【人】 桧垣 やよい[ 何も知らなかった。 何も知らない私にとって、 朔也くんと私は、幼馴染。 この数年を、一緒に生きてくれた大切な友だち。 ふたり の間に何かあったことなんてこれっぽっちも知らない。 しいて言えば、わたしが、 朔也くんに私のことを相談していた。 そのことだけは知っている。 たった、それだけ。 それ以外のことは、 徹底的に、わたしは、わたしだけのものに閉じ込めた 関係も、感情も、思い出も、全部。 それが良かったのか、悪かったのか、 何も知らない私は、それすらも分からない。 私はこちらに気付いてくれた朔也くんに 私は、いつも通りににこやかに手を振った。 ] (126) 2023/02/21(Tue) 7:42:36 |