人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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視点:


【置】 雷鳴 バット

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To Gymnasium

 親愛なるギムナジウムの皆々様、此度の申し出を受けていただき有難うございます。
 我々といたしましても、愚息の病気には大変困らされていたところです。
 あのButtlicker(おべっか使い)は我が家の名に相応しくない行いばかりをしては、
 我々をたいへん困らせていた厄介者にございます。

 愚息の病は我々にとってもたいへん手に余るものであり、つきましては、
 その身柄に関して如何様にしていただいても構わないと考えております。
 どうぞそれが治りますまで、或いは皆々様の用立てが済みますまで、
 永く、末永くめんどうを見ていただけますよう、よろしくお願いいたします。

 もし、何かありましたならば、こちらからも支援をお出しいたしますので、
 何卒我々の名に傷のつかないように内々に済ませていただきますよう、
 強くお願い申し上げます。その為のご協力は惜しみません。
 
 皆々様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

                              From Sierra Chiesa

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(L0) 2022/05/08(Sun) 22:07:01
公開: 2022/05/08(Sun) 22:10:00

【置】 雷鳴 バット

【生徒名】ミゲル・キエザ/16歳/男

病名:ヴコドラク症

先天的な身体症状、MPAs(些細な身体異常)を伴う症候群。
母子感染の疑いがあり、血液内部から関連すると思しき因子を発見、病原と確定。
古くは狼の皮で包まれた子供、狼の羊膜に触れた赤子が感染するといわれていた。

内臓疾患として、繊維質や糖質の難消化、吸収阻害があげられる。
そのため食性として肉や魚のみが安定して口にできる食事となり、
またビタミン源としての役割か、生肉や腐食した肉類であっても摂取して問題はない。
生家ではそれを厭ってかまともな食事は与えられておらず、
聞き取り調査から推測するに、残飯等が主に与えられていたと見られる。

また、MPAsの例として、肉食獣様に尖った牙や爪、合指症(指の間が一部癒着する症状)、
獣毛や関節異常などが見られる。これはヴコドラク症に伴う共通した症状であり、
それ以外の要因としてよりかは病気由来の先天的畸形であると定義してよい。

反社会的な行動が見られるのは継続的な栄養失調からなる行為障害であり、
所謂反社会性人格障害からなるものではないことを当人のカウンセリングにより確定した。
飼育小屋の畜獣を"誘拐"した行いについては、当施設としても許されるものではないため、
一旦は飼育委員からの除名と二週間の清掃義務を以て処罰とする。

継続的な栄養摂取状況の改善に至るまでは、ビタミン剤および一食200gの生肉を与えること。
これについては厨房担当者に一任し、またそれを以て栄養記録とする。
決して優生学的な結論のみに終始しないよう、総合的な判断を下すこと。
今後も経過観察を続ける。
(L1) 2022/05/08(Sun) 22:07:18
公開: 2022/05/08(Sun) 22:10:00

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

ちょうど、貴方が役目を終えて、或いは務めを終えて。
食堂を囲む空気も、人々が表に戻ってきたことで徐々に緩んできたところだろう。
数日前にそうしたように貴方の部屋の扉を叩いて、
今度は手紙を挟まず、姿を現すのを待った。
手にはほんのちょっとだけ包んだ、お弁当というにはこころもとない麺麭が少し。
飲み物だとかは、気が回っていないかもしれない。
(-8) 2022/05/10(Tue) 0:06:23

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

ノックをすれば、扉の向こうで小さな物音がする。
足音はだんだん近づいて、数日前と同じように扉が少し開いた。
人一人分の隙間から、ひょこ、と見慣れた顔を覗かせる。

「?」

用件はなんだろう、と首を傾げてから
あなたの顔と、手に持ったものを交互に見た。
それから黒板にいくつか文字を書いて、裏返す。

『こんにちは』
『お部屋に入りますか?』
『それとも外へ?』
(-9) 2022/05/10(Tue) 8:13:07

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

貴方の顔を見れば、なぜだかちょっとほっとしたような気分。
何に加担していたかなんていうのは知らないはずなのに、獣の勘か。
それとも単純に、まだ"神隠し"の余韻が不安を掻き立てるのか。
ともかく姿を見せた貴方に、いつもののんびりとした声が言う。
もうじき夕も回ってくるから、そのうちそれも戻るかもだけど。

「外で」「せっかくだし」
「おやつでも、どうかな」
「手袋のことも」「あるし」

少しの荷物、少しの猶予。
夕飯までのほんのちょっとだけの空き時間。
いつでも切り上げられるくらいの、軽い話をどうだろう。
(-10) 2022/05/10(Tue) 12:20:26

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

「!」

心地よい早さののんびりとした声に耳を傾けていたら、手袋の話があがる。
この間の夜に、今度聞かせてほしいとねだった話だ。

折角の誘いを断る理由も見当たらない。
共に過ごす時間は良いものだから。
するりとドアの隙間から身体を出して、ぱたんと閉じる。
青年の袖を掴んで、歩いていく準備は万端だ。
あなたが歩いていく先に自然とついていくのだろう。
(-11) 2022/05/10(Tue) 20:32:06

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

バスケットに入れるべきだろうパン、剥き出しの小麦の匂い。
共有スペースに降りたところで、はっとしたように思い出して。
慌てて、というには悠長に自分の部屋に戻ってティーセットを取りに行ったり。
どこか段取りも悪くてそそっかしい動作で、出掛ける準備を終えて。

足を踏み入れた先は中庭の見えるテラスだ。
遠くには子どもたちの声も聞こえ、森から近いわけでもなく。
夕の日が落ちてしまったならば、ぱっと明かりもつくだろう。
テーブルにいそいそと持ってきたものを広げて、お茶を入れる。
ガラスのポットの中で茶葉とお湯が触れ合うと、花のような香りが漂った。
果実や花弁を乾燥させた、ノンカフェインのフルーツティーだ。

「ラピスは」「……好き嫌いとか」「ある?」
(-13) 2022/05/11(Wed) 1:58:10

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

忙しないようでいて、ゆったりと整えられるお茶会の席。
手伝っててきぱき終えてしまうより、この風景を見続けていたくて大人しく待っていた。
大方の準備ができれば『ありがとうございます』と添える。
お茶の香りがふわりと漂うのを感じながら、嗜好について考える。

『嫌いなものは特にありません』
『甘いものは好きです』

はちみつを入れたホットミルクとか。
共有スペースにあるお菓子もよく食べる。
食堂で朝の食事を選ぶ姿を見かけていれば、特段好き嫌いなく過ごしている様子を知っているかもしれない。

『バットくんは好き嫌いがありますか?』

少しの食事だけを取る姿が、なんとなく印象に残っている。
(-14) 2022/05/11(Wed) 9:34:25

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

ゆったり、いつもと違う場所で行われる準備は時間がかかったけれど、
整ってきたなら次第に手元の動きも落ち着いてきた。
ベリーと同じ色の花開くポットの中はルビーのような色をして、
軽く蒸らしてからカップへとそそがれる。

「……ある」
「嫌いというか」「食べられないもの」
「でも」「見られると、気味悪がられるから……」

ぽつ、ぽつと話す言葉は引っかかりも多く、言いづらそうに。
途切れ途切れの言葉の合間はいつもよりも間が空いて、
歯切れも悪く、言うかどうかを迷うように。
それでも、自分の中の障壁を超えようとするように順を追って。

「……聞く?」
(-15) 2022/05/11(Wed) 13:00:52

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

静かにその手元を見て、赤色が注がれるのを待つ。
歯切れ悪そうな速度で語られる言葉をひとつひとつ拾って飲み込んだ。
その中の気味悪がられる、という表現が引っ掛かる。

『バットくんが話してくれるのなら』
『聞きたいです』

それがこの場所にいる理由の一つなのかもしれないと思う故に、続きを聞きたいと願った。
(-16) 2022/05/11(Wed) 21:43:25

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「……」

安堵したような、余計に緊張の強まったような。
息をして、続ける言葉を頭の中で作る。広げたパンを一つ手にとって。
それを例に、と切り出した。

「例えば僕は」「これは、食べられなくて」
「お腹に入れた時、に、受け付けない」
「飲み込むことは出来ても、あとで戻したり、消化できなかったりする」

青年はいつも、朝食の席では少量スープや小さなビスケットを食べるふりをするくらい。
人前できちんと食事をしている姿は、見せたことがほとんどなかった。
そのくせ長らく食事を選ぶ列に並んでいるのは。

「だから、食べられるものだけ選んで……」
「こっそり、別の場所で食べたりしてた。人に見られると、よくないから」
「パンとか、野菜とかは食べられなくて。肉なら、だいじょうぶ」
「好き嫌いはだめ、って言う人もいた……」

そこで一度途切れた。もう一段、高い階段を上がるように。
息を吸って、吐いて。椅子の上の身体は、その上に据わった頭をうつむかせた。

「それ、で。……それだけじゃ、足りなくて」
(-17) 2022/05/12(Thu) 0:29:36

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

自分にとっては普通に食べられるパン。
手袋は脱いで、一つ取ってまじまじと眺めるように持つ。
美味しそうな小麦の匂いがした。
折角差し入れてもらったものだから、一口程度にちぎって口に運ぶ。

訥々と語られていく青年の事情を聞いて、あの夜に見聞きしたことがひと続きに結びつくような感覚に包まれる。
兎のこと。血のついたリボンのこと。
手袋の下に感じる、微かな疼痛。

『だから』
『森に行っていたのですか?』

肉なら大丈夫。
その言葉と、牙を突き立てたあの行動が朧げに重なった。
(-18) 2022/05/12(Thu) 1:31:43

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「……そう」

頷く。森に毎日入る理由、飼育係を志願した理由。
尖った牙の理由から、それを突き立てた理由まで。
何もかもが一つの線で繋げられる。

「森に入って、罠を仕掛けて。
 それでも何も穫れない日が続いたら、"そう"した。
 見つからないように埋葬して、隠してた。
 それが露見したから、……」

暗に指し示されるのは、大人に連れられた神隠しの日のこと。
本当はもっと別の理由なのだろうけど、青年からすると心当たりも理解もなく。
そんな体たらくなのだから、青年に関してはエネルギーの取得は上手くいかなかったかもしれない。
どちらにせよ、何もかも今は終わった話だ。

「……怖い?」
(-19) 2022/05/12(Thu) 7:07:17

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

指の先で、塞がった傷の跡をつい、となぞる。
かさぶたがその形に合わせて凹凸を伝えた。
あの時、自分はどんな感情になっただろう。

『上手く言えませんが』
『怖くはないかもしれません』
『驚きはしました』

本来は恐怖を覚えるのが正しい防衛反応なのかもしれない。 
突然のことに瞠目したのは覚えている。
実際に話を聞いた今も、恐ろしいというよりは。
これはもしかすると同情だとか、苦労を慮るような、そんな気持ちのように感じられた。

『身体が受けつけないものは』
『そういうもの、なのだと思います』
『治したいと考えるかは、また別のことなのでしょう』

克服できればそれに越したことはないのだろうけれど。
全てを否定をされることもないような。
どちらにせよ今の青年を形作る一部なのだと認識した、 
(-20) 2022/05/12(Thu) 11:53:34

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「よくないことだって、わかってる。
 食べ物じゃない生き物は、かわいそうだ。
 でもそれ以外に、苦しいのをどうにかする方法はなくて……」

事実だけを話すように心がけても、どうしても上手くいかない。
ぽつぽつと語る言葉は次第に心情や不安を吐露するほうに至っていく。
わかってほしい、と。そう思ってしまうからなのかもしれない。
上がらない視線は時々振れるようにテーブルの上に浮いては、またカップの底に沈む。

「今はどうにかする方法を考えてくれるって。
 けれど、それ以外のことはどうしたらいいんだろう。
 自分がどういう人間か、"病気のこども"じゃなくなるのか。
 ちゃんとふつうの人みたいに、物を感じたりできるのか、……」

いつか貴方の指に牙を突き立てた時、自分の中にはどんな感情があっただろう。
それはまだ未完成の心を持つ青年にはわからない、人間的な慕情なのか。
それとも獣のような、狼のような、獲物に対するそれなのか。
答えが出る日が来るのかさえ――
(-21) 2022/05/12(Thu) 20:48:48

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

『わからないものは怖いですからね』
『わかるようになれば、怖くなくなるのかも』

浮いては沈む瞳を真っ直ぐに見ていた。
未知への恐怖。
理解できないものへの恐怖。
それがそのままであるかもしれないことへの恐れ。
そういったものも存在しているのだろうか。
吐き出される不安の全てを理解してあげられなくても、理解したいとここに居る自分は確かなものだ。

『可哀想と感じる気持ちがあるなら、
 バットくんには心があるのだと思いますよ』

どうしようもなく獣に変じ切っていれば、獲物への憐憫は感じ得ないだろうから。
いつになるかわからないけれど、答えが欲しいのなら、そのいつかを目指して歩まなければならない。
それもまた事実なのだろう。

『私は』
『バットくんと一緒にその答えを考えたいです』

いつか、先生になりたい。
誰かのわからないを助けられる人になりたい。
受け入れられるのなら、そうありたかった。 
(-22) 2022/05/12(Thu) 22:58:02

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

瞼はゆっくりと瞬きをする。喉の奥、凝りになったものをのど飴が解かすように。
吐き出した息を反動にするようにようやく目を上げて、貴方の瞳を見た。
落ちかけの陽を受けたテーブルの上を這うような視線は、どこかに縋るものを求めている。

「心」
「……かわいそうだと、思えるなら」

少しだけ、ずいぶんと時間を掛けて迷いを心に留めたなら。
机の上に置かれた手にもう片方の指をかけて、迷って。
そっと、いつも指先まで隠しきっている手袋を外した。
その中から現れた肌には微かな獣毛と、鋭い爪が携えられている。
どちらも"ふつうの"人間にはありえない、まるで獣のようなそれだ。

「まだ、ずっと。僕は病気を抱えている間、答えがほんとのものかも迷うのだと思う。
 いつだって、見えるところに僕を否定するものが、あるから。
 ……少しだけ。ほんのすこしだけ。
 僕の中のなにかを、君に預けても、いい?」

いつか、貴方が自分を導いてくれるなら。
自分の中のわからないを助けてくれるなら。
受け入れられると、信じていいのだろうか。
(-23) 2022/05/13(Fri) 7:26:07

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

『もちろんです』

自分にできる範囲なら、喜んで受け入れよう。
皆どこかが普通ではないこの場所で何かを見つけられたなら良い。
不安を湛えた瞳を見つめ返して、肯定する。

『一緒に迷えば、きっと気持ちも楽になります』

手袋の下から現れた獣毛と爪。
鋭い牙と合わせて、獣を想起させるものであることは間違いなかった。
けれど今の青年の一部であることもまた間違いのない事実で。
それを握ろうと、夜を映した宝石の手が伸ばされる。
無機質なようでいて、血の通った小さな手。

この両手に掴める分くらいは、青年が抱えた何かを預かれると信じていたい。
 
いつか普通を手に入れるのか。
いつか普通じゃないことを肯定できるようになるのか。
それすらも曖昧だけれど、答えと呼べるものに辿り着くために歩もうと思えた。
(-24) 2022/05/13(Fri) 11:23:47

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

互い違いの指に重ねるように、少しだけ力を加えた。
陶器のようにつるりとしたそれが、壊れてしまわないように。
いつだかもそうした指の合わせは、以前よりもほんの少しだけ確かなものになった。

「……一緒に、迷ってくれる?」

問うたけれどその答えはわかっていた、わかっていると思っていいと感じた。
投げかけられる光が柔らかい月のそれに入れ替わって、表情を変えても。
青い光に照らされる貴方の優しさが変わらないことを、
あの森の中での一件があってからもこうして言葉を交わしてくれることで、知っている。

「ずっと。答えが見つかるまで。
 ……僕と一緒に、いてほしいな」

大きさの違う手で、青い指を包み込んだ。小さくか細い指。
どんな心を抱いているのかはまだ、判然とはしないけれど。
貴方なら、己の手をとって導いてくれるような気がして。
(-25) 2022/05/13(Fri) 20:04:55

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

少し前までは微かに引っ掛ける程度であったそれが、今はより確かなものになったことは少女にもきっと伝わっていただろう。
問いかけの答えも、決まってる。
脆いこの身を傷つけないようにとしてくれる青年も、同じように優しさを持っている。

──ずっと一緒です。


音にならない、吐息と唇の動きがそう紡いだ。

青い光を注ぐ月の下。
花の香りが仄かに漂うテーブルの上。
大きな手と小さな手で、これからを願う約束が交わされた。
(-26) 2022/05/13(Fri) 20:36:34