな状況でも、花はそんなの知らないとでも言うように綺麗に咲くものだ。 ムスカリ、チューリップ、ヴィオラ、スイセン。 ひとつひとつの様子を見てはジョウロを傾ける。 「んー。おまえらはだいじょうぶそー」 (14) 2022/05/05(Thu) 0:00:10 |
【赤】 花信風 トット「………………」 ピタ、と動きを止めて 包帯の巻かれた腕を擦った。 その一瞬だけ表情も抜け落ちて。 「あ!おれのはなのおちゃのむ!?」 「あれねー おちつくからいいよ おいしいし」 それからパッとまたいつもの笑顔だ。 「いーの!!クロノがだいじょぶならいーの」 「ラピスのゆーとおりだよ ちょっとくらいやすんでもいいって」 「おにーちゃんたちにまかしといて!」 (*16) 2022/05/05(Thu) 0:51:31 |
【独】 花信風 トット見れなかった。 イシュカをまともに見ることができなかった。 彼がああなったのは自分のせいだ。 痛々しい彼の姿を、まともに見ることができなかった。 ごめんなさいの言葉もかけられない。 かける言葉があると思えない。 食堂から出たとき頭を掻きむしりそうになった。 血が出てしまえばきっと動けなくなってしまうので、やめたけど。 薬を多めに飲んだ。体は楽だ。 (-33) 2022/05/05(Thu) 0:56:30 |
【赤】 花信風 トット「ん!」 腕で大きく丸を作って、OKのサイン。 「まかせて!ちゃんとしめとく」 「ちゃんとやすんでねクロノ!あんまりむりするとダメんなっちゃうぞ〜」 「ラピスもクロノをよろしくね!」 そう言って、二人を見送ることだろう。 (*20) 2022/05/05(Thu) 1:37:39 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカ「ッ、…………」 あなたの叫びも、あなたの怯えも、全て黙って見ていた。 笑顔はとうに消えていた。貴方に向けられるのは感情の抜け落ちた顔。 はっきりと見えなかった……いや、見なかったのであればそれも分からなかっただろうけど。 そばに居るおとなの袖を掴んで、組み伏せられる貴方を見下ろす。 「うるさい」 息が浅くなる。視界が微かにぼやける。 「おとなだからしずかにつかまってくれるとおもったんだけど」 「おもったよりギャーギャーいうんだね」 おれがいいたいのこんなことばじゃない。 「かっこわるいんだー……」 ……トットは動かない。貴方の元へ寄る事もなく、けれど貴方から目を逸らす事はしなかった。 あたまがいたい。 「────ね、イシュカ。」 ▽ (-37) 2022/05/05(Thu) 1:58:45 |
【秘】 うそつき トット → ライアー イシュカ「なんでイシュカをえらんだかおしえたげる!」 「イシュカのこと、だいっっきらいだからだよ!」 ──全く以て貴方の言う通り。 「……あは」 「ふ、ふふふ! バイバイ!バイバイイシュカ!」 「つぎあうときはイシュカも『いいこ』になってますように!!」 「じゃあね〜〜!!」 場違いに明るい声。 震えている。 場違いに明るい笑顔。 慣れた。 貴方が連れて行かれて見えなくなるまで、トットは貴方を見ていた。 最後まで、一度も目を逸らすことはなかった。 きっとこのあと一人で森を抜けて帰るのだろう。 死にそうなくらい胸が痛いから、すぐにお部屋に帰らなきゃだから。 (-39) 2022/05/05(Thu) 2:09:53 |
【独】 花信風 トット「は」 ──あの夜。 イシュカをおとなに差し出した帰り、半ば駆け転がるように自室へ戻ってきた。ドアを後ろ手に閉めてすぐ鍵をかける。 背中を預けるようにしてズルズル崩れ落ちて肩で息をする。 同じ部屋で暮らす人はいないから、大きな音を立ててドアを閉めたって誰も怒る人などいない。 「ぁ、あ。やった」「おれ」「あ、」 頭が痛かった。視界が回っていた。息がうまくできなかった。 取り繕うのは得意だった。ニコニコしていればうまくいくことが多かったから、なるべく笑顔でいようと思って、そうした。 「は、っふ、あは、あははは!はは、ははは!!」 「やった、やった、おれできたよ、できた、ちゃんとやった」 「ちゃんとやった、ちゃんと、おれ、んふ、ひ、ひひひひ」 やるしかなかった。やるしかなかったからやった。 ちゃんとやればできるのだけど、やるから自分がわからなくなる。 自分の心の境界が曖昧になると、いつもトットは何も考えられなくなる。 医者に言われたことがあった。正直でいなさいと。 それが君の病気のためなのだと。 医者の言う事は間違っていない。 トットは血花病を患っている。 血液が空気に触れると血液から発芽し花を芽吹かせる病気。 この病気は精神にも影響する。 (-49) 2022/05/05(Thu) 2:48:18 |
【独】 花信風 トット過度のストレスにより引き起こされる自傷衝動。 及び一時的な解離性障害。トランス。 ──トットは壊れたおもちゃみたいに笑いながら、いつもポケットに忍ばせているナイフを抜いた。 (-50) 2022/05/05(Thu) 2:53:32 |
【独】 花信風 トット「っ、 あ、 〜〜っ、ひ」 振り下ろす。 血飛沫の代わりに、勢い良く花が芽吹く。きもちがいい。膝を付く。 「 あ 、 っあ、あ"、」「ふ、♡」 振り下ろす。 血を吸い続けて育つ。芽吹く。育つ。きもちがいい。 「ひ、ぁっ、 あ" 、 っぎ」 振り下ろす。 ナイフを投げ捨てて、花を掴み勢い良く引き千切る。視界が白く弾けて、 「────〜〜〜〜〜っ、 あ" っ!?♡♡ は♡」「っあ」「ふ、ん、 んぅ、 っあ……♡」「は、」……子供の悲鳴であるのに、その声は明らかに熱を孕んでいた。 床をのたうち身体を不規則に痙攣させる姿は達した後のようにも見える。 不自然に引き起こされる快楽から逃げるように床を掻いては、また身体が震えた。 傷口はとうに塞がってはいるものの痛々しい。 散らばった花々は嫌に瑞々しく鮮やかだ。 命を削って咲く花は、『種の持ち主』が苦しまぬよう悦楽を刷り込む。 もっと咲きたい。 しかし出血による消耗は常人よりもかなり激しく、本人に負担がある。 快楽の波が遠ざかった後も、頭が冷えた後も、指一本動かすのでさえ出来なかった。 助けを求める体力ももう無い。もう咲けない。 ざんねんだなあと暗がりに沈む意識の中で思って、 ……そのままその夜は、気を失うように眠った。 (-56) 2022/05/05(Thu) 3:20:41 |
【人】 花信風 トット>>22 エルナト 「あったかくなったもんねー!おれもうそろそろはんそででもいいかも……」 陽射しも優しく、吹く風は随分暖かくなった。 もう一つ園芸部が管理している畑では作物も育ち始めている。 雪から顔を出し緑を取り戻してからしばらく経った芝生も、そろそろ刈り揃える時期だろう。 どうぶつもねー、とトットは頷く。 「すきだよ!ちゃんといきててえらい」 「おっきいどうぶつこわいけど、ちっちゃいのすき。うさぎとか……」 こんくらいのどうぶつすき……と手でサイズを表した。 サイズだけで言うなら、犬猫も当てはまるのだろう。 「ん〜〜」 「おれねー なにになりたいかわかんないんだよなー」 「みんなのやくにたちたいとおもってるけどー……」 ジョウロを両手に持ち、難しい顔をしながら左右に揺れる。 トットは将来の事をあまり考えたことがなかった。 ちゃんと生きているのかわからないのだし。 (23) 2022/05/05(Thu) 14:56:32 |
【人】 花信風 トット>>24 エルナト 「え!! めんどくさい……」 「でもかぜひくほうがめんどくさいか。んむう」 不服そうな声を出すもののちゃんと言う事は聞くらしい。 ちなみにトットも野菜カレーの日は誇らしげにしているが、にんじんのみは許せないらしい。甘いと思わせておいてたまに土の味がするからとのこと。 「そう!じつはおれもえらい」 「そしてエルナトもえらいし、みんなえらい」 「まーおれ たしかにみんなすきだからな……」 にんげんだったらでかくてもすきかも……。と謎の納得をしていた。 トットも園芸部か飼育部か迷ったが、病気の事もあり園芸部にした。 こちらの方が怪我も少ないだろうし。花は嚙みついてこないから。 「おいしゃさん……」 「……たしかにみんなのきずとかなおるとうれしい」 「……、………………」 少しの間。 「あ!でもでもそれならっ おれおくすりつくるひとになりたい」 「なんだっけ! なんかなまえあったよね チョーザイ?」 (25) 2022/05/05(Thu) 17:47:17 |
【人】 花信風 トット>>26 エルナト 「あそべなくなるのはやだ!」 「ふけんこうになりそう」 動いている方が落ち着く自覚がある。 ベッドでじっとしているのは逆に病気になりそうだ。 「んへへ〜。わかるかも……」 「ねこみたいにきまぐれなこもわんわんいうこもいる」 うんうん、と頷いて、自分は犬かな、とか思ったりした。 いっぱい元気だし、動き回るし。猫って感じじゃないなあなんて。 問いかけられると、「んむ」と少し下を向いた。 「…… ふつうのけががわからない から〜」「ちがでないのはわかるけど!」「あとびょういんこわい」 「おくすりだったらびょういんじゃないし」 「わたして、げんきになってね〜っていえるから」 (27) 2022/05/05(Thu) 20:54:20 |
【赤】 花信風 トット/* ア!そうですわね……?? ぼんや〜りとは考えていましたけれど、どうしようかな〜の段階でしたの! もしラピスさんの方でいい感じの何かがあるのなら興味がありますわ! (*23) 2022/05/05(Thu) 20:57:13 |
【赤】 花信風 トット/* なんとなく考えていたことが連れ去られ後の事だったので、連れ去られ自体はノープランなのですのよね〜 もしよろしければ、連れ去りお願いしても……よろしいでしょうか!? 余裕があればで構いませんので!! きっと園芸部の花壇に忘れ物でもして取りに行くときに一人になるかもしれませんし、一人部屋な上に滅多に人を部屋に入れないのでお部屋にドンでもよいかもしれません……! (*25) 2022/05/05(Thu) 21:56:46 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト「あんね〜〜……」 「きずにとてもよくきくので」 「おちゃにしたりすりこんでくすりにできる」 「から チョーザイかも」 「おれいま なんにんかにくばってんの おはな!」 「かみかくしでけがしたらやだから」 「……いる?」 そこまで言うと、すっと身を引く。 (-134) 2022/05/05(Thu) 23:00:34 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「?」 「あれっ ラピスだ! こんにちは!」 くるりと振り向き、持っていたスコップを花壇のふちに置く。 「なんかごようじ……」 手に持つメモを見る。ひとつふたつ、まばたき。 「だね! どしたの?」 (-138) 2022/05/05(Thu) 23:11:27 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト「! ぜんぜんいーよお!」 「おへやにもとっておいてるのあるし たくさん」 「その あう えと こっそりまいばんしてるので」 「いまもちょっとはわたせるし」 「はずかしーけど」 「まえばらいかも」 できます!のガッツポーズ。 (-145) 2022/05/06(Fri) 0:06:54 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス手渡されたメモを、首を傾げて受け取る。 黒板にも書かない内緒話である事は察しているけれど、いつもよりぎこちないな、なんて思って。 ──メモの内容を目で追えば、「ぇ」と声を漏らした。 しばらくそのメモを黙って 何度も、何度も読んで。 やっと上げた顔は、……青ざめている。 「ラ」「ラピ ス」 「おれ」 「お れの ばんなの ?」 掠れた声で 決まり切った事を問う。 (-146) 2022/05/06(Fri) 0:12:58 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス決まってしまったこと。 その言葉に大きな瞳を揺らして、薄く開いた口から「ぅ」「ぁ」と意味の無い音が漏れる。 「だっ て」「や」 「うん、うん わかっ た 」「おれがいけばいーなら そ、やっ て」 何度も、何度も何度も、自分を納得させるように頷いて。 ここで拒めば迷惑になってしまうから、自分が素直にならなければならないと。 素直にならなければいけないんだけれど。 ──ぐしゃりと、花飾りを掴むように頭を抱える。 「お、おれ」「はっ、」 「 おれたち が」「さけなくなる」 「さけなくなっちゃう」「はな」「が」 ……浅くなっていく呼吸の合間、とぎれとぎれに。 困らせちゃだめなのに、大丈夫なのに、 巡る血がそれは駄目だと頭を揺らす。 「わ わ、かった わかったよ んふ ありがとラピス」 「あは あの いつでもついてく 、 からさ」 (-155) 2022/05/06(Fri) 0:48:00 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「ん」 「んう うん うん……」 息を整えて、整えて。 無理はしなくて大丈夫という言葉がありがたくて。 ──頭から手を離す。ぶらりと降ろした腕の包帯は、朝食の後にまた新しくなっていた。 「……いっしょにのんでくれるの?」 「おれ ラピスといっしょにおちゃのみたい……」 歩み寄って、あなたの袖を引く。 (-186) 2022/05/06(Fri) 11:42:09 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト「えらくないよ。だめっていわれてるの」 「でも……がまんできないから それだけ」 いつもは褒められれば素直に喜ぶのに、それだけは違うとハッキリ言った。 自分の身のためにはならないことだから。 自分の身の事は、二の次にしてしまうから。 「でもこーやって、やくにたてるなら、とてもうれしい」 「おれねー おれのはなつかってくれるひとがすき」 こくりと頷いて、窓の内側まで寄って。 腕の包帯を解けば──夥しい数の 傷跡 がそこにあった。ポケットから鞘の付いたナイフを取り出して、刃を鞘から抜いて。 深呼吸して……腕へ振り下ろす。 血は 噴き出さずに。 「う」 「 ぐ 、ふ ぁ……っ、あ」「は」紅はみるみる間に芽吹き、咲かせ。 傷口から花開くのは、デイジーやアスター、ゼラニウム。 「い、ッ……あ、ぁ えへ へ も……ちょっと」「だけ、ぅ」 ▽ (-219) 2022/05/06(Fri) 18:57:47 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト自然じゃ見られない速度で育っていく花々はトットの腕を彩り、その分だけトットの身体はびくりと震えた。 かく、と膝に力が入らなくなった。そのまま座り込む。 「んぁ、ふ、ッ、あは、は、…………っあ"、」 ブチリ。 ──勢いに任せて花を引き抜いた。 引き千切ったと言ったほうが正しいかもしれない。 「……………………、おわ、おわり」 「えへ、へ……あは、こ、こんなかんじ」 「さいたよ」 肩で息をしながら、涙の滲む上気した顔で貴方を見上げて花を差し出した。 腕に血はもう流れていなかった。花が咲けばすぐに塞がるようだ。 (-222) 2022/05/06(Fri) 19:00:59 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス手を繋いで先導するあなたの後ろで、鼻をすする音が聞こえたかもしれない。 調理実習室に入れば、素直に座って。 ふつふつとミルクが鍋にかけられて泡が浮かぶのを、ぼうっとした顔で見ていた。 一つ一つの手順を、緩慢に目で追って。 小瓶を見れば。 「……………………」 「うん。おれ、ねむりたい」 「そのほうがいい」 頷いた。 「……しあわせなゆめ みてたほうが」 「おれは こころのじゅんび できるから……」 (-223) 2022/05/06(Fri) 19:14:41 |
トットは、自分の部屋の鍵を掛け忘れたなぁ、とぼんやり思い出した。 (a28) 2022/05/06(Fri) 19:15:05 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「ありがと」 ティーカップを貰えば、少し微笑んだ。 倣うように両手で持ち上げて、ふう、と息を吹きかける。 空気の揺らぎと小さな波に混じって、花の香りがした。 瞬きをして、そのまま一口。 甘い。 ……もう、後戻りもできない。 コク、コク、とまた飲んで、ほうと吐き出す息さえ温かい。 ……少し思考がぼやけてきた。眠る前に、と。 「ラピス」 「おれ、たぶん……だめになっちゃうとおもう」 「なおったら」 「 おれたちさかなくなったらつかわれなくなっちゃう 」「それがこわいの」 ゆっくり、まばたき。それから、もう一口。 「ラピスは」 「 さかないはなをゆるせる? 」 (-235) 2022/05/06(Fri) 19:59:49 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト気持ちいいのかと問われれば、「ん"う」と唸る。 いつも図星を突かれた時に出す声だった。 「いうな……」 恨めしげな目、恨めしげな声。恥ずかしいというのは、これが原因らしく。 確かに、花が育つ時のトットの様子は正に"そう"であるようだった。 熱い息に、潤んだ目。跳ねる肩に蕩けた声。 年齢に相応しくないとも言えるその様子は、過ぎた感覚をトットに与えている証左でもあった。 だから、痛くはなかった。 「んふ」「き、もちい……よ」 「だいじょぶ」「あは」 一度は自分から不服とした事実を、簡単に認めた。 掬われた涙が、咲いた色とりどりの花が貴方の口に運ばれるのを、どこか恍惚としながら眺めて。 ▽ (-239) 2022/05/06(Fri) 20:15:18 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト美味しい、と。 その言葉で、なにか どこか 今までにないくらい、色んな気持ちが溢れた。 「おいしい」「あは」 「ふ、んふ あはは えへ ああ……」 「おれおいしいっ?おれたちのことたべてくれるのっ?」 「つかってくれる?おれやくにたつ?」 「うれしい」「うれしい!」「おれたち、もっとさきたい」 ……ゆっくり立ち上がる。足が震えるのは、痛いからではなくて。 体に力が入らないから。ぬるま湯に浮いているような感覚だ。 多幸感。 年相応にはしゃぐ姿は、けれどいつもよりどこかおかしい。 「おれ〜 あは とってくるねぇ」 「もっとあげる んふふ」 言うやいなや、ふらりと図書室を出ようとした。 まるで褒められた犬のよう。……無抵抗に、無邪気に、盲目に。トットは 喜んでいる。 (-243) 2022/05/06(Fri) 20:29:58 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「…………、……ふふ」 蕩けていく思考の中。狭くなった視界であなたの文字をなぞって。 「よかったぁ」 「じゃあ、 おれ さけなくなっても」 「まだ さけてても」 「いーんだ」 遠のく意識の中、置いたカップは もう空だ。 「ありがと」 「……らぴす」「これ」 座っていられなくなって、机に伏せた。 おもむろに頭に──花飾りに手を伸ばして、 ぷちり、と 音がした。 「……じつは これも」 「おれ のはな……ヘヘ」 「あげる」 あなたのカップの横に、そっと置いて。 そのままふと、意識を手放した。 幸せそうな顔で寝息を立てている。 (-248) 2022/05/06(Fri) 20:39:40 |
【置】 花信風 トットトットの部屋は、トットが一人で使っていた。 寂しがりやのトットが自分から「一人部屋が良い」と申し出た時は、周りから驚かれた事を覚えている。 トットの部屋にはトットしかいなかったから、閉め忘れた部屋の鍵を掛ける人も居ない。 薄く開いた部屋の扉の隙間から、ひとひら。 それから、開けたままの窓から吹き抜けた風が扉を押して。 花を、 花を、 花を、 花を、 花を、 ゜花を、 花を、 *。 花を。 廊下へと散りばめるように、花を溢した。 部屋の中は行き場のない花に溢れている。 ベッドに、棚に、机に、床に。 遅すぎる花信風が吹く部屋に、今夜トットは帰らない。 (L8) 2022/05/06(Fri) 20:51:47 公開: 2022/05/06(Fri) 20:55:00 |
【秘】 はなわずらいの トット → 司書 エルナト「ゎ」 体を支えられて、ハッとしたようにそちらを見る。 少しだけ元に戻ったような様子は、あなたの恍惚とした顔に、耳に残った蜂蜜のような声に、また溶かされて。 「……ん〜ん」「だいじょぶ!」 今度はさっきより確かな歩みで。 「おれ ほんとにうれしいから」「おれいにあげる」 「あは」 風に乗るように、ひらりと開けた扉の隙間からすり抜けた。 ……それから、トットが戻ってくる事はなかった。 少なくとも、今日は。 (-252) 2022/05/06(Fri) 20:59:24 |
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