人狼物語 三日月国


109 毒房のその先で

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貴戸 高志 貴戸 高志

【恋】 貴戸 高志

「…………ん」

掠れた音が唇からこぼれて落ちるも、意味のある言葉にはならなかった。

ここ数日嫌と言うほど夢を見ていたのに今日は見なかった。深い深い眠りの底に沈んで、離れがたい温かな安寧に包まれて。
このままずっと気持ちのいい場所に浸っていたいと、普段は強靭な知性と意思で固められ姿を見せずにいた素直な本音が駄々をこねる。

ああ、でも。

『……高志、』

何より好きな声がする。
それなら、自分がいく世界は一つしかない。
(?2) 2021/11/28(Sun) 17:55:04

【恋】 貴戸 高志

己の肩を揺する手を掴もうとする。
掴めたならそのままくいと軽く引っ張るだろうし、そうじゃなくても楽しげな色を含んだ吐息が溢れるだろう。

「………………ふふ」

かさりと控えめな音を連れて緩慢に体を起こす。
枝垂れた藤の花のような髪が肌を、服を、貴方の手をそうっと撫ぜていく。でも、髪だけでは全て隠すことは叶わないから紫色の瞳はもう一つの花が少年の体に咲いているのを捉えてしまうかもしれない。

喉から首、そして肩にかけて。滑らかな肌の上。貴方からもらった名前のない赤い愛の花を抱いたまま、小豆色の瞳はこの上なく嬉しげに弧を描いた。

「おはよう、あかつき」

いつも通りの冷静さは、まだ少しだけ海の底。
(?3) 2021/11/28(Sun) 17:55:42

【恋】 貴戸 高志

ほのかに顔を赤らめる恋人が可愛らしく思わず頬が緩む。

ひりつく痛みが無いと言えば嘘になるが、我慢できないほどではないし何より貴方から貰ったものだと思えば些細な痛みすらも愛しく思えてしまう。

「……そうだな。頼んでもいいか?」

でも、こうした方が貴方と触れ合える。

本心をこっそり隠して貴方にお願いした。捕らえていた手を離し、くたりと全身の力を抜く。
(?5) 2021/11/28(Sun) 19:25:21

【恋】 貴戸 高志

「…………ぁ、…………ぅ」

貴方の力が己の傷を癒してくれるものだと分かっていても、齎される方法は昨夜の出来事を彷彿とさせるもので。
舌が肌を這うたびに体は震え、じくりと奥底から熱が込み上げてきそうになる。すっかり芽生え、花開いてしまった被捕食者としての破滅的な快楽は忘れられそうにない。

「……っは…………ありがとう、暁……」

行為を終えて唇が離れる頃には僅かに瞳が蕩けつつあった。けれど眠りの海に揺蕩っていた理性などは何とか手元に戻ってきたのだろう、その口ぶりは普段通りの落ち着きを見せ始めている。

「……ふふ、それにしても珍しいな。普段起きるのが遅い暁が朝早く、それも俺よりも先に起きるなんて。
俺が起こすと約束したのに、すまないな……それで、今は何時だ……?」

なんということでしょう。この少年、まだ朝と呼ばれる時間帯だと思っている。
(?7) 2021/11/29(Mon) 15:56:53

【恋】 貴戸 高志

なんて穏やかな時間なのだろう。
恋人の優しげな笑みで胸の内がそっと温められていく。先程の身を焦すような熱ではなく、包み込んでくれるような和やかな温もり。

愛しいそれを享受しながら、今日一日どう過ごそうか思案する。そうか、今は14時だから……。

「…………は?」

今なんて?

「昼の14時?」


ゆうべはおたのしみでしたね。
(?9) 2021/11/29(Mon) 16:08:31
貴戸 高志は、慌てて飛び起きた。移動もなんかよろよろしていた。
(a6) 2021/11/29(Mon) 16:10:08

貴戸 高志は、暁に身支度整えてくると手短に伝えて風呂場へ向かったのだった……。
(a7) 2021/11/29(Mon) 16:13:57

【人】 貴戸 高志

すっかり明るい時間帯。
何やら客人や家族がいる居間の外から慌てたような忙しない足音が響く。

それからしばらくした後、三人がよく見かけているであろう溌剌とした雰囲気を纏う少年が居間にやってきた。

「おはようすまない寝坊した」


クソデカボイスも健在である。
ただ、シャワーを浴びた後髪を乾かす時間を十分に取らなかったのか少しだけしっとりまとまっているし、普段通りの様子とは言え声が若干掠れていた。

ケチャップライスにだし巻き卵、それからポテトサラダが並ぶ食卓の席に着く。
朝早く起きて食事を用意出来なかった事への申し訳なさがちょっぴりあったけれど、ねぼすけな恋人が自分より早く起きて動いていたという珍しさと愛しさにもほんの少し心が躍っていたのは確かだった。
(9) 2021/11/29(Mon) 16:21:42
貴戸 高志は、迷彩 リョウの頭をひとつ撫でた。
(a11) 2021/11/29(Mon) 16:52:01

【妖】 貴戸 高志

暫く前のことだ。夢を見ていた。

自分は実家の離れにいた。実兄が女性を殺し、紛い物の自由を得るために己が偽装工作に手を貸した犯行現場だ。

けれど夢の中のそこには荒れた形跡一つ無い。
兄もいなければ殺された女性もおらず、まるで何も起きなかったかのように何もかもが綺麗なままだった。

ここで時間を過ごしていても何の益もないと判断し、襖に手をかける。
($0) 2021/11/29(Mon) 17:07:50

【妖】 貴戸 高志

隔たり一枚を滑らせてどかした先。
離れの向こう側は何もなかった。文字通り、天も地も、世界を形成するもの全てが存在していないのだ。

ただただ、全てを飲み込む闇が広がっているだけ。
意を決してその虚無に身を躍らせても何も変化がない。気付けばまた離れの客間に立っている。まるで己の行動に意味などないと嘲笑うように。

時間の流れが把握できない場所で思考することすら馬鹿馬鹿しいと思えるくらい立ち尽くし、或いは座り込み。自分もまた物言わぬ風景の一部と化した頃に視界がぼやけて意識が遠のく。

そこで夢が終わる。その繰り返し。
連日それが続いていた。

愛する者たちが傷つく内容の夢であれば嫌悪を催していただろうが、ただただ自分がもう縁のない過去の場所に佇むだけの意味などない内容だ。

家族には黙っていた。
($1) 2021/11/29(Mon) 17:08:10

【妖】 貴戸 高志

貴戸本人は意味のない、価値すら見出せない夢だと切り捨てていたが。
水面下で、本人に知覚できないところで、夢は静かに少年を蝕んでいたのかもしれない。
或いは、意識していない不安の芽がそのまま夢として表出してしまったのかもしれない。

生きやすいようにと邪魔なものは一切捨ててきた少年。
その中には一般的な家庭で育った者であれば当たり前のように手にしていた温もりなども含まれる。

多くの者にとっての当たり前を、少年はそれこそ当たり前のように投げ捨てた。

敷かれたレールを歩くには不要なものだったから。
($2) 2021/11/29(Mon) 17:08:40

【妖】 貴戸 高志

そのツケが今、こうして当たり前の温もりを感じ取れる世界に歩き出した際にやってきたのだろう。

自分は闇谷暁に同じくらい気持ちを返せているだろうか?
自分は迷彩リョウを温かな世界に導けているだろうか?

分からない。今まで積み上げてきたもの全てを手繰り寄せて思い返しても、参考にできそうなものなどろくに無かった。

家族とは血と責務と系譜でしか繋がりが無かったから。
($3) 2021/11/29(Mon) 17:09:00

【念】 貴戸 高志

ああ、それでも。

紫色の瞳が脳裏によぎる。
無邪気な家族の声が木霊する。

己と共に歩いてくれる大切な人が出来た。

上に立つのではなく、隣に並んで。
(!0) 2021/11/29(Mon) 17:09:24

【念】 深林のように、家族と 貴戸 高志

「…………あたたかいな」
(!1) 2021/11/29(Mon) 17:12:44
貴戸 高志は、もうがらんどうの夢を見ることはないだろう。
(a13) 2021/11/29(Mon) 17:12:58

貴戸 高志は、弱くても、分からなくても、もう平気だ。線の外に、足を踏み出せる。
(a14) 2021/11/29(Mon) 17:14:57

貴戸 高志は、大切な者たちを、愛している。
(a15) 2021/11/29(Mon) 17:15:17