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【墓】 朝日元親一昨日はサボり、昨日は保健室。 今度こそ部活に穴を開けるわけにはいかない。 今朝も早くに登校していた僕は、定刻通りの朝の放送の音を聞く。 「…………?」 放送に、声はない。 本を読んでいた顔を、上げた。 (+2) 2021/11/02(Tue) 21:18:38 |
朝日元親は、席を立った。 (c0) 2021/11/02(Tue) 21:34:57 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな陽光 守屋陽菜/* 変な笑いが出ましたわ。 現行の秘話終わり次第、放送直後の時空で放送室に向かわせていただくかと存じます。 見つかるか見つからないかはどうぞご随意に。 一応、薬の結果朝日くんの異能が強化されていることはお伝えしておきますわ。 (-12) 2021/11/02(Tue) 21:38:29 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな陽光 守屋陽菜「……僕、別に大人しい奴のつもりはないですからね。 目立ちたくはないだけで」 運動が嫌いなのだってそうだ。 脚の速さもスタミナもあるハイエナが、どれだけ手を抜けば目立たず普通にいられるかだけを考えていた。 「先輩の言う通り、精々そうしてやりますよ。 この異能のお陰で得したことも、冷静に考えればないわけじゃないですし」 例えば、食費が浮かせることだったり。 例えば、軒並みならない嗅覚でいろんなことを察知できることだったり。 「そう思えるくらいには、今は落ち着いているつもりです」 撫でられても僕は拒みはしなかった。 子供扱いのようだとは思っても、別に悪い気はしなかったというのがある。 それを全て、拒絶するのも面倒だと思ったことにして、ただ大人しくしていた。 (-18) 2021/11/02(Tue) 21:56:27 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな陽光 守屋陽菜「……勿論ですよ。 体調崩したまままた登校できないなんて、これ以上そんな失態はしたくありませんし」 こんなことを言っても、説得力がないな。 そう思うと笑えてきた。 「まあ、さっきも言いましたけど、反省はしていますから。 今日は帰っても安静にしていますよ」 そう言ったところで、帰る先がどこなのか思い出して独りでにイラッとした。 前髪の下で眉間を顰めれば、目の前の先輩にそれを気付かれないよう、意識して息をつく。 「それじゃあ、先輩。また明日」 ベッドの上から、僕は先輩を見送った。 (-39) 2021/11/02(Tue) 23:32:24 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜────そうして、時は翌朝まで進む。 無音の放送を聞いた僕は、放送室へと足を運んだ。 考えられたのは、まず機材の故障。 まずと置くからには一番有り得ると思っていた。 いや、そうであって欲しいと思っていた。 勿論、もう1つの可能性だって考えはした。 一昨日前に先輩に言った、洒落にならない言葉が頭を過る。 「……守屋先輩」 静かに、部室の扉を開ける。 壊れそうな勢いでこの扉を開けていた先輩の姿を探す。 そこに先輩がいれば、それでいい。 機材が壊れたと、困り顔をしている方が、もう1つの可能性よりずっとマシだ。 そう思うのに扉が開く直前、つい嗅覚と感覚を研ぎ澄ませてしまう。 (-47) 2021/11/03(Wed) 0:34:24 |
朝日元親は、静かに、放送室の扉を開けた。 (c1) 2021/11/03(Wed) 0:52:01 |
【墓】 朝日元親>>放送室 「……」 嫌な予感は的中したのかもしれない。 前髪の下で僕は目を伏せて、匂いを辿ると空の小瓶とペットボトルに近付いた。 「 …………そう 」それが何か、僕はよく知っている。 だから、まず小さくそう漏らした。 「僕が来た時には、彼しかいなかったよ」 後から来た楢崎に状況を伝えた。 ブースの中に、鏡沼の姿があるだろう。 (+8) 2021/11/03(Wed) 2:07:21 |
【墓】 朝日元親>>放送室 「ここにいる、っていう判断に理由はある? もしあるんなら、もう少し気を引き締めて探す。 ここにいないんなら、ここをどんなに探しても無意味だよ」 僕は鏡沼に尋ねた。 (+10) 2021/11/03(Wed) 2:20:49 |
【墓】 朝日元親>>放送室 「僕は精神系の異能のことは詳しくないけど。 つまり、先輩があんたを認識してるから、僕にはあんたが見えた。 そうでなければ本当はあんたはここにいない。 ここにあんたがいることが、先輩がいる証拠……ってことかな」 「……それなら、納得はできる。 前は先輩のこと、匂いで見つけることが出来たけど。 今は、どうだろうね。やってみるけど」 (+11) 2021/11/03(Wed) 2:44:48 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* この後少し頑張って異能を使います。 それで見つけることが出来るか、そちらの判断にお任せしますけれど……確率はありますでしょうか? 文面の方に少し変化があるものですから。 (-73) 2021/11/03(Wed) 2:52:43 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* もうひとつ質問ですわ。 小瓶の中にある薬でしたけど、液体だったかと存じます。 ペットボトルの水に混ぜて飲んだのでしょうか? ペットボトルにまだ水面があるということは、その中に薬液が少しでも残っている可能性はあるでしょうか。 揚げ足取りのような質問ですので、なければないで構いませんわ。 (-74) 2021/11/03(Wed) 2:57:35 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* よかったですわ! では、少し朝日くんにはまた体を張っていただきましょう。 描写、お待ち致しますわ。 時間も時間ですから、無理なさらずにごゆるりとどうぞ。 (-78) 2021/11/03(Wed) 3:09:53 |
【墓】 朝日元親聞こえた水音に振り返った僕は、つんと酸っぱい匂いに一瞬顔を顰めた。 顰めたところで前髪の向こうだ。 大してわかりはしないだろう。 慌てた様子で駆け付けたもう1人の鏡沼。 さきほどまで居た彼が消えている以上、こちらはこちらで何かがあったということだろうが。 「何か、した?先輩が? ───あのバカ! 」僕は盛大に舌打ちをした。 見つけられるかわからないなんて悠長なことを言っている場合ではないらしい。 何がなんでも、見つけなければならない。 (+13) 2021/11/03(Wed) 3:40:09 |
【墓】 朝日元親そう思った僕の視線の先に、 空の小瓶とペットボトルが映った。 あの薬を飲んだ時、僕がどうしたか。 そして先輩も同じようにしたとしたら。 そう思った時にはもうペットボトルを手に取っていた。 この中が、 ただの水 でもそれはそれで構わない。そうでなかった時、 少し確率が上がる 程度の博打でしかないのだ。これは。 (+14) 2021/11/03(Wed) 3:43:08 |
朝日元親は、ペットボトルの栓を開け、残った水を飲み干した。 (c3) 2021/11/03(Wed) 3:43:42 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜僕が昨日ほどの眩暈に襲われたかどうか。 薬液がどれほど残っていたかによるだろう。 たくさん残っていたとしても、昨日のようになってやるつもりはなかったけど。 怒ってんだよ。 分かってる?先輩。 少しは僕のことも信用して、大人しく待っていてくれたっていいじゃないか。 /* 差し支えなければ、表でペットボトルの中身について描写頂けると助かりますわ! (-80) 2021/11/03(Wed) 3:49:30 |
【墓】 朝日元親────正解だ。 あながち僕の勘も、馬鹿にはできないらしい。 勘と言うには推理に近かったけど、無事正解を引き当てた。 口の中に残る、ただの水とは違う味。 ぐらりと足元が揺れるような眩暈。 吐きそうだ。でも、意識を手放してなんかやらない。 今回は、この副作用の覚悟も決めて飲んだんだ。 でもこれ、また部活に顔出せそうにないかもな。 でも今回は、謝ってなんかやらないよ。守屋先輩。 (+16) 2021/11/03(Wed) 4:18:47 |
【墓】 朝日元親そこにいたはずの鏡沼の姿が消える。 あいつはあいつで何かしてるんだろう。 身体を張るのは何も、僕だけである必要はないだろうから。 感覚がまた鋭くなるのを感じる。 吐き気を堪える口許から、骨砕歯と裂肉歯が覗く。 僕は、先輩の匂いを探す。先輩の匂いを辿る。 絶対に僕が見つけてやるなんて約束は出来ないけど。 今回ばかりは、必ず見つけると。 執拗いハイエナは、そう強く思う。 (+17) 2021/11/03(Wed) 4:24:51 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜こんな異能にも、助けられることはあるんだよ。 今ものすごく胸糞悪いし、頭だって痛いけど。 でも見つけるよ。 見つけてみせる。 僕は先輩みたいに見守ることは出来ないけど。 それなら精々このクソな異能で、出来ることをやるだけだ。 /* ありがとうございます……!お手数お掛けしました! 大変助かりましたわ……! (-84) 2021/11/03(Wed) 4:28:56 |
朝日元親は、楢崎大地を見送った。今はマトモな言葉が出そうにはない。 (c5) 2021/11/03(Wed) 4:35:44 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* ここに来て頭がぽわぽわですわ。 手を掴んでしまってよろしくて? 鏡沼くんが掴んでもこちらは構いませんわよ! (-85) 2021/11/03(Wed) 4:42:47 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜何もないはずの場所。 ただ土色の染みと、紅がじわりと広がる場所。 僕は、嗅ぎ慣れた匂いを漸く見つける。 この放送室でよく話した、先輩の匂いを見つける。、 「 ────戻って、こい。先輩…ッ その言葉がちゃんと言葉になったかも、僕には分からなかったけど。 ただ僕は、其処に向かって、手を伸ばす。 (-92) 2021/11/03(Wed) 4:59:39 |
朝日元親は、僕≠ナはない、僕は。先輩の匂いを辿り、漸く。 (c6) 2021/11/03(Wed) 5:00:48 |
【墓】 朝日元親──────見つけた。 手を伸ばす。引き寄せる。 引き摺りだそうとする。 精神系の異能には詳しくない。 誰にも認識できない世界なんて、僕は知らない。 だからこっちに戻ってこい。 僕の知っているこの世界に、戻ってこい。 先輩がいないと、マイクに向かって下手な放送を披露しないといけなくなるじゃないか。 (+18) 2021/11/03(Wed) 5:06:30 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「──……!」 目映いほどの白の世界に、僕は呆気に取られていた。 消えたはずの鏡沼の姿。 やっぱりこいつも、何かしていてくれたようだ。 「……先輩」 手を引かれる感覚。 考える前に、手が動いた。 「離しませんから。観念してください」 正直何が起きたか理解しているというと別だ。 ただ鏡沼の言葉を聞くに、誰にも認識できない世界とやらに招待されたらしい。 もう片方の手も伸ばし、先輩の手を更に掴む。 逃げようとしているのか逃がそうとしてくれているのか。 どちらにせよ僕の知ったことではない。 そうでなくても半端な副作用か、頭が酷く重いのに。 人の気持ちなんか考えていられるか。 (-109) 2021/11/03(Wed) 7:10:07 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「──……!」 目映いほどの白の世界に、僕は呆気に取られていた。 消えたはずの鏡沼の姿。 やっぱりこいつも、何かしていてくれたようだ。 「……先輩」 手を引かれる感覚。 考える前に、手が動いた。 「離しませんから。観念してください」 正直何が起きたか理解しているというと別だ。 ただ鏡沼の言葉を聞くに、誰にも認識できない世界とやらに招待されたらしい。 もう片方の手も伸ばし、先輩の手を更に掴む。 逃げようとしているのか逃がそうとしてくれているのか。 どちらにせよ僕の知ったことではない。 そうでなくても半端な副作用か、頭が酷く重いのに。 人の気持ちなんか考えていられるか。 (-110) 2021/11/03(Wed) 7:10:25 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* おまたせしましたわ!!! 頑張ると言って、うとうとしていましたの。青じそです。 申し訳ございませんわね…!! (-111) 2021/11/03(Wed) 7:14:24 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創/* おまたせしましたわ!!! 頑張ると言って、うとうとしていましたの。青じそです。 申し訳ございませんわね…!! (-112) 2021/11/03(Wed) 7:14:42 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「 ……………どうも 」短な息を零した僕は、照れくさそうなありがとうを直視できなかった。 昨日叱られたばかりだ。 というか薬って、こんな短期間に重ね飲みしていいもんかな。 幸いにも僕はかなり胃腸が強いから、また少し異能が強くなった程度で済むのかもしれないけど。 「先輩、帰ったらお説教ですよ」 でも、そんな自分を僕は棚に上げる。 あれに関しては、先輩にどれだけ叱られようと謝るつもりはない。 それともうひとつ、言いたいことがあった。 「あと鏡沼。 あいつの名前を出すな。 噛むよ 」ただでさえ気分が悪いのに、また最悪な気分になりそうだ。 それでも、先輩から手を離したりはしなかった。 (-132) 2021/11/03(Wed) 11:31:26 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「 ……………どうも 」短な息を零した僕は、照れくさそうなありがとうを直視できなかった。 昨日叱られたばかりだ。 というか薬って、こんな短期間に重ね飲みしていいもんかな。 幸いにも僕はかなり胃腸が強いから、また少し異能が強くなった程度で済むのかもしれないけど。 「先輩、帰ったらお説教ですよ」 でも、そんな自分を僕は棚に上げる。 あれに関しては、先輩にどれだけ叱られようと謝るつもりはない。 それともうひとつ、言いたいことがあった。 「あと鏡沼。 あいつの名前を出すな。 噛むよ 」ただでさえ気分が悪いのに、また最悪な気分になりそうだ。 それでも、先輩から手を離したりはしなかった。 (-133) 2021/11/03(Wed) 11:31:40 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地守屋先輩の騒ぎが全て落ち着いて、無事帰ってきたあと。 再度薬を飲んで保健室送りにされた僕は保健委員に声をかけた。 「……楢崎、だっけ。 僕、あんたに言わなきゃいけないことあると思うんだよね」 騒動の中そんな話はできなかったから、今になって漸く、ということだ。 ベッドの中から身体を起こす。 頭が重い。 (-146) 2021/11/03(Wed) 12:23:14 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「………。真に受けないでください、先輩。 寂しがってもらえるような、そんないいものではありませんから」 深く溜息をつきながら、鏡沼を睨んで牽制したかった。 前髪が邪魔だ。出来たかは分からない。 「誰だって、飼われたくはないでしょう」 (-162) 2021/11/03(Wed) 14:09:49 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「………。真に受けないでください、先輩。 寂しがってもらえるような、そんないいものではありませんから」 深く溜息をつきながら、鏡沼を睨んで牽制したかった。 前髪が邪魔だ。出来たかは分からない。 「誰だって、飼われたくはないでしょう」 (-163) 2021/11/03(Wed) 14:10:03 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地「……昨日」 寝たままでいいと言われれば、僕はその言葉に甘えることにする。 顔は楢崎に軽く向けて。 「結構本気で、襲いかかるところだったから。 謝っとかないとなって、思ってた。 ……悪い」 (-164) 2021/11/03(Wed) 14:23:47 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地「まさかピンポイントでバレるほど、詳しい奴がいると思わなくてね。 気味悪いだろ、普通。ハイエナなんて」 卑しいと思われていることが多い動物とは知っている。 だからこそ、そう思われたくなくて隠していたんだから。 「奢りか……。いいよ、別に。 バイトしてるし、食費は浮かせてるから。 欲しいもん考えといて」 (-169) 2021/11/03(Wed) 14:50:28 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地「は? 可愛い?」 つい、は?とか言ってしまった。 僕は口が悪いらしい。 「ちょっと僕には分からないけど……。 変な趣味してるって言われないか、あんた」 大概失礼なことを言ったが、仕方ないだろう。 生まれてこの方嫌い以上の感情を抱いたことがないのだ、この異能には。 「まあ、いつでもいいよ。 晩飯となると約束できるかわからないけど、昼飯なら大丈夫と思うから」 (-183) 2021/11/03(Wed) 17:23:57 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「……はい。守屋先輩。おやすみなさい」 悪戯なんかしませんよ。 全くこの人は、と嘆息したところで手は繋いだままその隣に座り込んでいる。 寝息も聞こえただろう頃合、気を抜くと吐き気を催すくらいの気だるさを堪えて鏡沼を見る。 「……言ったろ。 僕はあんまりこの手の異能に詳しくないんだ。 地頭悪いつもりはないから、言ってる意味は分かるけどさ」 嫌味のつもりなく、思ったことを告げた。 先輩の異能の詳細だって知らない。 鏡沼の異能については何となく、放送室での説明で理解はしたつもりだけど。 「後遺症、ってこと? 僕は構わないけど。 構うんならオーバードーズなんかしないし。 ただ守屋先輩はそうじゃないかと思うから、目を覚ましたらちゃんと言っておいた方がいいよ」 詳細くらいは聞いておきたいかな。 それ以上の興味は、僕は、自分の体に対してない。 「あと、異能抑制剤のことだけど。 僕が飲んでみて、この空間でも効くかどうか実験する って意図なら、いいよ。体、丈夫だからね。僕」 だから、こういうことだって平気で言う。 (-186) 2021/11/03(Wed) 17:41:06 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「……はい。守屋先輩。おやすみなさい」 悪戯なんかしませんよ。 全くこの人は、と嘆息したところで手は繋いだままその隣に座り込んでいる。 寝息も聞こえただろう頃合、気を抜くと吐き気を催すくらいの気だるさを堪えて鏡沼を見る。 「……言ったろ。 僕はあんまりこの手の異能に詳しくないんだ。 地頭悪いつもりはないから、言ってる意味は分かるけどさ」 嫌味のつもりなく、思ったことを告げた。 先輩の異能の詳細だって知らない。 鏡沼の異能については何となく、放送室での説明で理解はしたつもりだけど。 「後遺症、ってこと? 僕は構わないけど。 構うんならオーバードーズなんかしないし。 ただ守屋先輩はそうじゃないかと思うから、目を覚ましたらちゃんと言っておいた方がいいよ」 詳細くらいは聞いておきたいかな。 それ以上の興味は、僕は、自分の体に対してない。 「あと、異能抑制剤のことだけど。 僕が飲んでみて、この空間でも効くかどうか実験する って意図なら、いいよ。体、丈夫だからね。僕」 だから、こういうことだって平気で言う。 (-187) 2021/11/03(Wed) 17:41:23 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地「調べないよ、態々。 嫌いなもの調べるほど特異な人間のつもり、ないし」 僕も主張を変えるつもりはなかった。 嫌いなもんは、嫌いだ。 「ん。まあ、待ってるよ」 (-189) 2021/11/03(Wed) 18:01:32 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「濃い味をとり続けたら、薄味を感じなくなるみたいなやつかな。 確かに、日常生活には不便なさそうだけど」 日常生活だけで済まないのが、学園生活でもあると思う。 例えば今度行われる体育祭。認識出来なければ困ることもあるはずだ。 ────放送部でマイクを持つ、守屋先輩とか、特に。 「 わかった。 じゃあとりあえず、僕から提案だ。僕が薬を飲んでみて、効くか試す間。 あと先輩が同じように薬が効くか見守る間。 僕一人分の認識で君が事足りるのなら、 守屋先輩を殴るのをやめていて欲しい 」幸い、先輩は眠っている。 先輩の異能との兼ね合いもあるだろうし、先輩と元の世界に帰るのにその認識は必要になるかもしれないけど。 それでもその時間も異能を行使し続けるよりは、マシな結果になるかもしれない。 そう思っての提案だった。 「まあ、どうするかは任せるよ。 僕にできるのは、さっさと薬を飲んで効きを試すくらいだしね」 受け取った薬を開ける。 躊躇なく唾液で嚥下して、様子を見る。 しばらくすれば、僕には効果が現れるはずだ。 鼻でも詰まったのかと言うくらいに嗅覚が落ちる。 同じように先輩にも効くかはわからないけど、そのことも含めて鏡沼に伝えた。 (-193) 2021/11/03(Wed) 18:42:53 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「濃い味をとり続けたら、薄味を感じなくなるみたいなやつかな。 確かに、日常生活には不便なさそうだけど」 日常生活だけで済まないのが、学園生活でもあると思う。 例えば今度行われる体育祭。認識出来なければ困ることもあるはずだ。 ────放送部でマイクを持つ、守屋先輩とか、特に。 「 わかった。 じゃあとりあえず、僕から提案だ。僕が薬を飲んでみて、効くか試す間。 あと先輩が同じように薬が効くか見守る間。 僕一人分の認識で君が事足りるのなら、 守屋先輩を殴るのをやめていて欲しい 」幸い、先輩は眠っている。 先輩の異能との兼ね合いもあるだろうし、先輩と元の世界に帰るのにその認識は必要になるかもしれないけど。 それでもその時間も異能を行使し続けるよりは、マシな結果になるかもしれない。 そう思っての提案だった。 「まあ、どうするかは任せるよ。 僕にできるのは、さっさと薬を飲んで効きを試すくらいだしね」 受け取った薬を開ける。 躊躇なく唾液で嚥下して、様子を見る。 しばらくすれば、僕には効果が現れるはずだ。 鼻でも詰まったのかと言うくらいに嗅覚が落ちる。 同じように先輩にも効くかはわからないけど、そのことも含めて鏡沼に伝えた。 (-194) 2021/11/03(Wed) 18:43:07 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜鏡沼の存在感を、強く感じる。 付け焼き刃以下だけど、これで先輩の日常生活にもそれ以外にも、何も支障が出ない可能性が少しでも上がればいいんだけど。 「別にいいよ、後ろとか向かなくて。 人命救助みたいなもんだろ、これ」 片手で器用に薬を開けた僕は、1度それを自分の口の中に入れた。 横たわる先輩の体を軽く起こす。 抑制剤が効いているとはいえ、僕の前腕は普通の人よりは力がある。 「 すみませんね、少し借りますよ、先輩 先輩にだけ聞こえる程度の小声で僕は囁く。 そうして事も無げに、先輩の唇に口付けた。 骨も砕ける歯を持てば、錠剤を多少砕くことも可能だ。 眠る先輩が飲み込みやすいよう、出来る限りの事はして。 甲斐甲斐しいと言われればそうかもしれない。 目の前にいるのが先輩じゃなかったら、僕も別にここまでしなかっただろうし。 (-202) 2021/11/03(Wed) 19:42:22 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創鏡沼の存在感を、強く感じる。 付け焼き刃以下だけど、これで先輩の日常生活にもそれ以外にも、何も支障が出ない可能性が少しでも上がればいいんだけど。 「別にいいよ、後ろとか向かなくて。 人命救助みたいなもんだろ、これ」 片手で器用に薬を開けた僕は、1度それを自分の口の中に入れた。 横たわる先輩の体を軽く起こす。 抑制剤が効いているとはいえ、僕の前腕は普通の人よりは力がある。 「 先輩にだけ聞こえる程度の小声で僕は囁く。 そうして事も無げに、先輩の唇に口付けた。 骨も砕ける歯を持てば、錠剤を多少砕くことも可能だ。 眠る先輩が飲み込みやすいよう、出来る限りの事はして。 甲斐甲斐しいと言われればそうかもしれない。 目の前にいるのが先輩じゃなかったら、僕も別にここまでしなかっただろうし。 (-203) 2021/11/03(Wed) 19:42:57 |
朝日元親は、守屋陽菜に異能抑制剤を呑ませた。 (c8) 2021/11/03(Wed) 19:43:21 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「……はい、終わり」 先輩を再度横たわらせると、白い世界でまた僕は鏡沼の方を向いた。 効くか効かないかはあとは先輩の異能次第だ。 結果を待つばかりになるだろう。 (-204) 2021/11/03(Wed) 19:44:41 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「……はい、終わり」 先輩を再度横たわらせると、白い世界でまた僕は鏡沼の方を向いた。 効くか効かないかはあとは先輩の異能次第だ。 結果を待つばかりになるだろう。 (-205) 2021/11/03(Wed) 19:44:53 |
朝日元親は、鏡沼 創を認識している。その気配は消えない。 (c9) 2021/11/03(Wed) 19:58:22 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「………無理だよ」 鏡沼の言葉に、良い返答はできなかった。 少し間を空けて考えた上で、これだ。 僕はあいつのことが大嫌いだ。 「良い奴とか悪い奴とか、そんな話じゃない。 やり方が何より気に食わないんだから」 当然だろう。 その何処まで、鏡沼が知ってるかは知らないけどさ。 僕の異能を知った今なら、いくらでも推測は出来るはずだ。 「まあ、────でも。 ただの悪いやつじゃないってのは、知ってるよ」 こんなことになる前は、親しい方の友人だった。 だからこそ腹を立てているというのもあるんだから。 小さく呟いた僕は、世界が色付くのを待っていた。 言葉の否定が、最後の会話になるかもしれないなんて、それを是と出来なかっただけだったのかもしれないけど。 (-215) 2021/11/03(Wed) 20:31:12 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創「………無理だよ」 鏡沼の言葉に、良い返答はできなかった。 少し間を空けて考えた上で、これだ。 僕はあいつのことが大嫌いだ。 「良い奴とか悪い奴とか、そんな話じゃない。 やり方が何より気に食わないんだから」 当然だろう。 その何処まで、鏡沼が知ってるかは知らないけどさ。 僕の異能を知った今なら、いくらでも推測は出来るはずだ。 「まあ、────でも。 ただの悪いやつじゃないってのは、知ってるよ」 こんなことになる前は、親しい方の友人だった。 だからこそ腹を立てているというのもあるんだから。 小さく呟いた僕は、世界が色付くのを待っていた。 言葉の否定が、最後の会話になるかもしれないなんて、それを是と出来なかっただけだったのかもしれないけど。 (-216) 2021/11/03(Wed) 20:31:26 |
朝日元親は、世界に色が戻ったあと。鏡沼 創のことを、もう認識できなくなる。 (c10) 2021/11/03(Wed) 21:24:12 |
朝日元親は、世界が色づくのを見た。放送室に、戻ってくる。 (c12) 2021/11/03(Wed) 21:38:07 |
【墓】 朝日元親>>放送室 「……薬、効いたみたいだな」 よかった、と僕は呟く。 僕の視界に映るのは、眠る守屋先輩と、3時限目終わりのこの時間まで待っていてくれたなら楢崎。 あとは、風紀委員の先輩だろうか。 それ以外が見当たらないこと に、前髪の向こうで目を伏せた。まあ、でも。仕方がないよね。 垂れた 赤 すら、その言葉すら、僕にはもう届かない。 (+37) 2021/11/03(Wed) 21:45:14 |
朝日元親は、自分にとって、鏡沼 創がもう何処にも居ないことを知った。 (c13) 2021/11/03(Wed) 22:17:47 |
【墓】 朝日元親>>放送室 憂いている場合ではない。 先輩を連れ戻せたことを、今は喜ぶべきなのだ。 繋いでいた手を先輩から離し、立ち上がった僕は酷い頭痛と眩暈に襲われる。 そりゃ、そうだな。大分無理をした自覚はある。 「先輩のこと、頼みます。 僕は1人でなら何とか歩けますけど、流石に先輩を運ぶのは力になれそうにないから」 その場にいる面々に告げる。 ふらつく足取りで、放送室を出た。 (+38) 2021/11/03(Wed) 22:34:17 |
朝日元親は、重い足取りで保健室へ向かった。 (c14) 2021/11/03(Wed) 22:36:09 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創向かう先が同じなのも、告げた言葉の意図する意味が同じなのも、無理はない。 保健室に辿り着いた僕は、入れ違いに飛び出す保健医から先客がいる旨を聞いた。 何処にもそんな人は見当たらないから、勝手に納得して保健医の示したベッドに横になる。 居るけど、居ないんだよな。 変な感覚だよ、これは。 (-248) 2021/11/03(Wed) 22:38:03 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜先に保健室に辿り着き、先輩も運ばれてきただろうその後。 多少の仮眠こそしたけど、いろいろ考えることも多い。 なかなかずっと眠ってばかりともいられなかった。 たまに身を起こして先輩の様子を見ながら、休養をとろうと専心していた。 それでも眠ってしまった時間はあっただろうから、先輩が目を覚ましたあと誰かと話していたならそれは聞こえない。 何度か寝たり起きたりを繰り返したかもしれないどこかで、漸く先輩の起床を知る。 「……具合、どうですか。先輩」 (-250) 2021/11/03(Wed) 22:43:49 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創蛍光灯が一瞬の明滅をする。 流石に怪奇現象だと驚く筈もない。 そこに『居る』ということに確信を持つだけだ。 ベッドに腰掛けた僕は、ポケットからスマートフォンを取り出す。 部活の連絡と クソ勢喜からの連絡 それを起動して立ち上がると、目立ちそうな机に置きに行った。 スマートフォンの画面は、友達申請のQRコードを映している。 (-256) 2021/11/03(Wed) 23:07:59 |
【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久保健室に来れば、勿論僕はいる。 鏡沼がいるかどうかは僕には分からない。 「すみませんね、先輩。 守屋先輩のこと、丸投げしてしまって」 ベッドの上で身を起こすと、訪れた姿にそれくらいは告げた。 (-257) 2021/11/03(Wed) 23:12:16 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創着信音が聞こえると、スマートフォンを回収しに行った。 文明の利器とはよく言ったものだ。 そこに居ない人とすら会話ができる機械なのだから。 『悪いけど、諦め悪いんだ』 『普段見えないのはもう仕方ないけど、だからってそれで終わりって訳じゃないし』 博打だとして、失敗しても怪我のない博打だ。 なら試してみる価値はあるだろう。 実際こうして、賭けには勝ったわけだし。 『お互い無茶したから心配でね』 『気分はどう?』 『先に教えてくれてたお陰で、あんたが見えなくなっても僕はパニクらずに済んだけど』 (-273) 2021/11/03(Wed) 23:46:20 |
【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久「あー、それはすみませんね。 鏡沼でしょう? 僕もあいつも、まあ無理をしたから。 さっさと休みたかったのは仕方がなくないですか?」 同じ事言ってたか。 もう少し周りの反応を待ってから動けばよかったな、と少しだけ後悔をした。 「ああ、免除なんですか。 それは助かりますね。何せ3日も学校を休んでしまって」 1日はサボり、残る2日は保健室だ。 そろそろ親辺りに連絡をされては面倒だと思っていた頃だった。 「やっぱり先輩ですね。あの薬、守屋先輩に渡したの。 僕も貰ったクチだから文句は言えませんけど」 「守屋先輩の飲みかけの薬、僕また飲んでしまったので。 その結果についてのレポートも欲しければ追加しましょうか?」 薬が誰から渡ったか、同じ小瓶を見て推測した程度だ。 ついでとばかりにオーバードーズを伝えておいた。 多分なかなかいないと思う。人道的にも流石に治験できたものではない。 (-278) 2021/11/04(Thu) 0:03:07 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創スマートフォンを見ながら僕はベッドに横になる。 衣擦れの音がカーテンの向こうから聞こえるだろう。 『勝ちは気分がいいね』 『少なくとも、諦めて何もしなかったよりはずっと』 『正直、吐きそうってくらいある』 『でもまあ、それくらい。抑制剤がよかったかもね』 吐き気と共にあった感覚が薄れている。 理性ある人間と、野生の獣の本能とが抗う感覚。 抑制剤が切れればどうなるかは分からないが、元々獣になりたくない僕だから抗い続けるのは構わない。 『ああ、判断は正しかったと思うよ』 『言われてなかったら巫山戯るなくらいは思っただろうし』 そして諦めが悪いのも今しがた知ったところだろう。 冷静に判断できる今なら思いつく電子機器を介してのやり取りだったが、そうなっていたときに何を仕出かしていたから自分にも分からない。 (-287) 2021/11/04(Thu) 0:26:25 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創隣のベッドに鏡沼がいるなんて嘘みたいな静けさ。 自分のスマートフォンだけが、ただ着信を告げ続ける。 悪くはない。僕は孤独は嫌いじゃないし、嘘みたいでも隣には鏡沼がいる。 『さあ。僕は鏡沼じゃないから』 『鏡沼の気持ちは分からないけど』 『そう言われるなら諦めずにいてよかったかな』 『返そうにも誰かに頼むとかしかないし』 『そういうことなら有難く貰うよ』 『こういうの、世話になると負けた気がしてあんまり使ったことなかったんだけどな』 『殴る程度で済むだけマシと思ってよ』 『そうなってた時加減できたか分からないから、マシかどうかは保証できないけど』 『まあ、うん』 『かなり頑張った、と思うよ』 『お互いね。無茶するよ、本当に』 (-301) 2021/11/04(Thu) 0:59:09 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創スマートフォンが手の中で震える。 その瞬間だけ、何処に居るか分からない鏡沼が、確かに何処かには居るのだと確信できる。 『どうも』 『いいのに、別に』 悪い気はしないけど。 『逆、かな』 『ここぞと言う時に異能が使えないと困るんだよね』 『守屋先輩の事とかもそうだし』 『ああいう時だけは、この異能に感謝できるから』 『そりゃ良かった』 『僕もこの歳で前科者にはなりたくない』 勢喜のことは殺してやるくらい思った事もあったけだ。 それは打ち込まない。 『うん、そうだね』 『また何時でも連絡して』 『僕、1回寝るよ。流石にキツい』 (-392) 2021/11/04(Thu) 8:12:33 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「そうですか。なら、よかったです。 まあゆっくり休んでください。 何だか知らないけど、薬関係はお咎めなしらしいですよ。 どうなってるんですかね?」 風紀委員が暗躍していることといい。 真っ黒じゃないか?この学校。 「言いたいことはいくらでもありますよ。 ああなるかもしれないって懸念だってしていたじゃないですかとか。 僕の騒動だって見ていたんでしょうとか。 ……でも、いいです。 先輩にだって事情があったんでしょうから」 そのことを少しくらいは普川先輩から聞いた。 だからもう追及したりはしない。 「……見つけられて良かったです。 少し、そっちに行ってもいいですか。 休んだので、少しくらいは動けそうです」 (-394) 2021/11/04(Thu) 8:26:30 |
【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久「自分で運べるんなら運びましたって。 無理だと思ったからしなかった。それだけです」 「残念がらないでくださいよ。 そもそもその免除がなければ先輩の立場も危ういのでは?」 短に嘆息する。 怪しげな薬を配り歩いているのは果たして学校の風紀を守っていることになるのだろうか。 「………。 本当にバカだなあの人は。 僕が僕をどう扱おうが僕の勝手だろうに。 いえ、ありがとうございます。それだけ聞ければ充分です」 大して恭しくもない礼をする。 つい漏らしてしまった小声は聞こえていない方が有難い。 「馬鹿じゃないかどうかって聞かれたら馬鹿だろうと思いますよ、自分でも。 でもあの時はああするしかないと思ってたんです。 カッとなると我を忘れがちで。多分、そっちが本当の僕ですよ」 さて、どこから説明しますかね。 取り敢えずどう体調が悪いかから聞き取りしますか? そんなことを、僕は普川先輩に尋ねる。 (-423) 2021/11/04(Thu) 12:52:42 |
【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創大したこと、してないんだけどな。 少なくとも僕の自覚としてはそうだった。 鏡沼のためにと思った記憶は1度もないし、そう思うには僕は鏡沼のことをよく知らないように思う。 『うん、おやすみ』 『鏡沼もゆっくり休めよ』 スマートフォンをスリープモードにして目を閉じた。 業務連絡以外は自分から人に連絡することがない僕だから、スタンプも何もない簡素な文は鏡沼と似たようなものだ。 それでいいと思っている僕はなかなか変わらないだろう。 それでも初めて鏡沼からスタンプが届く時、少し驚くくらいはするのかもしれなかった。 (-424) 2021/11/04(Thu) 13:05:53 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「変わりませんよ、僕は。 部費がなくなったのを根に持ってる、いつもの生意気な僕です」 僅かに頬を緩めた僕は、先輩から許可が出ると立ち上がる。 図々しくも先輩の使うベッドに腰掛けて、先輩の顔を見た。 「……流石に顔は洗ったみたいですね。 怪我の手当もしてもらいましたか? こんな学校だったから良かっただけで、普通だったら受験前に停学とかそんなシャレにならないことになってたかもしれないんですよ」 顔を見たら、苦言が止めどなく出てきた。 元気そうにしてるか、顔色確認しに来ただけなのにな。 「 ……あんまり後輩に、心配かけさせないでください。 先輩でしょう? その苦言も、吐息と共にそう呟いたのを最後に吐き出されることはなくなった。 前髪の向こうの僕の顔はきっと見えない。 (-426) 2021/11/04(Thu) 13:22:18 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜別に謝らせたいわけじゃない。 だから口にしなかったのに、堰を切ったように零れた本音は今更撤回しようがない。 反省しろと思っているつもりもない。 そういうのは僕から責められなくてもひとりでに行っているものだと思っている。 ならどうして口にしてしまったのか。 知らないよ、そんなこと。 「────もう、いいです。 あとは、ゆっくり休んでいてくれれば、それで」 「異能抑制剤を飲んだ話は聞いてますか? 効果が切れるまで油断出来ないと僕は思ってますから。 そのくらいの時間までは、僕も保健室に居ますよ」 (-457) 2021/11/04(Thu) 19:24:13 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜視線の意味には気付いた。喋ったのかあいつ。 先輩が気にすることくらい、わかってるだろうに。 「そうですか」 とはいえ何でもないと言うものを掘り起こすものでもない。 日常生活には支障ないのだから、そんなに大袈裟な話でもないと僕は思っている。 「たった3日休んだくらいで授業に遅れることはありませんよ。 親に連絡が行くことだけは心配してましたけど、さっきも言ったように、薬が関わると色々免除らしいので」 重ねられた手を、捕まえるように握る。 「だから、そう言ってもらえる内は傍に居ますよ。 それで少しでも先輩の気が休まるんなら、幾らでも」 巻き込まれるより、また独りにして責められなくても変なことをされる方がよっぽど困りますしね。 本気か冗談か分かりにくい態度でそう言って、前髪の下から先輩の方を見ていた。 (-471) 2021/11/04(Thu) 20:14:39 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* 意味わからない誤字があったので訂正。 × >また独りにして責められなくても変なことをされる方が ○ >また独りにして変なことをされる方が (-482) 2021/11/04(Thu) 20:44:34 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「先輩に振り回されるのは慣れてますから。 いいですよ、別に。 都合がいいのは僕も同じでしょうから」 誰でもいいとは僕は思わない。 でも誰でもいいと思われるのは構わない。 僕は自分のことに、そして自分への他者の評価に 無頓着 だ。「飽きるまで、どうぞ。 そういう意味です。さっきのも」 またそうやって、本気かどうか分かりづらいことを言いながら、揶揄うような先輩の様子を見た、僕は─── (-491) 2021/11/04(Thu) 20:57:31 |
朝日元親は、とても柔らかに、微笑っていた。 (c16) 2021/11/04(Thu) 20:58:14 |
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