人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 路地の花 フィオレ → 夜明の先へ ニーノ

「あら……珍しい、フレッドの方から来てくれるなんて」

あなたがぎゅうと強く抱き着くと、驚いたような顔をするけれど。
すぐに穏やかな笑みを浮かべて、少しだけ低い位置にあるその頭を撫でてやる。
フィオねえだよ、と優しい声で口にして。
あなたが熱を出してしばらく会えなかったあとに、久し振りに再開するとこんなふうに顔を埋めてくれたっけ。なんて懐かしく思いつつ。

「解放されたばっかりなんだもの、私だってこうしたかったわ」
「だから気にしないで、ね」

ちょっと座ろうか、とベンチを指して。
話が短くたって、まだ出所したばかりなのだ。体力が心配だ。

そうして落ち着いた状態で、あなたの話を聞くことになるのだろう。
うん、うん、と口を挟まずに相槌を打ちながら。だんだんと表情は曇っていく。

「そう」
「街を、出るんだ。……気軽には、会えなくなっちゃうのね」

寂しいな、と。飲み込めずにいた言葉は素直に口をついて。
しょうがないことだとは分かっているのだけれど。

「でも、フレッドが決めたことなんだもんね」
「お姉ちゃんなら、応援しないといけないよね」
(-320) 2023/09/30(Sat) 17:47:57

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



お揃い、果たして喜んでいいものか。
男は薄く微笑んだまま、君の話を聞き、頷いている。
やがて、緩慢に口を開いて。

「…君が、そうして笑って道を考えられるようになって
 多分俺は、凄く嬉しいんだと思う」

あの日もここで語り合いはしたけど、
あの日の君は迷路の中で、とても苦しそうで。
まるで、自分を見ているようだと思った。

「君なら大丈夫、そう思ったことも嘘じゃない」

「………本当に、俺達は似ているのかもしれないね。
 俺は尊敬や感謝を貰うような人間じゃない、けど。
 あの日の君の"希望"になっていたのなら、良かった」

振り回されたとは言わないし、あの日のように、
君の頭を撫でる手はない。代わりに少しだけ身を寄せて、
君の肩にトンッと少し触れようとする。

「きっと君はこれから大変だろうし、
 自分の道で歩む分、色々と考えることも増えるだろう。
 だから、大丈夫じゃないって少しでも心が揺れたら、
 いつでも──俺に甘えておいで」

どこまで頑張れるかは分からない。
だけどもう少し、頑張れる間は君を見守っているつもりだ。
(-329) 2023/09/30(Sat) 19:01:24

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

耳元で落ちる優し気な声は、昔から聞くそれとずっと変わりない。
この声がずっとあったからニーノを手放しても自分フレッドを思い出せる今がある。
その名を呼び続けてくれた感謝も込めて、抱きしめる腕の力は強かったのだろう。
同じ気持ちを抱いてくれていたと知れば安堵をしながら、指されたベンチに隣同士に座る。

「…………ううん」

「応援してくれたらさ、すっごくうれしいけれど。
 いやだなって怒ってくれてもいいんだよ。
 止めるのは難しい、んだけど……」

それでも感情に蓋をしていつか煮凝ってしまうのなら、今自分にぶちまけてくれたっていいとも思う。
自分だって寂しいから、隣に座る貴方の指先を左手で撫ぜた。

「……オレも弟だからって。
 ねえさんのすること全部に応援はきっとできないから」

そうしてぬくもりを感じながら開いた唇が伝えるのは。
あの日から貴方に話したかったこと、届けたかったもの。

[1/3]
(-353) 2023/09/30(Sat) 21:57:20

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

「ねえ、フィオねえはやっぱりさ……マフィア、なんだよね? 
 にいさんとおんなじ」

「あんまり何してるかって詳しくないけれど……誰かの命を奪うことも、あるんだよな。
 そういうのが必要なときがあったりとか。
 ……何かあったときに、そういう手段が取りやすかったり、とか」

脳裏に過るのは今でも思い出せる一瞬だ。
あの時酷く痛んだ胸がまだ疼く心地がする。
大事な人が、大事な人を撃ったこともそう。
……それから、もうひとつも。


「でも、オレはさ。
 そういうの、あんまりねえさんにしてほしくないって思う。
 人生の中で選択に悩んだときに……それが並ぶようになってほしくない」 

「オレは、そう思ってる。
 ……ねえさんが大事だから、思ってる」

綺麗ごとだけで生きていけないのは知っている。
憎しみや悲しみが簡単に片の付けられる感情ではないことも。
だからこれは貴方の行為を否定したいがために紡ぐのではない。
誰よりも大切に想う貴方の前だからこそ、これ以上を偽ることなどないように。

「だからねえさんのこと、応援できないこともあるんだ」
「…………でもね」

そうしてその先に、一番に伝えたいことを伝えられるように。

[2/3]
(-354) 2023/09/30(Sat) 21:58:15

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ


「もしねえさんがこれから先、何をしたって。
 どんな罪を犯すことがあったって──」

ぎゅう、と。
今このひと時だけは、誰よりも近くに自分がいる。
その証明をするみたいに手を強く握った。

「──オレの "だいすき" は変わらないから」

「辛くて苦しいときは、傍に居たいし。
 涙だって拭ってあげたい。
 世界で誰よりも、ねえさんの一番の味方で居たい」

今までみたいには簡単に会えなくなる。
涙落ちるときに傍にはいられないかもしれない。
だけどもしまた、貴方の心が暗闇に落ちることがあるとき。
今のこの瞬間が微かでも光を届けられたらいいと、願って。

「そう思っている弟がいるってこと。
 離れてもずっと……忘れないでいてねって」

「伝えたかったんだ、今日」

そうして笑みを浮かべて、その顔を覗き込んだことだろうか。
受け取ってもらえるかなあ、そんな期待を込めた瞳を細めて。

[3/3]
(-356) 2023/09/30(Sat) 22:01:20

【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ

「あはは。
 尊敬とか感謝は、勝手に手渡されちゃうんだよ。
 貰うべきじゃないって思っても……貰って?
 だってせんぱいがしてきたことの結果なんだ」

例えそれが貴方が本当に見せたい姿じゃなかったとして。
その中で救われた人間がいたことをどうか覚えていてほしかった。
肩に触れられるのを拒んだりしない、あの夜と同じ。
誰かに触れられるのはずっと怖かったけれど、今は目を瞑ることも震えることもない。
時計の針がようやく動いた気がした、だからこちらからも体重を少し返す。

「……うん、ありがとう。
 せんぱいの大丈夫のおまじないは、効くからなあ」

「でも大丈夫じゃなくなっても、すぐには来れないかも。
 オレ、この街を出ようと思っててさ。
 事情は〜……ややこしいんだけど、居ない方がよくって。
 顔を知ってる人に色々見られるのが困るっていうか……」

見回りだけは元気に行っていたものだから、警官としてのニーノを知る住人は多い。顔見知りも。
彼等にはニーノは死んだことにしないといけない、提出された死亡診断書が真実となるように。
だから。

「……だからね。
 今までみたいに毎日って会えなくても。
 忘れないでいてほしいし、……見守ってくれてたら嬉しいって、なんというか」
「こ、心で……?」


言葉通りの見守りというよりかは、心持ちというか、こう……言葉が少しふんわりした。
(-357) 2023/09/30(Sat) 22:20:19

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

そわりとこちらも扉が開くまでを待っていたところ、貴方の姿見えたのならわかりやすく瞳が輝いた。

「かっこいいろーにいだ〜」

眼鏡しててもかっこいいけれどね。
謎に付け足しながらありがとうとお邪魔しますを続けて口にし、中へと入っていく。
ちなみに子猫は腕の中ですやすやお昼寝中だった。

「え、今買って来てくれたの?」

気にしなくても良かったのに、を続けようとしたが。
何やらそわそわと貴方が嬉しそうなのが見えて……ああ、と納得する。
喜んでくれているんだなって気が付かないわけがない、だから言わなかった。

「……へへ、ありがと、うれしい。
 お腹減ってたんだ、そういえば全然何も食べてなかった」

言葉は感謝へと形を変えて、抱くのはいとおしいなという感情。
ちょうどおんなじ色の……なんなら子猫をおっきくしたかのような白猫が窓際に居たので、そっと並べて隣で寝かせてみる。よし。
好きなところの指定には「どこだったらろーにいの隣に座れる〜?」と尋ねたりして、貴方が嫌がらないのならそれを叶えられるようにしながら。

「にしてもさ、ほんとに戸籍どうにかできちゃうんだね」

などと口にする言外で求めているのは、貴方の口から語ってもらえる本当のことだ。ちら、と顔を見上げた。
(=10) 2023/09/30(Sat) 22:45:00

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

丁度よかったな〜に、うん〜と返して笑う声は陽気なものだ、訪れた平和を享受するみたいに。
飲み物についてはミルクがあればそれをねだり、横並びになれると分かればソファにぽすんと座る。
そうしてマリトッツォにはまだ指先を伸ばさず、返答を待って、待って。

「……そっか」

内容は予期していたものだから驚きはなく、答え合わせが済んだだけに違いない。
でも貴方の口から直接伝えてもらえたことに何よりもの意味がある。

「そりゃ〜中々言えないだろ、オレが同じ立場でもそうだよ。
 怖いの気にしてくれてありがとう、隠さず言ってくれたのも」

ふっと目を細めると其方へと少し身体を傾けた。
クッションとソファでは高低差があるだろうからバランスには気を付けつつ、とはいえ身長差を考えれば丁度いいぐらいなのかもしれない。
頬に当たるのはあの日とおんなじ、柔らかなひだまり色。

「……大丈夫、怖くなんかない。
 だから安心してね、変わらないから」

……で。
結局それだけじゃ足りなかったから、両腕を伸ばした。
貴方の頭を抱え込んで、それから左手でやさしく髪を撫でる。
抱いているこの思いがちゃんと真っ直ぐ届くよう。

「きれいじゃなくても、ろーにいがだいすき」

違法頼んだのオレだしな、とも、笑声を傍で揺らしながら。
(=12) 2023/10/01(Sun) 0:24:59

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



勝手に手渡されるものを突き返すのは難しい。
結局、こういうところが"悪役"になれないひとつなんだろう。
でもそれに後悔はない。後悔は、しない。

だから、君からの言葉贈り物。ちゃんと受け取るよ。

触れる肩。拒まれなかったことに安堵の息を吐き
海の色は視線だけが空に向いて、
少し、何かを考えるようにその双眸を閉じた。

「俺も、」

「………俺も、この街を出ようと考えているんだ。
 友人に頼めば、いい物件を探してくれそうなんでね」

A.C.Aに所属していた、それだけが理由じゃあない。
今の家は与えられたもの決められた場所で、職も与えられたもの決められた道で。
名前も、何もかもが"リヴィオ・アリオスト"のためのもので。

それは、愛されていたからじゃない。
引き取った以上、そうするしかなかったのだろう。
だから俺が俺として、彼らが彼らとして生きていくために、
今このタイミングで選ぶことが必要だった。

「………まぁ、だから」
「忘れることはないし、見守っている……が、」

(-370) 2023/10/01(Sun) 0:37:59

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



瞳を開き、深く、息を吸ってから。
吐いて、少し躊躇って、………それでも。

「──
暫く
、俺と一緒に暮らすかい?」

声にする。言葉にする。

自分を受け止めて受け入れてくれた人達のためにも。
抱いた本音や想いを語って、生きていこうと考えている。

これは、その一歩──のうちのひとつ。

「勿論、既に決まっているなら断ってくれて構わない。
 行き場がまだないならって話でね」

「……どうやら俺は、君のことが心配みたいだからさ」

ひとりで歩くのって、きっと大変だから。
その一時の支えを担い見届けて、満足に死ねたらいいなと。
狡い考えを笑顔に隠し、君の隣を
少しの間
歩こうとする。

「情けない俺も見せてしまうだろうけど、
 それは、……出来れば、許してくれると嬉しいな」
(-371) 2023/10/01(Sun) 0:39:15

【秘】 路地の花 フィオレ → 夜明の先へ ニーノ

「……フレッドは自分探しをするんでしょ?
 だったら、やっぱり姉さんは止められないよ」
「寂しいけど、ずっと会えないわけじゃないのよね?」

指先に触れるあなたの体温に、ずっと触れていられたらななんて思うのだけど。
無理をしているわけではない。
今まで気軽に会えた分、会えない時間が増えるのは心配になるというだけで。

「………何で」

知ってるの、と。
あなたの口から出てくるとは思わなかった"マフィア"の言葉に目を見開いて。
驚愕したような様子で、あなたの顔を見ている。
知らないでいてほしかった、なんて言えるわけもなくて。
そのまま目を伏せてしまうのだけど。

うん、と相槌を打った。
自分だって、出来れば殺しはしたくない。
そう思っていたのだけれど。でも、どうしたってマフィアである以上は。
避けては通れない。もう、引き返せない。
胸がぎゅうと痛むのだ。

(-377) 2023/10/01(Sun) 8:57:33

【秘】 路地の花 フィオレ → 夜明の先へ ニーノ


「……フレッド」

けれど、あなたがくれたのは否定の言葉ではない。
手に伝わる温もりも、真っ直ぐな言葉も。
自分がいつもそうするみたいに、寄り添うようなそれで。

「そんなこと言われたら……甘えちゃうよ、姉さん」
「忘れない、忘れるわけない。姉さんも、フレッドのこと大好きだもの」
「嫌いにならないでくれて、ありがとう」

だいすきなあなたが、自分を大好きなままでいてくれるというなら。
これ以上のことはない。
その顔は、眉こそ下がってはいるものの 笑みを浮かべていて。

胸を張れるような立場じゃなくてごめんね。
そんな言葉は飲み込まれた。
あなたはそんな言葉を望んでいないとわかっているから。
(-378) 2023/10/01(Sun) 8:58:57

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ

どうやら貴方も同じように街を出るつもりらしい。
そんなところまでお揃いなんだなあって不思議な心地に微笑んでいたのだが。
躊躇いがちに何か言葉を続けようとしているの気付けば、なあにとでも言うみたいにその瞳を覗き込む。

なんでも言ってくれて構わない。
なんだって受け止めるつもりだ。
どんな言葉だって、隠さずにおしえて。

そう願い、続きを待っていた……ら。

「────……、……」

刹那、双眸がまあるく見開かれる。
何も言えず、貴方を見つめたまま、固まってしまって。

……思い出し、過る。
家を出たあの瞬間、どこまでも続く星空に。
途方のない孤独を感じたことを、寂しさを。
それでもおまじないを繰り返し、歩こうとしたことを。


提案が嫌だったわけじゃない。
むしろとてもうれしくて、堪らなくて、だからこそ。

──『大丈夫』がほどけてゆく。

あの夜みたいに一粒、また涙が落ちていった。

[1/2]
(-381) 2023/10/01(Sun) 11:25:18

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「…………く、らす」


夜空を覆う厚い雲はもうないのに、
ぽたぽたと零れ行くそれは通り雨のよう。

「……せんぱいと、暮らし、たい」


感情が形となり溢れてからようやくに気付く。
本当はずっと、ずっと、苦しくて哀しかったんだ。

「オレ、……オレ、ほんとは、」


おまじないが解けた先にあるのはちっぽけな自分。
誰かの人生をなぞるために置き去りにされた、小さなこども。
そのありのままを隠さずに貴方に見せながら。


「………………ひとり、さみしくて、やだ……」



縋る先をようやくに見つけた指先は、
貴方の服の裾を強く握っていた。

[2/2]
(-382) 2023/10/01(Sun) 11:27:01
ニーノは、あなたと同じものを見続けていたい。
(a38) 2023/10/01(Sun) 11:27:22

ニーノは、だから、「いっしょにいて」とねだった。
(a39) 2023/10/01(Sun) 11:27:27

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

貴方が見せたいものがあるのならそれだけを見続けているのも良かっただろうか。
だけれどだいすきだと思うからこそ、全部知っていたいとも思ってしまう。
何かあったときも足元を揺らがせることなく、同じ言葉を紡げるように。

弱弱しく名を呼ぶ声に戸惑っているなと感じながら。
それでも嫌がられているわけではないから、抱きしめたままだ。

「……うれし」

貴方を甘やかしたいし、こうすることで自分だって甘えている。
柔らかな髪を幾度も撫でてはここに在る愛情を伝えるように。

「他はぁ……ええっとさ、街出ようと思ってて。
 オレ、ニーノって子の代わりしてただけなんだけど、死んだことになったから。
 死人歩いてちゃだめでしょ、だからそう……出るんだけど……」

「……それまでの家がないです。
 野宿でもしようと思ったんだけど」

お金はたくさんあるとはいえ有限だ。
節約するべきところは節約しようかと考えていたが。
抱きしめていた腕を少し緩めて、そぅと貴方の瞳を見つめた。

「街出る準備できるまで……ろーにいの家に泊まっちゃダメ?」
(=14) 2023/10/01(Sun) 11:49:35

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

「……甘えてよ。
 恩返しさせて、ねえさんがいたから生きてこられた」

大袈裟に言っているわけでは決してない。
貴方が居ないと本当に、生きてはこられなかっただろう。
早々に命を落としていただろうし、今も自分を見失っていた筈だ。
そんな大切な家族に少しでも返せるものがあるのなら。
躊躇うことなく差し出したいと強く願う。

「…………へへ。
 ちゃんと伝えられてよかった。
 オレもありがとう、言葉、受け取ってくれて」

「ずっと会えないわけじゃないよ。
 たまには帰って来ようって思ってるし……
 どこに行くか決めたら、ちゃんと伝えるし!」

まだ決まっていないけれど決まったその時には。
真っ先に貴方に伝えて、手紙を送り合ったりしてもいい。
会いに行ける距離なら遊びに来てもらったり、とか。
今はまだ見えていない先のことを思いながらも。

[1/2]
(-385) 2023/10/01(Sun) 12:17:06

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

「此処を出る前にはまた挨拶しに行く。
 あ、だから今日住んでるところ教えてね」

何を偽ることもなくよかった。
これからも、貴方の前ではずっと本当のままでいられることを安堵して。
圧し掛かっていた重荷が軽くなった心と共に笑い、そっと手を引き立ち上がるだろうか。

「……夜遅くに来てくれてありがとう。
 ええっと、送るよ、……ボディガード?うん。
 もうちょっと話したいし」

こんな夜道を一人で帰らせるわけにはいかないからと言葉を添える。
にいさんにだって、色々と任されたしなと頭の隅。
近くでずっと支えるのは難しそうだが、自分なりにできることをこれからも貴方へと贈っていきたい。
そんな考えは今は一先ず胸の内に秘め、貴方が了承してくれるのなら仲良く手を繋いだままに歩き始めることだろうか。
輝く月と瞬く星だけが、寄り添う姉弟の暖かな絆を見守っていた。


──例え、立つ場所がこれから先も違うところにあったとして。
それでも男は家族を、あなたを、愛している。
不変などないのが世の常だとして、
そんなもの関係ないって笑い飛ばせるぐらい。
この感情だけはいつか最期を迎えるそのときまで変わったりしない。

いつの日か貴方という花が教えてくれた愛の強さを胸に抱き。
男はこの先も塞ぐことのない瞳に世界を映し──生きていく。


[2/2]
(-386) 2023/10/01(Sun) 12:18:51

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



見開かれた双眸から落ちていく一粒を、
空に浮かぶ星々よりも綺麗だと感じたのは
君が君だからこそなんだろう。

「…あぁ──…一緒に居よう」

そうっと、大事な宝物に手を伸ばすみたいに
右手を伸ばして、君を軽く引き寄せようとする。

もしも君が拒まずにいるならきっと
間の子猫はにゃあと鳴いて、まぁるい瞳をこちらに向ける。
だから男は、少しだけ許して欲しいなと子猫に微笑んで、
夜空の下、二人と一匹で熱を分け合うのだ。

「哀しい時は泣いていい。苦しい時は吐き出していい。
 俺に抱えられるものはきっとそう多くもないけど」

「俺の前では大丈夫じゃなくて隠さずに甘えていいんだよ」

ほら、シンデレラも時間になれば魔法は解けるだろう?
おまじない魔法はあくまでおまじない魔法で、
『永遠』に続く万能さを持つものじゃあない。

しゃんとして、着飾っているのも悪くはないけど、
ひとりの人間である俺達は、本当ありのままであっていいんだ。
 
(-388) 2023/10/01(Sun) 13:31:45

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「……えっ、ぅ……う…………」


貴方の言葉が魔法を解いてしまったから。
涙と嗚咽は堰を切ったように。
溢れてやまない、いろんな感情が。

 とうさま、本当は抱きしめて欲しかった。
 かあさま、本当はオレを見て欲しかった。
 叶うことなら最期まで、ずっと一緒にいたかった。


浮かび上がる多くの言葉は声にはならず。
ただ大きな背に手を回し、肩を震わせるだけ。

 不安だよ、不安でしかたないんだ。
 これからなにをしたらいいのかな。
 探しても本当に、オレはオレの道を見つけられるかな。


誰かに言いたくて、でも誰に言えばいいかもわからなかった。
心配をかけたくなくて、あなたたちを大切に想えば想うほど。
寝台上の笑顔に平気だと笑った、あの癖がずっと抜けなくて。

 ひとりになりたくない。
 だれかといっしょにいたい。
 でも何を返せるかな、オレなんにもないんだ。
 後悔しない? ねえ、せんぱい。


やっぱり自信なんて全然持てないんだ、自分に。
だけどもうどうにも、ぬくもりから離れられそうにはなかった。

[1/2]
(-392) 2023/10/01(Sun) 15:15:58

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


────ずび。


「………………」

涙が落ち着いた頃、鼻を啜って。
あまりに泣きじゃくりすぎて頭がぼんやりしている。
落ちてくる涙になんだこれとなっていた子猫もまた瞼を落としていて。
その姿をぼんやりと眺めた後、ゆるゆると顔を上げた。

「……いっぱい……泣いちゃって、ごめんなさい……」


とりあえず謝罪と、あと。

「あの……誘ってもらえたの、ほんと、うれしくて。
 だから、えっと……一緒、ぜひさせてください」

改めてお願いしてから、あと。

「いろいろ決めることあるよね。
 でもとりあえず、せんぱいの身体落ち着いてからかな。
 ……あ、しばらくって言ってたけれど、どれくらい?」

先程溢れた感情に引っ張られてできなかった確認をいくつか。
泣いて縋って、いたくなかったかな。
今更のように思えばそっと貴方の腕を撫でたりもしていた。

[2/2]
(-393) 2023/10/01(Sun) 15:17:10

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



君に手を伸ばしてしまったのは、
自分』を見てしまったからなのだろう。
多くの感情を隠し、縋れなかった先を知っている。
だから、そうなって欲しくはなくて。

君には真っ当に、真っ直ぐに、生きて欲しいと願って。
身勝手な願いのまま、
暫く
なんて半端に手を取って。
でも、後悔なんて、微塵も湧いてこなくて。

引き寄せた背を撫でながら、
逸らすことなくありのままの君を翠眼に映し出す。

誰に何を言えばいいのか分からない。
迷惑心配をかけたくない。
平気だと笑っていれば、きっと『大丈夫』だ。

本当の願い言葉を飲み込んで、
本当の不安感情を隠し続けて、
それでも『大丈夫』だと──真実を箱の中に閉じ込めた。

そんな人間を、俺はよく、知っている。
そうしてそれが"普通"ではないことも、理解している。

無敵だから『大丈夫』なんて、そんなこと、在りはしないのだ。
だけど、『何にもなかった俺空っぽでしかなかった自分』は、そうするしか選べなかった。


(-405) 2023/10/01(Sun) 18:32:03

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



涙が落ち着いて、君が顔を上げた頃。
男は君に気にしなくていいというように微笑んでいた。
謝罪にだって、首を横に振る。

涙というものはそうなのだと、知っているから。
泣かないことが強さじゃない。
だから、涙を流せるのなら我慢せず泣いたっていい。

「…勿論、一緒に行こう」

「決めることは……うん、少し友人に確認してみるよ。
 落ち着いてからだと君の暮らす場所に困るだろうし、
 それに、俺も今の家から早く移動がしたくてね」

ひとつひとつ、君の確認へ答えを返していく。
最後については少し、悩むように撫でられる腕を眺めて。

「それで期間は………そうだな、」

「…君が、一人で歩いていけるように本当に『大丈夫』になるまでかな。
 暫くとは言ったけど、あんまり詳しくは考えてないんだ」

1年か、5年か、あるいは10年か。

どれほどでそうなれるのかが分からない男は、
のんびりとした口調で、そんな答えを返すのだった。
(-406) 2023/10/01(Sun) 18:33:03

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


貴方が嫌がる顔は想像していなかったけれど。
変わらず微笑んでくれていることにはやっぱり安堵してしまった。
だから泣いたばかりの顔は無理に隠したりしないまま。
ひとつひとつ返る答えには頷いたり、相槌を打ったり。
思っているよりも早くその日は来るのかなとか考えたり。

していたところ、最後の期間については少しだけきょとんと瞬いた。
何かの想定があるからの暫く、だったのかと思ったけれど。
そういうわけじゃなかったらしい、なんだ、なるほど。
それからもう少し瞬きを繰り返した後、唐突に。

「……あはは、それじゃあ」

声を揺らし笑えば、腕を撫でる手を止めて。
貴方の瞳をじぃと見つめて、笑って。

[1/2]
(-414) 2023/10/01(Sun) 19:34:42

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「オレが大丈夫じゃないままなら、
 ずっと一緒にいてくれるんだ?」

「…………なんて」

なんて。
そんなのきっと困っちゃうだろうな、わかってる。
目を細めてからもう一度、貴方の肩へ額をとんと押し当てた。

「……じょ〜だん」「…………でも、ほんとかも」
「オレって甘えたらしいから、気を付けてね」


勿論貴方が大切な人と共に生きていきたいと、
望むような日が来るなら止めたりはしないのだけれど。
そんな言い方をされたら、そんな風に返したくなってしまった。
だってオレ今、一人で歩ける未来なんてうまく想像できないから。

みゃあ、と目を覚ました子猫が鳴く。
ちょっとずるい顔しているのバレたかな、内緒だよ。
そう伝えるみたいにちいさな額を指先で撫ぜて。

「じゃあ、今日はとりあえず帰ろっか。
 落ち着いてからじゃないっていっても、ちょっとでも早く身体治して欲しいから」

「家まで送るよ、せんぱい、……
 …………リヴィオさん?」

そうしてぱ、と顔を上げた頃、濡れた瞳はそのままに。
変わらず微笑みを浮かべていたことだろう、うれしげに。
 
[2/2]
(-415) 2023/10/01(Sun) 19:35:32

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

「近場……かなあ。
 まだ決めてない、とりあえず知り合いあんまりいないところ〜って……」

貴方があんまりにも素直に寂しそうな顔をしたので。
寂しくさせるのが自分だってわかってるのに、なんだか笑ってしまった。
嬉しかったのだ、そうやって求めてもらえることが。
なのでもう一度、いや二度ぐらい、やさしく髪を撫でてから。
にま、向けられた笑みに更にこちらも笑みを深めていれば……むぎゅっと。

「ゎ」

貴方に抱きしめられると本当にいつもすっぽり収まってしまう。
あの牢の内に居たときからそうしてほしかったと、
望む心が満たされていくのを感じて、しあわせだ、と思った。

「へへ……
 ろーにいならいいよって言ってくれると思ってた」
「はぁい、鍵は失くしません、大事にするし」
「帰り遅くなってもいいよ。
 オレ寝てておかえり言えないかもだけど……」
「誰か来るのも大丈夫、だめなときは外に居るし。
 そうじゃなかったら家の中で大人しくもできます」

注意事項にはきちんと全てに返事を返す。
だって大事なことなんだろう、そして全部大丈夫。
ぎゅっと抱きしめながらも顔だけは上げて、貴方を見上げて。

「……だから、しばらくよろしくね?ろーにい」

無職なので家事はしまーす、と。最後に付け足して笑っていた。
(=16) 2023/10/01(Sun) 19:56:33

【秘】 L’ancora ロメオ → 夜明の先へ ニーノ




「なあ。フレッド」
「オレの事、兄ちゃんにしてくれてありがとな」



(-422) 2023/10/01(Sun) 20:28:52

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



何だか悪戯っ子のようだなと、
笑う君に少しだけ眉を下げて笑う。
答えは上手く返せなかったし、君もそれを分かってる。

自分はこの問いに困っているのだろうか。
それとも、それ以外もあるんだろうか。
なんだか綯い交ぜになったような感情に僅かに首を傾ける。
その間に肩にとん、と軽い衝撃を感じて。

言葉はまだ、返せない。
聞こえる小さな声に眉を下げたまま、また、笑った。

「………はは、…そうか」

そうしてそれ以上、言葉は出てこなかったから。
止まってしまった手でもう一度、君の背を撫でる。
自分は、そう長くその選択を取れないのだろうと思うけど。
だからといって、そうだと君に明かすのは、まだ先の話だ。

再び君が顔を上げる時、その言葉に頷いて。
回していた腕を外し、緩慢にベンチから立ち上がる。

「頑張って治療するよ、困ることも多いからね。
 君に迷惑をかけることもあるだろうけど……あぁそうだ。
 俺には色男で猫のエキスパートの友人がいてね。
 今度紹介するよ、家の話も彼にする予定だからさ」

「──それじゃあ、帰ろうか」
(-428) 2023/10/01(Sun) 20:37:56

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

ちょっと力の強いハグは苦しさを教えるものではなくて、
貴方からの愛情を教えてくれるものだ。
兄弟としてのこれからは始まったばっかりだったのに、
すぐに遠くなってしまうことはこちらも寂しいけれども。

「そうだよ、ろーにいが帰ってきたらにゃんことオレがいる。
 へへ……競おうかな、この子たちと。
 どっちが早く玄関までろーにいを出迎えられるか……」

それでも、それまでの少しの間だけでも。
貴方に家族の温もりを与えられるのなら。
"オレでいいの"、と。
零された小さな声を未だ、覚えているから。


「…………────」

そうして腕が離れた頃。
そっと伝えられる感謝には目を瞠り。
呆けている間にマリトッツォを手に取った貴方を見て、眦を下げる。
すこしだけ、視界が滲むのを感じながら。

「…………それなら、オレだって」


[1/3]
(=19) 2023/10/01(Sun) 20:56:27

【秘】 夜明の先へ ニーノ → L’ancora ロメオ




「ろーにい」
「オレのおにいちゃんになってくれて、ありがとう」



[2/3]
(-432) 2023/10/01(Sun) 20:56:43

【鳴】 夜明の先へ ニーノ


「……溶けるのは、困る〜」

そうしてぐしと少し乱暴に目元を拭ってから、
己もまた同じように甘味を手に取る。
食べ終わったら何をしようか。
夜になっても貴方の隣に居られるのを思いながら。
久々に口に入れた甘味は幸福と呼ぶのが相応しい味がした。

──『ねえ、戸籍ってろーにいのと同じにできないのかなあ』
そうして食べている最中、そんなことを零していただろう。
難しかったら大丈夫、あんまりよくわかってないから、と添えてもいたが。

──『そうしたら、ほんとの家族になれるでしょ』
すれば離れたとして、貴方の寂しさも少しは紛れるかなって。
子どものような発想を声に載せて。

──『そうじゃなくても、ほんとの家族だって思ってるけどね』
貴方の弟は甘えただから、変わらずぎゅっと肩を寄せて笑っていた。


[3/3]
(=20) 2023/10/01(Sun) 20:58:24
 


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