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【赤】 被虐 メイジ「……はぁい」 若干の間のあと、気の抜けた返事が返ってきた。 扉を開けると、強い消毒液のにおいに思わず鼻をおさえた。 「わ。……どこでやるの?」 メイジはそっと扉を閉めて、あなたに着いていく。 (*1) 2021/06/30(Wed) 23:14:18 |
【人】 被虐 メイジこっそり手当てしてもらい、包帯で覆われた個所が増えた。 腕を擦る。これでわざわざ手で隠す必要もなくなった。 「(勝手に救急箱持ってったの、センセーにバレたかな……)」 村に住んでいたころ、勝手に借りていこうとして 見つかったことが何度かあった。 不自然にできた傷から、事情を知られたくなかったからだ。 (1) 2021/06/30(Wed) 23:18:44 |
【人】 被虐 メイジ>>フジノ 「フジノ〜。さっきはハンカチありがとーね。 なんもしないでただ座ってるの暇じゃない?」 メイジは、なにかカラフルなものを手に持ってきた。 ただでさえこの天気、閉鎖的な空間。気が滅入ってしまいそうだ。 「これであそぶ?」 手に持ったそれは、よくみればお花の形をしたおはじきだった。メイジはいつもひとりで遊べるように、こういったものを無駄に持ち歩いていた。 (2) 2021/06/30(Wed) 23:28:52 |
【赤】 被虐 メイジ「…………」 どことなく疲れていそうな背中を眺めながら、思案する。 そして、ふいに異臭が鼻を刺激した。 これは血の匂いだ。 顔を顰める。メイジは知っている。 ほとんどからっぽの胃から、何かがこみ上げてきそうになる。 「ねえ」 「……これって、猿の肉、なんだよね」 布で口元を覆う。でも意外と平気だ。 「でもさ」 「オレ、この村の山に猿なんてみたことないんだ」 「そんなに遠くから流れてきたのかな?」 (*3) 2021/07/01(Thu) 18:42:19 |
【人】 被虐 メイジ>>3 フジノ 「……へへ、好きなんだ、こういうの!」 社会にでていても、どうやらまだ少年の心が大半らしい。 他にもあるよー!と、懐からも出てくる、駒とか、紙風船とか 駄菓子のオマケっぽいブリキの車とか、いろいろ。 「これはねー女の子好きそうだなと思って! 遊び方知ってる?」 おはじきを机の上に乱雑に並べ、近くの椅子を引き寄せて座った。 >>5 ミロク 先程から視線を感じてはいた。 なんだろう、おはじきで遊びたいのかな……。 突然机にできた影に、跳ねるように顔を上げる。 ……確か、商人と言っていた大人の人だ。 「あ、えっと、ミロクさんだっけ…… 使っていいの? ありがと……」 箱を置いていくなり、離れて行く背中に ぽかんとしつつ言葉を投げる。 「ミロクさんもおはじきやりたかった?」 (10) 2021/07/01(Thu) 20:37:14 |
【赤】 被虐 メイジ「……猿じゃ、なかったら……?」 ──猿じゃなかったら? 脳内で、反芻する。台に置かれた肉の塊をぼんやりと見る。 猿じゃなかったら、何だ? 鹿だったとして、嘘をつく意味なんてない。 他の動物でなく、猿と言った理由。 わざわざ後から呼ばれた理由。 思い返す、今までのあなたの言葉。 「(猿じゃなかったら──誰だ?)」 消毒液の匂い、むせ返る、血と脂の臭い。 本当は気づいているんだ。 メイジは、胸が痛くなった。 それなのに、笑いがこみ上げてきた。→ (*5) 2021/07/02(Fri) 2:21:16 |
【赤】 被虐 メイジ「オレは、どうもしないよ、今は」 薄く笑みを貼り付けながら 思ったよりも淡々とした言葉が出た。 「それってさ、もしもじゃ……ないんでしょ。 でも、生きる為にやってることなんでしょ。 はっきり言わないの、ずるいな」 ここにあるのが、ただの食肉にしか見えないからだろうか。 それとも、これが生きる為にやっていることだからだろうか。 別に、恐怖も、怒りも、そこにはない。 「……オレには、どうしようも、ないよ。 手伝うって言ったんだからやめもしない」 だって、ここまでするくらいだ。食料は確実に足りない。 こんなところで死にたくない。 あんなことをしてまで生き延びようとしたのだ メイジは、近くにあるであろう刃物を手に取った。 肉を、ひたすら切り分けて、切り分ける。 血で汚れる手。あまり上手ではなかった。 (*6) 2021/07/02(Fri) 2:29:20 |
【赤】 被虐 メイジ「オレももう知ってて手伝ってるから、共犯ってやつだ」 メイジは、やはり淡々と言葉を紡ぐ。 感情の出し方がわからない。 感情の矛先がわからなかった。 目の前の大人を責めることはできない。 「セナさんのせいにするのは気が進まないけど イイコじゃ生き残れない、そういうことだよね」 もう頭を撫でられて、可愛がられるような子供でもない。 尤も、そんなことされた記憶もあまりないが。 利用できるものなら、してやろうと思った。 それはどこか自棄染みた感情だったかもしれない。 「やっぱり足りないんだ。 ……じゃあ、やるしかないよね」 いびつな形の肉を、糸につなげるのを手伝う。 これが誰の肉なのかは、聞くことをしなかった。 メイジにはひとつ、決意したことがある。 (*9) 2021/07/02(Fri) 17:06:25 |
【赤】 被虐 メイジ「オレさ、ここで友達ができたんだ。 ……素直で純粋で"イイコ" 病気が治ったらさ 一緒にトーキョーに行きたいなんて言ってくれて──」 そう語る瞳はとても嬉しそうで 「なんにも知らないで。バカだよね」 覆い隠すように、ぴしゃりと言い放つ。 「オレ、ああいうヤツ大ッ嫌いなんだ。 親に大事にされて、甘ちゃんで」 嘘だ。 「オレのこときっと信用してるし。 それに病人なんて、足手まといでしょ。 だから、やるならあいつかなって」 ひたすら、心にもないことを言った。 友達を助けたいではない、殺そうと言うのだ。 けれどその決意はゆるぎない。 (*10) 2021/07/02(Fri) 17:15:02 |
メイジは、アユミを探している。 (a5) 2021/07/02(Fri) 18:39:40 |
メイジは、無意味に、机の下や、ゴミ箱の中身を見ている。 そんなところにいるはずもないのに。 (a6) 2021/07/02(Fri) 18:41:18 |
メイジは、見つからない人を探していても、お腹がすくだけだと思った。 (a7) 2021/07/02(Fri) 18:45:34 |
【赤】 被虐 メイジ「そっか」 うまく言葉が紡げず、茫然とその事実を受け止める。 メイジは"友達"を殺してまで生きたいと強く願っている。 生きたい? いや── ぼんやりしていた意識を覚ますように頭を振る。 「死にたくないんだ、オレ……こんなところで…… やっと、やっと、解放されたのに……」 息苦しくなり、口元につけっぱなしだった布を取った。 俯き、ひそかに拳を握って、呟く。息を吐く。 自分が小さかったら、泣いていたかもしれない。 涙は出ない。顔を上げる。 「教えてよ。もうなんでもいい なんだってやってやる……決めたからね」 その瞳は、決意というには濁っていて 自棄というにはまだ意思があった。 人を救うための知識を、人を殺すために教わる。 確実に誰かを生かすために。 (*13) 2021/07/03(Sat) 2:11:18 |
【人】 被虐 メイジ>>30 フジノ 「それはどうかな」 対して、挑戦的にいたずらっぽく歯を剥いて笑う。 メイジは最終的に(4)1d10 (数値が大きいほどつよい) ほどのおはじきを手にしただろう。 さて、どちらが勝ったかな? 「えー。オレそんなすぐ口に入れるように見える?」 話し方や雰囲気の問題か、軽率そうには見える。 直後に響く大きめのお腹の音には、ぱちぱちと瞬き。 「あはは。ごめんね……おなかすいたよね……」 あ! ふと、思い出したようにメイジは懐を漁る。 取り出したのはキャラメルの箱。 わずかに入っていたはずだ。 「あげる」 その中のひとつを、そっぽを向いたあなたに差し出した。 (43) 2021/07/03(Sat) 13:37:17 |
メイジは、おはじきの箱の中を二度見した。 (a9) 2021/07/03(Sat) 14:51:38 |
【赤】 被虐 メイジ齢17の少年は本物の戦場を知らない。 今わかるのは、誰かを犠牲にしなければ生きられないこと。 そしてそれをこれから自らの手で行うことだけ。 けれどあなたの行動、今までのその言葉から 経験を物語っていることはなんとなく、わかっていた。 「うん、オレ……もう奪ったことあるから。 だから……もう怖くないや」 血で汚れた手を洗う。洗って、きれいにする。 ──自ら犯した罪は綺麗にはならない。 もう意識して隠す気もないのだろう。 メイジは己の手で父親を殺している。 (*16) 2021/07/03(Sat) 15:51:54 |
【赤】 被虐 メイジ「……ありがとう」 口元をわずかに吊り上げる。 たとえ世間から許されることではなくとも あなたの言葉が背中を押している。 「……セナさんは、すごいね。 でも、セナさんだって死にたくは、ないでしょ」 自分は死にたくはない、だけど 本当は誰かに死んでほしくないのも事実で 自らを助けてくれている人ならなおさらだ。 (*17) 2021/07/03(Sat) 15:58:23 |
【赤】 被虐 メイジ「オレにはまだそんな状況、全然想像つかないな。 ……悪い夢みたいだ」 メイジの家は、貧乏ではあったが 見境がなくなるほどまで飢えてはいなかったからだ。 まだ死にたくないと言える今は、余裕があるのだろうか。 「でもオレは、セナさんに生きて欲しいけど。 オレが生き延びることができたら、もっとすごいって言うよ」 それだけを告げ、囁きに静かに頷くと。 「また後でね」 メイジは、手術室を後にする。 その足取りは来るときより重たい。 できるだけ誰かに感づかれないように、しっかりと歩いた。 (*20) 2021/07/03(Sat) 18:08:00 |
メイジは、うまく笑えているか自信がなかった。 (a10) 2021/07/03(Sat) 18:41:36 |
【人】 被虐 メイジ>>51 フジノ 「ああ、」 あなたの指の先を見、思い出したように頭の包帯に触る。 片目でいることが当たり前になってきた頃だった。 「次は負けないよ。片目でも、手加減なしね」 言葉の裏にまた遊ぼうね、という意味を込めて軽快に笑う。 おはじきをまとめて箱に入れて置いておくことにした。 「食べ物、贅沢できるほどないって聞いたんだ」 「だからさ、……」 一拍の間に、ふと遠い目をした。 それは瞬き一瞬で元に戻る。 「協力し合えたらいいよねって思っただけ」 頬杖をついて、あなたが食べる様子を 「おいしい?」と眺めていた。 贅沢できるほどないと知りながら譲ったのは ただ女の子の前でかっこつけたかっただけだ。男なので。 (53) 2021/07/03(Sat) 20:42:38 |
メイジは、ついに、幻覚でも見え始めたかと思った。 (a17) 2021/07/04(Sun) 3:35:54 |
メイジは、呟いた「おやすみ」 (a23) 2021/07/04(Sun) 18:10:45 |
(a24) 2021/07/04(Sun) 20:34:46 |
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