![]() | 【人】 厨房担当 ゲイザー[色々と慌ただしい中でも、ローストビーフの準備は進んでいく。 余分な脂のない綺麗な赤身の牛の、モモ肉のブロック。 塩を振った状態で冷蔵庫に入れていたそれは、ローストビーフの需要を見越して、少し前から常温に戻している。 調理を始める頃には、火がちゃんと均等に通る程度の状態に。 水気を切ったブロックを、薄く油を引いたフライパンで弱火に。表面を思いっきり焼き上げるのではなく、あくまで優しく、やさしく。 ブロックを転がして底面を変えては、じっくりと加熱して、また転がして、加熱して――全体の色が変わったところで取り出し、コンロの近くで暫くお休み。 火にかけていない間も、余熱がじんわりとブロックの中に。 やがてこのモモブロックは、予熱していたオーブンへと移される。また火を入れ、取り出して、金串で火の通り具合を見て――。 「オーケー」と胸の内呟いてから、暫く粗熱を取るために置いておく。 ……もう少し早い時間に仕込みをしておけば良かったか、と思いながらも、作業の無い待ち時間は、ローストビーフ用のソースや二種のクッキーの為に。] (199) 2023/03/05(Sun) 17:25:33 |