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【見】 座長 トラヴィス───カタン 自室を出て、控えめな足音。 石鹸の柔らかい香りと湯気を纏い、広間に長身が姿を見せる。 使用人へ何か──自室で眠るプルーへ紅茶を差し入れるよう言付け、円卓の椅子を引き、腰を下ろした。 ここでの暮らしに慣れている……そんな立ち振る舞いだった。 (@1) 2021/10/15(Fri) 21:21:51 |
トラヴィスは、ユピテルへウインクをひとつ。 (t3) 2021/10/15(Fri) 21:53:45 |
トラヴィスは、瞳を伏せた。 (t8) 2021/10/15(Fri) 22:06:16 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ伏せた瞳を開いて、そこへ貴方をしかと映す。 何か言いたげに唇を薄く開き───閉じた。 ふい、と視線を逸らせば、 豪華な男からは、もう貴方を見る事は無いだろう。 (-19) 2021/10/15(Fri) 22:35:20 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエこの場では、言葉を発せない。 貴方の声が聞こえている事実は、周囲に知られるべきでは無い故に。 ……首を横に振る。 嗚呼、動作だけでは己の真意は伝わらない。 もう一度だけ、口を開く。 「庇う程の価値を、君が私に示したまえよ。」 (-27) 2021/10/15(Fri) 22:58:06 |
トラヴィスは、小さく何かを囁いた。 (t11) 2021/10/15(Fri) 22:58:18 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ夜伽が好み。──小さく頷く。 今夜は僕でどうだ──小さく頷く。 本当は只々眠りたいだけ──……… さあ、どうだったか。 もう思い出したくもないよ。 けれど捨てられないものがある。 頷くさまは、貴方へ肯定を示したつもりだが 貴方がどう受け取るかは、貴方次第。 (-34) 2021/10/15(Fri) 23:26:57 |
トラヴィスは、キエへ頷いて見せた。 (t12) 2021/10/15(Fri) 23:27:10 |
【見】 座長 トラヴィス>>@19 シトゥラ 「楽しみにしているよ。 誰の手でも借りると良いさ。」 貴方が男の要望を聞き入れる度、満足そうに笑う。 帰るなんてとんでもない。 貴方がそんな話題を振って来ない事実にも内心安堵している。 「……こんなに食べられないと知っているだろうに。 分け与えようか、幸い客人はこんなに賑やかだ。」 嗚呼、と、 自分の近くを離れる貴方へ急いで言葉を投げる。 「明日はクロワッサン。 スクランブルエッグにベーコン。 ……誓って、忘れてくれるなよ。」 それは今日、優雅に佇む男から発されるにしては珍しく、縋るようなか細い声色だった。 貴方にとっては全く珍しくもないだろう。 (@21) 2021/10/15(Fri) 23:59:40 |
トラヴィスは、使用人を呼び付け、言付けた。 (t13) 2021/10/16(Sat) 0:16:57 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエきっとこの後、貴方が一人になる頃合い。 貴方の元へ使用人が近寄り、 トラヴィスの部屋の場所を教えるだろう。 それが何時だとしても、部屋の主はそこに居る。 貴方の都合の良い時間帯に訪れると良い。 (-48) 2021/10/16(Sat) 0:17:55 |
【見】 座長 トラヴィスさて。 シトゥラが用意した4本の寿司。 紫色の海鮮類が巻かれた、食べ切れないそれ。 <<ポルクス>>allwhoへちらりと視線を向けて、 そちらにお裾分けをしようかと思案。 (@22) 2021/10/16(Sat) 0:21:10 |
トラヴィスは、ポルクスへ「味は保証するよ。」と囁いた。 (t14) 2021/10/16(Sat) 0:33:35 |
トラヴィスは、ゾズマへウインクをして手招き。 (t15) 2021/10/16(Sat) 1:01:55 |
【見】 座長 トラヴィス>>64 ユピテル 「ご謙遜を。 その熟れた林檎のように赤い頬……どこかのお姫様かと思ったさ。」 スキンシップが叶えば、男は機嫌を良くしたらしく するすると砂糖菓子のような言葉が吐かれた。 「私がこの館の主人───はは、 そうであれば良かったな。 君達を自由に閉じ込められるのだから。」 一番美しい、との称賛は余す事なく受け取った。 己の容姿を鼻にかける事は無いが、理解は十二分にある。 ぺたぺた裸足に、歪な衣服を纏う貴方。 なんとなく動作がちぐはぐなように思えて、それが可愛らしくて小さく笑う。 「お口に合ったようで何よりだ。 私はトラヴィス、可憐な君の名を尋ねても?」 (@25) 2021/10/16(Sat) 4:27:54 |
【見】 座長 トラヴィス>>75 ユピテル 「そう? ならば私が、君の為に何度でも呼ぼう。 嫌でないのならね。」 今この場所で、自分の前でならば、貴方は姫のような存在だ。 囚われの──なんて頭に付くようなものだが。 「嗚呼、けれど。名前も素敵だね、ユピテル。」 貴方の腰へと回った手が、 するりと背筋を撫でて離れた。 「はは、ここに居たい理由か。 君と巡り会い、君と同じ時間を過ごす為………なんて答えではいけないだろうか。」 問い詰める様子ではない貴方へ甘えるように、正しい答えを逃がした。 聞いてくれるな、と意味を僅かに込めて目元を緩め、柔らかく貴方へ微笑む。 (@27) 2021/10/16(Sat) 8:28:10 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ部屋の主は、貴方の姿を認めれば 目元を緩めて迎え入れた。 「そうか。 複雑に言付けつもりは無かったのだけれどね?」 広間を出てそこの道を曲がってすぐ。 比較的すぐに辿り着けるよう、簡潔に伝えたつもりだった。 貴方の行動を、言葉を気にしつつも、その通りに受け取る。 それに興味がない──否、貴方達の物語が、他人事だと認識している。 何かに巻き込もうと言うのならば、勿論その限りではないけれど。 「では、寝物語で。 夜伽よりも、架空の話が好きなんだ。 仮にも座長を名乗るからね───意外だろうか? 姿は……君の好きにすると良いよ。 自室だと思って、楽にしてくれて構わない。」 ベッドの上、貴方の隣へ腰を下ろす。 性別が変えられると聞けば、 興味深そうに貴方の頬へ手を伸ばし、添えた。 (-88) 2021/10/16(Sat) 12:58:05 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ「へえ」 貴方の隣へ腕を立てて、そのまま横───ではなく、真上へ覆い被さる。 綺麗な金色の前髪が垂れ下がり、瞳にしかと貴方だけを見下ろし映す。 「深い愛の話、か。 君が語る話ならば、それはそれは面白いんだろう。 けれど、嗚呼、あまり恋愛には興味が持てなくてね。 君の身体を暴きながらでも構わないかな?」 貴方の衣服へ手を掛ける。 もしも拒まれるならば、強く力を込めて抵抗が難しくなるよう組み敷くだろう。 「生憎、絵本をせがむ子供のように大人しく待てそうにない。 君へ対する、私の中の価値が上がるんだ。 返事は肯定しか認めないけどね。」 さて、男は最初からどちらも強請るつもりだったのか。 真実は、貴方にだって暴けないだろう。 (-141) 2021/10/16(Sat) 18:45:26 |
【見】 座長 トラヴィス>>104 ゾズマ 「撫でたいから、だけど?」 からからと笑う。 場面を切り取ってしまえば、まるで意地を張る子供と大人のようにも見えるだろう。 「女子供、犬猫、花、人形。 可愛らしいラインナップだ。 君の可愛い顔にはとても似合いの言葉だけれど。」 伸びるフォークの刃先。 たじろぐ事はなく、それに顔を、余裕を含んだ瞳を近寄せてみせた。 カトラリーの銀色に遮られながら、眼は貴方を捉えている。 きっとその腕は下がるのだろうと 貴方を甘く見ている証左だ。 「雑草───ね、 人の手を借りずに育つそれは、私は嫌いではないよ。 君は気の強い子だね。どうしようか? これ以上言葉を交わせば、加虐欲が煽られてしまいそうだ。」 (@29) 2021/10/16(Sat) 20:24:03 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ「はは、隠していないよ。 君に見せるどの私も、等しく私さ。 あまり深追いし過ぎると若死にするよ、 君の好きなお話の登場人物みたいに、さ。…………」 貴方が紡ぐのは、愛し合う男女が死に別れて、挙句にわがままで百年も待たせる話。 なんと男は馬鹿正直に姿も声もないそれを百年も待つらしい。 待てる訳が、無いだろ。 ……退屈でしかなかった。 「───、」 微笑んで語る貴方の笑顔が、それを美談だと言外に示す。 美しい、深い愛だと。 じゃあ、待てなかったら、それは醜いものだと? 甘える様に頸に触れる貴方の手を叩き落として、 お返しに、貴方の首へ手を伸ばし、爪を立てる。 戯れの一種とも取れる程度の力加減。 けれども柔肌を纏う今の貴方にとっては、充分危険な行為だとも。 男の手は離れない。意識がここに無いと言っても過不足ない。……貴方が咳き込むなり、苦痛を訴えるなどしなければ。 (-157) 2021/10/16(Sat) 21:32:11 |
【見】 座長 トラヴィス>>116 ユピテル 貴方から離れた手が、居心地悪そうに頬を掻く。 真っ直ぐな視線が自分に向く事など、忘れてしまいそうな程昔のことだったから。 「………、…………………」 懐旧。 僅かばかり眉を潜めて、はく、はく、唇を開いて、閉じる。 言葉を飲み込んでから、また開く。 「───何も希望は無いよ? そのまま名前を呼んで欲しいな。」 ひとつ瞬きをすれば、 先程までと変わらない穏やかな笑顔に戻った。 「思い続ける………か。」 そうして、瞳を伏せる。 長めの沈黙。言葉を探して、困った様にくしゃりと苦笑い。 思ってもいない心ない肯定を返せば良いだけなのに、それが出来なかった。 「………君が私から、離れないなら、ね。」 (@30) 2021/10/16(Sat) 22:02:08 |
【見】 座長 トラヴィス>>126 ゾズマ 「おや、お気に召されなかったか。 では次までに、君に似合う言葉を探しておくよ。 きっと私が吠え面をかくまでは 君は側に居てくれるんだろう? 時間はたっぷりとありそうじゃないか、ねぇ。」 優雅に貴方へ手を振る。 お粗末様でした、と形だけ述べて。 「可憐、愛々しい、……そんなところかな? またおいで、 今度はフォークで食べられるものを用意しておくよ。」 素手でも良い。 テーブルマナーを重視しないものであるならば。 そうして口にした単語のそのどれもが 可愛らしいと表すものばかり。 やっぱり余裕を見せながら、貴方の背を見送るのだった。 (@31) 2021/10/16(Sat) 22:10:37 |
トラヴィスは、貴方の言葉の続きが聞きたくない。 (t16) 2021/10/16(Sat) 22:26:31 |
トラヴィスは、柔らかい喉を掴む手に、力を込めて、 (t17) 2021/10/16(Sat) 22:27:51 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ「うるさい、」 腕に力が籠る。 「うるさ、い」 爪先がめり込む。 「うる………さ、」 どうしたって貴方の話は止まらない。 きっと痛いのは貴方の筈なのに、ずうっと自分の胸の奥が痛む。 ぐるぐる、思考が渦巻いて、 閉じ込めていた感情が内側から揺さぶる。 うるさいうるさいうるさい、うるさい! やめろやめろ、やめろ、騙されてなんかいない。 事情があったんだ、そんな訳ない、よっぽどの事が起こったに違いない、じゃあどうして自分の前から消えた? どうして、 どうして……… 貴方の首を締め上げる手が、そうしてついにシーツの海へ落ちて ぱたりと金色が項垂れ、貴方の胸に顔を埋めた。 「……………やめてくれ」 (-166) 2021/10/16(Sat) 22:28:23 |
トラヴィスは、その手を下ろした。 (t18) 2021/10/16(Sat) 22:28:58 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ貴方の言葉に、何の反応も示さない。 笑い声に、暴力を振るわない。夜の帳は下りきった。 ただ、貴方の温もりを求めて擦り寄る。 頭部に指が当たれば、それを求めてより近くへ、より側へ。 そうして大きなベッドの上。 両の腕を広げる事もなく、貴方へ縋り付くようにぼんやりと瞳を閉じる。 ──瞼が下がりきる頃、こくりと男の頭がひとつ揺れた。 ふわり、 微睡みの中で、 毎晩一人になると思い出してしまう過去の事。 貴方の胸の内でならば、 それを無理やり掻き消さずとも良いような そんな不思議な心地がして、 記憶の欠片をひとつひとつ、拾い上げるように それを紡いでいく。 → (-187) 2021/10/17(Sun) 0:33:40 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエW君も舞台に上がらないかW 私をただの人から舞台人へと生まれ変わらせたのは、 そんな一言だった。 幼い頃から、舞台が好きだった。 暇さえあれば小遣いを貯めて、劇場へ足を運んだ。 小さな椅子に座って演劇鑑賞する……その全てが好きだった。 箱庭で生きる人々が、紡がれる物語が。 赤い段幕が降りきって、しんと静まり返ってから、 箱庭の過去や未来へ想いを馳せるのが。 中でも、歌い謳われ、踊り踊られ、 スポットライトを惜しみなく浴びて、舞台の中心で数多の人生を演じ、 歓声をその身に受ける一人の舞台人に───いつの間にか私は魅了されていた。 ……私は、どんな瞳で彼を見上げていたのだろう。 ある時、舞台の上に居た君は、いとも容易く私の手を引いた。 君のその一言を聞いて、ひとつ頷くまでに、時間は掛からなかった。 → (-188) 2021/10/17(Sun) 0:37:27 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ 普通の幸せ、当たり前の感情、それらを躊躇いなく捨てて、私は舞台に生きた。 彼と共に、起床から寝床に入るまでの時間を稽古に費やした。 初めて役を──『物語の住人の人生』を与えられた日。 恵まれた体躯、どこまでも伸びる声、類稀なる容姿。そこに努力が加われば、必然とも言える結果。 台本は擦り切れて書物の形を保たなくなって、3度剃り直してもらった。 稽古に使っていた靴は何度も底が破れて、財布を痛めつけた。 そんな些細なことはどうでも良くて、彼と舞台に立てる事が嬉しかった。 舞台の中心──0番に彼。 その隣の1番に、私。 観客の視線が、感情が、全てが私達に浴びせられて、あれ程の高揚感を覚えたのは『トラヴィス』の人生では初めてだった。 煌めく君へ手を伸ばす事は、何よりも満たされて、幸福な日々だった。 またある時、どちらからともなく、私達はこう言った。 W私達の劇団を作ろうW ……これは、そう、過去の記憶。 今となっては、 悪夢 の第一章。貴方の手の温度だけが、私を酷く優しく包み込む。 もう一度、それを求めて擦り寄った。 (-189) 2021/10/17(Sun) 0:38:42 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ1日目。 いつかの時間帯。 そこは部屋の前か、廊下か。はたまた庭か。 兎に角、どこかで貴方の姿を見つけた男が、「やあ」と気さくに声を掛ける。 「やあ、やあ。君。 初めまして、久しぶり───とでも言おうか? この館で、君の姿を見た事はある筈なんだが、 こうして会話の機会には恵まれ無かったよね。」 与太話でもどうだろうか、と にこやかな笑みで貴方を見据えた。 (-195) 2021/10/17(Sun) 0:49:45 |
【秘】 座長 トラヴィス → 巫女 ユピテル「人に見せるような部屋じゃない、 けれども『自力で君が見つけた』のならば それは仕方のない、不可抗力だよね。」 「…………」 「また……明日」 好きにして、と言外に示した男は 貴方がパーソナルスペースに立ち入る事が、 そしていずれ失う事が、怖いだけだった。 (-211) 2021/10/17(Sun) 1:22:45 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ貴方よりも15cm高い視点から、貴方を見下ろす。 「おや、おや。 気取ってなどいないさ。 彼らが勝手に私をそう評価するだけだよ?」 朗らかに笑む。 この男は、広間から歩いてきた所だ。 男が見事な笑顔の裏で、機嫌が非常に悪いとは貴方に分かる筈もない。 ──鼻腔に、アルコールの匂いがくすぐった。 「……ね、どうだい? 私とも酒を飲み交わそうよ。 折角なのだから、君の事が知りたいな。」 貴方が肯定ととれる態度を少しでも示したならば 男は貴方を自室へと連れて行くだろう。 向かいざまに使用人を呼び止め、あるだけのワインを用意するよう言付けながら。 (-215) 2021/10/17(Sun) 1:43:12 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「そう、 嫌ではないから、今後私が態度を改める事はないな。」 部屋の扉を開き──一歩下がって貴方を先に通せば──音を立てずに扉を閉めた。 室内は天蓋付きのキングサイズベッド、 それから広い机に、椅子。 机上には既に赤白のワインボトルがいくつも用意されており、 部屋も特に荒れた様子は無くなっている。 椅子を引いて貴方の着席を促して、 自分も向かい側へ腰掛けた。 「………さて、 私のことが知りたいのかい? 光栄だな、何から聞いてくれる?」 手慣れた動作でボトルのキャップを切り、 スクリューをコルクへ押し込む。 ぐっと斜めに力を込めて、後は力任せに引き抜けば、 ふわりと室内へ葡萄の香りが広がった。 グラスへ赤を柔らかく注いで、貴方へ差し出す。 貴方が手に取るならば、そっとガラスを重ねるだろう。 (-230) 2021/10/17(Sun) 2:34:55 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「はは、無粋だなあ。 その内容がそこまで気になる訳でもなかろうに。 大方、私の弱みでも突きたいだけだろう? であれば、もっとストレートに尋ねたまえよ。」 すらりと伸びる足を組む。 机へ肘を置く。手の甲で頬を支える。 ワイングラスの縁を、人差し指の腹でなぞった。 「私としては、 君の竪琴の弦。それの錆び具合が気になる所だな。 チューニングの仕方を忘れた訳ではあるまい。」 そうしてつらつらと言葉を発しつつ、 貴方へ何度もワインを注ぐ。 グラスが透き通れば、何度も何度も赤で満たす。 酔い潰そうという魂胆すら、貴方に透けて見えるだろうか? (-235) 2021/10/17(Sun) 3:01:42 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「『何もかもが嫌になった。 自堕落に過ごしていて、 劇団に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 そんな後悔を背負って、 今日も私は泥水と共にワインを煽る』 ─────とでも、言って欲しいか?」 仕方ない、と瞳を伏せ グラスへ唇付け、傾ける。 「望むなら、君とそんな戯曲を踊っても良いさ。 館の箱庭──舞台の主役は君と私。悪くないね。 まずはステップの仕方から教えよう。」 冗談、と笑う。 この男、アルコールには33%ほど強い。 「楽しみだな。 君が再開した暁には、 42弦を必死に張り替える君が見えるのか。」 (-241) 2021/10/17(Sun) 3:42:21 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「…………私に脚本の才能は、無かったからね。」 ぽつり、水面に落とされた雫のように呟いた。 それからぐっとグラスの赤を煽る。 96ぐらいのアルコールが回った。 → (-243) 2021/10/17(Sun) 4:01:08 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ嗚呼、嗚呼。 思い出したくない過去を、思い出してしまった。 逃げるようにグラスの底から赤を奪えば、 喉を焼くような発酵葡萄の渋み。 眉間を惜しみなく寄せて、瞳を伏せる。 そもそもワインは、一気飲みするものではない。 「………こんな季節のことだった、あれは、 いやに思い出してしまう、いけないな……。」 がたん。乱暴に立ち上がり、貴方へ詰め寄れば 胸ぐらを掴んで、近くのベッドへ引き摺るように投げる。 貴方が苛立ちに気を取られず、これに抵抗をするならば 更に乱暴に、ベッドではなく床に組み敷こうとするだろう。 理性が外れ、溺れる為の欲を求める男の力は、 鍛えた経験があるのかそれなりに強い。 酔っ払いが貴方に、八つ当たりをしようとしている。 「歌に自信があるのなら……私の下で存分に歌わせてやる。」 (-244) 2021/10/17(Sun) 4:18:35 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「うん、君に無くて、それが? 私に関係あるかな。」 床を跳ねる腕を重ねて掴む。地に押し付ける。体重を掛ければ、片手で苦労はない。 貴方の膝下へ腰を下ろせば、脚をバタつかせる事すら容易くはなくなるだろう。 どうやら、筋力の差も此方に味方しているらしい。 空いた手で貴方の衣服を剥ぐ。 ボタンがあれば、無理やり引っ張って脱がせた。 そうして自らのベルトを引き摺り外せば、貴方の手首の自由を奪う。 実に手際よく貴方を追い込んでいく様は、どこか手慣れていた。 きっとこれが初犯ではない。今はここに居ない者たちが、貴方と同じように男の毒牙に掛かった日があったらしい。 「男は皆ケダモノ──とは、よく言ったものだよね。 ただ、 君は違ったらしいけど? 」くす、くす。 獣のように舌を舐めずり、獲物を見下す。 機嫌の悪さも相まって、酔いの回った頭では、己の欲を満たす事しか考えられない。 自分本意で、身勝手に、欲望の捌け口だとしか貴方を認識していない。 それでも自分の腕の中に居る限りは、 貴方へ下心を持って、この時だけは恋をする。 ……そっと顔を近付けた。 「キスはダメかい、君。」 (-249) 2021/10/17(Sun) 5:03:37 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ 言葉を吐けば、行動に移すまでに、時間は掛からなかった。 稽古の合間にアルバイトを詰め込んだ。 少しでも多く働いて、目標の為の資金とした。 互いに朝は起こし合い、夜は泥のように眠る日々だった。 大きな夢を抱いた私達にとって、何も苦痛にはならなかった。 数年の時を移して、夢は現実となった。 私と君の名前を少しずつ取り合って、それを劇団の名前とした。 座長は二人。演出家を兼ねた私と、脚本家を兼ねた君。 これらは何度も何度も、君と語り合って決めた。 君の紡ぐ物語をいちばん魅せる演出を考えられるのは私だし 私の演出を最大限に引き出せるのは、君の脚本だった。 すぐに役者も裏方も集まって、旗揚げ公演を表明した。 私と君が作る箱庭の、大きな一歩となる物語。 主演は君で、準主演は私。 人生の全てを、惜しみなく注ぎ込んだ。 この公演が必ず成功すると信じていた。 私達の未来は明るいものだと、疑っていなかった。 そうして迎えた、公演の初日。 ……結論から言うと、君は現れなかった。 (-266) 2021/10/17(Sun) 12:27:47 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「へえ、初めてなんだ。 じゃあ、痛いだろうね。」 他人事。瞳を細めて貴方を見る。 せめて酒が抜けていれば、もう少しくらいは貴方を気遣えたのかもしれない。 「がんばって」 まるで狩られる兎の如く怯える姿に加虐欲が満たされていく。 心底嫌そうだ───可愛らしい。 もっともっと、その緑を見せて欲しい。 絶望に染まるそれに、酷く安心する。 首筋へ、喉へ唇を落として、震える声帯にまた笑う。 貴方のシャツを解き、ズボンを下着ごとずり下げて、快楽を拾いやすいとされている胸元、性器、それから後孔……いちいち貴方の反応を伺いながら指で、唇で触れていく。 貴方にとっては、その限りでは無いだろうが。 最低限、男を受け入れる為の準備を済ませて、後は貴方に心身共にほとんど苦痛───被虐される才能でも芽生えれば、少しは快感を与えるだろう。 独りよがりの性行為。 貴方を労ることは、ほとんど無かった。 ……男が満足する頃には、貴方の意識は何処にあるだろう。 (-269) 2021/10/17(Sun) 13:12:54 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「……君が悪いんだよ?」 貴方の体内へ無遠慮に欲を吐き出して、 荒く息を吐き、額の汗を拭う。囁いた。 「どれか一つでも君の言動が違っていれば、 こうはならなかっただろうに。」 責任転嫁。 最初から貴方に乱暴するつもりで誘った癖に。 「いつかこんなひとときの事も詩曲にして、歌い歩いておくれよ。 今みたいに、その美しい鳴き声を晒してさ。吟遊詩人さん?」 それから初物を散らされた小娘のように転がる貴方へ──強ち間違いではないが──また喉へ唇を落とした。 そこへの口付けは、支配欲の象徴。 「シャワーを浴びて行くと良い。 君、酷い顔をしているよ?」 有無を言わさず抱き上げようとして、辞めた。 トラヴィスが占領するこの客室には、シャワールームがある。 代わりにそれをちらりと視線で促して、 貴方が立てないようなら優しく介助するつもりだろう。 貴方の傷と引き換えに、男の機嫌はかなり良くなった。 (-275) 2021/10/17(Sun) 14:24:29 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ誰よりも早起きして、劇場へ足を運んだ朝から カーテンコールが終わっても、舞台の照明が全て消えても、 君の姿は一度もここには無かった。 心血注いだ物語は、───まあ、何とかはなった。 所々おかしい部分は隠し切れなかったが、 どうにか千秋楽まで駆け抜ける事は出来た。 初めてそこに立った0番のテープは、酷くくすんで見えた。 君を探しながら、私は一人で座長と呼ばれ続けた。 君が残した脚本は役者から観客、全ての───否、私以外の人を夢中にさせた。 私は閉じた瞼の裏に、 中心で煌めく君を想像しては掻き消すように目を開いて、 君の居ない箱庭を見据え続けた。 もがくように、これまで以上に全てを演劇へ注いだ。 有名な賞を貰った。誰からも祝福された。 そうして演劇の何もかもが、苦痛になった。 知らなければ良かったとさえ思う、 飢えて渇き、注げば注ぐほど満たされない日々。 ───また、ある時。 なるべくして、限界が訪れた。 → (-277) 2021/10/17(Sun) 14:57:48 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエW数年前──とある劇団から座長が消えた。W ぱったりと姿を消し、行方不明。 その真相は誰も知る術がない。 他人の悪夢を覗く、無神経な者でもなければ。 W劇団は暫く低迷の後、現在は軌道に乗り直してきたらしい。W 誰かが残した、大量の台本。演出プログラム。 暫くはそれらを頼りに踏ん張って立て直したそうだ。 ───そうして、微睡みから醒めていく。 薄く瞼を開いて貴方を見た。 未だその意識は、 夢 と夢 の狭間にある。そばにいて 「 、」 貴方の胸の中で、言葉にならない声をぼやいた。 (-278) 2021/10/17(Sun) 15:01:56 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「色狂いのケダモノだなんて酷いな。 違うよ、狂いたくても狂えないだけさ。」 アルコールに浸った脳が、力加減を誤らせる。 まあいいかと独りごちて。 貴方を乱暴に引き上げて腰を抱き、シャワールームの方へ誘う。 そのエスコートは、優雅さの欠片もないものだ。 「愛しい君よ。 汚したのが私なのだから、 清めてやるのも私であるべきだろうか?」 磨りガラスの扉を開ける。 あまり広くはなく、簡素なシャワーや最低限の洗髪剤、液体石鹸。 ………大きな男が二人で入るには、少しばかり狭そうだ。 「いや、うん、面倒くさいな。 君、好きに過ごすと良いよ。」 掌をくるり。 貴方をそこへ放り込めば、自分はさっさと真白のベッドへ横になりに戻るだろう。 貴方が干渉するならば、勿論その限りではない。 (-282) 2021/10/17(Sun) 16:04:55 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「人の想いは──天秤は、乗せた重さに応じて傾くんだ。 私は君と同じものを乗せて、均等にしただけだよ。」 からからと笑って、貴方の声と水音を聴きながら瞳を閉じた。 貴方がシャワールームを出る頃には、 穏やかに寝息を立てているだろう。 散らかした貴方の服はそのまま床に散らばっているし、 何もかもが先程のまま放置されている。 今この時、貴方がこの部屋で何をしても 男は後手に回らざるを得ない。 仕返しを企てるも、部屋を立ち去るのも、 貴方の意のままに行えるだろう。 (-303) 2021/10/17(Sun) 17:47:52 |
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