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【赤】 浅見 律*** 薬を受け取っていない、と気づいた後も 私はあなたの元へ何かを言いに行くこともなく。 そうですね、最低だと思いましたよ。 ただ、迂闊だとも思いますけど。 万が一、があったらあなたは どうするつもりだったんだろう、と。 関係が変わってしまっても、 周りになにかを悟らせることは絶対になかった。 あなたの授業はいつも通り聞いていたし 事務的に何か話す機会があったとしても 私は普段通りに振舞って。 (*0) 2022/12/16(Fri) 2:38:38 |
【赤】 浅見 律ただ、変わったことがあるとすれば。 無断欠席 が増えていったこと。親は私がどう過ごしているかなんて どうでもいいし、関知もしていないから。 担任からしつこく連絡でも入れなければ 私の欠席など知りもしない。 (*1) 2022/12/16(Fri) 2:39:36 |
【赤】 浅見 律勿論、親が欠席に関して 何も言わないのは織り込み済みだったけど。 私は、あなたが担任だから 無断欠席を繰り返すようになったんだ。 時々出席して顔を見せていれば あなたは必要以上に踏み込んでこない。 その確信が、私にはあったから。 (*2) 2022/12/16(Fri) 2:40:07 |
【赤】 浅見 律無断欠席をして、 居場所のない私が何をしていたのか? 一夜の遊び相手を探して彷徨い歩いていた。 避妊も何もしなくていい、 そんな都合のいい提案をする女は 男からすれば魅力的、なのだろうか。 普通は怪しいとか思いそうなものだけど。 怪しいと思うほどの知能があれば そもそもそんな遊び方してないか。 私がしていたのは、 本当にただ、性欲を満たすためだけの、 女の子にとってリスクしかない行為。 (*4) 2022/12/16(Fri) 2:41:47 |
【赤】 浅見 律私が誘ったところで、と最初は思ってたけど。 探せば確かに誘いに乗ってくる男はいた。 なるほど、上玉って、そういうこと。 確かに困りませんでしたよ、先生。 (*5) 2022/12/16(Fri) 2:42:17 |
【赤】 浅見 律後腐れなく、一夜で終わる相手もいたし 抱き心地がいいから、と気に入ったのか 何度も行為を迫る人もいた。 薬を飲まされ、身体の自由を奪われて 輪姦されることもあったけど。 あれは流石に気持ち良くはなかったかな。 売春だと思われたのか、 ご丁寧にお金をくれる人もいた。 それも、学生に渡すにしては結構な大金。 受け取ろうと思っていなかったけれど 押し付けるように置いていかれてしまい 受け取らざるを得なくなってしまって。 でも、使い道を思いつかず、使えないでいた。 (*6) 2022/12/16(Fri) 2:43:10 |
【赤】 浅見 律そうやって遊び歩いてしてきた数々の性行為。 良くないものも勿論あったけど 基本的に、悪くはないものが多かった。 ただ、あなたの予想通りというべきか。 行為中にどうしてもあなたの姿がチラつく。 癪に障ることに忘れられないし、 あなたとしている時の快感を超えられない。 あなたの施したWマーキングWが しっかり仕事をしているせいで 他の男に抱かれていても いつだってあなたを思い出してしまう。 (*7) 2022/12/16(Fri) 2:44:14 |
【赤】 浅見 律この行為じゃ何も満たされない。 そんな当たり前の事実からようやく 目を逸らすことをやめた頃。 私は、数日間、熱を出した。 当然その間は学校を休んだけど。 何の連絡もしてないから、 先生からすれば無断欠席と同じだったはずだ。* (*9) 2022/12/16(Fri) 2:45:28 |
【赤】 浅見 律 熱を出した原因がただの風邪だとは思えなかった。 何せ、ほとんどの相手と避妊具なしの行為をしていて。 私はいまや、一般的な女の子の倍じゃ 済まないような人数と関係を持っていたから。 これでただの風邪だと思える方が馬鹿だ。 (*10) 2022/12/16(Fri) 17:53:27 |
【赤】 浅見 律だから、私は半ばある確信を持ちながら 病院を訪れて、検査をしてもらい。 結果から言えば、私の予想は見事に当たっていた。 HIV検査で陽性。 私はHIVに感染していた。 (*11) 2022/12/16(Fri) 17:54:00 |
【赤】 浅見 律 知った時、多少なりとも思うことはあった。 いくら私が人生を諦めてるとは言っても。 馬鹿なことをしたな、くらいは 思ってしまったし、 あんなことしなきゃよかった、とも。 (*12) 2022/12/16(Fri) 17:54:18 |
【赤】 浅見 律……元々壊れてた人生。 だから、壊されたなんて言う権利本当はないけれど それでも。私はどうしてもあなたが許せなかった。 無知で孤立した少女をいいように弄んで 玩具にして楽しんでいたあなたのことが。 こうなるきっかけを作ったあなたのことが。 私以外にも同じ思いをした子が もしかしたらいたのかもしれない。 その可能性に思い至ってしまえば。 もう、躊躇う理由なんて何も残されてなかった。 なんて、自分を正当化するための口実に過ぎないけど。 (*14) 2022/12/16(Fri) 17:57:18 |
【赤】 浅見 律 そう決めてからの行動は早かった。 あなたが馬鹿じゃないことくらい知ってる。 きっと、機会は一度しかない。 私に警戒心を抱かれてしまえば 多分もう二度と機会は巡ってこないし 私自身が、おかしくなってるのを誤魔化しきれない。 そう思ったから、思い付きではなく、 W準備Wをした上で、あなたを嵌めようと。 (*15) 2022/12/16(Fri) 17:58:08 |
【赤】 浅見 律*** 色々な準備を終えて。 胸に秘めた思惑を悟らせないようにしながら。 私は、授業の後に、話しかけた。 「入江先生……。質問が、あるんですけど。 放課後、空いてますか……?」 傍から見れば、勉強熱心な生徒が 先生に質問してるようにしか見えない。 最近休みがちだった生徒が 質問してたところで何の違和感もない。 一見すれば、ただの日常風景。 (*16) 2022/12/16(Fri) 17:58:55 |
【赤】 浅見 律あなたならこの意味、わかるでしょう? 誰かと来るなんて無粋なことはせず、 あなたなら一人で来てくれる。 そんな期待を、あなたはどう受け取ったのか。 (*18) 2022/12/16(Fri) 18:00:07 |
【赤】 浅見 律あなたが一人で資料室に来てくれたなら。 私はあなたにソファーへ座るように促して。 私も隣へと腰掛けて、あなたの方を見る。 「……質問、後回しでもいいですか?」 そう口火を切って、あなたの返答は聞かないまま 私は、顔を近づけて、唇を強引に奪う。 (*19) 2022/12/16(Fri) 18:01:20 |
【赤】 浅見 律 部屋にあなたが入る直前、 口に含んでいた睡眠薬を飲ませるために。 口移しであなたに含ませて、 飲み込みやすいように唾液を流し込んで。 あなたが薬を飲まざるを得なくなるまで、 深い口づけをやめることはなかった。* (*20) 2022/12/16(Fri) 18:02:16 |
【赤】 入江 修女というのは難しいしめんどくさい。 前に辞めた生徒…名前は、椎名だったかな。 あいつはもう飽きたから関係を切ろうとしたら すげーヒステリックを起こしたっけ。 それに比べりゃ浅見は利口なんだろうが それでもめんどくさいことには変わらない。 (*22) 2022/12/17(Sat) 23:53:41 |
【赤】 入江 修どうせ耐えきれずに帰ってくるのに どうもあいつは無駄な事が好きらしい。 俺はあいつがこの先向けてくる 大きすぎる感情を、侮っていたんだ。** (*23) 2022/12/17(Sat) 23:54:16 |
【赤】 入江 修資料室に浅見を呼ぶのをやめて数日 俺達の秘め事は外には漏れていないらしい。 流石というかなんというか。 本当に期待を裏切らないやつだと思う。 ただ一つ予想を裏切られたと言えば ごく一般的な教師と生徒を演じながら ひびだらけの平穏を営む内に 浅見が時折姿を消す日があったことだ。 (*24) 2022/12/17(Sat) 23:54:51 |
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