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【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― 回想/フォルスと ―― [表情の乏しい子供が不躾に袖を引いても、 その人は笑顔を崩すことはなかった。>>3:264 腰を折って、視線を合わせてくれる。 そうしてくれる大人と出会ったのは、 洋館に訪れてからだった。 共に暮らした老夫婦は既に腰が曲がっていたから。 こうして腰を曲げることが子供の為に、 視線を合わせてくれているのだと気づいたのは、 いろいろな人に物事を教わり始めてからだ。 『子供』が『大人』を頼っても良いのだと 教わったのも、洋館に来てからだった。 だから、一番『大人』に見える『力』に。 せんせいのことを伝えようと思ったのだ。] (12) 2022/12/20(Tue) 0:59:46 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[その頃はまだあまり人と話すことに慣れていなくて、 色んなものが言葉足らずだったと思う。 それでもフォルスは優しく頭を撫でてくれた。 撫でられることに慣れていなくて、 乏しい表情が、一際複雑なものになったかもしれない。 嫌な感じはしなかったから、避けることはしなかった。 同じ高さになった視線の先に、 私にも分かるような言葉で話す彼に。>>3:266 こくん、と。 小さく、頷いた。] 『いたいのは かなしいから』 [それは自身が負わされた疵を思い出してのこと。 痛みはじくじくと身体を苛むから。 痛む度に、痛む場所を繰り返し思い出すから。 夜も眠れなくなって、つらい。] (13) 2022/12/20(Tue) 1:00:40 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[覚束ない言葉で、もう一度、袖を引く。 少し言葉に迷いながら。 頼んでも良いのか、迷いながら。 それでも。] 『せんせいのいたいの、なおしてあげて』 [見てしまった疵を、見ないふりは出来ない。] (14) 2022/12/20(Tue) 1:01:32 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ぽつぽつと、せんせいの部屋で見てきたものを伝えて。 それでも、言葉は足りなかっただろう。 うまく伝えられたかは分からない。 後に与えられた飲み物はじわりと身体を温めてくれた。 少し、緊張が解けた気がした。 フォルスからもお願い事があったなら。 また、こくりと頷いて。 小さな少女は時々、売店を訪れるようになっただろう。**] (15) 2022/12/20(Tue) 1:02:09 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a4) 2022/12/20(Tue) 1:06:19 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― *** ―― [プロセラの姿を探し回っている内に、 日は傾き、夜が訪れていた。 洋館にいる人が少し減ったように思う。 崩壊していく故郷を心配してのことか、 もしかしたら、此処も崩れると踏んで、 逃げていった人も居たかもしれない。 端末をもう一度見る。 チェレスタからの返事はまだなかった。>>3:472 まだ気づいていないのかもしれない。 エーリクとの話が長引いているのかもしれない。 会ったら、話してくれるかな。 彼女が気にかけている一座のことも。 こんな時に限って、 別れ際の少し戸惑った彼女の姿ばかりを 思い出してしまうから。 ぶん、と大きく首を振って考えを散らした。] (128) 2022/12/20(Tue) 22:37:46 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[医務室も、中庭にも、部屋も探したけれど。 プロセラの姿は何処にもなくて。 洋館の外まで見て回って、 探し疲れた頃に、彼の世話人を見つけた。 もしかして――、と、思い当たる場所を聞いて。 最後の伝手を縋るように。 教えられた場所へと足を向けた。] (129) 2022/12/20(Tue) 22:38:04 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[あまり使われていない、埃っぽい場所。>>11 教えてもらわなければ、知ることはなかった。 階段を上って、上って。高い上。 人も寄り付かないような物置のような場所の片隅に、 身体を丸めるようにして目を閉じている彼を見つけた。 見つけてほしくなかったのかもしれない。 見つけてはいけなかったのかもしれない。 それでも、彼の姿を見つけたら、 無意識に安堵の息が零れた。] (130) 2022/12/20(Tue) 22:38:44 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[起こさないように、驚かさないように。 ゆっくりと埃を立てないように歩み寄っていく。 傍らに寄り添うように、腰を下ろして。 そっと、緩やかに彼の髪を撫ぜた。 夜の間は、『太陽』は存在しない。 その姿を隠してしまうから。 夜闇に浮かび上がるのは『月』と『星』。 ――『塔』は『星』の前で処刑されました。 ――『審判』は『月』を殺しました。 そんな、教典の一部を思い出す。 『塔』の痣を持つプロセラも。 『審判』の痣を持つチェレスタも。 彼も、彼女も、少なからずも。 誰かの死がまとわりつく。 誰かを手をかけるのも、誰かの手にかけられるのも。 『太陽』の痣を持つ私には分からない。] (131) 2022/12/20(Tue) 22:39:18 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ころりと、埃の上に横になる。 プロセラの隣に並んで、眠るのは初めてかもしれない。 彼が目を覚まさなければそのまま朝になるだろう。 シーツがないのは、少し寒いけれど。 身体を寄せれば、少しは暖かくなるだろうか。 距離を縮めて、彼の胸元に耳を当てる。 トクン、トクン、と彼が生きている音がする。 彼に習うように目を閉じて。] ……大丈夫、ずっとそばにいるよ。 [すっかり移ってしまった彼女の口癖は、 まるで自分自身にも言い聞かせるように。] (132) 2022/12/20(Tue) 22:40:34 |
(a33) 2022/12/20(Tue) 22:45:28 |
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