82 【身内】裏切りと駆け引きのカッサンドラ【R18G】
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まず、体は仰向けに台の上に横たえられた。首に輪を嵌めずり落ちないようにしているが、シリコンを噛んで傷が出来ないようには配慮されている。
腕はやはり透明の覆いのつけられた箱の中へと入れられた。腕の下にはクッションがあって、力を抜いても壁に当たらない。
ただ、腕のすぐ横に何か……モーター式で駆動する、鋸刃のような大掛かりな器具が横たわっている。
それは腕よりも太く、差し詰めカートゥーンのドリルにも似た、でも全く違う……有刺鉄線のようにとげとげした何か。
足元には何かのペダルがあった。数は三つ。透明のアクリル玉覆われているが、膝下を全て入れないとならず、しかと膝が天井に引っかかって足を抜きにくい。
ペダルにはラベルが張られている。客席にもナフにも見えるように表裏にしっかりと。
そこにはこう書かれている。『200万ドル』『5000ドル』『4.65セント』。
ところで、貴方が暗殺を請け負った報酬というのはどんなものだっただろう? 実費に換算し、経費を差し引いて、感情的な値を差し引いて。
貴方の命の価値はいくらだった?
「ナフ、選択肢は三つ。あのペダルを踏んで解答するのよ。
ペダルを踏むと軽い電流が流れます。痛めつけるためではありません。ペダルから簡単に足を離さないようにするためです。
チョンっと踏んですぐに引き上げてはつまらないし、賭けにもならないでしょう?
貴方が己の価値を考えるの。正答はひとつだけ。命の価値はいくらでしょう、貴方の命の価値はいくらでしょう?」
動揺も冷めやらないだろうに、女はそっと囁くとすぐに客席の方を向いた。パチパチと拍手が二人を迎える。
スポットライトとカメラは正しくナフの方を向いて、貴方が主役であることを指すように惜しみなく飾った。
「皆様、固唾を呑んでお見守りください、じっとですよ……彼が怯えてしまわないように。
命の価値は、
命の価値は、
命の価値はーー」
船の狂気が抜け殻だった自分に満ちているのを感じる。
罪悪感こそ抱けど、
暗殺者の彼が友人の破滅を喜んだように。
少年は、酷く震えている。
横たわっている器具にも、女の声にも、置かれた状況そのものにも、恐怖を感じて。
「お、おれ の 命」
考えろ。考えろ。考えろ。
家族には、好かれていたと思う。
友達は、多くはなかったけれど。
踊り手は、家族が教えてくれた舞いを広めたくて。
殺しは、小さな弟妹を育てる母親を助けたくて。
―――選択肢がなかったとはいえ、身を犠牲にして、貢献してきたはずだ。
あの人以外の、
誰にも褒められなくても―――
「痛いのは、嫌だ……」
200万ドルの価値は、ないだろう。
けれど、4.65セントでは家族を助けられない。
それならば――――答えは。
少年は、青い顔のまま
『5000ドル』のペダル
に、足を、入れた。
電流を警戒して、奥歯に力を入れている。
| (a24) 2021/07/08(Thu) 10:52:04 |
| >>21「ん、 おらoreハマルのことなんも知らないっすから」 「いっぱい知りたいんすよ」 「ん〜、どういう経路で、この船に乗ったの?」 「渡すなら 麿oreの経緯でも良いけど」 「 ムイくんの状態でもいいよ 」 「ブラックジャック、ポーカーでもいいけど」 (22) 2021/07/08(Thu) 11:06:52 |
「命の価値は、5000ドル!」
笑い声がオーケストラの演奏を掻き消すようにこだまする。
ぴり、と電流が走るものの、細い針を刺したような鋭い痛みはあれど心臓を蝕むほどではないだろう。
けれども確かに足の動きは縫い止められるように硬直して、ペダルから足を離すまでには時間がかかる。
その、一呼吸深く肺に酸素を入れるように時間。たったそれだけの時間。
凄まじい轟音を立ててモーターが回転した。
左腕を捕捉している回転鋸はまず最初に肌に棘を引っ掛けて、シーツを巻き取るかのように皮膚を引き剥がした。
真っ赤な肉が露出して、思い出したかのように遅れて鮮血が噴き出す。容器の中に血は溜まることなく、繋がれたチューブから台の下のケースに流れていった。
回転鋸は止まらずに肉を轢き潰し、フォークで何度もステーキを引っ掻くように細い粗挽きを作り出した。
端々に見える白い芯は骨だろうか? 辛うじて当たらないものの、身動ぎをして暴れたならばそれも同じように巻き込まれるのだと言うのは想像に難くない。
少年の腕は側面の半分の肉をごっそりと抉り取られ、もはや自分の意思で動かすのもむずかしいほど原型を無くしてしまった。
「おや、これはこれは。どうやら間違えてしまったようですね?
選んだのは中間。思い切りのなさが不安を生んでしまったのかもしれない、悲しいことです……。
さあ、ショウはまだ終わっていませんよ。ナフ、さあ、選び取りなさい。
貴方の命の価値は?」
喜ぶ
客たちの顔を一人一人覚えている。墜とされても変わらない猛禽類の瞳だ。
その光景と、更にその光景を見てる奴を自分が見ていたら生き生きしていた。
電流は大した痛みではなかった。
ほっと息をついて――――
「………ぇ」
何が起こったのか、分からなかった。
凄まじい音がして、何かが刺さるような鋭い痛み。
皮が剥がされ血が噴き出すのを、腕がズタズタにされていくのを、呆然と見て。
一度機械が止まって―――
「あ ああああぁあああっ!!痛い、いたい…っ!!!
なんで、腕 おれ おれ、まちがって…っ!!」
初めてあった頃の落ち着いた雰囲気はもはやなく、喉を潰すのではないかと思わせるほどの声を上げて、涙をぼろぼろと零している。
痛みに慣れていないのは本当で。
痛い事をされないように、機嫌を損ねないように必死で生きてきたのだ。
少年は、舞いをしなやかに見せるための腕を失った。
それでもまだ、この遊戯は終わらない。
早くこの痛みから解放されたくて。少年は、足を引き抜いて、『4.65セント』のペダルを踏んだ。
自分の価値なんてどうだっていい。早く解放されたい。
喜びしか分からない。劈くような悲鳴の先にあるものしかわからない。
全ての感情が喜びに支配されている。矛盾した気持ちに気づけない。
骨に刃が当たって、痛みと恐怖で泣きじゃくっている。
幼い頃から母親によって丁寧に手入れされてきた左腕を失った。
少年は悲鳴をあげ、血飛沫は容器の口から少年の顔へ、胴体へも血を飛ばす。そばで補佐する女も例外ではない。
真っ赤な衣装に更なる絢を重ねながら、少年がよく見えるように顔の血を拭ってやった。美しい顔を皆に見てもらえるように。
少年の勇気を讃えでもするかのように、客席からは拍手喝采が上がる。見世物としてはとても喜ばれているらしい。
一度の痛みを与えられても、ショウは平然と、終わらない。
「命の価値は4.65セント!
さあ果たして彼の選択は……おや!」
まるで道端に美しい花でも見つけたかのように声を上げる。それはすぐにやはり、モーター音にかき消された。
高速で回転する刃が少年の残った腕を引き裂いたのだ。
刃には糸のように細い血管や神経が絡み、カツカツと引っかかる音を立てながらそれでも止まらずに奔らせる。
チチ、と火花でも散らすように鳴っているのは、肩まで繋がる組織を巻き取って引きちぎる音だ。
電流に呼び止められた脚がようやくペダルから離れる頃には、両腕は揃いの傷を抱えていた。
「さあ、残るペダルは後一つ。
皆様はどう見受けましょう、これにも仕掛けがあるのかどうか?
いいえ、神は彼を見放さず天上へと迎え入れてくれるでしょうか。
拍手でお見送りくださいませ、彼の勇気ある第一歩を!
命の価値は━━」
最後のペダルは、『200万』。それは彼の命の価値に、見合っているだろうか?
少年は再び与えられた痛みに、劈くような悲鳴をあげる。
意識を失うこともできず、頭は朦朧とし 視界は霞んで赤色しか写さない。
暗殺のためにナイフを振るった右腕も失い、肩につながる骨すらなくして、
少年は元々抱えていた望みも捨てたかのようにただ
「死にたい」
と思った。
自分に価値なんてない。だから、早く 早く楽にしてほしい。
嗚咽だけが、響く。
| >>5:23「お、さっちーうっすうっす」 「オフっすか?今日のげーざーちゃんのパイは」 「 最高っすよ!! 」 うん、素直に電話切ったんだね。 「この後お時間があれば、遊びに行きませんか?」 「美味しそうなアイスとかあって……」 ……少しの沈黙 「おしごとじゃ ない、から、 ] (24) 2021/07/08(Thu) 13:19:25 |
| >>5:25 わーい!ハマルだいすきー! 「よーし、もっかい引き直した方がいいッスか?」 ふふ らせふんらら なんふふんり ぉぱぼりらら〜♪ これはシャッフル中の歌。 ハマルもシャッフルしたければ、していいっすぞ! (26) 2021/07/08(Thu) 13:32:41 |
最後のペダルが踏まれたならば、踏む勇気があったならば。
パン、パン! と甲高い破裂音が鳴り響くことだろう。
それはチープなクラッカーだった。祝祭の始まりのような音が鳴り響くと、両側から従業員が進み出る。
「命の価値は……200万ドル!
これこそがみなさまが此度の演目に投票し積み上げた金額になります。法外とお思いでしょうか、いいえみなさまの愛あればこそ!
良かったわね、ナフ。彼らはみな貴方のファンなの。戻ってくるのを待っていたのよ。
おめでとう、貴方の価値は200万ドル。貴方は皆に選ばれたのよ……」
賓客に、少年に。それぞれにポジティブな言葉を投げかける。
客席の中には貴方を見てうっとりと頰を染める貴婦人があれば、熱烈な愛の言葉を叫びかける紳士もあった。
貴方は求められているのだ。貴方が求められているのだ。
貴方に払われた価値は200万ドル。貴方の大切なものを守るのに、不足することはないだろう。
貴方自身は守れないけれど。
「"前座"はこれまで。いよいよナフには極上の踊りを踊っていただきましょう。
その為にも、彼が寵愛に満たされるさまを、ご覧くださいな」
血に塗れた台は斜めに傾けられ、体のよく見えやすいように。今度はうつ伏せに転がされ、顔は客席の方に向いた。
ペダルは運ばれていき、両腕の器具は取り外される。すぐさま傷口は清潔な布に包まれ、みるみる赤く染まった。
きつく肩口は縛り付けられて、パフォーマンス以上の出血がないように施される。当然だ。殺す意味などない。
かれの命には価値があり、値打ちがつけられ、金を生むのだ。
必要なだけの輸血も施され、命を失わず、気を失わないようにしっかりとケアがされていく。
ならば、なぜまだ、見世物台の上に?
「刮目ください、彼の美しい顔を、身体を。彼に称賛を。
これよりみなさまに、『エンジェル』の誕生をお見せいたします」
| >>5:27ふ、さっちゃん、アイスはいつでもうまいっすよ。 「 これ、パイです。 辛くもヤバくもない。パイです」 ニアはなにも知らない。知らなかった。 「 どうぞ 」 それでもふわっとどんな人かは知っている これは圧 だってディーラーをしているときはとても獰猛だったから ニアはムルイジがいなくなったのは、半分当然だと思っている。 (28) 2021/07/08(Thu) 13:45:45 |
| >>5:8『 スペシャルアニマルパイ 』 「皆様喰らってらっしゃったので問題はないっすよ」 「ゲイザーちゃんって、パンダっぽいっすよね。 なんだろこう……ころこころしてて、どう思います?」 ニアも食べたし。 (30) 2021/07/08(Thu) 14:02:07 |
(金持ちの道楽というのは、
極まれば、正に狂気的だな)
200万ドル。
ただ日常を生きるだけでは、手に入るどころか、
目に入れることすら叶わない”非日常”の証。
それが、
こんな簡単に、一人の少年に注がれている。
たった一人の少年の、弄ばれ尽くされた人生。そのカタストロフィに金額を付け、価値を積み立てる。
怒り、 不快、 絶望
湧き上がる
歓喜、狂喜、悦喜
───
陶酔や恍惚の様相をみせる客たちを見るたびに、倒錯した明るい感情が湧き上がる。血の池が満ちて、ギラギラと悪趣味な照明を反射する舞台。それに相応しい感情で自分の内が満たされている。
他者の精神を掌握して弄ぶのが愉しくてしょうがない。
皆の身を、心から案じている。その先に喜びを見出してしまうだけ。
| >>5:31「あらら、またすごいの当てたっすねぇ」 「でもニアは カッコいいと思うカナ」 うん。ニアは駱駝っしたけど。 「じゃ、アイス食べたりプールでぷちゃぷしたりムルイジにちょっかいかけたり?そだどんなゲームが好きッスか?」 (33) 2021/07/08(Thu) 14:34:42 |
| 「 アア アア アア 」 「割とすぐに効果は、その切れるとおもうので」 「そういえば動物の中に虫が含まれてるのヤバいッスね」 ……しゅん。 ムイくんへの差し入れにしとくッスかね。 /* PLさんホント御免なさい。 (34) 2021/07/08(Thu) 14:38:27 |
共犯者の一人が何処かで何かえらい事になっている気がしてきた…
| ニアは、サダルを宥めて謝って、隠しつつお部屋に送っていった。 (a31) 2021/07/08(Thu) 14:39:24 |
滅茶苦茶愉快なものが見れた気がして地上を見れるカメラ探せないかなと思った。
| ニアは、サダルなら一人でいる方がしんどいかも、と思った。 (a34) 2021/07/08(Thu) 14:48:12 |
| >>5:35「……やりますか!マリー、マサムネ。用意を。」 人には酷いことできるのになぁ…… 集中力の矛先を変える作戦である。 (36) 2021/07/08(Thu) 14:52:00 |
| >>5:35ニアは麻雀が それなりにできた。 マリーは 得意マサムネは 得意パトリックはやったことがないらしい。 おてやわらかに? [四萬][伍萬][二筒][三筒][三筒][四索][四索][伍索][南][西][西][發][中]akagiset (38) 2021/07/08(Thu) 14:57:21 |
| >>5:37/ *基本頭を使いますが、運がいい奴が勝つゲームなので全員で1D100に補正かけて振って問題ないと思います にぁ〜っす: (28)1d100マリーさん: (97)1d100(不運属性) マサムネ: (59)1d110 (39) 2021/07/08(Thu) 15:04:31 |
折角だから自分が立ち去った後の瓶10本の録画みようと思った。
「ふーん見られたくないようなのが……」と言う顔をした。
さり気なく地上と墓下で意思疎通が図られたのを感じた。テレパシー?
/*
そういえば今のうちに連絡しておきますが、ちょっと仕事が激化してきた為夜殆どレス出来そうにない事をお知らせしておきますわ……多分研修合いの手も一回が限度だと思いますの……ご了承くださいませ……!スロウス、テンガン様ファイトですわよ……よきエッチを……!
まだ、意識を失うことを許されない。
体を動かされるたびに激痛が走る。
視界の霞みと、意識だけは開けてきた。
いっそ殺してくれたなら。
金だけを家族に寄越して、放っておいてくれたなら、良かったのに。
それが叶う場所でないと、気づいているけれど。
「……ぜんざ」
掠れた声が、漏れる。
これ以上のことが、あるのかと。
涙が、溢れる。助けてと、言いたかった。
「12段はしごって奴ができねぇからやってくれ」した。
「お前何1人で拘束SMプレイしてんの?」と言った。
下手な縄で縛るより拘束できるから覚えたら?と思った。
ゲーミング右眼ほど酷くはない。少なくとも、絵面は。
そもそもあやとりなら引きちぎれるんじゃねえか?いいぞ千切っても。
よく分からないが念を送ることにした。よりギチギチになった。
ヤバいのは手首に巻き付いてる方なので「折り紙ができたら解いてやろう」した。
幼い弟妹が満足に暮らせていけるように、ナイフ捌きの技術を磨いた右腕を失った。
「猫折って」と自分が出来なかった奴を折り紙1枚差し出して来た。
もう一度やってみる事にした。立体的で可動部のある猫ができた。
「これ本にある猫と違う!」となったが、動かして遊んでいる。
俺、さっき渡したのワイヤーか何かだったか?と思った。
強度を確かめに青糸で12段はしごに再挑戦してできた
満足したのでそっと手首拘束になってる上に、はしごと猫を乗せて立ち去った……
研修が終わるまでそのままだったらきっと解いてあげただろう。がんばれ。
仕方ないので従業員に切ってもらった。業務を滞らせてはいけない。
諸々の大惨事が起きていることは知らず、ボル(9)1d10を作っていた。
/*
これはシリアスな本編と全く関係のないどこかの、とってもメタな為そもそも本編とは関係のない時間帯
「仲良いよね墓下君たち!?なにさこのアクションの量!!!」
(仕事がやばくておしまいになっており村に来れそうにないんですけど元気出ましたありがとうございますわの意)
/*
「そこに挟まれたナフのアクションの気持ち考えたことあるかな!?ラサルハグ!バーナード!そこに正座!!!反省して!!!」
(PCはこうだけどPLは楽しかったのでいいと思いますわ。反省はしなくていいと思いますわ。アクション芸大好きですの)
大人しく正座した。反省はしているのかよくわからない。
ゴトン! と台が傾いた。背中がよく見えるようにだ。下側には細い桶が置かれ血を受け止めている。
まず、体をしっかりと固定した。なめしたベルトは肌触りがよい。何の慰みにもなりはしないが。
やはり仮面を付けた従業員が傍に立ち、幾重にも生命維持の為の装置や器具を取り付ける。
無理矢理に消費分を補う輸血に加えて、透明な薬が硬膜へと追加された。
「気絶されてしまっては見ごたえがないというもの。
副船長に投与したのと同じ薬を入れております、中身はご承知おきでしょう。
やはり人間を昇華させるのであれば、天にのぼるような気持ちでなくては……」
わっと笑い声が上がった。ジョークのつもりなのだろうか、この場ではきっとそうなのだ。
少年にとっては見えない背後で、何かが行われている。本人以外には、ようく見える。
よく手入れのされた刃物がスッと背中に入った。鋭すぎてすぐには痛みを感じないかも知れない。
背中の肉を観音開きにするように、体から離れすぎないように中央から離されていく。
信じられないほど手際よく薄い肉が退かされて、その下から骨が見えた。
肉と骨の境に、ヘラのような器具が入り込む。
ベキッ、とアーチを描く鎖骨の裏側から固いものの折れる音がした。
肩甲骨が剥がれ、背中に突き立つようにしているのだ。
広い骨が菱形筋からサクサクと料理でもしているかのように剥がされて、鎖骨から離れた。
からっぽになってしまった背中はまたパタ、パタと縫い合わされていく。
手術と言うには手荒で、そして暴力と言うにはやけに繊細だ。
異質だ。生命の維持のためではないのだから、当然といえばそうなのだろうか?
未だ露出したままの細い背中に。従業員は、今度は工具を手にした。
→
流石に。信じられないものを見る目で、“天使”が造られていく見た。
嘗て共犯者だった"暴食"の言葉は真実だったのだと理解した。
まず取り出された骨に取り付けられたのは蝶番だった。
ドアーのように骨が動くところを、従業員は客席に見せた。
それから、蝶番の一片はかすかに肉の隙間から見える鎖骨に打ち付けられた。
文字通り骨身に響くような衝撃がガツン、ガツンと少年の体を踊らせる。
ふらふらと、血と肉のこびりついた肩甲骨は外部に露出したまま、少年の体に戻された。
それから先は、こんな場でなければ職人芸と言って良いような様子だった。
肩甲骨に指を広げるような形のワイヤーが打ち付けられ――勿論体につながったまま――、
そこに人工皮膚が張り巡らされた。他者のものではないから、不適合の兆候もない。
無残な剥製のように広げられた骨組みは、銀で塗装されてきらきらと照明を反射した。
いずれはそこに羽が縫い付けられていくのだろうか。けれど今は、はだかの翼のまま。
ステージの上からフックが下がり、少年の皮膚に縫い付けられていく。
サスペンション、というパフォーマンスを知っているだろうか?
直に皮膚にいくつものかぎ針を取り付けて、人間の体を浮き上がらせるものだ。
的確な場所に、十本以上ものフックが薄皮を通過していく。
人間の皮膚というのは存外に丈夫なものだ。重心を分散すれば、こうした芸当もできる。
偏らず皮膚を破ることもなくしっかりとフックは体重を支え、ゆっくりと少年の体を客席に見せた。
まるで磔にされているか、そうでなければ、天から降りてきた神の使いのようだ。
痛みがない、なんてことはないし、血は細く流れ続けているのだけれど。
オーケストラはいよいよクライマックスというように、激しい演奏にホールを揺らす。
夥しいほどの出血と血の匂いに満たされた空間は、今まででいちばんの拍手に満たされる。
まさしくそれは――
「さあ、紳士淑女の皆様、今宵こちらにいらしたあなた方はとても運がいい!
これこそ一番人気の演目――『エンジェル』でございます!
愛し愛されし我らの踊り子に、あなた方の愛を――!」
真面目にあれは悪趣味とかじゃなくて俺とジャンルが違うと思った。
| >>5:40「ニアの我儘に付き合わせていたら……」 ニアに友達はいる。 「にしても、さっちー運がないというか」 マリーは レモンアイスを頼んだ。他の人の分も。 「ニア、ムイくんが適当なこと言ってるって 思ってたっすけど、 本当に惚れてるんスか? 」 ニアの中では脈絡があるらしいがそれが分かるのは マリーがやっと (44) 2021/07/08(Thu) 21:00:14 |
| >>5:43「ん〜手ごわいっすね〜」 ニアはただ可愛らしく、微笑む。 「じゃん」 (45) 2021/07/08(Thu) 21:03:08 |
| 「ヒット」 (46) 2021/07/08(Thu) 21:06:02 |
| ヒット (47) 2021/07/08(Thu) 21:06:39 |
| 「ヒットっすねぇ」 (48) 2021/07/08(Thu) 21:07:47 |
| >>43「 20、ニアの勝ち。 どうして負けたか考えておく ついでに、今度動物園いくっすよ」 あっこいつ 「ハマルがどういう経緯で、今ここにいるのか。」 「と、 さっきのやつ 」 (49) 2021/07/08(Thu) 21:14:39 |
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