人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:

全て表示


到着:Y『恋人』 クリスタベル

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
愛している。愛している。

繋ぎ合う手はないけれど、見つめ合う目はないけれど。

語らうための声や耳がなくても、抱きしめ合う腕も身体さえなくても。
だってわたしたちはそういう双子ふたり、そういう宿命たましい

そういう風に作ったのでしょう、神様が完璧にかんぺきに作り上げた『恋人』とは
そういうものなのでしょう? 同じがいいよね、同じがいいよ。だって寂しくないもの。
分かれていたらいつか別れてしまうもの。生きるのも死ぬのも一緒じゃないと
だ。
   
だから “ 私 ” はいらない


 「 わたしたち はクリスタベル・コールリッジ。
      二人でひとつ の双子の兄妹だよ。よろしくね 」

生まれる前から完璧じゃなかったと知りながら生きるのは地獄だ。

欠けている。比喩ではなく欠けた半分を探している。探していた。
なぜいないの、どうしてひとりなの、などと言葉に出来ない時からずっと。
貴女が クリス と呼び嘆く半身を、貴方が 兄 と呼び惜しむ片割れを。

完璧でないといけない。だって完璧は欠けてなくてあるべき姿できっとひとりで
生きていることさえ罪で許されなくてでもだったらどうしてわたしはまだ生きて
いるのかって誰かに誰かに責められてる気がして息が出来なくて、でも、ああ。

気が付いた。全部
だ。この身の内、わたしたちは同一。決して分たれることはない。

 
(27) 2022/12/11(Sun) 0:37:45

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
 
[ 昔々、箱庭には『恋人』がいました。

 二人でひとり、己を「わたしたち」と呼ぶ彼/彼女は
 男性と女性のどちらでもある存在でした。

 ひとりで完璧な存在。
 ふたりきりで完成された世界。
 彼らが微笑めば、歌い 舞えば、それら全てが愛でした。
 恋人たちの逢瀬、語らい、睦み合い。
 それら全てが欠けたることなく、愛そのものなのでした。

 そうして満ち足りたが故に万人に天使の慈愛を向け、
 完璧それを脅かすものは何であろうと許さない。
 
 揺籠のように穏やかで、終わりも始まりもない幸せに
 たゆたい、都合のよい夢を見るもの。それが彼らでした。



 ── そう、いつか醒める夢を見ていたのでした。

 所詮完璧なものなど存在しないのです。
 たとえば かみさま でさえも * ]
 

 
(28) 2022/12/11(Sun) 0:40:36

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
── 現在:洋館/ホールに行き掛かり、 ──



[ 涼やかな歓声に耳を澄ます。

 最年少の彼女が初めての誕生会にはしゃぎ、>>@0
 半年前まで最年少だった彼に嗜められている。>>@2

 外界に解き放たれた蝶は陽光の下、きらきらと輝く。
 ひらめく姫君に優しく添う王子様。まるで絵本の世界。

 ……ああ、なんて眩しいんだろう。
眩し過ぎる程に。
 ]
 
(29) 2022/12/11(Sun) 0:42:44

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

  ────ねえ、きみ。 仕事中にごめんね。
  先日手配をお願いしていた件ってどうなったかな?


[ 通りがかりのメイドを呼び止めて問えば、既に受領済
であるとのこと。

 それは件の姫君への贈り物。
 洋館で初めての誕生会なのだからと、特別上等な誂えの
深紅の艶やかなフラットパンプスを。
 素敵な靴は素敵な場所に連れて行ってくれるらしいから
と、遅まきながら少女の門出を寿ぐ贈り物も兼ねて。

 返答に満足そうに頷き返しつつ、>>@4>>18と増える
声が耳に届くので、ルートは変更だなと独り言つ。 ]
 
(30) 2022/12/11(Sun) 0:44:48

【人】 Y『恋人』 クリスタベル


  
  そっか、ありがとう。贈る前に一度見てみたいな。
  後で構わないから頼めるかい?
  あとは……手が空いたらでいいから、
  いつもの場所に紅茶を持って来てもらえるかな?


[ お願いねと添えれば過不足なく笑んで受諾し、メイド
として及第点の所作で辞去していく。

 自分は来た道を方向転換し、門向こうの花畑に臨む場所
にあるガゼボに歩を進める。誰に行き先を言付けずとも、
自室以外ならそこに行き当たるだろう定位置。

 明確に避ける仕草ではあるが、人は嫌いではない。
 むしろ好きな方だ。
 ただ今は少し、この時期だけは。
 取り繕うことが難しくて、人の集いが億劫になる。 ]
  
(31) 2022/12/11(Sun) 0:46:41

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

   ────誕生日、


[ 
なんて嫌いだな 
と続く言葉を奥歯を噛み締めるように
して砕き、飲み下す。そうして肚の底に押し込んで、誰に
向けるでもなく笑む。


 それはわたしたちらしくない。
   わたしたちらしくないから許されない。
     わたしたちらしいってなんだっけ?
              何をどう感じるのが正解?



 こめかみあたりが鈍く痛み始めれば、双眸を閉ざし胸に
手を置き深呼吸。
 鼓動を確かめるように、呼吸を思い出すように。 ]
 
(32) 2022/12/11(Sun) 0:51:43

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
[ ──考えることが苦手だ。
 小さな頃、考えて考えて考え疲れたことがあるから。

 
どうしてわたしはここにいて、
        あの子はここにいないのだろうなんて。


 何も考えず、何も悩まずいられれば楽だ。
 そうして生きることだけに集中出来たらいいのに。 ]


   ああ、なんて 今日もいい日なんだろう


[ こんな苦しみなんて わたしたち の邪魔でしかない * ]
 
(33) 2022/12/11(Sun) 1:00:09
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a5) 2022/12/11(Sun) 1:11:52

Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a6) 2022/12/11(Sun) 1:33:16

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ 昔々なんて遡る程のことのない昔。
 とある屋敷で女の赤子が生まれました。

 両親は誕生の瞬間も嬉しさ半分悲しさ半分。
 だって一緒に生を寿ぐべきもう一人は、
 産声上げることなくお腹の中で消えてしまったから。

 けれど、そんな半分ずつすら消し飛ばす事実に気付きます。


    胸の中央の痣。
    魂にまで刻まれた箱庭の住人の烙印。



 赤子の親は地位も権力もあり、
 その地位ゆえに周囲には赤子の痣を隠さねばならず、
 深窓にひそり咲く花として生きねばならなくなりました。 ]

 
(98) 2022/12/11(Sun) 13:31:07

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ それからクリスタベル、
 ────クリスとベル、そう名付けられる筈の双子でした。

 ベルは生まれることのなかった片割れの分も生きて欲しいと
 祈るように二つの名を背負わされ、秘されつつも大事に大事
 に育てられます。

 ベル、と愛称としてその名を呼ばれ、花の様に笑う愛らしい
 少女に育ち、証持ちで将来を望めなくともせめて幸せであれ
 と、優しい願いを込めて育てられるのです。


   いいえ、

      ………いいえ。   その筈でした。 ]

 
(99) 2022/12/11(Sun) 13:31:30

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
 
[ ベルはとりわけよく泣く赤子でした。
 どれだけ抱いてもあやしても、泣き疲れて眠るまで、
 火がついたように泣くのでした。

 気難しい子、あるい片割れを求めて泣いているのかと、
 生まれる前に別れを経験した赤子を不憫に思いながら、

 母は「私がクリスをちゃんと産めていれば」と己を責め、
 父は「男が、兄が生まれていれば」と我が不運を嘆きます。

 
愚かにもそれが己に降りかかる呪いになるとも知らず。
 ]
 
 
(100) 2022/12/11(Sun) 13:31:49

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ 1歳になる頃、ベル大きさのぬいぐるみを クリスと、
 知らぬ筈の名で辿々しく呼ぶようになりました。

 稚く手を伸ばし片時も離れまいとするベルの姿に、
 いじらしさよりも先に恐怖が芽生えるのです。


    ────死んだ赤子も『恋人』だったのか?


 
 確かめようのない もしも は人の心を巣喰います。

 証持ちを死なせた罪、痣持ちの片割れを奪った罪。
 悪魔の証明によって法で裁かれることなき罪、
 その断罪者は愛するべきだった娘になるかも知れず。
 

 それでもベルに合わせて、ぬいぐるみを
 「クリス」然と扱うのは罪悪感でしょうか。

 ……それともただ逃避だったでしょうか。 ]

 
(101) 2022/12/11(Sun) 13:33:05

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ 欺瞞は刹那。決して長くは続かないのです。

 ベルは2歳頃からはぬいぐるみの「クリス」すら拒絶し、
 年頃の自己主張では説明の付かない尋常ならざる狂乱に、
 嵐が過ぎ去るのを待つように祈ることしか出来ません。 

 証持ちと知られずとも、名家の令嬢の奇行として、
 漣のように噂が広がったのもちょうどこの頃でした。 ]

 
(102) 2022/12/11(Sun) 13:33:23

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ クリス おにいちゃん ここ なんでいないの?
  
貴女がクリスと呼び、貴方が兄と呼んだ人が、
    私が探しているその人なんでしょう?



 パパやママなどよりも早く ようやく伝えられたベルの
 疑問に全てが付合し、それらは絶望を形作りました。


    片割れを求めるのは真に半身であったから。
    やはり死んだあの子も『恋人』だったのだ。
    ……この子は今狂うかいずれ狂うかするだろうか。



 ああ、それなのに後を追わせてやることすら出来ない。
  証持ちを殺すことは許されていない子を放棄することなど対面が許さないのだから。 ]

 
(103) 2022/12/11(Sun) 13:34:00

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ 答えを求める僅か3歳の子供に、真実と信じるものを全て
 伝えるのでした。繰り返し繰り返し、ベルが理解するまで。

 それはベルにとって長い長い迷路の入口でした。 ]

 
(104) 2022/12/11(Sun) 13:34:19

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ 夢を抱き始めさえする年の頃で、
 生まれる前から完璧ではないという事実を突きつけられる
 のは絶望の始まりでしかなくて。

 不完全なまま生きることを強いられて。せめて生きる意味
 さえあればと探しても見つからなくて。段々と死ぬことで
 しか救われないんじゃないかと思うけれど、それは生きたく
 ても生きられなかった半身に対する冒涜であったし、だからと
いって安穏と生きるのはそれはそれで責められる気がする。誰に?
わからない。考える。わからない
でもそれじゃ駄目で大事なのに必要なのに愛してるのにどうしてここにいないのいてくれないの完璧じゃなきゃいけない完璧ってかんぺきは識ってるそういう風に作られたそうやって生きたことがあるって本で読んだ同じがいいっておなじが完璧だってそうなんだね分かれてたらいつか別れてしまうから生きるのも死ぬのも一緒にしたくてじゃあひとつがいいねってだからそうじゃなきゃいけないから置いてかれてなんてない独りぼっちにもしてなくてだから ああ、 全部嘘だったんだ 

 この苦しみも“私”も嘘だったんだ  ]

 
(105) 2022/12/11(Sun) 13:34:46

【人】 Y『恋人』 クリスタベル


  ────そうだね、やっとわかったよ。


       ごめんね、
ずっとここにいたんだね?生きていてもいいんだね?




[ そう、ここにいたんだよ。生きてていいよ。

 なんて返事も必要ないのでした。
 だって応えるべきも自分──いいえ、わたしたちなのだから。

 確かめようのない もしも は人の心を救います。

 片割れの胸に同じ証があったかなんてどうでもよくて、
 誰が生き方を認めてくれなくてもそれで構わなかったのです。
 わたしたち が信じることこそ真実なのですから。 ]

 
(106) 2022/12/11(Sun) 13:35:19

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 

[ それから両親へ、
 愛称のベルではなく本名であるクリスタベルと。
 わたしたち の名で呼んで欲しいと、
 それまでが嘘の様に穏やかに告げるのでした。
 
 長い髪やリボンやドレスをやんわりと拒み、
 シャツにベストとスラックスといった衣装を好んで
 着るようになりました。
 話す言葉も所作も少年のようで、事実を知らなければ
 まるでクリスではなくベルが死んだのではと思うほどに。

 ですがそうではないのです。
 クリスもベルもここにいて、本当は二人でひとつの双子
 の兄妹だったのだと言うのです。
 妄言でも虚勢でもなく、真実と信じて語るのです。


 それでも漸く、ようやく訪れた安寧を享受すれば、
 父母は奇異でしかないそれを受け入れるしかないのでした。
 

 クリスタベルが5歳の出来事でした。 **]

 
(107) 2022/12/11(Sun) 13:35:57
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a17) 2022/12/11(Sun) 13:46:40

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
[ >>107
 それからというものすっかり家族みたいになって、
 望めば何でも叶えられました。

 遅れを取り戻すような手当たり次第の教育も、
 形ある物もないものだって。
 良家の子息に相応しいものに囲まれて、
 蝶よ花よといった風情で育てられたのです。


 ただひとつ愛以外、何でも与えてくれる家庭でした。
 
 わたしたち で在れれば他はどうでもいいと言っても、
 漸く少年/少女に届くといった齢の子供です。
 近くの誰か、例えば血の繋がりに
 温かな何かを期待するのは無理からぬことです。

 けれど返ってくるのは怯えを孕んだ眼差しだけ。


 だから諦めることから練習することにしたのでした。
 きっとそれはどんな習い事よりも上手く出来るのです。 ]
 
(226) 2022/12/12(Mon) 0:36:35

【人】 Y『恋人』 クリスタベル


[ 深窓の花は穏やかに健やかに育ちます。

 わたしたち は人が好きであると知ります。
 わたしたち は人との関わりを好みます。
 けれど人は わたしたち を受け入れることはありません。

 侮蔑憐憫好奇忌避恐怖。
 表層に示す人、深層に沈める人、沢山見てきました。
 健全な交流でないとしても、それら全てを気にしないこと
 にしてしまえば、人との交流は面白いものでした。

 そうして巡る安寧のいつどきかに、洋館への誘いがあった
 としても、きっと首を縦には振らなかったでしょう。
 外でも奇異の目を向けられるのは疲れるからね、と。

 
どのみち外に出ることは世間体とやらが許さなかったでしょう。
 ]
 
(227) 2022/12/12(Mon) 0:37:40

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 


[ 宿命が誕生の日を指すなら、
 運命はおそらくその日だったのでしょう。


 それは14歳のある日、
 夜色をした迷い猫に名前を付けた日のことでした。 * ]

 
 
(228) 2022/12/12(Mon) 0:38:51

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
── 回想:洋館/薬師の君 ──



   きみが薬を調合してくれると聞いたんだけれど、
   それはわたしたちにもお願い出来るかな?


[ 薬師の私室を訪い、
 誰何の後に拒まれなければそう切り出しただろうか。
 報酬は当然用意するよ、なんて添えながら。 

 幼少期で考え事に飽いた頭が、多少の労働で頭痛を訴える
 ものだから鎮痛剤が手放せない。
 これまでは家に任せきりだったが、自分で都合出来るなら
 幸いとばかりに、洋館に来て間もなくの今に至る。

 交流の一貫、というのもある。
 
 凪いだ水面のような人だと思った。
 わたしたち がこうであることを、彼女は認めるでも許す
 でもなく、ただそういうものなのだと瞳に映すような。

 ────そんな予感を抱いて。* ] 
 
(229) 2022/12/12(Mon) 0:40:55

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
──回想:洋館/聖職の君──



[ 聖職者というものにとんと縁がない。

 いるにはいたが、それは間違った私>>105であった頃。
 神様はどうして私を完璧につくってはくださらなかったの
 と嘆きをぶつけた。──あの時彼はどう答えただろうか?


 慣れない環境への不安を拭う気遣い>>119があれば、
 個を指して わたしたち は双子の兄妹と名乗るだろう。

 その時年若い聖職の君はどんな顔をするだろうか?
 と答え合わせに僅かばかりの興味を抱いたのは秘密。

 神は全てを許すと説く、と聞き齧りの知識で、
 ならばきみもこれを許すのだろうか、なんて謎かけ * ]
 
(230) 2022/12/12(Mon) 0:42:29
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a39) 2022/12/12(Mon) 0:47:06

Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a40) 2022/12/12(Mon) 0:47:38

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
── 回想:コールリッジ邸/夜色の君 ──



[ 屋敷に出入りする人間は全て覚えている。
 だから知らないこの子は関係者じゃない。

 少なくとも新人使用人です! といった風情でもなく、
 見たところそう歳の変わらない少年、のように見える。
 わたしたち のこともあり、清濁併せ呑む壮年層のみを
 雇用方針にしていた、筈だ。

 ならこの子は誰だろう? と思い巡らせてみると、
 迷い込んだのだと彼は言う。 ]


  へえ、そうなんだね。
  このお屋敷に迷い込むのは猫くらいだと思ってたよ。

  ────ああ、自己紹介がまだだったね。

  わたしたちはクリスタベル・コールリッジ。
  二人でひとつの双子の兄妹だよ。
 

[ 不法侵入を咎めることなく、ただあるのは人への興味。
 それと、理由もなく 大丈夫だ、と思える何かを感じる。
 
絶対的に揺るがない何か、永遠を信じられる何か。

 
そんなお綺麗なものではなかったかもしれない何か、を
 ]
 
(272) 2022/12/12(Mon) 3:44:30

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
[ 二人でひとつ。
 本当は別々に生まれてくるつもりだったんだけど、
 やっぱり同じがいいねって。

 だからこの身体はクリスとベル──クリスタベルなんだ。
 ……ああ、多重人格とかじゃあないからね。
 二人が溶け合ってひとつ。それがわたしたち なんだよ。


 なんて語れば、
  生まれた時から一人だったから羨ましい と。
 今まで見たことのない感情を向けられる。

 
 その眼差しに怯えも憐みも蔑みもないことを知ると、
 素直に嬉しかった。
 わたしたち の言葉に欠片の不信を抱かぬその受容が
 堪らなく嬉しかった。


 ──そう、きっと生まれて初めて 嬉しい と感じられた ]
 
(273) 2022/12/12(Mon) 3:45:05

【人】 Y『恋人』 クリスタベル


 
[ 揺籠の世界には 嬉しい を感じる余分がありません。
 閉じた幸福は予定調和で、喜びも悲しみもないのでした。

 だから誰に歪だと形容されようと、『悪魔』が抱く愛は
 確かに『恋人』に喜びを齎すものでした。

 愛とは許しで、愛とは受容で、完璧ありのままさえ肯定してくれる。

 愛を尊ぶ『恋人』であるからこそ嬉しいのでした。
 真に『悪魔』の意図するところが何であったとしても *]
 

(274) 2022/12/12(Mon) 3:46:04

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
[ いいこ、と夜色の髪を撫でる。
 人に触れようと思ったのもこれが初めてで、
 それが喜びを伝える方法だというのは記憶ではなく知識
 だったけれど。
 拙くも、彼に温かな気持ちを分けられればいいと思った。


 
   彼のことをどれだけ聞けただろうか。
   知って貰うことが出来ただろうか。
   全て分かち合うには、きっと一日あったって
   足りやしないけれど。




 そうして幾許かのやりとりの後。
 
 良い子のナハト、また上手に迷い込んでおいで? と、

 彼が名乗ろうが名乗るまいが、構わずナハトと呼ぶ。

 その意味を聞かれたなら、
 「きみは綺麗な夜色の毛並みをしているからね」
 と、猫扱いのついでにもうひと撫でして笑うだろうか * ]
 
(275) 2022/12/12(Mon) 3:46:54
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a49) 2022/12/12(Mon) 4:28:52

Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。
(a50) 2022/12/12(Mon) 4:34:21

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
── 回想:洋館/未知との遭遇 ──



[ 彼が未知に触れる時、
  我々も未知に遭遇しているのだ。


 ただでさえ子供といういきものに無縁だったので、
 この当時最年少の小さくか細い佇まいでさえ、
 どうしたらよいものかと扱いに困ってしまう。

 それでもお決まりの挨拶をしてみれば、まんまるな目
 に不思議と浮かべて覗き込んでくるのだ。

 好奇の眼差しは割と浴びてきたけれど、
 値踏みするような大人のそれとは違い、
 なぞなぞの答えを探すような稚い姿に不快感はなく。 ]


  お兄さんとお姉さんは離れるのが寂しいから、
  ふたりで一緒に生まれてきたんだよ。
  だから、ここに二人いるんだ。……わかるかな?
 
(392) 2022/12/12(Mon) 23:28:41

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
[ 屈み込んで視線を合わせる。
 わからないと答えるなら、いつかわかるよ、と
 言葉を続けて ]


  もし変わったものが怖いなら、無理することはないよ。
  きみには好きなものや嫌いなものを選ぶ自由があるから。

  だから、きみが仲良くするのを選んでくれるなら、
  わたしたちは嬉しいかな。


[ お近付きの印、と
フォルスの売店で取り寄せてもらった

 ギザギザ星形のカラフルな砂糖菓子を差し出した。 * ]
 
(394) 2022/12/12(Mon) 23:29:03

【人】 Y『恋人』 クリスタベル

 
── 回想:洋館/あり得ざる懺悔 ──



[ 14年ものの箱入りとはいえ、
 これでも結構な人間を見、また見られてきた。
 とはいえ屋敷に出入りする人間で、雇用主の子息/息女
 に初対面で御無礼かましたる者はそういまい。
 
 だからデカデカと戸惑ってますなんて顔に書いて、
 無遠慮に探る視線をまともに受けたら、なんだか。 ]


  ふふ、

    ────ああいや、ごめんね。
  
  きみが意外と普通だったから驚いたんだ。
  証持ちだからってみんながみんな、
  変わってるわけじゃないんだなあって。
 
(395) 2022/12/12(Mon) 23:29:54