104 【R18G】異能遣い達の体育祭前!【身内】
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それは、何処にでも居る男のうちの一人が聞いた噂。
「人魚姫がただの人間になった」という話。
その知識は、即座に『本物』の彼へとフィードバックされる。
男は、多くの騒ぎに関わっていた。
恐らく、一連の件で最も疑惑を集めているだろう。
けれども、実の所。
男は、誰よりも薬を拒んでいるだけに過ぎなかった。
唯でさえ垂れ流し状態の、制御出来てない、自己の定義さえ
曖昧になるような危険な異能が、更に変質して堪るものかと。
別に、騒ぎの主犯を摘発しようとしていた訳でもない。
ただただ、自己の身に降り掛からないでもらいたいと。
自信もあった。
逃げる事・隠れる事に関しては、最強に近い異能だったから。
鏡沼創には、確固たる自己が無い。
“鏡沼創”の認識を何と定義するかで、何にでもなれるから。
他人の定義によって、容易く揺らぐ存在だから。
けれども、鏡沼は今確かに“怒り”を感じていた。
紫煙を燻らせるだけでは、落ち着かない程度には。
| (a6) 2021/11/04(Thu) 22:29:15 |
監視の目の一つが手がかりをつかんだ。かれこれ数日続けていた調査がやっと実を結ぶ達成感、後輩の身を案じる気持ち。募る疲労、貧血。万全とはいいがたい状況だった。そんな状況で、かかった罠を確認しに行けば──。
罠にかかるのは己の方だ。
背後から抑え込まれ、強引に薬を押し込まれる。意識は深い闇におちてゆく。
「ありがとうございます……まあ……仕事ですので……」
◾ポケットモンスター
過労死ブラック/過労死ホワイト
…………なんて浮かんだあたり、疲れているのかもしれない。
まだ朝のHRがはじまる前だろうか。
意識は引き戻される。頭の中をかきまわされるような感覚によって。記憶が、光景が、走馬灯のように巡って行く。昨日のことのように思い返される。頭が痛い。けれど、それ以上に、目が痛い。
瞼が重い。開かない、暗い。ここはどこ──。
立ち上がることもままならないほどの混迷の中。手探りで様子を探ってみれば、音を立てて金属製の何かが落ちる音。下手に動かないほうがよさそうだ。
そうしてただ静かに光が戻るのを待つ。NowLoading……。
Connection Succeeded
瞳を開けばそこは薄暗い、使われてない倉庫のようだ。女子をこんなところに閉じ込める所業には憤慨を覚えたが。直ぐにそれどころではないことに気が付いた。
視界が歪む。窓が、扉が、
穴と認識できる、視界内の全てが
ありとあらゆる場所とLinkする。先週行ったショッピングモール、今年の夏の海、子供のころに行った遊園地、幼少期を過ごした小学校。縁日のあった神社。
ポータルを生成する。
まずい、目を覆えない、閉じられない……。人通りこそ少なかったが、異様な光景に興味を示す生徒がいない保証はない。
「やめて!! 戻ってこられなくなる!!」
そう叫んで、倉庫の中に逃げ込もうとして、扉を開ければそこは数年前に立ち寄ったケーキ屋さん。
どこにも行かないように、どこにもいかせないように、走り出した。
| >>+6 静 あなたが泳げなくなったと聞き、プールへと向かう。 まだ、其処に居るだろうか。 居なければ、探す手段は幾らもあるけれど。 例えば、あなたが「“鏡沼創”に傍に居て欲しい」と願えば それだけで、男は其処に現れる。 (15) 2021/11/04(Thu) 23:00:53 |
| >>14 柏倉先輩 忙殺されるあなたの傍に、いつもの様にその姿は在った。 文字通り、拾う目や耳など、幾らでもありそうな男が 当たり前の様に、生徒会会計として其処に居る。 しかし、常にいつも通りである筈のその男は。 纏う雰囲気が、何処となく、いつもと異なっていた。 「どうかしちまいました? 浮かねぇ顔してやがりますが。 流石の柏倉先輩も、過労気味になっちまってます?」 口調も表情も、いつも通りである筈なのに。 (17) 2021/11/04(Thu) 23:02:49 |
「おー、なんか大変そうだねぇ」
朝の放送を終えて校舎内を歩けば、憂鬱そうな同学年。
「猫の手も借りたいってんなら何かしら手伝うよ」
適当に。誰かしらに向けて。
登校してすぐに、友達から栄養ドリンクのお裾分けを貰った。
“それ”が何なのか、まだ気づいていない。気づくのはもう少し後のことだ。
| >>+10 笹原 「あー……こりゃまた面白い事になっちまってますねぇ」 何処にでも居る男は、それこそ何処にでも居るので。 何処に通じているかもわからない、開いたままの扉を 実に悠々と潜って行こうとして、消えた。 そして即座に、少し離れた場所に現れた。 まるで、残機製のゲームの如き挙動である。 「……そうじゃねぇかと思ってましたが、これ僕が通るには 一人じゃ出来ねぇですねぇ」 (19) 2021/11/04(Thu) 23:11:39 |
鏡沼
息継ぎを一度も経験していない青年は、この状態ではまともに泳げない。
驚きはしたものの、大人しくプールサイドの隅に腰掛け、
他人の邪魔にならなさそうな場所で足だけ水に入れたりしつつ、
ぼうと空を眺めている。
男子の方のプールサイドが騒がしいことに首をかしげた。
| >>+12 静 あなたの、泡が上る足に視線を落とす。 「…………それ、痛かったりはしねぇんです? 逆に、感覚がねぇですって事は?」 表情こそ貼り付けた様な笑みだが。 纏う空気は、何処か重い。 人魚から、海を奪った者が居る。 その事実が、重く圧し掛かる。 この人魚が、今以上を求める筈も無いと知っているからこそ。 騙し討ちしか有り得ない。 (21) 2021/11/04(Thu) 23:26:05 |
「……どうしたんだろ」
そこかしこが静かで、喧しい。
| >>20 柏倉先輩 「ええ。もう何が無理で無理じゃねぇか、わっかんねぇですよ」 それは本音の欠片か。 そもそも、この男に本音なんて在ったのか。 「早く終わってくれやがりませんかねぇ、こんな状況。 でねぇと、僕も何しちまうかわかんねぇですよ」 声の調子は、いつもの軽口だ。 内容が少し、不穏なだけ。 (22) 2021/11/04(Thu) 23:31:36 |
「絵莉……?」
ふと、窓を見る。
繋がるはずのない居場所に歪曲するように繋がる場所を見る。
それがあり得ない光景で、どこからか繋いできたようなものだから……見知った人の顔が浮かんだ。
/* ちなみにリスポーン鏡沼の理屈ですが、
こちら側から異空間内の状況を認識できない以上
入った瞬間、『“扉に入ったと認識された鏡沼”を観測し続けられる脳』が無くなるので消えます
外には見てる人が居るので、その認識を使って復活します
/* ゲームキャラみたいな挙動すな
存在がバグッとる
鏡沼
「……ん? うん、平気。
しゅわしゅわ、炭酸に漬けてるみたい、擽ったい」
特に問題はなさそう。
見た目の変化も水中で小さな泡が出る程度で、
大きく何かが変わったかといえば、水中で呼吸ができない辺りか。人間としては当然ではあるのだが。
「今日は、泳げなさそう。
他の人みたいに、息継ぎする方法、知らないから」
「授業始まるまで、やること、なくなった……」
降って湧いた空き時間に、困り顔になった。しょも……
発熱で欠席ということになっている。自分で学校へそう連絡した。
「…………」
今日も僕は早朝から登校していた。
教室で本を読みながら、朝の放送を聞くと窓の外を見る。
「……」
気のせいか、騒がしい。
3日連続、身の回りで騒動があったんだから流石に何となく想像もつく。
嘆息した僕は、日常って儚いな……なんて柄にもないことを思っていた。
| >>+15 静 「大事ねぇってんなら、構わねぇんですが」 ────何が? 「……なら、取り敢えず髪でも乾かしてどっか行きましょうか? 今、僕すげぇドライヤーしてぇ気分でやがりますんで。 させてもらって構わねぇです?」 (24) 2021/11/04(Thu) 23:46:35 |
鏡沼
「……? うん、わかった」
プールを見て少し物足りなさそうにするものの、
泳げない以上長居はできないと思ったのか、素直に更衣室へ向かった。
そして"彼の持つ、火の異能"をそっくりそのまま、真似てみせた。
| >>25 柏倉先輩 「利用できるもの……でやがりますか。 まるで、ご自分がそうみてぇな事言うじゃねぇですか」 いつも通りに、鏡沼は微笑んで──── 否。 これは、無表情だ。 微笑みの形の無表情。 「根掘り葉掘り聴取を受けてぇだなんて、そんな気持ちは とんとねぇですよ。ただ、そうでやがりますねぇ」 ▼ (26) 2021/11/05(Fri) 0:05:34 |
| >>25 柏倉先輩 「利用って、信頼は兎も角、信用は置ける間柄でねぇと 成立しねぇと思いやがりません? 頼った先に引っ繰り返されんのも、利用しようとした先に 寝首掻かれんのも、僕は 真っ平御免でやがりますよ 」 其処に在るのは、猜疑心と怒りだ。 陥れられるモンならやってみやがれ と言わんばかりの敵愾心。 「何かに、誰かに頼りゃ“上手くやれる”だなんて、 随分とまあ胡散臭せぇ話じゃねぇですか。 世の中、そんなに甘めぇ訳ねぇでしょうが」 (27) 2021/11/05(Fri) 0:06:27 |
| (a9) 2021/11/05(Fri) 0:07:56 |
/* 誰殺すかわからんから、全てに牙剥くしかないんや
| >>+17 静 「………………。」 物足りなさそうなあなたを見つめる表情は、いつも通りだ。 表面上は。 更衣室へ着けば、宣言通りにあなたの髪を乾かし始めるだろう。 昨夜は問題無かった。 今朝別れるまで、同じ物しか飲み食いしてない。 なら。 これ以上、何かを問う必要も無い。 あなたに、騙されたのだという事実を突き付ける気も。 (28) 2021/11/05(Fri) 0:31:13 |
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