人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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到着:XIV『節制』 シトラ

【人】 XIV『節制』 シトラ




  ────……う……ッ あ
  みんな、やめて…………っ



[ しんと静まり返った洋館の一室に、
 絞り出すような呻き声が響く。
 窓辺からベッドを見守るように一筋
 蒼く月光が射し込んでいる。
 
 持ち主の手で大きく乱された毛布は波打ち、
 床には草臥れ薄汚れた犬のぬいぐるみが転がっている ]
 
(75) 2022/12/11(Sun) 12:58:56

【人】 XIV『節制』 シトラ




 
『だから言ったろ!!
  とっととこの村から追い出しちまえば良かったんだ
  この疫病神め!!!』


    
 『うぇえぇえんこわいよぉおおお』



 『シトラがやった。だってあたし、みたもん』



  
 『全部お前のせいだ!! お前さえ居なければこの村は……!!』


  
  『あいつってなんかいっつもその場しのぎだよな』



          『またあの小娘か忌々しい』


    『でさ、結局あんたって誰の味方なの?』

 

     
    『だがこの娘にはまだ利用価値が有る』

 
  
(76) 2022/12/11(Sun) 12:59:02

【人】 XIV『節制』 シトラ



 『『節制』を司る天からの贈り物、
   胸元に刻まれし正三角の痣が何よりの証。
   神は我らを戒める為 この娘を遣わされたのでしょう

      山向こうの集落に生を受けられたシャルレーヌ様のように
      我らもこの子を聖女として護り育て
      謹んで敬わねばなりませ──グアッ』




 
『貴殿の与太話などもう聞き飽きたわ!!』

        
          
 『すまない、守ってやれなくて』



  『どうしておねえちゃんがなくの?
    ころんじゃったのはぼくなのに……』


     
   『……ちょっと!! うちの子に何をしようとしたの!?』


 
  
(77) 2022/12/11(Sun) 12:59:09

【人】 XIV『節制』 シトラ




   ……めん、なさい ごめ、なさい
   わた、わたし…………っ


 
(78) 2022/12/11(Sun) 12:59:15

【人】 XIV『節制』 シトラ



  
『申し訳ありません村長様、どうか』


  
 『私らはどうなっても構いません
    ですからどうか、せめて娘が大きくなるまでは……!!』



 
(79) 2022/12/11(Sun) 12:59:19

【人】 XIV『節制』 シトラ



    うぁっ……っく……ごめ、なさ……………


[『ごめんなさい』

 重ねれば重ねるほどに
 誠実さを失って響くその言の葉
 何千回、何億回と繰り返すうちに
 呼吸より易くなってしまった
 こんな身勝手な音の紡ぎはもう意味をなさないの。

 赦しを乞うことすら赦されないと識っている
 解放を願うそれ自体が甘えだと、理解っている

 それでも、
 それでも、わたしは

 ねえ 誰か教えて。
 どうしたらわたしは、

 ……わたしは、どうして、こうなの ]
 
(80) 2022/12/11(Sun) 12:59:22

【人】 XIV『節制』 シトラ




  ごめんなさい、ごめんなさい
  ごめんなさい、ごめんなさい……!!



[ ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 息をするだけで軋む心の臓
 とめどなく押し寄せる罪悪感

 わたしにとって、
 死は、解放

 安寧を得るための唯一の手段。


 あなたがたが殺らないのなら
 わたしに、わたしを ]
(81) 2022/12/11(Sun) 12:59:28

【人】 XIV『節制』 シトラ




   ────……!!!


(82) 2022/12/11(Sun) 12:59:32

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ ──遠く近く、何処かから誰かの声が聴こえた。
 ぱたぱたと軽やかに駆けてゆく足音>>@0
 この足音の主を、わたしは知っている。

 明るくはしゃぐ声を扉越しに聴いただけで、
 やわらかな春の陽だまりのような無邪気な笑顔が
 目に見えるよう ]
 


   ……ゆ、…………夢



[ きちんと設えられた清潔な寝床。
 窓辺から射し込むまばゆい陽の光。

 微かに鼻腔をくすぐる、甘い花の香り
 ──安眠に効果があるはずのその小さな花は
 誰かの手で掻き毟られたように枕元に落ちていた。

 草の匂いが染み付いた右手を、水桶の水で流して
 床に落とされてしまったらしいぬいぐるみを拾い上げる。

 手垢と涙ですっかりくたびれてしまった白い犬ローティカを抱きしめれば
 頬を伝った雫はふわふわの毛に吸い込まれて溶けた ]
 
(83) 2022/12/11(Sun) 12:59:36

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ごめん、ね


[ もう一度強く抱きしめてから
 ベッドを整えてローティカぬいぐるみを寝かせた。
 顔を洗い、紅く腫れた目元が落ち着くのを待ちながら
 編みかけのカーディガンの最終工程に入る。

 ぬいぐるみ……は、きっとわたしよりも
 ずっと素敵に作れるひとがいるし
 紅茶もお菓子も、わたしよりずっと
 美味しく作れるひとがいる。

 大層愛らしい彼女によく似合う
 晴れの日に相応しい靴を見繕えるひともいるし、
 わたしには目利きの腕も学もないし、
 お祝いにどんな歌を歌えば良いのか、わからないし
 どんな言葉を掛けたら喜んでもらえるのかも、わからないし


 あのひとは、
 ……あのひとは、こわい。
 
 
 不意に脳裏に蘇ったわたしを見る硬い表情に>>62
 また目の奥が熱くなって、振り払うように手を動かす ]
 
(84) 2022/12/11(Sun) 12:59:43

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 何もできないわたし、
 何ひとつうまくできないわたしがたったひとつ
 「すこしは役に立てるのかも」なんて思えるのは
 編み物くらいだったから、贈り物は自然とこれになった。
 
 サイズは勿論のこと、
 毛糸の手ざわり、色、網目の模様、ボタンに至るまで
 着る人のことを思い浮かべながら今日まで編んできた作品が
 どんな風に受け止められるか知る日まで、あと一週間 ]**
 
(85) 2022/12/11(Sun) 12:59:59
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a16) 2022/12/11(Sun) 13:28:46

【人】 XIV『節制』 シトラ

──
廊下・『隠者』の彼女の部屋の前



  ──アリアちゃん
  いつものお薬……もらっても、いい……?

  ……うまく、眠れなくて


[ 繰り返す悪夢に魘されて眠れぬ夜が続くとき
 わたしは、決まってあの子の部屋の扉をたたく。

 お薬自体の効果は勿論あるのでしょう。
 『隠者』の証を持つ彼女の作るお薬は特別なもので、
 その効力のほどは、実際常用しているわたし自身が
 身をもって噛みしめているところ。

 けれどよく眠れるのは、きっとお薬だけの力じゃない。
 あの子の顔を見ると、あの子の声を聴くと
 ひつじたちの毛に頬を埋めたときみたいにほっとするの。
 それを口にしてしまえば彼女はどう思うか、
 きっと、……悪いようには取らないと思うけれど
 言葉にはせず心の内にしまい込んだままでいる。

 もう一度、扉を叩く。返事はない。
 程なくして、玄関の方から
 よく通り明朗に弾む、澄んだ声が響く。>>111
 一日半ぶりにチェレスタさんが帰ってきたのだ。]
 
(132) 2022/12/11(Sun) 16:38:00

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ アリスさんのお誕生日パーティーで
 お祝いの歌を歌わないか、との
 彼女の提案を、わたしも部屋の隅で聴いていた。
 誕生日には祝いの歌を歌うものなのだと
 わたしが知ったのは、この洋館に来てからだった。

 皆で同じ曲を、この世に生を受けた日を祝う詞を
 同じ旋律で、或いは異なる旋律で歌い
 それらが交じり合ってひとつの調和を織り成す。
 チェレスタさんの提案はわたしにとっても
 この上なく素敵な提案に思えた。

  でも、

 わたし、歌えるの?
 わたしが参加しない方がきっといい歌になる。
 メロディーも歌詞も一から覚えないといけないわたしは
 みんなの足手纏いになっちゃうんじゃないかな。

 参加しないべき……じゃないかしら。

  ──そんな想いが
  挙げかけた掌を背中へと引っ込ませる。

 おずおずとみんなの反応を窺えば
 少なくともアリアちゃんは参加する方針のようで>>112
 迷うわたしの心を見透かすように、
 そっと寄り添うような視線を送ってくれた ]
 
(133) 2022/12/11(Sun) 16:38:24

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 『あなたがしたいことをするのが一番』
 アリアちゃんはいつだって、
 やわらかな優しい声でそう言ってくれる。

 わたしがしたいことは何なのか、
 この洋館に来るまで改めて意識したことはなかったし
 それを疑問に思ったことも、ほとんどなかった ]

 
   わ、……たし
   わたし、…………も

   歌、って、みたい
   チェレスタさん、構わない……ですか……?


[ たった一言の意志を示す為に掛かった時間は
 現実にはほんの一瞬だったのかもしれない。けれど、
 わたしにとっては、途方もない挑戦とも呼べるものだった ]
 
(134) 2022/12/11(Sun) 16:38:56

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ たった一言の意志を示す為に掛かった時間は
 現実にはほんの一瞬だったのかもしれないけれど
 わたしにとっては、途方もない挑戦とも呼べるものだった。

 あれから毎日、時間さえあれば
 お庭の花畑の隅、人気のない木陰で、或いは自室で
 こっそりと歌の練習をしている。
 みんなの前で歌うのはまだ恥ずかしくて
 ごく限られたひとにしか、聴かせられていないけれど。

 チェレスタさんに教わったところ、
 すこしは綺麗に歌えるようになったと思う。
 荷解きが終わって、身体を休めて
 落ち着いた頃合いを見計らって、また見てもらおう。

 今はまず、「おかえりなさい」のお出迎えを。
 そう思って玄関の方へと足を向ければ
 探していた彼女の姿もそこに在った ]
 
(135) 2022/12/11(Sun) 16:39:34

【人】 XIV『節制』 シトラ

──
玄関前


[ 声を掛けるタイミングを見失って
 もごもごと、言葉と視線が宙を舞う。

 わたしが口を開けたのはきっと
 チェレスタさんと、はっきりと目が合ってから ]


  お、おかえりなさい……!
  お疲れさま、です

  あっ、あの、わ……


[ 『わたしもお手伝いします』
 そう言いかけて唇を噤む。

 触れられたくない荷物が入っているかもしれないし
 長旅で疲れているだろう彼女に
 余計な気を遣わせてしまうかもしれないし、
 第一、手伝いの申し入れはアリアちゃんが既にしていて。

 けれどチェレスタさんの荷物は、
 一人で運ぶにはどう見ても大変そうで ]
 
(136) 2022/12/11(Sun) 16:40:22

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ……わたし、にも 何か
  できること、ありませんか……?



[ 消え入りそうな声で紡ぐ。
 荷物持ちの手が足りそうなら
 お茶の準備をしに行こうかな。

 と言っても、わたしにできるのは
 売店でフォルスさんにお願いして
 疲れを癒すお菓子と飲み物を用意してもらう、くらい ]*
  
(137) 2022/12/11(Sun) 16:40:57
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a22) 2022/12/11(Sun) 16:46:36

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ──あ……っ

  
[ ヒナギクさん、とわたしが呼び掛けるより早く
 太陽より眩しいオレンジが、
 わたしを通り越して一目散に玄関へと駆けてゆく。>>148
 
 チェレスタさんの声が美しい清流のような音色なら
 ヒナギクさんの声は、軽快に弾けては咲う花のよう。

 はい、そうです。わたしも居ます。居ました ]


  そ、そう、……ですよね
  そう、ですか……?

 
(177) 2022/12/11(Sun) 21:09:30

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 彼女の『お手伝い要らないね?』に、おろおろと
 返事になりきらない独り言のような声が零れた。

 わたしは頭数に要らないかもしれないけれど
 ヒナギクさんは要るかもしれないし、
 それを決めるのは、チェレスタさんだ。

 自然と「どうですか……?」と
 答えを窺うように彼女を見てしまう ]
 
(178) 2022/12/11(Sun) 21:09:40

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 政府の広告塔として活動に励んでいる
 ヒナギクさんのお仕事の一端は、
 わたしも、洋館の広間のテレビで見たことがある。

 聴き慣れた声でくるくると表情を変えながら
 笑顔で証持ちについて語るヒナギクさんは
 薄い板越しにもやっぱり眩しくて、
 一挙手一投足がキラキラと輝いて見えた。

 ただそこに在るだけで場を暖め照らす『太陽』
 洋館でも、ヒナギクさんが居るところには
 楽しげな明るい空気が流れるように感じる。
 直接の会話を交わすことは少なくとも、居心地の良さゆえに
 そっと日常の一幕の隅に身を置こうと試みる
 そんなひとときは多々あったでしょう。

 その天真爛漫な煌々としたまばゆさに
 時折、ほんのすこし、目が眩むけれど ]*
 
(179) 2022/12/11(Sun) 21:10:03
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a31) 2022/12/11(Sun) 21:14:41

【独】 XIV『節制』 シトラ

/*
ぴええ……ヒナギクさぁん……!!
過去が、過去が……重い……っ

シトラは村のみんなたちの諍いに心を痛めてはいたし
直に酷いこと言われたりもしてはきたけど
優しい心を持てる程度に優しく大切にも扱われていたし、
もし泣くなって言われても
だからって笑顔は作れなかっただろうので
やっぱりヒナギクさんは強く映るし、眩しいんですよね

何も知らなくてごめんなさいの罪悪感が募って
またシトラ泣いてしまう……
今は心からの笑顔でも、
いつかヒナギクさんが無理に笑おうとしたとき
その違和感と己の愚かさにシトラが気付いてしまったとき
得体の知れない恐怖と悲しみと身勝手な尊敬と理解の追いつかなさで心がぐちゃぐちゃになってしまいそう……
(-38) 2022/12/11(Sun) 22:29:07

【独】 XIV『節制』 シトラ

/*
寝つきが悪くなって薬をもらおう!
の勢いの良さすき
アリアちゃんすきだあ……置いてってごめんね……
今世ではぜったいに置いていかないから……(ふらぐ感)

ほしねPの導入文が天才すぎる話まだしてませんね??します
創世神話という名の箱庭で起こった真実の数々
読み進めるうちリアルに鳥肌が立って泣いてしまいました
ほしねP凄すぎます 創造神ほしねP……!!
いったい何を召し上がってこられたらそんな神がかった世界を生み出せるのか……っ!!

アリアちゃんの入村文の参考書籍の執筆者名もこっそりすきです
ほしねさんだぁ……!!
(-42) 2022/12/11(Sun) 23:00:03

【独】 XIV『節制』 シトラ

/*
!!!
まって、待ってください 今気づきました

フォルスさんのお店に
巧妙なりんとホイホイが……っっ!!!

>>39>>39>>39>>39>>39

こ これは
おてつだいに おてつだいにいくしか
(-43) 2022/12/11(Sun) 23:23:34

【独】 XIV『節制』 シトラ

/*
あああああアリアちゃああん……!!!(´°̥̥ω°̥̥`)(五体投地)
(-61) 2022/12/12(Mon) 7:06:53

【人】 XIV『節制』 シトラ

──
回想・生まれ故郷の村


[ どんな些細な物事であっても
 村民みんなで話し合いをして決める。
 それが、わたしの故郷に古くから伝わる慣習だった。

 今年の放牧はいつからどこで行うか
 どんな毛織物をどれくらい、いつまでに、誰が作るか
 誰かの罠に偶然掛かった獲物を、どうするか
 祭祀を執り行う日取り、段取り、捧げ物の内容

 村に新たに生を受けた子の名前、
 死にゆく誰かの魂を鎮める葬送の儀

 そういう文化を持つ村だったから、
 『証持ち』のわたしの誕生以来
 その処遇を巡る話し合いは連日執り行われていたようで
 記憶にある限り、いつも揉めていた。]
 
(409) 2022/12/13(Tue) 0:08:35

【人】 XIV『節制』 シトラ



 『この娘は災いだ。一刻も早く村から追い出すべきだ』

   『ですが、一説には『節制』の証を持つ者には
    不老不死の妙薬を生み出す力があると……』

 『神より遣わされし聖女を私利私欲の為に利用するなど』

      『子は宝じゃ。たとえ証を持とうと、なかろうと
       大切に守り育ててゆかねばならん』



[ まだ幼かった頃は、会話の内容はよくわからなかった。

 それでも、
 時として罵声や怒号が飛び交う『話し合い』が
 他ならぬ自分のせいで行われているのだということだけは
 向けられるまなざしや表情で、幼心に理解していた。]
 
(410) 2022/12/13(Tue) 0:08:41

【人】 XIV『節制』 シトラ

 
[ お母さんもお父さんも、物心ついた頃から
 いつだって腰を深く折っては誰かに謝っていた。
 『話し合い』に連れ出される度に胸が苦しくなった。
 
 わたしと同じくらいの歳の子を連れたおじさんが、
 眉を吊り上げて声を荒げるのを見た。
 あのひとは、わたしの顔を見るまでは
 穏やかで優しそうな顔をしていたのに。

 顔にも手にも深い皺の刻まれた小柄なおばあさんが
 可哀想じゃないか、と顔を強張らせるのを見た。
 あのひとも、話し合いが始まるまでは
 わたしに微笑みかけてくれていたのに。

 わたしの、せいなの。

 村のみんなの表情が、声色が
 それまでとは比べ物にならないくらい一変するのが
 怖くて、怖くて、ただひたすらに怖ろしくて
 幼いわたしは抑えきれない感情のままに泣き叫んだ。
 すると話し合いは中断せざるを得なくなって、
 翌日に持ち越される。

 そんな日が、何日も何日も続いた。]
 
(411) 2022/12/13(Tue) 0:08:54

【人】 XIV『節制』 シトラ

 
[ ごめんなさい。ごめんなさい。
 おこらないで。なかないで……

 最初は、両親を真似るように。
 心身に刻み込まれた罪悪感は涙になって
 いつからか、とめどなく溢れ出るようになった。
 
 わたしが歳を重ねて成長するにつれて
 お母さんの泣き顔を見る回数も
 お父さんの身体の傷痕も、増えていった。]


  おかあさん、どうしてないてるの?

     ──ごめんなさい
     大丈夫よシトラ。必ず貴女を護ってみせるからね

  

  おとうさん、どうしていつもけがをしているの?

 
    ──ごめんな
     シトラ、お前は何も気にしなくていいんだ。
     俺がもっとしっかりしていれば……!

 
  
(412) 2022/12/13(Tue) 0:09:22

【人】 XIV『節制』 シトラ

 
[ ……そう言ってわたしの頭を優しく撫でてくれた両親も
 わたしを寝かしつけた真夜中、扉の向こうで二人
 何事か激しく言い争っているのを、一度ならず耳にした。

 『シトラ。貴女はあまりお外に出ない方が良いわ。
  母さんと一緒に、お家で編み物をしましょうね』

 それはきっとわたしを守るために
 両親が話し合って導き出した最善の道。

 わたしはただ、泣き腫らしたまま小さく頷いた。
 幼い我儘で両親をこれ以上困らせるより、
 聞き分けの良い子になるべきなのだと、そう思った。]
 
(413) 2022/12/13(Tue) 0:09:33