………… え、
[ 俯きかけていた顔が、ほぼ反射的に前を向いた。
>>549 いつも食べるたびに流暢に出てくる言葉たちは聞こえず
けれど、「嬉しい」と確かに、聴こえた。
どうしても神田のサーブだけは譲れなくて
デザート提供ともなれば流石に落ち着いた頃合いでも
こうして大咲は、カウンター前に留まって。
ぽかん と呆気に取られたように立っていた。
口角を上げながら時間を掛けて写真を撮る神田を
何かとシェアしていた筈なのに
神田の口だけに運ばれるうさぎのクッキーを。
おいしい、と呟いた声が、大咲の心にしみて。 ]