>>28 「じゃあ―― 私と、逆ですね」
私、一人っ子でよかったので。
そう発した口がゆるやかに笑みを描いた。
「……はい。やっぱり……フカワくん。
いいお兄ちゃんって、感じがします。
そんなふうに言ってくれるきょうだいって、いいな」
胸ポケットから取り出される手帳。
話しながら、ブランコが足だけでゆらゆらと揺らされて。
指先がページを捲って、夕暮れに紙の擦れる音が混じった。
「……今のままで、いいんですけど」
ぱたん。テキストメッセージの送信。
どこか、縋るような瞳が。
願うような視線がじっと、注がれる。