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【人】 葉山 裕太郎[引越しの挨拶にはあまりに高価な気もしたのでしっかりと礼を伝えて、その日は別れることとなるのだった。 それからしばらく、いただいたクッキーとバターサンドをお供に紅茶を嗜む時間がルーティンに追加されたのはここだけの話。 ちなみにびっくりするほど美味しくてお茶会をする時にはこれ買おうと葉山は決心したのだとか。]** (23) 2024/01/12(Fri) 13:53:52 |
【人】 葉山 裕太郎*** [朝、いつも通りごみ捨てに向かう。 ゴミ捨て場は敷地内にあるものの、構造上一度オートロックの外に出て捨てなければならない。 なんでも、ゴミの臭いが廊下まで来たら住人の気分を害するからということらしい。 そしてこのマンションは部屋の鍵とオートロックの鍵が同じ一本で完結していて、差し込み型の鍵に外付けでオートロック用のタッチキーが取り付けされている。 これのおかげでセキュリティも維持できて入居者も楽できて便利という大家さんの心優しい計らいらしいが、実は面倒なこともある。] うわ、やった、終わった…… [そう、忘れたら一環の終わりなのだ。 しかもいつもなら開けてくれる管理人さんも、毎週このタイミングは警備点検に向かっていて席を外している。 そして探そうにもオートロック扉の向こう側に行けないからどうしようも出来ない。 しばらくここで待ちぼうけになることを覚悟するしかなかった。] (24) 2024/01/13(Sat) 4:04:02 |
【人】 葉山 裕太郎[そんな時にこれまた偶然、ばったりと七海と出会う。こんな時に生活リズムが合うというのは救いだ。] 七海さん、ごめん、 鍵忘れちゃって… オートロック開けるから、鍵貸してくれない? [情けなくもそんなお願いをする時もあり、徐々に忘れっぽい性格であることがバレてしまったかもしれない。 鍵を貸してもらえたのなら、後でお詫びをしに行くことになるだろう。] (25) 2024/01/13(Sat) 4:04:41 |
【人】 葉山 裕太郎[その時に何気ない世間話としてその時に聞かれたのは行きつけのお店があるかという話。 七海も大学生ということで本分は学業、あまりお店などには明るくないようだ。] どうだろ、俺もあんまり詳しくないけど… ここは俺がよく行ってる場所だよ。 [そんなに大層なお店では無いので紹介は控えめだが、葉山はスマホの画面でその店の情報を開くと、七海に見せたのだった。] (26) 2024/01/13(Sat) 4:05:21 |
【赤】 葉山 裕太郎*** [それから少し経ったある日。 その日は担当編集者との打ち合わせを終えて家へと帰ってくると、時刻が20時をすぎていた。 もう遅いからと担当者と食事だけ済ませてきて、あとはもう風呂に入って寝るだけというところ。 しかし葉山はデスクに向かいノートPCで作業に浸る。 このノートPCは打ち合わせにも使うもので、画面には覗き見がされないようなフィルムが貼られていて、その内容は本人以外には見えないようになっている。 まさか監視されているなんて知りもしないから、人目を気にするようなことはせずだらしのない欠伸をしながら。>>*32 調べていたのは、人の過去と歴史だ。 今の時代デジタルタトゥーなんて言葉があるくらいには情報が全てを支配する社会だ。それは誰かのことを調べようと思った時にはパソコン一つで略歴すら作れるほどに便利であり、深刻でもある。] (*42) 2024/01/13(Sat) 4:10:11 |
【赤】 葉山 裕太郎[これまでの出来事を振り返る。こんなにも偶然が重なって、今となっては七海という人は葉山の隣人として自分の生活に深く食い込んでくる。 とはいえ距離は最低限取り、それ以上こちらには立ち入ってこない。 いつも、いつも、ただ自分の世界の端に席を予約されているような感覚がする。 それも全て偶然なのだろうか。] (*44) 2024/01/13(Sat) 4:11:12 |
【赤】 葉山 裕太郎[パソコンに打ち込んでいるのは七海聖奈のプロフィールだ。どこの大学に通っているのか、生まれてから大学に入学するまでのヒストリーは?身長と体重は?スリーサイズは? 欄を設ければキリがない。 それも今は空白だらけだ。 しかし、これから徐々に埋めていこう。 葉山にとって七海とはそういう相手なのだ。] (*46) 2024/01/13(Sat) 4:13:00 |
【赤】 葉山 裕太郎[自分の中に在る敵意という名の狂気 それとは真逆に位置する好意という名の狂気 彼女はどちら側の人間なのだろうか。 知りたいと願う葉山が、その日から七海に抱く感情は決して清純ではない好意的な感情だった。 彼女がどんな想いでここまで来たのか、知りたくて、仕方がない。] (*47) 2024/01/13(Sat) 4:13:35 |
【赤】 葉山 裕太郎[世の中の変質者には偽物と“本物“がいる。 “本物“の葉山にとっては彼女が“本物“かどうかはこの上なく重要なことで、そのためだけに、わざわざ前の住人の精神を壊して追い出したのだ。 部屋の窓もご丁寧に解放して、打ち合わせの時間も固定して、全て彼女が自分と同じ“本物“なのか知るため。 その為に、ここまでしたのだ。 何としても、知らなければ、抑えきれない。]** (*48) 2024/01/13(Sat) 4:18:00 |
【人】 葉山 裕太郎[画面を見せていると、タコの唐揚げの画像が出てくる。さすが、お目が高い。 といっても葉山がよく行っているそこはオシャレなバーとかではないのだが。] グルメを名乗るような柄でもないけど たまに無性に飲みたくなるんだよ。 やっぱり分かる? 唐揚げホントに美味いよ、此処。 [彼女が興味を持ったのなら食レポ紛いの反応を返す。一人で入りづらいが入ったらその辺の居酒屋よりもコスパがいい。此処は隠れた名店だ。] (36) 2024/01/14(Sun) 15:32:31 |
【秘】 葉山 裕太郎 → 七海 聖奈[まさかそんなことを言われるなんて思ってもみなかった、とでも言いたげなリアクションだ。 七海の中では自分がお眼鏡にかなうなんて考えは微塵もないらしい。 だか決してその誘いが嫌だったなんてことも無いようで、こちらを伺い見る姿はうら若き乙女そのもの。] (-20) 2024/01/14(Sun) 15:33:08 |
【秘】 葉山 裕太郎 → 七海 聖奈[スマホを取り出すと自身の予定を確認する。直近は忙しい日が連続して続くせいで、しっかりと時間が取れるのは今から約一ヶ月後のこと。 それまではちょっと難しそうだ。] 最近はスケジュールが一杯だから… 来月のこの日とか、どう?講義とかない? [自分の予定だけでなく、画面のカレンダーを見せながら来月の半ばに指をさして、七海の予定を尋ねてみたのだった。]** (-21) 2024/01/14(Sun) 15:39:11 |
【赤】 葉山 裕太郎[深夜、ある程度略歴がまとまると、ポケットから鍵を取り出す。事前に鍵屋に鍵の交換という名目で頼んでいた複製だ。 今は鍵の製造番号さえ手に入れてしまえば複製など容易な時代。 鉄壁の城と呼ぶべき最も安全な自宅は、一度踏み入れられた途端に最も危険な檻へと変わる。 こうして彼女の聖域に立ち入れるのだ。 あの時わざわざ間抜けなふりをして鍵を借りた甲斐があったというもの。] (*64) 2024/01/14(Sun) 15:43:00 |
【赤】 葉山 裕太郎[葉山はパソコンを閉じて部屋を出る。 事前に準備していた小型カメラと盗聴器は、作家としての収入の一部で買ったもので性能も申し分ない。 自宅のモニターとの連結だってもう完了している。あとは取り付ければ完了だ。 だがそれは彼女がいない時にでもやればいい。 それらではないある物を持って、向かう場所は当然七海の部屋。 いない時に設置すれば済む話なのに、わざわざ寝静まっているところに侵入するのは、目的が下準備に留まらないからだ。] (*65) 2024/01/14(Sun) 15:44:33 |
【赤】 葉山 裕太郎[本来なら入れないはずの城は、今日届いたこの鍵を使えば容易くその扉を開けてくれる。 電気を使う訳にはいかず部屋の中は薄暗いままのためどんな状況かは見えないが、彼女が“本物“なら部屋の中でなにをされていようとも驚きはしない。 相手に拒絶される奇行こそ、“本物“の証。 今となっては実力を示すかどうかにすぎないのだ。 鍵を差し込むと、葉山はゆっくりと部屋の中へ、侵入を果たしていく。] (*66) 2024/01/14(Sun) 15:46:19 |
【赤】 葉山 裕太郎[ 滲み出る狂気が獲物を求める。 しかしただの血肉じゃ腹は満たされない。 必要なのは、熟成。 待て。一番美味くなるその時まで。] (*69) 2024/01/14(Sun) 20:56:06 |
【赤】 葉山 裕太郎[想像通り、否、想像以上だ。 彼女の好意は“本物“だ。だがしかし、足りない。 葉山は手に持っていた目隠しで眠る七海の目を覆うと、細い首に首輪を掛け、華奢な手には手枷をかける。 目覚めないように気をつけてはいるものの、途中で目が覚めてしまったとしても何も出来やしない。 七海の自由を奪い、その髪に口付けを捧げる。 檻の中の姫はあまりにも無防備で、顔を歪ませ狂ったような笑みを浮かべた狼は、静かにその身体を弄び始めた。] (*70) 2024/01/14(Sun) 20:57:34 |
【赤】 葉山 裕太郎[暗闇の中、冷たく汗ばんでいた手はほのかに冷たく、次第に七海の体温を奪うように熱を帯びていく。 飼い犬にそうするかのように優しく頭を撫でながら手を中へと忍びせると、そのまま指先で下着をずらす。 まるで玩具を嬲るかのように小ぶりな乳房を撫でると指を伝わせ、寝間着の下は膝元まで下ろして秘所を晒す。 本当ならば限られた男しか触れることを許されない聖域をまさぐるのは格付けのようなもの。 お気に入りの玩具に名前を書くのと同じ感覚でしかないのだ。]* (*71) 2024/01/14(Sun) 20:58:56 |
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