174 完全RP村【crush apple〜誰の林檎が砕けたの?】
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| [ ――あんたは、“普通”の家族に憧れてたんだな] (114) 2022/09/12(Mon) 18:23:26 |
| [ 後から知ったが、父親のプロポーズの言葉は、 「あなたと共に“普通”の家庭を築いていきたい」 だったらしい。 最初は母親ともうまくいっていたようだ。 どちらも家庭に恵まれなかった者同士、 ある意味、共通の目標を持った同志だったから。 けれど、“普通”の愛情を知らなかった父親は 何をどうすれば“普通”になるのか分からなかった。 祖父母と伯父だけで旅行に出ることも多く、 自分だけ連れて行ってもらえなかったという記憶から、 自分の家族にはたくさん旅行してほしいと願った。 >>1:43 祖母が兼業主婦だったから愛情をもらえなかったと、 そう思い込んで、母親には 専業主婦であることを求めた。 >>3:10] (115) 2022/09/12(Mon) 18:23:45 |
| [ まあ他にも色々とあったけれど、 月日は流れ、結果は御覧の有様。
理想的な家庭を築こうとして、 できないことを無理して継ぎ接ぎしようとして、 母親と息子に負担を強いることしかできない そんな愚かな父親。
きっと、自分も“普通”の父親になれると そう信じ切っていたし、 他人からもそう見られたいと強く願っていたのだろう。
自分の課した目標に雁字搦めになる父親は 義哉の目には、ひどく憐れに映った] (116) 2022/09/12(Mon) 18:24:01 |
| [ 完全な悪と決めつけられたら、 きっと見切りをつけることができたのに。 >>3:14 父親はずっとこんな調子と分かっていても、 >>4:57 夢の世界でしか壊すことは叶わないし、 >>4:59 泣き声を自覚してしまえば、 それを壊すことすら義哉にはできないのだ >>110] (117) 2022/09/12(Mon) 18:24:29 |
| ―― 現在:厨房→廊下 ――
……生き残ったところで、俺には何もできないのに。
[ このままじゃだめだと分かっていても、 父親から逃れられない愚かな子供。
自分の身の振り方も分からないのに、 誰かのために何ができるかなんて 分かるはずがないのだ。
もう、特別展の工藤’に愚痴でも吐いてしまおうか。
猫型クリームパンをオーブンに入れて、 発酵機能をセットすると、 ふらふらと、青白い顔で廊下に彷徨い出ることにした]* (118) 2022/09/12(Mon) 18:24:57 |
| (a33) 2022/09/12(Mon) 18:29:19 |
[じゅじゅからLINEが来ていた。
聞いた話ではじゅじゅの足の骨折はそれなりに痛そうな怪我なのだが。]
『お返しありがとう、すごいうまそう』
『オレは無傷。なので心配ない』
『じゅじゅも無理なく』
『こっちまで来れなくてもLINEならいつでも』
[多少かすり傷はあるのだけど、まあほぼ無傷みたいなものかなと。
虎が強そうなポーズをしているスタンプを送る。
スタンプ履歴の上の方にあるスタンプになんとなく目を落とせば、よっしー先輩のパン屋を教えてもらう話を思い出して、胸の奥が痛くなった。
夢の中の状況を思えば少し眠るのが怖い。
いっそ早く教えてくれと知りたがっていた結果が出るまでの猶予は、もうさほどないのだろうから。]*
──夢──
[スタッフルームを後にしてからは、特別展の絵の前、林檎頭の前に立っているくっきーを少し後ろから離れて見ていた。
還れることがわかったといっても、残された二人のことを考えて、まつもっちゃんの様子を見て、複雑な思いであることは容易に想像がついた。
1/2の確率で死んでいる二人を置いて還るのはきっと、オレが還った時よりずっときつい。
ひとのために何もできないことを歯痒いと、悔しいと感じる性分なのは知っているから。
精神の不安定が影響するらしいこの世界で、還るまでの間に少しでも平穏であって欲しいとは難しい話なのはわかっていても。
彼女が彼女の絵の前でどんな囁きを受けて、
どんなもう一人の自分を見たかはわからない。
何かを話している声は聞こえた気はするのだけれど。
絵に一歩近づいた先で、おかしなことが起きているんだって気づいたのは、強い意志を持った声に自分の名が乗るのが聞こえたのと同じくらい。
近寄る間もなく弾かれたように絵から離れて、一言吐き捨てた後、歩き出す顔にドキリとしてしまった。]
[見合うとか見合わないとか気にしていたようだけど、本当に何を気にしているのだろう。
────こんなにもいい女なのに。
とは、かわいいよりも大分言うのが難しそうだと、誰も見ていない顔を片手で覆った。]**
[あるいはただ単純に自分の意思を告げるのが怖くて。
いつも誰かの好意に甘えて、自分の決断を、こうしていただけませんか?という形で相手に委ねた。
はっきりとこうしたい、こうしなければならない、なんて決意は長続きしなくて、あまり言うことも出来なくて。
…実行したいと思っても、実行に移す勇気はなくて。
でも、津崎さんは自分が勝手に心配すると言ったことに好意を感じてくれていたようだった。
だから、多分、相手を言い訳に使うより、もっと自分で行動するべきだったんだと、本当、今更だけれど。]
もう一回告白しよう。振られてもいい、告白したい。
[せめてまた会えたときには、こうして感じる後悔を伝えようと思う。
命のかかった瀬戸際で、相手を追いかけられなかった人間の言葉がどれだけ届くかは分からないけれど。
もし、彼が生きていたとして、伝えられないのではやっぱり同じだから。]
なんて、決意は立派でも、実行できるかが危ういんだけどね。
[津崎さんを追いかけること、松本さんに頼られること、黒崎さんの重荷になりたくないと思ったこと。
どれも実行できなかったことだ。
所詮、口だけ思うだけで実行できなければ意味がないことは、もう分かっているから。]
だから、逃げないでね。
[自分にそう言い聞かせる。逃げないで、と。]
| ―― 現在:廊下 ―― ……あ。 [ 特別展に辿り着く前に、黒崎に出会う。 >>120 後輩に泣き言も愚痴も言いたくなかった。 松本には年上だからと、促されるままに 少しだけ甘えてしまったが、 >>1:312>>1:313 結局、彼にはすべての事情は話せないまま、 別れることになる気がする。 けれど、言いたくないという気持ちとは裏腹に、 口は言おう言おうと、何度か開いては閉じてを 繰り返して、ついに……] (121) 2022/09/12(Mon) 19:01:39 |
| 津崎が亡くなっていたら、どうしよう。 俺、津崎のためにも、生きてるみんなのためにも きっと、何もできることがない……。
黒崎は、もし津崎と2人きりで残って、 自分が還れるってお告げを聞いたら、 何をしたいとか、考えていることあったか?
[ 青白い顔のまま、焦点の合わない視線を彷徨わせる。
言葉にしたら力が抜けて、義哉は廊下に座り込んだ。 答えづらい問いで申し訳ないという思いはあったけれど、 “大丈夫”ではない義哉は、 言葉に気遣いを混ぜる余裕もない]* (122) 2022/09/12(Mon) 19:02:09 |
| (a36) 2022/09/12(Mon) 19:06:04 |
| ―― 厨房の一コマ ―― [ 厨房に存在していたしゃべる林檎は、 >>109 義哉が出て行ったあと、数分後に跡形もなく消えた]** (123) 2022/09/12(Mon) 19:09:22 |
[LINEを見ると、トラくんからの返信がきていた。
並べられる文面、心配なく、無理せず、LINEならいつでも。
最初の一文を除いた全てに思いやりの言葉があって、本当に気遣いヒーローなんだな、なんて思いながら。]
美味しそう、か。食べてくれるといいな。
[三人で。三人で食べてほしい。
トラくんと、黒崎さんと、津崎さん。
三人揃った姿が見たい、それがあるべき姿なんだと、私は思っている。
あえて三人で食べてほしいとは言わなかったけれど、きっとトラくんならそうするから。]
【現実・病室にて】
[目を閉じると、声が聞こえてくる。
それは優しい、思いやりを持った声。女の人の声。
あなたが辛いときは、私を思い出して。
逃げたくなったら、私を思い出して。
辛いときはあなたを慰めてあげる、私が側に居てあげる。
でも逃げるのはダメよ、それで後々苦しむのはあなただって、もう分かっているでしょう?
私はいつでもあなたの心の中にいるのよ、それを忘れないでね…
その声に導かれるように、私はゆっくりと眠りの中に落ちていく。]
ありがとう。
──現実・病院──
[LINEを返した後、スマホを弄るついでカメラロールを確認するとあの時昼に三人で食べたオムライスやパフェなどが写っている。]
………、また食べに行けると良いな。
[三人で。行けるのだろうか。
くっきーとのLINEはレストラン前の待ち合わせの時が最後になっていて。
そこにあの時の写真を立て続けに送る。]
あの壊れかけのスマホ、まだ生きてんのか謎だが。
[それから、徹っちんからのLINEにはやっぱり夢の中で貰ったURLはなくて。
いつだったかわからないくらいのくだらないやりとりが残っている。
徹っちんのトーク画面にもあの時の写真、それからオレの自撮りを送りつけておいた。
放っておけない友人。
素直に好意をいつでも投げてくれる稀有な存在。
こうして友人の無事を願うと同時に先輩の顔が頭をチラつく。
オレが還ることを、あそこで何か得るものはあったかと聞いてくれた先輩。]
先輩はどうだったんだろうな…。
[あの時聞けなかったことが今更悔やまれる。
あれがどちらのための夢だとしても、もっとオレにも出来ることがあったんじゃないかと考えてしまうのはどうしても止められなかった。]*
| ―― 現在:廊下 ―― [ 黒崎が廊下に腰を下ろし、 >>125 目線が近づいて、初めて顔をそちらに向けた。 彼女は自分の夢の世界だと思っていたらしい。 自分の欲しかったものが手に入った世界。 >>125>>126 今は思うところもあるかもしれないが、 この世界は確かに黒崎を救ったのだと思うと、 良かったと心から感じる] お礼を言って、笑って、さよならを言う…… 自分の思いを持って帰ってもらう…… 傍にいる…… [ そんなことでいいのだろうか、 それで救われるのだろうか、とも思う。 けれど、 “最後の時間を貰えたことは、意味がある” >>127 その言葉は義哉の心に少しだけ響いた] (129) 2022/09/12(Mon) 20:28:36 |
| [ 同じ、なのだろうか。 考えても、今はまだ分からないけれど] (131) 2022/09/12(Mon) 20:29:25 |
| [ 黒崎の中にある どろどろしたものに気づく余裕もなかったから、 >>127 義哉はその綺麗事をそのまま受け取った] 分かった。もう少し前向きに考えてみる。 もし、まだ時間があったら、 また黒崎に相談するかもしれないけど。 [ 先ほどよりかは、いくらか血色の良くなった顔で 口角を上げて] 話、聞いてくれてありがとう。 [ はっきりと感謝の気持ちを言葉にする] (132) 2022/09/12(Mon) 20:29:55 |
| [ それから、]
ああ、そうだ。 今、厨房でパンを用意しているんだ。 まだ焼き上がってはないんだが、食べてくれると嬉しい。
[ 思い出したように付け加えながら、 よければ、チョコペンで顔も描いてみないかとも 提案してみた]* (133) 2022/09/12(Mon) 20:30:13 |
| (a39) 2022/09/12(Mon) 20:32:49 |
──回想・夢の中──
[工藤は夢と現実の間を行き来した。
とろとろとまどろむ中で、悲痛な叫びを聞いた。]
………………。
[工藤は夢の中に立つと、倒れこんだ松本先輩を見下ろしていた。
虫のように縮こまったまま、死のうにも死にきれず、殺してくれと繰り返している。
あたりにはむせかえるような林檎の匂いが漂って、どろりと濡れたナイフが落ちていた。]
……………………。
[工藤はかがみこんでナイフを拾う。それは手に取ることができた。
ナイフは二つに分裂する。床に落ちたままのものと、工藤の手におさまるものと。
そうして、彼の頭の傍にかがみこむと、喉元に刃を押し当て、引いた。]
[くぱ、と皮膚が裂けて、断面が露になる。深く血管と筋肉を傷つけて、命の管を絶つ。
体液が勢いよく噴き出して、工藤の顔を、スーツを汚す。
そのまま気道を確保するように、顎を持ち上げた。
より多くの体液を外に逃がそうと。
だが、すぐに傷は塞がった。
工藤はもう一度喉を切りつけると、今度は頭を抱え込む。幼子をあやす様に。
心臓の鼓動に合わせて、びゅくびゅくと体液が吹きだす様を、瞬きもせずに見つめていた。
やがて小泉先輩たちが駆けつけて、必死に介抱を始めた。
工藤にも首の傷にはまったく頓着することなく、ただ腹の傷だけを癒している。
彼らが必死に手当てをして、励まし続けている横で、工藤は何度も喉を切りつける。
何度も、何度も、切りつけていた。]*
| [ 例え出てくる答えが甘い考えでも良くて、 >>134 ただ、自分の悩みを 聞いてほしかっただけなのかもしれない] 言いたいこと、今までは そんなに言ったことがなかったから。 あまり慣れてなくて、 訳の分からないこと言ってしまうかも。 それでも、嬉しいと思うものなのかな。 [ 割と意見を言えば文句を言う人が 近くにいることが多かったものだから。 >>135 迷惑を掛けないかという不安はあるけれど、 少しだけその言葉を信じてみようかと思った] (138) 2022/09/12(Mon) 21:26:16 |
| ああ、粉から作った。 パン作りは割と長い間やってたから、 レシピも材料の分量も覚えてるんだよな。 菓子作りは、レシピがないと作れないが。 [ 菓子やパンは目分量で作ると 失敗することが多いという理由で、 料理好きからも敬遠されることが多いらしいが、 レシピとコツさえ掴めれば作れるから、 義哉にとってはそこまで苦とは思っていなかった] もう少ししたら、焼き上げる段階になるから、 食えるまでは、もう少し時間が掛かるが、 今からレストランまで行くか? それとも他に行きたいところがあるなら、 焼き上がったタイミングでLINEか電話で知らせるし。 [ チョコペンのことで首を傾げる黒崎に >>136 猫型クリームパンのことは内緒にしておこうと思い、 移動するかどうか尋ねてみた]* (139) 2022/09/12(Mon) 21:26:31 |
| (a41) 2022/09/12(Mon) 21:28:38 |
──病院・一瞬目覚めた──
[どれほどの時間そうしていたのか。
きっと武藤先輩が駆けつけた頃には、工藤は消えていたはずだ。
一瞬だけ夢から覚めた時、病室には武藤先輩がいた。
寝ぼけ眼のままレポート用紙と筆記具を受け取ると、レポート用紙を撫でて紙質を確かめ、]
私が普段使っているものと違います……
[もらったくせに余計な一言を言って、再びとろとろとまどろみの中へと落ちて行った。
ジョークの件を問い詰めることも、礼を言うこともできなかった。その時は。]
──また夢の中──
[次に気が付いた時には、厨房に立っていた。手には、武藤先輩からもらったお見舞い品を持っていた。
小泉先輩がいた。何かを作ろうとしているのか、粉を計量している。
工藤は秤の目盛を見た。それからもらったレポート用紙を広げると、何やら書き込み始めようとして、]
…………………………。
[一瞬、じっとレポート用紙と筆記具を見つめた。無表情のまま紙面を何度かさすり、]
…………………………………。
[また黙ってメモを取り始めた。
部屋の温度計を見た。湿度を見た。オーブンの温度を見た。
生地に触れて弾力を確かめた。
何も言わぬまま、ただ小泉先輩の手元を、環境を観察していた。]*
──病院・ミサミサの病室──
悪い、寝てたか。
[眠そうな様子に寝ていたところを起こしたようで悪いなと思ったが手土産は受け取られたので良しとしておこう。]
書ければよくね?
まあ、こだわりがあるなら今度聞くわ。
[あ、寝た。
眠りに落ちたということは会いに行っているのだろう、誰かに。
オレが夢の中で駆けつける前にまつもっちゃんの介錯をしようとしていたことは知らないけれど、ミサミサも残してきた皆のことが心配なのだろうと思う。
オレたち還ってくる側はいつでも会えるのだから、焦ることはないし。
レアだけどあまりまじまじ女子の寝顔を見るのは悪いなと思って、その時は一度自室に戻ったかな。]*
──病院・いつか目覚めた時にうろうろ──
………………。
[工藤はよろよろと起き上がると、寝台から足を下ろした。
服装は普段来ているパジャマ姿だった。家族が持ってきてくれたのだろう。
大きく痛む場所は無いが、病室から出る時にやっぱりおもいっきり脛をぶつけた。]
……………………。
[しゃがみこんでしばらく脛をおさえる。
それから、パジャマ越しに足を数度撫でると、少し荒々しくパジャマの裾をめくった。]
………………………………。
[美術館に入った時にできたでっかい痣は、湿布に守られることなく、むき出しになっていた。
工藤は長いこと、自分の足を見つめていた。]*
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