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【墓】 ユスティそれからしばらくは ユスティはポケットに手を入れて過ごしていた。 先生には事前に話は通して 態度が悪いと言われないように伝え 素行不良を疑われないように。 それでも手の心配までしてくるのは たった一人だけだった。 (+27) 2023/10/04(Wed) 18:50:59 |
【墓】 ユスティ他の生徒にはなんのことか分からないように 心配そうにしているエウロパに吐き捨てると ユスティは見向きもせずに立ち去った。 この問題には、エウロパを関わらせないように。 彼女が自分を責めないように。 (+29) 2023/10/04(Wed) 18:52:13 |
【墓】 ユスティ人の姿に変化することは この学園では難しいことでは無い。 専用の魔法薬さえ作れれば 誰でもできてしまうことなのだ。 しかし似せられるのは見た目と声だけ その言葉も、信念までもを 模倣することなど決して出来ないだろう。 (+31) 2023/10/05(Thu) 8:27:15 |
【墓】 ユスティ心の乱れは魔法にとって毒だ。 心を落ち着かせようと座って深く息をする。 このメンタルコントロールが 魔法の制御のもっとも効果的な方法だった。 しかしどうにも落ち着かない。 自分の気持ちとは無関係に どうやら外が騒がしくなっていたせいだ。 (+35) 2023/10/05(Thu) 8:31:47 |
【墓】 ユスティ空が黒に染まっていく。 森を中心に嵐のように風や雪が舞う 不自然な雲に覆われたその森は もはや誰も近づけないほどに荒れていた。 その正体に気づけないはずがない。 それは幼い頃に見た、異常気象。 彼女と袂を分かった時に見た、涙。 (+37) 2023/10/05(Thu) 8:32:46 |
【墓】 ユスティユスティは走り出す。 走ってはいけないはずの廊下を駆け抜け 一目散に後者の外へと向かうと 既にそこには先生や他の生徒が集まっていた。 どうやら風が強すぎて近づけないようだ。 魔力が次第に弱まっていくのを感じる中、 今は一刻を争うというのに 何も、どうすることも出来ないと往生していた。 (+38) 2023/10/05(Thu) 8:33:41 |
【墓】 ユスティ 風が収まったら助けに行こう それはエウロパの魔力が枯渇するということ 魔力の枯渇が魔法使いにもたらす負の影響を 彼らは知らないはずがない。 暗にそうするしかないのだと言い聞かせる先生達に 苛立ちを滲ませたユスティは床に魔法陣を描き始める。 (+40) 2023/10/05(Thu) 8:36:00 |
【墓】 エウロパ あのあと、私が起こした騒ぎは 私のせいなのだとばれることはなかった。 何か騒ぎがあったらしい、とは広まっていたけれど その内容も、関わった人のことも、わからないまま。 誰が何をしたのか根も葉もないうわさが飛び交う中 私は暗い顔をしていたから。 唯一、シトゥラだけは 私の態度から何か察したみたいだけど 何も聞かれなかった。 (+44) 2023/10/05(Thu) 9:41:29 |
【墓】 エウロパ 聞かれたら困るんだとシトゥラは分かってるんだ。 その優しさに甘えて、友達にさえ、 今日の出来事は話せないまま。 それから後の事。 ユスティを見かける機会があった。 手を隠すように過ごしている君の姿を見て 心配になるんだ。 (+45) 2023/10/05(Thu) 9:42:07 |
【墓】 エウロパ言い募っても関わりたくないって空気を 感じて怯んでしまう。 あの時、優しい声で落ち着かせてくれた君とは 別人みたいな対応に、戸惑って混乱して。 これ以上何か言ったら迷惑なのかなって 考えたら、何も言えなくなってしまったんだ。 (+47) 2023/10/05(Thu) 9:42:59 |
【墓】 エウロパ君は優しいから助けてくれたんだ。 そう信じてるはずなのに。 何処かで少し、迷ってしまう。 違ったらどうしよう、って。 だから踏み込めない。 本当は踏み込みたいのに。* (+48) 2023/10/05(Thu) 9:43:32 |
【墓】 エウロパ―――――でも、やれることさえしないのは罪だ。 シトゥラは窓の外からでも見える 魔力暴走に目をやり、友人の無事を祈りながら 魔法薬調合の作業を止めることはない。 (+50) 2023/10/05(Thu) 17:47:39 |
【墓】 エウロパそう信じて、手元で調合するのは回復薬。 あれほどの魔力暴走を起こしたのなら きっとエウロパの魔力は枯渇寸前。 魔力の回復を早める薬を作らなければ。 学校の医務室に常備されているものでは 彼女に使うには効き目が足りない。 あれは、一般の生徒に使う事を 想定した物だと知っている。 彼女ほどの魔力の持ち主なら 効果を10倍して足りるかどうか。 (+52) 2023/10/05(Thu) 17:49:32 |
【墓】 エウロパ効き目が弱すぎても強すぎてもいけない。 難しい調整を終え、魔法薬を作り終えた シトゥラは、出来上がったものを瓶に詰める。 同時に作っていた怪我の治癒薬も持つと 向かうのは医務室。 絶対に彼は私の友人を連れて帰ってくる。 だから、先回りして待つだけ。 (+53) 2023/10/05(Thu) 17:50:19 |
【墓】 ユスティ*** しかしエウロパは独りではない。 彼女を助けようとする人は必ずいる。 狼狽える先生や生徒など 初めから眼中にはない。 そして意外にもその人は天才というよりは秀才で 薬学においてはユスティを超えていると言っていい。 彼女の素直な性格に惹き込まれたその一人は まるで待っていたかのように ユスティが向かったその先、医務室にいた。 (+55) 2023/10/06(Fri) 21:29:46 |
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