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【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[不安が伝わったのか、握り返される手。 タイミングがあまりにもよくて、ほっとしてしまう。 伝わったんじゃないかって。 行かないでいてくれるんじゃないかって。 そう思えるのに見上げた瞳に浮かぶのは、 いつも以上にどこか虚ろに思えた。 私を映し出しているのに、更に先を見ているような。 しっかりと眼は合っているはずなのに。 『だいじょうぶだよ』>>101 チェレスタと同じ、私と同じ言葉をあなたが口にする。 ぞわりと、肌が粟立つ。 いつもの癖の倍ぐらい。>>3:433 嘘にも思えて、でも、 本心にも思えた。 ] (276) 2022/12/24(Sat) 19:01:53 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[何も考えてないわけじゃない。 ううん、きっといつも考えてる。 私以上に彼は、ずっと。 口に出すとこはないけれど、 その眼で見たものを、その耳で聞いたものを、 敏感に受け止めて、 彼は、彼なりにいつも動いているように見えたから。 身を隠すように留まっていた屋根裏部屋。 朝焼けの中で見た笑顔は>>99、 太陽と同じくらい温かく思えた。 手放したくないと、思った。 ぎこちなく表情を変える彼をもっと見ていたい。 その言葉を、信じてもいいのなら、 この手を離しても――『大丈夫』だろうか。] (277) 2022/12/24(Sat) 19:02:06 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[そう思った時、不意に違う声が聞こえた。>>193 思考に巡っていた意識が、 ぱちんと、風船が割れるように現実に戻る。] ……あ、エト。 [エトは星を詠むという、その名の通りの『星』の人。 どこかぼんやりしている人で、 そんなところは少しプロセラと、 近い印象を持っていたかもしれない。 これは直接本人に聞いたわけじゃないけれど。 プロセラが洋館に来ることになった理由に、 彼が関係していたことは、 世話人同士の噂話で聞いたことがある。 それをプロセラが、どう思っているかは、 聞いたことがないけれど。] (278) 2022/12/24(Sat) 19:02:17 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク……え、 [悲しい顔をしていると言われて、思わず頬を抑えた。>>195 そんなに表情に出てたかな。 言われるまで、気づいていなかった。 不安だと言う言葉を、 どう受け止めていいのか、分からなかった。 私のプロセラに対する不安が、エトにも見えていたのか。 エトの視線がプロセラに向くのを、静かに見つめる。 ――『塔』は『星』の目の前で処刑されました。 教典の一文をまた思い出した。 『星』が『塔』を求めているのか。 かつて友であったという二人。 友達になりたいと、今伝えるエトを。 どうしても教典に重ねてしまう。] (279) 2022/12/24(Sat) 19:02:50 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[そのエトが、口にした言葉は>>197、 私が不安を抱いているものと同じような気がした。 すごいな。 これが星詠みの力なのかな。 彼自身の持っている"何か"なのか、分からないけれど。 エトの言葉に後押しされるように。 握り返された手をもう一度、強く握って、 プロセラを見つめた。 ねえ、プロセラ。 私だけじゃないんだよ。 あなたを心配してくれる人が此処にもいる。 (280) 2022/12/24(Sat) 19:03:18 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[そう教えてくれたのは、奇しくも、 かつて『塔』が友と認めたひと。 そばにいるから>>103。 その言葉を、そのまま受け止めてもいいよね?] ……プロセラ。 [世界の混沌を見せる中継機の、 放送されていた言葉の中に、彼の名前があった。 『嵐』はまるで彼の心の中を表すよう。 見えない表情の奥で、幾つもの壁を纏ってる。 そう、あなたが名乗った名前を、呼ぶ。] (281) 2022/12/24(Sat) 19:03:37 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ ときに『嵐』が起こらなければ、 『太陽』は人を焼き尽くしてしまうだろう。 それならば、あなたが居なくては。 私には、あなたが居なければ。 **] (282) 2022/12/24(Sat) 19:06:16 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[見上げた視線の先、赤いプロセラの瞳が、 少し眩しそうに細められて。 何か、伝わったんだって確信した。 滅多に動かない彼の唇が開いて、 彼がゆっくりと言葉を紡ぐ。 それは、私への心配だった。] ……え、…… [考えていなかった。何もかも。 プロセラの言葉で>>303、はじめて思い至る。 二十二人揃ったことで世界が崩壊しかけたこと。 それはたしかに、世界の人々を混乱させるだろう。 暴動も起きるかもしれない。] (401) 2022/12/25(Sun) 15:00:41 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[でも、世界は壊れなかった。 壊れなかったのなら、大丈夫だろうって思ってた。 私達が何かをしたわけではないけれど、 崩壊しかけた世界の理由を、私達は知っている。 知っていることが、 また、世界の人達を不安にさせてしまうだろうか。 そうしたら、私はまた。 昔のように石を投げられたりもするのだろうか。] (402) 2022/12/25(Sun) 15:01:03 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[――――怖い、と思う。 畏怖の眼よりも、何よりも。 憎悪の眼を向けられることが。 それは時に攻撃的なものに変わり、 人を傷つけてしまうから。 世界は不安なのだ。 不安だから、探してしまうのだ。 行き場のない感情をぶつけられる対象を。 広告塔の仕事をこれからも続けるのだとしたら、 いつしかは、きっと、ぶつかるだろう。 綺麗な感情だけじゃない。 人々の抱えきれない想いに、 『証持ち』への様々な感情を抱いた気持ちに。] (403) 2022/12/25(Sun) 15:01:25 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ぶる、と肩が震えた。 これからのことを想像して。 "傷み"を思い出してしまって、震えたのだ。 一度、覚えた疵は記憶に残るから。 また"傷み"と向き合うことになるかもしれない。 ―――それでも。] (404) 2022/12/25(Sun) 15:01:48 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[助けになりたいと言ってくれる人がいる>>304。 それだけで涙が出そうだった。 ぐっと唇を噛みしめる。 その言葉だけで十分だった。 其処に居てくれるだけでもいいのに。 いつも受動的だったプロセラの、 初めて語られる彼の願いの中に、 私がいることだけでも十分に力になる。 もう、膝を抱えて泣いていた頃とは違う。 今はひとりじゃない。 プロセラだけじゃない。 洋館で過ごしてきた『証持ち』の人たち。 それぞれ、関わりは長くあり短くとも。 それが、私の今、"守りたいもの"だから。] (405) 2022/12/25(Sun) 15:02:09 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[はく、と口を開いて、閉じて。 滲んだ視界で考えを話すプロセラを見届ける。 こんなにたくさん話すプロセラを見るのは初めてだ。 誰かに物事を頼むのも、きっと。 そのきっかけをくれたのは紛れもなくエトだろう。 二人のやりとりを眺めながら、 言いたいことはたくさんあったけれど。 胸が詰まって、言葉にならなくて。] ……ふぇ……、 [吐くように息をしたら、 ぽろっ瞳から何かが零れ落ちた。] (406) 2022/12/25(Sun) 15:03:38 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク……うぇ……、ぁぁん……っ……! ぁぁぁぁぁぁ……っ……、 ["守りたい"と思っていたと同時に、 "守られていた"と知る。 『大丈夫』だと言い聞かせながら、 『大丈夫』じゃなかったのは、私。 気付かされて、初めて気づく。 ずっと、" "を抱えていたこと。 そしたら、ぼろぼろと何かが決壊したみたいに。 溢れて溢れて、仕方なくて。 子供みたいにプロセラの手を握りしめて、 しゃくりあげながら、大声で泣いた。**] (407) 2022/12/25(Sun) 15:04:15 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ひとしきり泣いて、泣いて。 自分でも止められないぐらいに泣いて。 プロセラとエトを少し困らせたかもしれない。 二人と分かれて、泣き腫らした眼を擦りながら、 調理場で水分を少しだけ摂った。 飲み物を飲めば、少しだけ落ち着いて。 柔らかな息を吐き出して、一息をついた。 プロセラの心配が無くなった分だけ、 不安が少しだけ薄れたけれど。 神様の言葉を聞いたみんなは、 それぞれ思うところがあったのか、 ばらばらに反応を見せていたように思う。 当然のように。 みんな此処に残るものだと思っていたけれど、 そうでない人も、居るのかもしれない。] (462) 2022/12/25(Sun) 21:46:52 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク (463) 2022/12/25(Sun) 21:47:33 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[調理場から駆け出したら、 食堂にまばらに人が集まっているのが見えた。 シトラと、探していたチェレスタと。 その他にも何人か証持ちの人が居たかもしれない。 今は周りを見る余裕もなくて、] チェレスタ……!! [彼女の姿を見つけたら、 飛び出していた椅子にぶつかりながらも、 チェレスタの下に向かっていく。 慌てていたせいか、息が切れて。 眼はさっき泣いたばっかりで赤いままで。 談笑していた彼女たちの間に、 割って入るように、彼女を両肩を捕まえた。] (465) 2022/12/25(Sun) 21:48:03 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[肩で息を整える。 上下する肩を大きく息を吐き出してから、吸い込んで。 彼女と正面から向き合った。] ……大丈夫じゃない!! チェレスタが居なくなって大丈夫なわけない! ……いつも、お出かけしても、 大丈夫なのは……、 チェレスタが必ず此処に帰ってきてくれるから。 だから、大丈夫なんだよっ。 戻ってこないなら、大丈夫じゃないっ。 [箍が外れたのは、 さっき涙を流したせいかもしれない。 今まで『大丈夫』だと伝えていた分を、 すべて吹き飛ばすみたいに、必死に彼女に告げる。 駄々をこねる子供みたいに。] (466) 2022/12/25(Sun) 21:48:45 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[いなくなるつもりはないと、書いてあった。 書いてあったけれど、それよりも前の一文が心に残った。 私に宛てた彼女のメッセージに。 チェレスタが求める言葉を返せたかは分からない。 でも、『証持ち』がばらばらになっていく。 その不安も伴って、焦燥感に駆られる。] ……行ってもいいけど、 必ず、戻ってきてくれなきゃ、やだよ……。 [其処に居たのは、『太陽』でもなんでもない、 華奢な体をした、まだ幼い子供の姿。**] (467) 2022/12/25(Sun) 21:49:56 |
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