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【人】 厨房担当 ゲイザー― 過日:スプリングラムが幸せだった日 ― [シュネーバルに慰められたことでの、栗花落からの「よかった」>>5:167の一言に、緩く笑った。 この程度の話では、淡い好意の示唆とも思われないだろうとは自分でも思えども――。 それでも、あの日の栗花落の贈り物に救われたのだと、ちゃんと伝えられただけでも良かった、と。] あ。ありがとうございます! じゃあ私からも、アドレス渡しちゃいますね。 ちょっと待ってください――… [栗花落からのメモを受け取った後、速崎も自分の鞄から手帳を取り出す。 手帳に挟んでいたペンで無地のページに連絡先を書き込んでから、そのページを切り取り、栗花落に両手で差し出す。 渡した連絡先は、スマートフォンの電話番号とメールアドレス、LINEのアカウント。 (メモを自分から渡さずとも、この場ですぐに栗花落の連絡先に一報すれば済む話だったが、この時の速崎からはその考えが抜け落ちていた)] (2) 2023/03/13(Mon) 9:15:11 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ところで、速崎璥が誰かと個人的に連絡先を交換することは、とりわけ大学進学以降はなくなっていた。 『うさぎ』のスタッフと連絡先交換はあった>>3:198けれど、これはあくまで仕事絡みの話。 職場と家族以外の繋がりは、元より変わり者だらけだった天文サークルのグループLINE程度に留まっている。 友人になった栗栖とのLINE交換は? 「ダチ」とはいえフラれてから日が浅い中、余計な憶測を招く提案はしていない。貝沢のことを思えばなおのことだ。 つまり。 速崎璥が。 個人的な理由で連絡先交換を行ったのは。 大人になってからは、おそらく、 初めて 、である。] (3) 2023/03/13(Mon) 9:40:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ただでさえ慣れないことを、「気になっている」と自ら意識する相手に対し――付け加えれば、あの「セロ」でもあるその人に対し――行ったのだから、速崎の胸が早鐘を撞かない訳がない!] それじゃ、チエりんの予定判り次第、 連絡しちゃいますね! [それでも(今は客の立場であれど)取り乱す訳にはいくまいと、なんとか屈託ない明るい笑みを作っていた。 栗花落からのメモを、自分の手帳に付属していたクリアポケットに仕舞う指先は、微かに震えていたけれど。] (4) 2023/03/13(Mon) 9:43:18 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[……それはそれとして。 ラムの骨の出汁まで沁み込んだシチューの温もりに蕩けた心地のまま、にっこり笑う遠藤>>5:168に、一度ぱちりと瞬きを返しながらも] 流行ってる〜…かも、かな。あっはは。 流行りじゃなくたって、幸せには変わりないかも。 次のスペシャルパーティー、肉パ提案しとこうかな……。 そうだ、ギネスもお願い! [ベイリーズもいいな、ともふわっと思いはしたが、それはまた別の機会に。 時期の迫る自身の誕生日パーティーのことは(セロリの浅漬と共に一時思い出していたのに)すっ飛ばしたまま。] ありがと、シャミー。 今日いっぱい幸せになった分、また頑張るよ。 私だって、まだまだずっと『うさぎ』に居たいし、 お客様にも――シャミーにもみんなにも、美味しいもの いっぱい食べて、幸せになってもらいたいから。 [自分の事業でも心強い味方を得られたという、この古巣を愛するその人に向けて。 ビールに酔う前から半ばとろんとした瞳で、つぶやくように口にしていた。] (5) 2023/03/13(Mon) 10:22:09 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ギネスビールのグラスが来てからは、黒い海に波模様描くようなカスケードを暫く眺めて――。 それを一口含んでからは、キッチンの面々とも他の客とも特に何かを話すことはせず、静かに苦味とコクを喉に通していった。 葉月に応対する美澄とは積もる話もできそうだったけれど>>5:184>>5:199、瑞野に確り釘を刺されている様>>5:191も見やれば、この新人に無責任にダベりを振ることはちょっと躊躇われた。 ここで、折角のお客様の立場で、フィエの作ったタルト台に載ったブルーベリーとラズベリー>>5:173を味わって帰る……ということにまで至れずに。 速崎は、閉店時刻より前に会計を済ませ、店を後にした。 シチューの至福では打ち消しきれなかった内心の緊張ゆえに――ギネスの酔いが回って要らないことを口走らないように、と。] (6) 2023/03/13(Mon) 10:33:27 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ところでこの日、速崎が何かと嘉数や遠藤のことを気にかけ、少しだけでも相手に踏み込んで心配を示すことができたのは。 いつか瑞野が自分に対し、一歩踏み込んで心配を示してくれた>>3:497>>3:499>>3:501ことが影響している。 もしこの晩の『うさぎ』での滞在中、カウンター越しにキッチンの瑞野と目が合うことがあったならば。 積もる話ができる人がいてくれることの安堵もあって、感謝から目元を緩めて口角を上げていただろう。 ……栗花落に対しての自分の戸惑いばかりは、速崎自身にも言葉を整理できていない所為で、この場は勿論のこと、バックヤードでも瑞野には言い出せないままでいたのだけれど。*] (7) 2023/03/13(Mon) 10:48:45 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[こうして嘉数の予定を確かめてから、今度は栗花落にメッセージを送信した。] 『 ツユリさんへ この前は、映画のお誘い受けてくださって ありがとうございます。 チエさんの都合についてですが、 』 [この後の文面には、嘉数の都合の良い日程について記されている(日付の記載のみであり、行けない理由などの具体的な内容には言及していない) 少なくとも、あの貝類とカラフルなキウイフルーツの日>>1が過ぎるまでは、栗花落と嘉数(と、いつでも休日を合わせられる速崎)の予定が合う日は来ないようだ。] 『 折角なら、みんなで楽しく感想戦してみたいですし、 映画はまだ逃げませんけれど(嬉しいですね!) ツユリさんが「この日に行きたい」という日に 観に行けたらいいなと思います。 ゲイザー 』 [こうして、栗花落へのはじめてのメッセージ1通が、スマートフォンから送信される。] (9) 2023/03/13(Mon) 11:17:06 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ここで栗花落に伝えるべき用件は、ひとまずこれでお終い、だったのだけれど――。 速崎は少しだけ迷ってから、もう一通の「伝えたいこと」を、メッセージに載せた。 それは『うさぎ』で顔を合わせた際には、どうしても伝え難かった言葉。] (10) 2023/03/13(Mon) 12:01:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー『 ツユリさん 『Madam March Hare』でお尋ねするのはまずいかなって、 今までずっと、聞けなかったのですが…… ツユリさんが、『ラスト・サタデー』の 有栖川春人を演じられているセロさんですよね? お店で春人のセリフを言ってくださった時に、 きっとそうなんじゃないか、と思ったんです。 (もし違っていたら、ごめんなさい!) 『ラスト・サタデー』という作品自体が 監督さんごとハマってしまうくらい とても魅力的で好きなのですが、 作中でのセロさんの演技も、すごく好きです。 春人の明るさも、明るいだけじゃない陰の部分も 微妙な声のトーンの変化で演じきっていて。 (こう書くと、私、職業ライターさんみたいですね) それに、セロさんの声自体も魅力的で 他の誰とも似ていない響きに、惹き込まれています。 長々とした文章になってしまってごめんなさい。 ツユリさんのセロさんとしての活動、応援しています。 今度の映画で声を聞けるの、楽しみにしています。 ゲイザー 』 (11) 2023/03/13(Mon) 12:02:41 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[「好き」だとか、「魅力的」だとか、「惹き込まれて」だとか。 そうした表現を用いることに、躊躇いは確かにあった。 あったけれど――事実は事実だったし、多分これは「恋」とは違う魅力なのだと、そう胸の内で呟いて。 深呼吸をひとつおいてから、2件目のメッセージを栗花落に送信した。] ( ……ってこれ、普通に事務所に ファンレターとか送ればいい話だったな……。 ) [送信した後にそう気づくも、重複する内容の手紙を送るのはただストーカーじみているだけな気がしたため、文字の形で送る言葉はこの一通のみとなる。**] (12) 2023/03/13(Mon) 12:05:17 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a2) 2023/03/13(Mon) 12:21:47 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a3) 2023/03/13(Mon) 12:23:42 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 日中:『うさぎ』への道すがら ― [速崎璥は、不機嫌だった。 書店の棚から手に取った雑誌をその場で床に叩きつけない程度の分別はあったが、ともあれ、不機嫌を得た。 フーディーの下で、隠し切れない低い呟きが零れる。] 何なの、あれ。 [努めて冷静に棚に戻したその雑誌には、若手声優をPRする特集記事が掲載されていた。 その記事内で大々的に載せられていたグラビアを見るなり、速崎はこのような顔をするに至ったのである。] (15) 2023/03/13(Mon) 16:16:03 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( 私は、声が聞きたいだけ。演技が聞きたいだけ。 お姫様や王子様が欲しい訳じゃない。 ) [ライターがまとめた文章やインタビューの内容自体は、役者たちの芝居や活動に対し真摯に向き合ったものだったかもしれない。 それでも、キラキラとした写真による偶像化が、真摯な文章まで台無しにしている――「声」にしか関心のない残酷な耳の持ち主はそう捉えた。ブロマイドの読者プレゼントのことまで記事の中にあったものだから、なおのこと、この不機嫌は強まった。 「そうした」需要の存在自体は、流石に理解している心算だったが――。] (16) 2023/03/13(Mon) 16:16:46 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( ……そういえば、あの時、ツユリ、さん。 ) [当時は深く気に留めていなかったのだが、あの夜に来店していた栗花落の髪型>>4:80>>4:108は、いつもと少し違っていたと思い出す。 目深に被ったフードの下で目を伏せ――音楽ストリーミングのランダム再生をイヤフォン越しに耳に注ぎ込む。 脳を浸らせるのは、映像の一つとしてない純然たる音。 イギリスとアイルランドを繋ぐスター。緑髪のツインテールの少女。帰ってきたダークヒーロー。清楚なうたかたの人魚姫。反骨のパンク・ロック。漆黒のゴシック・ロック。鋭いラップのヒップホップ。ボーカルの無い伝統音楽。それにBeatlesの――。 耳に聞き慣れた快いジャズ>>2:310が丁度再生されていた時に、速崎璥は『うさぎ』裏の通用口に辿り着く。 さあ、不機嫌などない「オレンジのうさぎ」に変身しよう。] (17) 2023/03/13(Mon) 16:17:37 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― そして今宵、『うさぎ』にムール貝来たれり ― [さてこの料理店には、料理したい食材がある日に非番になったと悔やむ料理人もいれば、食べたい食材がある日に客になれなかったと悔やむ料理人もいるとかなんとか。] Hey, タイガーどうしたよ? ひょっとしてめっちゃ好き食材来た〜? [この時の美澄>>14のそわそわぶりを見て、気楽にそう声を掛けてみる。 自分の目でもブラックボード>>1を確認すれば、蛤とムール貝がオススメツートップ。 ふむふむなるほどー、と頷きながら、他のオススメと合わせてのレシピを早速脳裏に浮かべる。] (18) 2023/03/13(Mon) 16:32:03 |
【人】 厨房担当 ゲイザームール貝ならシンプルなワイン蒸しだけでも 十分いいっしょって感じだけれどー… パエリアとか欲しいお客様がいたら、 その時はその時で他の具材も合わせよっか。 クラムチャウダーとかも需要あるかな? 春レタスはサラダでも鍋でもいけるしー、 牛はステーキでもいいし、他にも色々ー……。 ヤングコーンは付け合わせになりがちだけど、 バター醤油やカレー粉とかの焼き物とかも やってみたいかな〜。 最悪賄いで食べたい。 そら豆は丸々使ってもいいんだけどさ、 ちょっと手間をかけちゃって〜 ポタージュにしちゃうのもアリアリだし! キウイもいろんな色合いのが揃ってるから、 各色ソース作ったりトライフルにしたりとか 色々面白い感じにできそうかもー。どうかな? [……などなど、キッチン内で案出しを行いながら、ムール貝やそら豆、ヤングコーンの下処理を。蛤の砂抜きも忘れずに。 今宵も『うさぎ』の穴に足を踏み入れ、ドアベルを鳴らすお客様をお迎えしよう!**] (19) 2023/03/13(Mon) 17:08:34 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a5) 2023/03/13(Mon) 17:18:01 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ふと、カウンター越しに美澄と葉月が向き合うことが増えたな、と思う。 当初こそ危険カクテルの件で一大事あった訳だが、この頃は危なげない様子>>0>>13。 (なおLINEのトーク画面を見せていた案件>>5:195>>5:200は、当時ギネスに酔っていた速崎は見落としている) 好きを伝えてくれた恩人と、頼もしくもなってきた後輩とをそれぞれ、のんびりとした笑みで見やってから――] ―――…っと、少々お待ちくださーい! [この時、店内には葉月の他にも、何組かの客がいた。 テーブル席からの呼び出しに丁度気付いた速崎は、別の客の対応に出ていた嘉数の代わりに、キッチンからホールへと。] (25) 2023/03/13(Mon) 19:26:04 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[テーブル席の二人組は、『うさぎ』の扉を初めて潜ったお客様とのこと。そのことにゲイザーらしく嬉し気にはしゃいでみせながら、オーダーを承り――。 やがてキッチンから速崎がサーブしてきたのは、牛ロースのステーキ。 このお客様方には、茹でたヤングコーンとそら豆、それに春レタスを千切ってベビーリーフと合わせたものを付け合わせに(野菜のオススメを網羅してくれた!)、オニオンソース掛けでご提供。] ところでお名前、聞いちゃってもいいですか? ―――…リリィさんに、アンジュ、さん、ですか。 じゃあ、リリやんにアンジーって呼んじゃいますね! [なんて、ゆるふわの服装をしたお二人様に気さくに笑い掛ける。 片方のお客様には何故かぱちぱちと瞬かれていた気もしたけれど、この時のゲイザーはあまり気にしていなかった。 ゆったりとお食事やお喋りを楽しんだ後は、二人して、さっと店を後にするのだろう。] (26) 2023/03/13(Mon) 19:40:04 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ロースステーキをサーブした後、速崎は足早にキッチンへと戻る。 急ぎのオーダーに手を貸してくれた瑞野に短く「ありがと」と笑い。まだ残っている注文リスト分を、大咲とも分担して手掛けていく。 パエリアやポタージュにも使えるコンソメスープは、遠藤が引いてくれたもの。 黒原=ベイカーが焼いてくれたスポンジ生地は、トライフルの層に敷くにも適している。 これらの仕込みも既に幾らか、お客様方のオーダーに応える形でちゃんと使われている。] ( ……ツユリ、さん、は、 ) [多忙という程ではないがそれなりに忙しない厨房作業の中で、ふっと、その声の響きが脳裏に過る。**] (34) 2023/03/13(Mon) 20:02:49 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a8) 2023/03/13(Mon) 20:12:47 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a9) 2023/03/13(Mon) 20:14:50 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a10) 2023/03/13(Mon) 20:18:18 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[キッチンでの作業に追われている間に、『うさぎ』のドアベルを鳴らす音がまたひとつ。 振り返った先には、栗花落>>37がいて――。 速崎は、いつも通りの屈託ない「オレンジうさぎ」の笑顔を、カウンター越しに投げかけた。] いらっしゃいませ、ツユリん! [この時、速崎が真っ先に栗花落の元へ駈けつけなかったのは、丁度この時手が離せなかったのと――。 美澄>>40に応対を任せながら、オーダー内容の準備に取り掛かる。] とりま、蛤のバター焼きとポタージュだけ、 先に作っちゃうぜ〜。 [美澄からのペスカトーレの提案>>42が出てくるのは、もう少しだけ後の話。] (49) 2023/03/14(Tue) 8:50:29 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[まずはそら豆を茹でるところから。 豆が軟らかくなるまで火が通ったら、湯から上げて薄皮を剥く。この時、豆は二粒だけ、そのままの形で別に分けて置いておく。 豆とは別に、みじん切りにした玉ねぎと長ねぎを鍋に入れ、塩とオリーブオイルで炒めていく。 (普段ならバターを用いるところだけれど、今回は蛤のバター焼きとの兼ね合いで風味を変えている) ねぎの甘みが出るくらいまで、けれども焦がさないように蒸し炒めで。 小さめにカットして水にさらしていたじゃがいもを加えたのち、さらに火を通していく。 十分に炒め蒸したところで、遠藤お手製のあのコンソメスープを投入。じゃがいもが柔らかくなるまで煮込んで、さらにそこに茹でていたそら豆を加えていく。 ひと煮立ちしたところで、人肌程度に覚まして、ミキサーにかけて。ちょうどよい滑らかさになる程度にコンソメと牛乳を足してから、さらに滑らかになるように裏ごしを。] (50) 2023/03/14(Tue) 9:46:59 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[こうして裏ごししたスープを鍋に戻し、生クリームを加えてもう一度温める。沸騰で牛乳とクリームが台無しにならないように、火加減には気を遣って――。 塩で少し味を調えて仕上げたポタージュをスープ皿に注いだら、そら豆二粒を浮かべて、最後に濃緑のパセリを散らせば完成。 スープ皿は幅広のものを用いれば、おしゃれさも高級感もある雰囲気になるけれど――ここでは蛤のバター焼きに合わせて、丸みのある素朴なボウル型の器にポタージュを注いでいる。 スープボウルの外側はマットな質感の薄藍色で、スノードロップの花の白いシルエットがひとつ描かれている。 ちなみにスノードロップの花の反対側には、小さな黒猫のシルエットも描かれている。 この図案にあの『鏡の国』の「キティとスノードロップ」を連想するか否かは、見る者次第。] (51) 2023/03/14(Tue) 9:51:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[さて、その蛤のバター焼きだが――。 栗花落から「醤油」の語>>37が聞こえたこともあって、ここではバター醤油焼きのテイストで。 まずにんにくをみじん切りにしてフライパンに入れ、塩分の有るバターで炒める。にんにくの良い香りがするまで熱したら、その中に蛤を並べていく。 さらに白ワインを振ってから、フライパンに蓋をし、貝が開くまで火を加えていく。 ところでこの砂抜き済みの蛤は、殻の表面をよく洗った上で、予めナイフを入れて蝶番を切り落としている。 これで加熱中に勢いよく口が開いてしまうのを防げる、という仕掛けだ。 蛤が開いたら蓋を開け、醤油を少し加えてざっと炒め合わせて。 ガーリック入りバターの濃厚さと、控えめ程度の醤油の風味、それに蛤そのものの豊富な旨味と塩分が沁み込んだ汁を、フライパンの底から掬って蛤にかけて、それから皿へと。 最後に小口切りにした浅葱をぱらっと散らして、出来上がり! 蛤のバター焼きを盛り付けた器は、明るいベージュ色の楕円型の深皿。 内側はつるんとしているが、縁と外側は土の温もりを思わせるように少しざらりとしている。] (52) 2023/03/14(Tue) 10:38:01 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[……と、このバター醤油焼きとは別のバージョンもひとつ。 先ほどの蛤よりも少し大粒の蛤を選び、蝶番を外した上で白ワインと共に鍋に入れ、蓋をして酒蒸しに。 静かに口を開いた蛤をそっと取り出して、上の殻を取り外す。 この際、蛤から滲み出た余計な汁は捨てておく。この汁は砂出しの際に貝が吸い込んだ水分なので、捨てても勿体なくはない。 さあここで、昼のランチタイムに作っておいたエスカルゴバターの出番。これは室温に戻しておいたバターに、みじん切りにしたパセリ、エシャロット、にんにくを加えて、クリーム状になるまで混ぜ合わせたものだ。 カロテンの淡黄色に緑の溶けあったバターを蛤の身の上に載せてから、オーブンで焼き上げて出来上がり。 溶けたバターの下に、ふっくらとした身と、凝縮された旨味の溶けだした汁が満ちる蛤の貝殻。 この貝を、細めの角皿の上に、真っすぐに並べていく。 この陶磁の角皿は、落ち着いたトーンの暗めの藍色。縁の手触りはやはりざらりとしていて、素朴な温もりを感じさせるもの。] (53) 2023/03/14(Tue) 11:07:33 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[サーブのタイミングは、パスタ・エ・ファッジョーリ>>46と同じくらいに。] はい、ツユリん、お待たせいたしました〜! こちら、蛤のバター焼きを、ガーリックバター醤油と エスカルゴバターで二種、作っちゃいました。 ぜひぜひ、食べ比べてみちゃってくださいねん。 [ハーフサイズ程度の小さめの皿二つ>>52>>53に、オレンジ色の猫型をした殻入れ皿を添えて届ける。 ちなみに「エスカルゴバター」と言っても、エスカルゴそのものを材料に用いている訳ではない。単にエスカルゴ料理の際によく使われるバターというだけの話である。] そしてこちら、そら豆のポタージュ、 シャミーのコンソメも利いたやさしいお味を、 今日の蛤とムール貝のツートップの お供にして、食べちゃってくださいな! [ポタージュのボウル>>50>>51をカウンターに差し出し、元気良い笑顔を栗花落に向けてから、速崎は再び厨房内を駆けていく。] (54) 2023/03/14(Tue) 11:25:12 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a15) 2023/03/14(Tue) 11:56:56 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 回想:さて、映画の約束はというと…… ― [あの日のメッセージのあと、栗花落から返信があった>>36。 「やっぱり平日の方が」「午後からなら空けられる日ある」との文面に、嘉数>>n0が挙げてくれた日付を改めて見返してみて。 こうして嘉数が挙げた平日のうち、速崎が非番になる日で、最も早い日付をひとつ提示する。] 『 そうですね、平日なら私も元々休みありますし…… XX/XXの午後から、でどうでしょうか? 16:00か18:20の上映回に合わせて現地集合できたら いいかなと、考えているところです。 』 [栗花落がその日に予定を開けられないなら、順次、後の方の候補日に繰り下げていって――。 そうした遣り取りを重ねて、予定を擦り合わせていく。] (56) 2023/03/14(Tue) 13:44:07 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[さて、予定のすり合わせとは別に送った、声優「セロ」へのファンメッセージ。セロとしての栗花落にそれがちゃんと届いたと判れば、返信への返信をしつこく重ねたりはしない。 スマートフォンの画面上に浮かぶ文字を、速崎はひとり、目元を緩めて見つめる。] ( ……そうだね。そうだ。 周りに言いふらすような人じゃない、って。 ツユリさんは、私を、ゲイザーを信頼してくれている。 じゃあ、私は? ゲイザーは。ケイ、は。 ……―――――、 ) [この時にふっと胸の内に伸し掛かった想いを分け合う相手は、この時の璥にはいない。 声優という役者たちを「偶像化」したあの雑誌に強い不愉快と を抱く>>15>>16>>17のは、この後日のこと。] (57) 2023/03/14(Tue) 13:45:08 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― さて、今夜のムール貝のおはなし ― Absolutely!! [春とムール貝の到来を告げる言葉>>27には、すぐさまに「ほんまそれ」のノリで高らかなる一言を。速崎は必ずしもいつもムール貝で春を迎えている訳ではないのだがそれはそれとして。 くるりと華麗なるターンを決めた美澄とのこの掛け合い、スポットライトがあれば完璧なショーになっていたかもしれないが、『うさぎ』のホールとキッチンにそんな装置はない。あるのはいつもの照明とモダンなBGMだけである。 美澄が知る、けれど速崎は未踏のコヴェントガーデン。 パンク・ロックの聖地・ロキシーの話がふっと脳裏を過ったが、それこそ「私の話」になるこの語は一先ず引っ込めて。 祖父母の昔ならぬ、今に近い日々の中の、Clams&Musselsのワインクリーム蒸しが美味しい店の話に、ちょっと生唾を飲みながら頷いていた。] (59) 2023/03/14(Tue) 15:20:51 |
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