124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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―先代霜降と立秋―
[先代霜降、紫明はかなり長く灯守りに就いていた。立秋にとっては先輩にあたり、甘えられる存在だったからよく懐いていた。ごくごく稀に、悩み相談をすることすらもあった。
だから、引退すると聞いたときは。]
……そっかー。寂しくなるね。
引退しても、立秋域に会いに来てよね!
ボクからも会いに行くからね!
[紫明が存命の間は甘えに行くつもりであり。抱きついてから、「またね」と手を振ったのだ。*]
[その紫明の新しい蛍だというから、彼女の印象は出会う前から当然悪いものではなく。]
わあ!それ、半分染めたの?
おっしゃれー!
[初めての出会いの時、赤と白の髪を見ての第一発言。そしてその髪が生まれつきであり、且つ名前が葵だと聞けば。]
ええー!!すごーい!!
綺麗だねっ!しかも赤白なのに、名前が青いちゃんとか!三色じゃん!
[そんな感じでお気に入りの一人になり。
蛍名より覚えやすかったから、名前で呼んでいた。
彼女が霜降になってからは、葵ちゃん、化粧も服のセンスもいいよねーとちょくちょく構いに行っていたものだ。]
[なお、立秋のところの蛍にそーっと手を伸ばそうとしたことがあったらば。チュウくんとショウくんは小動物のように愛想振りまいていたけれども。]
『我ノ顔ニ何カツイテマスカナー』
『マア 目トクチガ付イテオリマスガナー』
[人間の子供サイズで一番デカいダイくんは、実は人語を話せる…というヒミツを知ることとなります。**]
[先代の白露が消えてしまった後、わたしは霜降様に、次の白露の灯守りに推薦されていた
正直に言えば、なんでわたしを?と思った
今でこそ、他の蛍や霜降様の手を借りて、蛍としてやっているけれど、
手を離されてしまえば、きっと歩くことも出来ないと思っていたのに
“わたしで務まるか、心配です”と微笑んでみたけれど、
大丈夫と、あなたはわたしの手を離した]
[ふいに、あの雨の日、
水溜りに落ちた瞬間のことを思い出した]
[白露域に向かうあの日、
少ない荷物を詰め込んだトランクを持つわたしを、涙を流しながらお姉ちゃんは見送ってくれた
「いつでも私を頼ってね」なんて気遣う言葉を添えて
にこりと、わたしは綺麗に微笑んだ
初めて会ったあの日に見せた、歪な笑顔よりもずっとずっと綺麗に]
[わたしはお人形なのだから
いつか、捨てられるものでしょう]
[わたしの生家、風見家では、
長子が小雪の蛍となる習わしを長年続けてきました。
血筋に加えて能力まで備わっているかは各世代に拠りましたが。
そんな我が家の書斎を隅々まで巡れば、
先代の小雪さま
の悪行
にまつわる記録もありました。
100年以上もむかし、先代の小雪さまが忽然といなくなった後、
風見家もその捜索を手伝いましたが、その行方は杳として知れなかったことも。
それから新たに小雪さまとなった方が、蛍を迎え入れなくなってからやはり100年以上。
それでも生家の地は絶えることなく受け継がれていきました。
その末代にいるわたしは長子ではなく、ふたつ上の兄がいるのですが、
お父さまはある時宣言しました。「胡乃羽を次期当主とする」と]
[理由はふたつありました。
ひとつは兄の身体が弱かったこと。
もうひとつは胡乃羽――すなわちわたしが、能力をもっていたことです。
ヒトがこの世に生まれた時、
神様ってやつが気まぐれにくれるおくりもの――
わたしの家では『能力』のことはこんな風に好意的な解釈をされていましたし、
風見家には数代おきに、風にまつわる能力をもつ者が生まれるのだとか。
能力をもっているのがにいさまだったら、
話はややこしくはならなかったのですが。ままならないものです]
[長子でない者が風にまつわる能力を持つのは過去にないことだとか。
そんなイレギュラーを、お父さまは笑って受け入れましたが、
親族は揉めに揉めたそうです。
まだ幼い(互いに十にも満たない)きょうだいの意思を置き去りにしたまま。
その揉めは尾を引いたかって?
少なくともわたしたちきょうだいの間ではそうじゃなかったと言えるでしょう。
次期当主になるための勉強がつまらなくなって、
能力を使って容赦なく逃げたわたしを、
にいさまが匿ってくれたこともありましたし]
[「まるで背中に羽があるみたいだ」
わたしの能力『旋風』はわたし自身にも使うことができます。身体を強くする方面で。
そうして、にいさまの部屋(2階にある)の窓から飛び降りても、
けろりとしているわたしを見て、にいさまがこう言いました。
そのことを何年たっても覚えていて、
いつしか、能力を自分に使う時に、
背中に羽があるのをイメージするようになりました。
イメージが定着しても、さすがに空を飛ぶことはできませんでしたが、
空を飛べなくとも地を速く走れる鳥がいるじゃないですか、
あのような気分にはなれました。
それでも結局、わたしが透明な籠の中にいることには変わりありませんでしたが**]
―― 先代と雪兎 ――
[ その時の先代は、先代の雨水に対し、処暑域で収穫できたブドウを差し入れていたらしい。
先代処暑の彼は、真反対、という意識しやすい位置に対し、興味を持つ、という方向性の意識を向けていた。
だから先代の雨水とも交流が深かったようであるし……彼ならば、あの社交的な人と仲良くやれるだろうな、と思う。
そこを円らな瞳に見つめられ……ブドウを何粒か
食べさせたようだ。 ]
「 それで金平糖をもらったんだけど、食べるかい? 」
[ 笑顔で私に勧められた可愛らしい小袋は……彼のものだから、と受け取らなかったけれど、
それが頻繁になるにつれて、私も観念して口を付けるようになった。
初めて雪兎を見たときに「これが例の……」という感情が湧き上がったけれど、
複雑な気持ちもあって、今まで、そのことに対して礼は言ったことがない。
]
[ 先代は余程、余程雪兎を気に入っていたようで、そして慕っていたらしい。
ある時、処暑域に珍しく雪が積もった。
そう、雪遊びが出来る程度に。
彼は、彼なりに興奮していたのか、私を呼んで、雪を眺めていたのだけれど。
積もった雪で彼が作ったのは雪兎。
南天の葉と実を、耳と瞳にして。
満足げにした彼は魔道具である写真機でそれを映していた。
即座に冬至の彼女へと届けられたらしい“写真”を見て彼女がどうしたのか――私は、知らないけれど。* ]
[ わたしが生まれたのは、
春よりは少しばかり肌寒い土地で
かつては幾度も灯守りを輩出したという、
いわゆる“由緒正しい家”というやつだった。
そう、かつては。
華やかなるは既に過去のもの、
長き時の流れを経て彼の地の灯守りの役目は家を離れ、
『
橙木』の名も今は旧い家系のひとつにすぎない。
はっきり言って斜陽である。
なんなら似たような旧家同士、
存続のため政略結婚によって血を繋いだという話も多く、
この名すらかつて名を馳せたそれではないのかもしれず。
(つまるところ、あの方が只人であった当時は
その名は『橙木』ではなかったのかもしれない)
]
[ 当代の春分――緋桜さまとは、
元を辿っていくと同じこの家に繋がるのだという。
血族としてどれほど近しいかは知らないが
今、生きているわたしより
きっといくつか前の世代の存在であるそのひとを
なお注視し続ける程度には遠からぬものなのだろう。
灯守りは只人と違う時を生きる、なんて
それは当たり前に常識だけれど。
初めて顔を合わせた頃から今も、
あの姿で、変わりなくそこに在り続ける御姿は
紛れもなく人智を超えた何かに相違なく、
故にこそ、頑張らなければと焦りを覚える
まるで天を仰いでいるような心地にさせられる。
それを利用しようだなんてとんでもない。
血族でありながら人の範疇を外れた存在を、
それが手の届かぬところへ行ってしまわぬよう
近くで目を光らせていること。
……なんて、名目でしかない気もするが
それがわたしの役目。此処にいる、理由。 ]
[ 灯守りの側仕えとして、
灯守りや蛍の面々と関わることが多いと
感覚が麻痺してしまうところがあるが。
能力を持つ人間、というのは
少なくとも世界の多数派ではなくて
故にこそ灯守りや蛍となる者が多いのかもしれない。
かくいうわたしの『凪持』も
生まれながらに持ち合わせた異能であり、
だからこそ、少し厳しく育てられた気はする。
それが普通だったから、よくわからないけれど。
ひどく限定的ながら、
時間という概念に触れる、人の身には余る力。
わたしという存在自体、
きっとあの家にとっては道具のようなもので
道具にするにしては、いささか勝手が悪すぎた。 ]
[ 蛍の代替わりを好機とし
異能の子の社会勉強と謳いながら、
縁ある灯守りのもとへ送られ。
春があたたかいことも、世界は案外優しいことも、
春分域で暮らすようになって、初めて知った。
ただ生きているだけだった世界に色が付いた。
わたしなんかに寛大に、
やさしく接してくれるひとの手で。 **]
[若い灯守り。
世代交代が行われるということは、別れもあるということだ。
号を挙げるたび、脳裏によぎるのが彼女たちのひとつ前であることに年嵩を感じる。
ほんの10年くらい前まで結構男性比率も高かったんだが、気づけば若い子は女性が多いな、などと会場の華やかさに思ったり。
いいや決して長勤めの女性陣に華がないとは申しませんとも。
]
[霜降の紫明、立春の蘭花、雨水の村雨――
特に村雨は、どことなくかつての小満を思わせる雰囲気があって若い頃はいろいろと構ってもらった。その内容は、まあ、ちょっと青すぎて語りたくないところもあるが。簡単に言えば遅すぎる反抗期が私にもあったってことだ。
立夏は正直、蛍の印象ばかり。隣だし接触の機会は他より多かったはずなんだが、ほとんど本人には会わず。悔しくて唐突に会いに行ったりしたっけな。
白露はどうしているだろう。急に失踪をしたと聞いた時はどこぞの親友のことが一瞬過ぎりもしたが、手紙すらといった調子らしく今なお気がかりではある。
それこそ目の前の小暑だって、まだ先代の印象が強い相手だ。
まったくあいつときたら、自分の妹に向かって人のことを『考えると負け』
だなどと、人聞きの悪い。
こんなにも人畜無害だって言うのになあ*]
| [ さて、雨水の彼女にもらったマカロンを摘まんで一息ついた後、 パーティー会場に向かう前に動いたのは、大寒の彼女についての事だった。 難しそうだとは思っていたけれど、彼女は案の定、執事やメイドの勧めを断っていたらしい。 >>31 ブーツを持ってパーティー会場内に入り、まず向かったのは彼女の元だった。 ] ……大寒サマ…… 不便を強いてしまい、大変申し訳ありませんでした [ 否、こちらだけの責任ではないけれど、“灯守り様”相手にはそう言わなければならない。 辛いところである。 しかし大寒様は、ブーツを差し出すと、一瞬驚いた顔 >>34をした。 ……何か不味いことをしたか、と緊張が走る。 靴が不釣り合い、ということには全く気付いていなかった。人が人ならば、苦言を呈されたかもしれないけれど。 ] えっ あ、いえ、失礼致しました はい……ご意向通りに私が選ばせていただきました [ しかし彼女は靴を履くと、笑みを零してくれた >>35。 ほっと息を吐く。 ――が、続いた彼女の言葉に最早驚いた、というレベルではない衝撃が走った。 ] (65) 2022/01/22(Sat) 4:36:22 |
| は……!? ……えっ、!? [ 突然大寒様に蛍に勧誘されれば、誰だってこの反応をするのではないだろうか。 ……否、どうだろう。 大寒様に蛍が居ないのは知っているが、己のどこがそんなに琴線に触れたのか……否、今それは重要ではない。 ともかく己は真剣にその言葉を受け止めていたし、蛍になる、蛍になるとは?と、真剣に考えていた。 ……が。 ] あっ、えっ、……そうでしたか、取り乱してしまい失礼致しました ええ……ではそうしていただければ [ 冗談と言われれば、はあ、と大きく安堵の息を吐いてしまっただろう。 己の心を乱高下させた彼女は去っていく。 己も、礼をして見送った。 ] (66) 2022/01/22(Sat) 4:37:10 |
| [ 蛍に、と言われ、まず出てきたのは困惑。 自分が“そちら側”に行くとは微塵も考えていなかった。これは、市井の人間の大半もそうであろうと思うけれど。 中央域から蛍や灯守りになった者は、居たかどうか。居たとしたら“変わり者”であろうが。 もしも、さっきの言葉が冗談でなければ、己はどうしただろう。 己は、少なくとも今の仕事は向いていない、とは思っていない。 大変ではあるが。 だから迷うし、じっくり考えるだろうが、その時の己がどういう選択をするかは……はっきりとは分からなかった。 大寒様は対応が面倒な部類の灯守りではあるけれど、他灯守り全員を相手取るよりも、ひとりの元で働くのは案外賢いのではないだろうか? ……と、いうのを差し引いても、「何を考え、何を思うのか」――秩序を重んじる己と違う彼女の言動がどこから来るのか、 興味がないと言えば、嘘になるから。* ] (67) 2022/01/22(Sat) 4:38:25 |
| [ さて、仕事も終わり、己はパーティー会場の端でピザをつまんでいた >>1:5。 疲労から、半分放心状態の休憩時間であったが、こちらに近付いてきた影が声を掛けてくるならば、背筋を伸ばす。 ] あ……小暑サマ え、ええ、どうぞ [ 名前を呼ばれているのだから、確実に己に話し掛けている。 “灯守り様”にそう言われては否定も出来ず、隣の席を示すだろう。 小暑の灯守りである彼 >>1:208。 小暑域は色々とあって、彼は確か会合が初めてだったはず。 その間も、今日も出席してた蛍、蓮始華の彼女は出席していたのだったか、どうだったか。 ちなみに今はどうでも良いことであるが、己の出身は小暑域である。 冬の灯りを持つ己にはやや過ごしにくい場所ではあったし、もう中央に来て10年程になるから、内部から深く知る訳ではないけれど。 少し気になるのはしょうがないことだ。 ] (68) 2022/01/22(Sat) 4:45:45 |
| [ ……と、それを知る訳でもないだろうし、どうして己に声を掛けてくるのだろう、と思う。 ここは灯守り同士の交流の場であるのだから、他の灯守りと交流すればいいのに。 ……という己の考えは、歪んだ方向で現実になってしまった。 小満の彼がこちらに近付き輪に混ざりに来た >>1:213。どうして……。 一応気遣う気持ちが少しでもあったこと >>1:212を知ったら驚いただろう。 席を勧める小暑様 >>5、引かれた椅子に座る小満様 >>8。 灯守り二人に囲まれる形になって、己は頭痛がした。 ……忘れていたが、このパーティーでの時間は休憩時間などではない。 会場内を見ていなければいけないし、灯守り様蛍様に何か言われれば対応しなければいけない。 そう、これは仕事。これも仕事。内心遠い目をしてしまう。 ] ……ええ、お疲れ様でした 乾杯 [ ココアdrinkを掲げる。グラスを合わせるまでは、自分からはしなかったかもしれないが。] (69) 2022/01/22(Sat) 4:47:25 |
| [ 疲れた時には甘いもの、とココアを飲むのが癖になっている、というのはさておき。 口を付けると、小暑の彼が話を切り出す。 ……どうして己に振ってくるのだろうか。そういう話は灯守り同士の方が相応しいのでは……。 答えに詰まる間、小満の彼も考えるような声を上げていた >>9。 ……心当たりがない、みたいな顔をしているな、と思った。 まあ彼ならば、ないのも納得がいってしまうのだが……。 彼の昔の話は当然知ることはない。知っているのは、資料に残っている範囲のこと。 灯守り同士の会話を聞くのに回りつつも、小満の彼の「自由な場」という言葉にまた頭痛がした。中央の職員で彼を嫌う人が多いのはそういうところだな、と思う。 とはいえ、彼の珍しい言葉 >>63を聞けば少し驚いたけれど。 彼も不安やら、そんなことを考えるのだな、と、 失礼ながら 目を瞬かせる。 けれど――彼が他の灯守りまでこちらに呼ぼうとしたから、そんなある種しんみりした感情は一気に吹き飛んだ。 これ以上灯守りの中に置かないで欲しい。己抜きでやってほしい。 げっそりとした表情は、恐らく隠せてはいない。** ] (70) 2022/01/22(Sat) 4:50:14 |
| (a26) 2022/01/22(Sat) 4:55:24 |
[ “彼”の愛称を呼ぶ。
応えてくれる人は、疾うにに亡い。 ]
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