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【人】 木峰 夏生[ キノミネくぅんありがとー、と甘ったるい声が 無機質なオフィスに響く。 その声の持ち主は、声に負けず劣らず甘い香水の匂いと 自身が一番可愛く見える角度を計算し尽くしたように 傾げた小首をおまけにつけて。 するりと髪の一房だけが輪郭を撫でるように流れ落ちて、 それもまた計算済みなのか指で掬い上げて 耳にかけられる様を、こちらも教科書通りの笑顔で 受け止めて応える。 ] どういたしまして。 先輩の頼みならいつでも。 [ にぃ、と浮かべた笑みと共に書類を差し出せば紙の下、 偶然というにはあまりにがっつりと指が触れる。 ] (28) 2021/07/01(Thu) 19:42:54 |
【人】 木峰 夏生『キノミネくんさぁ…… ぼちぼち露骨なアピールに 反応くれても良くない?』 [ するりと絡め取られる指の先、丁寧に整えられ 塗られ煌めく爪に視線を落として。 眉とともに持ち上げて、嗤う。 ] うわ、先輩積極的。 え、まじすか、誘われてたの?俺。 [ わざとらしく驚いてみせて、こちらからも 指に力を込めて、絡めたまま口元へ運べば くすくすとまた笑う。 吐息がはっきりとかかるだろうか。 ] (29) 2021/07/01(Thu) 19:45:19 |
【人】 木峰 夏生好きなやつ、居るんすよ俺。 [ 脳裏に過ぎるのはその顔。 綺麗な、頬のカーブ。 こんな、ぎらついた女なんかじゃない。 ] ─── …… [ 絡めたままの指を動かして、 白く小さな掌を自分の口元へ運ぶ。 ] 俺、奥手なんで。 告白したりとか、できないんすけどね。 (30) 2021/07/01(Thu) 19:46:19 |
【人】 木峰 夏生[ ぢゅ、とわざと音を立てて唇を付けた。 多分ブランド物の香水が、甘く、甘く立ち昇り 嗅覚に刺さる。 嗚呼、血の気が引いて眩暈がしそう。 ] ……先輩みたいないー女、慰めてくれるなら いつでも歓迎ですよ。 俺、男も女も、タチもネコも、 どっちでもなんでもイケるんで。 [ 悪戯っぽく、それでいて挑発的な笑みを 浮かべて告げた。 呆気に取られるかドン引きされるかと思ったが さすがに百戦錬磨と言うべきか。 ふふ、と笑みを浮かべて先輩はゆっくりと瞬きをする。 睫毛の影が濃く、瞳に落ちて、 それはたしかに、妖艶、ではある。 ] (31) 2021/07/01(Thu) 19:47:10 |
【人】 木峰 夏生『じゃー、フラれたら慰めてあげるね。』 [ するり、と指を解いてひらひらと翻るスカートと共に、 去っていく後ろ姿。 ぶは、と吹き出して、つえぇ、怖えぇ、と呟いた。 ] ─── フラれたら、ねぇ。 (32) 2021/07/01(Thu) 19:47:51 |
【人】 木峰 夏生[ フラれるもなにも。 さっきからポケットで震えるスマホを引っ張りだして、 届いたメールを確認する。 ほんの少し片眉を上げて、画面を凝視して。 内容を理解して頭に入れれば 画面をメッセージアプリに切り替えて。 ] 『悪りぃ、急用で今日、夜出かける。 金置いとくから、ちゃんと食えよ。』 [ 送信ボタンを押す。 宛先の名前を、す、と人差し指で軽く撫でた。 ─── 海斗。 おれの、おとうとに。 ]** (33) 2021/07/01(Thu) 19:49:15 |
【人】 木峰 夏生[ メッセージを送ったとて、いつものように返信はない。 わかってはいるけれど、時折ちらりちらりと スマホを確認しては、ふ、と息を吐いて。 追撃するみたいに、気持ち悪いうさぎが ちゅー♡ ふざけたスタンプを送ってやった。 最後にメッセージくれたのって、そういやいつだっけ。 そんなことを一瞬考えたけれど、 確認したところで虚しくなるだけなのは 百も承知なのでやめておこう。 仕事で留守がちな両親のもと、七歳下の弟の面倒を 見るのは長い間俺の役目だった。 いやだったかって?そんなわけない。 俺のあとばっかりついてきてさ、 なんだって俺の真似して、 たまに友達と遊ぶ約束して帰ればやきもちやいて 拗ねて暴れて…… そりゃあもう可愛くて。 そう、可愛くて、可愛くて。 湧き上がる感情が堰を越えて名前を変えて、 ───── これ以上は、ダメだと悟る。 (88) 2021/07/02(Fri) 10:22:13 |
【人】 木峰 夏生[ 誰と目合っていても、頭の中にいるのは一人だけで あいつのことを汚そうとする自分に 我に返って罪悪感で死にたくなる。 そんなどうかしている俺の頭の中に 気づいたわけではないのだろうが、 いつしか海斗も少しずつ離れていく。 もちろん年齢的なものもあるのかもしれない。 そう思いたかった。 こちらを見る視線が、敬愛を含む純な輝きから 色を変えていく。 逸らされることが増えて、徐々に重ならなくなって、 向ける笑みはするりと躱されて、 肩に触れた手は振り払われて。 けれどそう、これでいい。 こんなどす黒く澱む醜い感情に あいつを近づけるわけにはいかない。 かいとは、かわいいおとうとだから。 (90) 2021/07/02(Fri) 10:25:28 |
【人】 木峰 夏生[ そんな時見つけた不思議なウェブサイト。 半信半疑で、でもどこか縋る場所を求めて、 切れそうに細い蜘蛛の糸を掴むように申し込みをした。 今回でもう何度目になるだろう。 希望する文言はいつも同じ、 俺のことを、必要としてくれる人────── (91) 2021/07/02(Fri) 10:27:15 |
【人】 木峰 夏生*** [ メールで指定された部屋番号を告げる。 ラグジュアリーな空間に馴染むように、 けれど決して気圧されないように、 選んだのはメランジ調の黒いセットアップ。 ジャケットの下はシャツじゃなく白のTシャツ。 パンツは細身で、足首は少しだけ見せて。 キーを受け取って爽やかに会釈をひとつ。 足を踏み出せば、美しく磨かれた床を踏んだ 黒のレザーコインローファーが、かつん、と やけに透明な音を立てた。 ]* (92) 2021/07/02(Fri) 10:28:13 |
木峰 夏生は、メモを貼った。 (a4) 2021/07/02(Fri) 18:13:15 |
木峰 夏生は、メモを貼った。 (a5) 2021/07/02(Fri) 18:14:08 |
【人】 木峰 夏生[ 実家暮らしの男鰥。 金を使う趣味も無い。 それこそ頼まれればいくらでも捧げたい 当の弟はこづかいを受け取る以前に 口も聞いてくれない。 だから時々、このマッチングに招待された時は、 気分によって少しの追い金で ちょっとランクの高い部屋を希望することがあった。 さすがにスイートまでは無理でも (ちなみに前に一度、主催者にメールで 聞いてみたことがある。 最上階のスイートはプラス百万らしい。) それなりに常識的な金額で、さらに非日常感を 盛って得られることはありがたかった。 ] (145) 2021/07/02(Fri) 22:47:49 |
【人】 木峰 夏生[ 今回メールにあった部屋番号は1061。 10階の、コーナースイートだそう。 とは言え自分は、別に何階だって拘りはない。 一夜限りの相手と見下ろす夜景なんて、 高かろうが低かろうが、どこからでも大差ない。 第一にそんなに覚えてもない。 けれど─── あいつ昔から高いとこが好きなんだよな、なんて。 ……馬鹿馬鹿しい。 (146) 2021/07/02(Fri) 22:50:11 |
【人】 木峰 夏生[ 扉を開けて室内へ足を踏み入れた。 何度か経験してもこの瞬間は、多少緊張はする。 けれど今は物音がしなくて、 相手はまだ来ていないことを知った。 小さなバッグを足元へどさりと落として、 ソファに腰掛ける。 座面の感触、生地の滑らかさ、沈み込む身体を 適度に受け止める様に、さすがに高級品なのだろうと そんな下卑た感想を思い浮かべて。 ふと思い立って、スマホを確認する。 キスを求めるうさぎは既読になっていて、 思わず口元が緩んだ。 揶揄うことをなにより嫌がる海斗のことだ、 きっとムカついて怒ってんだろーなぁ、なんて。 ] (147) 2021/07/02(Fri) 22:51:34 |
【人】 木峰 夏生[これから爛れた夜を見知らぬ相手と 過ごそうというのに、頭に浮かぶのは そんなどうにもならないこと。 ひとつ首を振って、ちらりと腕の時計に目をやった。 扉の向こうで物音なんかがしたのなら、 立ち上がってそちらの方向へ歩きだそうと。 ]** (148) 2021/07/02(Fri) 22:53:50 |
【人】 木峰 夏生[ かちゃ、と鍵を開ける金属的な音が聞こえた。 よいしょ、と年寄臭いかけ声とともに立ち上がり 入り口まで数歩。 自分で選んでおいて、リビングから扉までの距離に 笑ってしまう。 どうやって掃除すんだろな、と庶民的なことを 思わずにはいられない、広く大きな窓。 全ての建物を眼下におくほど高くもなくて、 見晴らしとしてはとても素晴らしくて、 けれどそれを眺めていたいとは思わなかった。 ] (176) 2021/07/03(Sat) 9:40:36 |
【人】 木峰 夏生[ どーも、という声は、なんとか耳に届いた。 こんにちは、と、軽い会釈を添えて、 顔をあげたらお相手を確認して認識して、 社会人として鍛えられた警戒心を抱かせない笑顔を きちんと口元に浮かべて、ええと、 あ可愛い男の子だな、いくつくらいだろ、 いや若いな? うん、そうだな、弟くらいに見え、 っ、て、ええ? あれ? 待って?? ] (177) 2021/07/03(Sat) 9:42:35 |
【人】 木峰 夏生かっ…………!? [ 実際のところ時間にして数秒。 いろんな思考が湧き上がり脳内を駆け巡り、 最終的に導かれた結論はだだっ広い リビングスペースにまで届くほどの声になって 飛び出した。 ] (178) 2021/07/03(Sat) 9:43:37 |
【人】 木峰 夏生[ 自分の声に改めて慌てて、掌で口を 覆うようにして、大きく息を吸い込んだ。 目の前の彼の口が、あにき、と動いたあと 同じように息を吸い込むのが見えて。 他人の空似、ではないようだ。 俺のことを兄貴と呼ぶのは弟だけだから。 背中をじっとりと嫌な汗が伝うのがわかった。 ] (179) 2021/07/03(Sat) 9:44:41 |
【人】 木峰 夏生かいと、だよな、 ……? おまえ、なんでここに、 [ とりあえず口から出たのはそんな言葉。 それにかえってきたのは、答えじゃなくて。>>165 瞬きを二度、ゆっくり繰り返す。 動揺を顔から削ぎ落として、 いつもの兄の表情を浮かべようと、して、 ] ……そうだよ。 そうやって聞くってことは、ここがなんなのか お前も知ってるんだろうし、 今更取り繕ったりしねぇよ。 [ 口から出た声は、普段より少し低くなった。 海斗がマッチングを希望したとは思えなかったから この現実がなんの間違いなのかを確認しないと、と そんなことを思おうとした。 ]* (180) 2021/07/03(Sat) 9:46:45 |
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