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【人】 従業員 ルミ[ どんな人だってずっと片時も離れず、なんて出来ない。 けれど、不可能でも" そうありたい "と思うのが、 それを出来る限り伝える努力をするのが愛じゃないの? 見知らぬ愛を探そうと思える人間なら良かった。 そうすれば貴方を傷付けることも無かったのに。 でも、一度味わった愛が欲しかった。 どうしても忘れられなくて、手離せなくて、 ──誰に何を言われたってこれは戀だった。 愛されないなら、二度と交わらないくらいなら わたしの恋はここで散って その先で死を迎えるの。 ] (31) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:28:16 |
【人】 従業員 ルミ無理だよ。 [ わたしはひどく落ち着いた声音でそう返した。 何の確証があって、と言われるかもしれない。 ] ────そんな希望、とっくに捨ててる。 [ 力になろうとはしてくれているのだろう。 けれどその解決策は有効性を失って、 今や毒を巡らせる以外になくなってしまった。 間抜けな声を上げる彼に、思わず無邪気に笑う。 ] (32) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:28:21 |
【赤】 従業員 ルミ[ 彼の身体は、呆気なくやわらかなソファへ沈んだ。 起き上がらない様子を見て、「やっとだ」と小さく呟く。 そのまま足の怪我なんて無いように彼の上へ跨って、 顔を見下ろし、両頬に手を伸ばした。 ] " なんで "? どっちを聞きたいのかな。 身体が動かない理由? わたしがこんなことした理由? ……上手く喋れなくて怖いよねぇ。 でも大丈夫、わたし、お兄さんのことなんでも分かるよ [ わたしはキッチンのシュガーポットを指差した。 多少でも首が動かせるなら見えるだろうけれど、 見えなくても持ってきてあげるつもりはない。 ] (*11) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:29:13 |
【赤】 従業員 ルミじゃーん! あれ、歌舞伎町で買えちゃう" 魔法のお薬 "だよ! ……あ。人体に害はないから大丈夫、安心してね。 わたしがお兄さんにそんなことするわけないもん だから、大人しくしてて。 ──────……悪いことを考えてたの、 わたしでごめんね? [ でも、と続けて口を開く。 彼の反応は視界に入れているけれど、 どんなものであれ、止める気はなかった。 指差すために離した手を再度彼の頬へ宛がう。 伝わる体温はあたたかい。 ] (*12) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:30:06 |
【赤】 従業員 ルミでも、お兄さんが──、ッお兄さんが悪いんだよ。 待ってたのに。 あの公園で、あの場所で、ずっとずっとずっとずっと ずっと────待ってたのに。 わたし、友達じゃなかったの? どうして黙って消えていったの? 捨てたの? 逃げたの? ──そのまま忘れたの? わたしには嫌だって言った呼び方、 どうせ他の女には許したんでしょう!? ねえ、 わたしはずっと待ってたのに!! (*13) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:30:33 |
【赤】 従業員 ルミ[ ぜえ、と肩が揺れる。 言いたいことだけ好きに言い散らかして。 言葉にするたびに、理性的な自分が叫んでいる。 ] ………………わかってるよ、わたしも お兄さんが公園に来続ける義務なんかない それでも、仕方ないで済ませられる恋でもないの、 [ 許してくれなくて良いよ。 最初から許されるなんて夢も見てないから。 頬を名残惜し気に数度撫ぜて、手を離す。 ] (*14) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:31:19 |
【赤】 従業員 ルミ[ 彼の腰のベルトに指を伸ばし、かちゃ、と音を鳴らす。 どうすればいいかなんてもう知ってる。 だって、わたしも貴方も、子どもじゃないんだから。 肌と体温を重ねた夜くらいあるでしょう? ] ……ごめんね、お兄さん そうだ。前の彼女の顔でも浮かべててよ。 かわいい人だったね、──同僚だっけ? [ どうして今までの恋人たちが貴方から離れたか、 ──……わたしは全部知ってるよ。 バックルを外して、チャックを下ろす。 そうすれば瞬く間にズボンくらいは下ろせちゃうな。 触れた熱はきっと、大きくなるどころじゃないかもね* ] (*16) 鬼葉 2024/05/07(Tue) 22:31:43 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[出逢った頃の少女は表情に乏しく、 笑い声を聞いたのは遊び始めて随分と経った頃。 子どもらしく笑えなかった当時には見られなかった 「無邪気な笑顔」がそこにある。 それが却って不気味さを感じさせた。] (-11) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:16:54 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[頬に触れる手を、首を振って弾くことも出来ないまま。 自分がこうなってしまった訳を突き付けられた。] (-12) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:18:34 |
【赤】 従業員 ルミ……あ、お兄さん、吐きそう? 気分悪いかな。大丈夫……じゃないよね。 大丈夫、殺したりしないから。 …………そんなことしないよ。 [ 流石の自分にも、殺人には躊躇いがある。 夜の街では当たり前のように殺傷沙汰が起きているが、 刃を他人に向けるほど壊れてはいないつもりだ。 ──薬を飲ませるのはどうなんだと言われてしまえば、 言い返す余地もないけれども。 時計の針は逆向きに回らない。 砂時計の落ちた砂は元には戻らない。 犯した罪も愚行も、消えやしないのに。 ] (*23) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:00:24 |
【赤】 従業員 ルミ[ 一般的な話に興味はない。 そんな物差しで関係性の普遍を決められたくないから。 世間がなんだというのだろう。 だから仕方ないことだとでも解かれるのだろうか。 くだらない、くだらない、くだらない。 歳を重ねたから? 話も遊び方も合わなくなったから? それじゃあ××はどうすれば良かったの。 片方の都合で、もう片方をないがしろにするのが、 ────それが一般的な世界なのか。 まるで女の両親さながらではないか。 ] (*24) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:01:00 |
【赤】 従業員 ルミ[ これは確かに、紛うことのない、恋だ。 楽しくて声を上げて笑ったのも。 美味しいものを分け合う幸せを知ったのも。 彼と同じ名前の生き物を覚えたのも。 明日が来るのが、初めて待ち遠しいと感じたのも。 あの日々が恋じゃなかったというのなら、 わたしは二度と本当の恋なんて知らなくていい。 ] (*25) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:01:12 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩お兄さん、あのね、これあげるっ いつもアイスとか半分こしてくれるけど ……ルミはなにもわたせないから…… これね、おはなのゆびわ! たんぽぽ、きれいに咲いてたの! [ あの時一度だけ渡した小さな指輪は、 きっと薬指なんかには入らないくらい大きくて 不格好で、きれいではなかったけれど。 受け取ってくれるといいな、と願って編んだ。 彼に何かを返したかった。 ──今はもう遠い純粋だった春のころ。 ] (-14) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:01:24 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩このまえねぇ、お兄さんのママがおしえてくれたよ お兄さんが言ってたどーぶつ! かっこいいのとおなじお名前なんだねぇ。 みんな、かっこいいからやきもちやいたのかな? ルミもひつじさんとかがよかったなー。 [ でもあんなに大きかったら遊べないから、 お兄さんがお兄さんで良かったーと笑った。 子ども特有の拙い言葉で好き勝手に喋っても、 怒られない環境が嬉しくて、鳥の様に囀って。 ] (-15) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:02:15 |
【赤】 従業員 ルミ[ 言葉を交わす暇さえあったなら、 今何かが違ってくれていたのだろうか。 早々に話を切り上げてバイバイなんて、もう御免だ。 それならなにもかも封じてしまって ────加害者と被害者になるしかないのに。 ] もう! ひどい! ストーカー……むぅ、言われてみればそうかもね。 だって、お兄さんのこと、なんでも知りたいから ────大好きだから。 [ とはいえこれが犯罪だとは自分でも分かっている。 これは線引きだ。 わたしは加害者。 貴方はストーカーに好かれた可哀想な被害者で、 ────……。 ] (*26) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:02:39 |
【赤】 従業員 ルミ[ 呟いて、目を閉じたお兄さんの顔を見つめる。 無理に開けさせることなんてしなかった。 それでいいと言ったのは自分なのに、 どうしようもなく胸が痛くて、唇を噛む。 でもここまで来れば戻れない。 優しい、牙のない肉食獣が、哀れな檻の中。 ] ────……嫌だよね。 だってこういうことは、好きな人とするんでしょう? お兄さんは、わたしのこと、嫌いだもんね? [ 呟いて、彼の芯へ布越しに触れる。 果たしてこんな状況下で反応するかも怪しいけれど 丁寧に、痛みなど与えないように、 やわく握って手で擦った。 ] (*28) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:02:55 |
【赤】 従業員 ルミお兄さん、相変わらず優しいね。 無防備で。 悪い人の存在を人に説くのに、自分は無警戒で。 ────昔からずっと、優しいもんね、お兄さんは。 ごめんね。逆手に取るようなことしちゃって。 ……いくら謝っても無駄か。 うん、……頭のおかしいストーカーだと思っててよ。 [ 昔を懐かしむたびに、愛しさで手先が鈍るから。 わたしは布越しにカリ、と先端を甘く引っ掻いた。 そのままするりと下着を下げる。 悠長にしている時間もあまりない。 人体を害さないように、微量しか使えていないのだ。 じきに口の縺れが収まることから始まって、 四肢も動くようになってしまうはず。 そうなる前に、この執愛の蜘蛛の糸で彼を搦めて ──目的を成さねばならないから。** ] (*29) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:03:04 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミえー、俺があげたいからあげてるだけなのに。 でも「もらう」のって嬉しいからありがとう! ルミって器用なんだなー。 これ茎?どーやって編んでんの? よく折れないな。 [大きさを踏まえて親指に嵌めた。 「指輪」は「指に嵌めるやつ」という知識しかなかった。 生花で出来た指輪は花瓶に生けたものよりも 寿命が短いのだと聞いて、親のガラケーで写真を撮って貰った。 もう少し昔なら、写真は全部現像していただろう。 もう少し最近なら、スマホデータはクラウド上に保存してあるだろう。 過渡期に撮ったガラケーのデータはどこにあるのか知らない。 指輪が枯れた時はとてもショックだったが、 写真は撮ってもらったからと安心しきって管理を怠った。 罪の記憶が蘇る。] (-17) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:52:21 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[ライオンを認識したと聞いた時には恥ずかしさでどうにか なってしまいそうだった。 ルミが帰った後に家族に当たり散らした。] ルミは「ルミ」でいーんだよ!! 俺は「お兄さん」って呼んでもらえるからいーけど、 ルミが「ひつじ」って名前で呼ばれたくなかったら どう呼んでいいかわかんないからな?! いいかっ! 変えるの禁止だからな! 俺が!「ルミ」って呼ぶから! [いつも以上に大きな声を出してしまった気がする。 今も「雷恩」まで呼ばれるのを厭うから、 彼女にも「ライ」と呼んでもらっていた。 別れた理由に、「そんな小さいことにこだわるなんて」と いうのがあったことも、ルミは把握しているのだろうか。] (-18) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:52:55 |
【赤】 従業員 ルミ[ 恋にもっと理由は必要なのだろうか。 ただあの時わたしに優しくしてくれたから、 だから彼を好きになったでは足りないのか。 インプリンティングと言われればその通りで、 けれど女は確かに己の意思で恋をしている。 毒林檎からキスで目を覚ましてくれたから? 或いはガラスの靴を届けてくれたから? お姫様たちの恋だって、 始まりは皆思ったよりも大仰では無いのに ] (*36) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:54:55 |
【赤】 従業員 ルミ[ 相手を傷付けないのが愛ならば 自分にはやっぱり人を愛する資格が無いのだ。 彼は今度は許してと甘えなかった。 過去すら容易く掘り起こすあの惨さはなく、 代わりに別の痛みが横たわっている。 ] (*37) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:11 |
【赤】 従業員 ルミ………綺麗な思い出として忘れられるくらいなら 私みたいに、痛いってこと、覚えててよ ふふ、名前ばっかり呼んでどうしたの? ルミだよ。 …………嬉しいな 久しぶりに名前、いっぱい呼んでくれた。 [ 働き始めてからは源氏名でしか呼ばれず、 ルミという名前で呼ぶ存在もいなかった。 ひつじが良かった、と憧れた少女はそこにおらず いるのはボタンを掛け違えた亡霊だけ。 ──ああ、こんなことなら 正しく愛する方法を知っておけばよかった。 傷付け方なら、いくらだって分かるのに。 ] (*38) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:26 |
【赤】 従業員 ルミ…………………雷恩お兄さん [ ライ、は他の人も呼んでいるから嫌だった。 けれど雷恩と呼ばれるのを厭われてしまえば 我儘だけで通せる呼び名でも無かった。 別れた理由なんてどんなものでも知っている ──そうなるように仕向けたんだから。 呼び方なんて小さいことに拘るのが不満だと そう言っていたのは何番目の女だったか。 わたしはただ、呼び出した場所で ブランドバッグを差し出してお願いしただけ。 ] (*39) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:39 |
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