情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
![]() |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ 思ったままに口にされた言葉を、苦く笑って受け流す。 揺らいでしまいそうだからあんまり言わないでほしいな、と思いつつ。 「あ、色が先だったんですね」 「明るいし、元気が出る色だなって思います。 イロメキさんはどのオレンジ色が――」 ジュースを飲み込む時間分ずれた声に、質問が重なって。 ゴフ 、とむせる。口元をハンカチで拭って、「…………。 そ、ういうのではないです」 この反応がもう、そういうのに見えるような。 あわあわと、取り繕いの質問が返される。 「……い、イロメキさんは? 付き合ってるひととか、いるんですか」 /* もうちょっとおはなししたいなと思ってたので、嬉しいです! お互い無理ない範囲で、よろしくお願いします…! (-13) 2022/03/04(Fri) 23:08:07 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ噎せる姿を眺める。 唐突な質問だったかな、と首を傾げて。 「そういうのなんだ。」 別に隠さなくても良くない?と言いながら。 ジュースを口に含む。 同じ質問を投げかけられても、こちらは動じることもなく。 「…うーん、フカワ君のことは好きだし。」 「カミクズ君も友達だと思ってるし。」 「でも、別に付き合うとかではないと思う。」 「どこに惹かれたの?」 自分のを答え終わったら、カウンターパンチ。 (-15) 2022/03/04(Fri) 23:49:51 |
![]() | 【神】 美術 エノ彼は欠席か、と端末の連絡を見る。 都合がいいな、と思った。 「元の暮らしに戻ったら…………」 「あんまり、考えてなかったな。」 「……焼肉を食べたり、してみたかったかな。」 過去形。 やや長い沈黙の後に、また口を開く。 「……ごめん。」 手をあげて。 (G4) 2022/03/04(Fri) 23:54:11 |
![]() |
![]() | 【神】 美術 エノ「理解はね、されてない。」 「理解してくれそうだなって思った人にも、振られちゃった。」 「でもね、話してて俺、気付いたんだ。」 「俺が欲しいのって多分、理解者じゃなくて。」 「忌憚なく傍にいてくれる人だったんだよね。」 「理解してほしいって、散々言っておきながら。」 「自分のことを一番理解してなかった。」 「まぁ、それは良いんだけど。」 理解してくれなくてもいい。 ただ傍にいてくれれば。 色芽木 絵乃と言う人物は。 理解が必要なほど複雑な精神をしてるわけでもない。 何か後ろ暗い過去や境遇があるわけでもない。 ただ、ぬるま湯がぬるいと泣き喚いてるだけの。 普通の人間であった。 「その人からね、生きてくれって言われて。」 「お願いだから未来を見てほしいって言われて。」 「俺、それで。」 「あぁ、生きたいなって、思ったんだ。」 「そんなに言うほど、未来に希望があるって言うなら。」 「生きてみてみたいって、本気で思ったんだ。」 (G10) 2022/03/05(Sat) 18:37:23 |
![]() | 【神】 美術 エノ「生きたくて、生きたくて仕方ないから。」 「生きちゃいけないんだよね、俺は。」 支離滅裂な言動を零して。 一つ、息をついた。 オレンジジュースが飲みたいな。 (G11) 2022/03/05(Sat) 18:38:56 |
![]() | 【神】 美術 エノ「うーん、少し違う。」 ハナサキの言葉に、返答をして。 傍聴席をちらりと見やる。 目を伏せて、また生存者に向き直る。 「俺さ、今まで、投票することも。」 まだ白紙の投票紙を机に置いて。 「死んでいい誰かを選ぶことも。」 端末を机の上に置いて。 「全然悩まなかったんだよ。」 「別に、自分自身が死んでも構わないって思ってたから。」 「人の死を選ぶことも、何とも思わなかったんだ。」 「俺はね、今まで一度も、運任せに投票したことなんてない。」 「全部、俺なりの理由で名前を書いて、投票してた。」 「俺なりに『死んでいい人』を選んでた。」 (G13) 2022/03/05(Sat) 19:42:22 |
![]() | 【神】 美術 エノ「……昨日、生きたいなって強く思うようになってから。」 「初めて、悩んだんだよね。」 「俺が選んだ誰かが死ぬんだって思って」 「その人も、生きたいのかもしれない、と思って」 「生きたいのに死を突きつけられたとき、どのくらい心臓が痛くなるんだろうって思って」 「多分、怖くなったんだよ。」 「自分がそうなった時どうしようっていう恐怖で」 「誰かにその命運を押し付けるのに躊躇いが生まれたんだ。」 淡々とした声が響く。 きっと青年の中ではもう整理がついていることで。 だから、声が震えることもなく。 「初めて知ったんだよ、俺。」 「皆はとっくの前から知ってたのかな。」 「だとしたら俺は、とっても凄いと思うんだけど。」 「自分の意思一つで誰かを死に追いやるのって、 めちゃくちゃ怖いんだなって。」 皆ずっと、それを分かってやってたんだね、と。 周りを、傍聴席を見て。 (G14) 2022/03/05(Sat) 19:49:31 |
![]() | 【神】 美術 エノ「だから俺、考えたんだ。」 「誰なら死んでもいいかって。」 右手にペンを持ち、投票紙をとんとん、と叩きながら、 左手で5本指を立てる。 いつか、誰かがしていた動作。 「フカワ君は、俺によくしてくれたんだ。」 「優しくて、大人で、少なくとも俺の手では殺したくない人。」 親指を折った。 「ナツメさんは、医務室でずっと俺を見守ってくれてたね。」 「話したこともない、死にかけの奴をだよ。やっぱり君は、優しいと思う。」 小指を折った。 「カイくんも、俺の治療に来てくれたね。」 「頼まれたから仕方なくって言っていたけれど。」 「でも、わざわざ薬まで作ってくれて、あぁ、こんなお医者さんが居てくれたらいいなって思った。」 薬指を折る 。「ハナサキさんは、話したことはないんだけれど。」 「毎回合議をしっかり進めるように声を上げたり、話し合いを大事にしてたよね。」 「俺はそう言う姿勢、好きだった。あと、君を助けたいっていう人に恩があるから、不義理ができないのもある。」 中指を折った。 (G15) 2022/03/05(Sat) 19:58:44 |
![]() | 【神】 美術 エノ「俺は。」 残った人差し指を、自分に向けた。 「───人を殺した。」 「誰なら、死んでもいいか。」 「誰が、死ぬべきか。」 「……考えるまでも、無かったんだよね。」 自分の手で殺した少女を思う。 あぁ、皮肉だ。 あんなに同じように傷つけ、血を流し、殺意を持っても、君のことなんてちっとも理解できなかったのに。 今は何となく、君のことが理解できる。 生きたくて、生きたくてたまらないのに、死ななければならない事。 どうしても歩みたい未来があるのに、それを奪われる事。 それはどうしようもなくムカついて、暴れたくて、泣きたくて。 悲しくて、喚きたくて、助かりたくて、救われたくて。 ただ。 ただ。 どうしようもなく怖かった。 ごめんね、ヒメノさん。 (G16) 2022/03/05(Sat) 20:05:45 |
![]() | 【人】 美術 エノ【プロフィールが更新されました】 名前 :色芽木 虹谷 絵乃(にじや えの)性別/年齢:男/20 歳 外見:176cm 家族 構成 :母、父、兄、姉、姉、弟、妹 、妹、弟職業:大学生 1. 私は 、脳死の判定に従 い、脳死後全ての臓器を提供します。2.私は、合議の結果を踏まえ、臓器提供の意 思を 決めます。B.私は、臓器を 提供 しません。 (0) 2022/03/05(Sat) 20:12:00 |
![]() | 【神】 美術 エノ「………」 紙に、しっかりと。 『エノ』と名前を書き、テーブルに乗せた。 「そんな感じだよ。」 「本当にそれだけなんだ。」 「皆、よろしくね。」 それを最後に、口を閉じた。 (G17) 2022/03/05(Sat) 20:17:40 |
エノは、でも、手の震えだけは、どうしても収まらなかった。こうすると決めた昨日から、ずっと。 (a4) 2022/03/05(Sat) 20:23:10 |
![]() | 【神】 美術 エノ「うん、ハナサキさん、ありがとうね。」 「怖い事を強いてしまうのは、ごめん。」 「でも、嬉しいよ。」 もっとちゃんと話したかったね、なんて。 顔ばかりが冷静で、茜色の眼をそちらに向ける。 肺に酸素を通すように、大きく息を吸った。 鎖が首に縛りついて、上手く息ができていなかった。 これで、2/5。 (G22) 2022/03/06(Sun) 0:28:03 |
![]() | 【神】 美術 エノそうして、もう一人の少女の方へ眼を向けて。 深海を覗き込むように、視線を合わせる。 「………やめてよ。」 「取り消したくなっちゃうよ。」 困ったように、小さく笑った。 それはきっと、公の場で見せた初めての笑顔で。 随分と幼げで、拠り所のない笑顔だった。 「死にたくないよ。」 「………死にたくは、無い。」 「…でも、この紙に他の名前も書きたくないんだ。」 「君ならわかってくれるはず。」 「……俺にくれてもいいよ。」 「昨日のお返しにね。」 そうしたら、3/5。 (G23) 2022/03/06(Sun) 0:34:28 |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ さらっと同性の名前が出てきたなぁ、と思った。 偏見とかを感じる暇もないくらい自然だったので、 そうなんだ、と恋バナが出てこないのを素直に残念に思ったりもした。 その矢先のカウンター。 > CRITICAL!! 「ま、だ。そういうのじゃ…… ……ちょっと。気になる、くらいで……」 ごにょ…。 なんでこんな話になったんだっけ?と思いつつ。 今度はジュースを離していたので、喉は無事。 「わかんないです。かわいいな、とか思うけど……。 でも、ずるいんです。見てるだけとか言って。 なのに、知らないところで……助けてくれてた、みたいで」 「……私には、なんにも。言ってくれないのに。 そんなの、気になる……」 語尾がもにゃっとなりつつ、コップのふちに口をつけた。 ちみ…おいしい。 (-80) 2022/03/06(Sun) 0:56:31 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメどうにも、恋だの愛だのはよく分からなく。 幼稚園児が、好きな人を問われて仲良しな子の名を挙げるような。 そんな感覚で名を挙げている。 そういえば女子とは全然話してないな、なんて改めて思いながら。 「気になってるんだね。」 もにょもにょを切り捨てた部分だけを切り取って。 ふぅん、なんて、興味のありげな声。 青年は、人のことを聞くことが好きだ。 人を理解したいという気持ちがあるから。 「………………」 「……なんか。」 「ちょろいね。」 そして忌憚のない意見も言う。 ごく、と喉を鳴らしてジュースを飲み下し。 おかわりが欲しいな、とコップを差し出す。 「もし生きて帰ったら、会ったりするの?」 本当に遠慮のない青年であった。 (-104) 2022/03/06(Sun) 12:21:35 |
![]() | 【神】 美術 エノ「取り消せないよ。」 「死は、取り消せないもんな。」 不公平でしょ、俺だけ生きたら、と。 なんだか昨日の仕返しをされてるようなやり取りに、 意外と根に持つタイプだな、なんてぼんやり思う。 「うん、ぜひ悩んで。」 「そして、同じ意見になったならいい。」 ピースみたいになる様に、やる気満々じゃん、なんて。 クラスメイトくらいの距離感の会話。 あぁ、とひとつ、声を上げ。 「同じ意見にならなくてもいいけど。」 「その時は、君と昨日した会話をここで話そうかな。」 気になる人だとかそういう、あれ。 脅し文句だ。 青年も根に持つタイプであった。 (G25) 2022/03/06(Sun) 12:29:37 |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ「ちょろくないです」 わずかな残りを飲み干しながら、ムッとした顔をしてみる。 だけど、放課後みたいだなぁ、とか思って。 半透明のプラスチック越しの口元は、すぐに緩んでしまった。 「……うーん……会いたいというか、」 二人分のおかわりを注いで、ジュースの入ったコップを渡す。 もしもにもしもを積み重ねた、仮定の話。 「どうしてるかな、とか。 気になると思うけど……会うのは」 だめだし、と。 禁止も推奨もされていないことを盾にして、蓋をする。 もうちょっと肌の色は暗いし、髪はいつでもサラサラじゃない。 爪の先から瞳の奥まで、強いライトを浴びたように、 綺麗でかわいい瞬間だけ、VR(ここ)には切り取られているから。 現実(リアル)の私で会いたくないなぁ、と思ったりする。 「……あ、文通とか。どうかなって思うんですけど」 届かなくても、返事がなくても。途絶えても。 デジタルメッセージよりはなんとなく、諦めがつきそうで。 そんな後ろ向きの理由は隠したまま、冗談めかして。 あなたにも、この先の“もしも”をせがんでみる。 「イロメキさんも。年賀状とかくれますか?」 (-117) 2022/03/06(Sun) 14:01:25 |
エノは、本当はあの薬局に居た時、次はアクタに会いに行こうとしていた。 (a12) 2022/03/06(Sun) 16:46:32 |
エノは、君のくれた温もりと、安っぽいレモンティの味が好きだった。また飲ませて欲しかった。 (a13) 2022/03/06(Sun) 16:47:50 |
エノは、目を覚まして、最初に、君が候補者に選ばれてるのを知った時、ただ純粋に悲しくなった。 (a14) 2022/03/06(Sun) 16:48:58 |
エノは、もう、何もかも遅い話だ。きっと。 (a15) 2022/03/06(Sun) 16:51:26 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメさほど遠慮も忖度もない会話。 なんとも心地よいものだった。 なんとなく、自分が求めていたのは本当は。 こういうものだったのかな、と思った。 「でも、好きならいつか会うんじゃないの?」 「早めに会ってた方が楽そうなのに。」 なんていうのは、外野の意見。 青年は見た目も今とさほど変わらない。 せいぜい髪色がもう少しまともなくらいだ。 「平安京の人みたい。」 文通、で思い浮かぶイメージ。 今の時代には馴染みがないな、と思いつつ。 君の後ろ向きな理由を察することも無く。 「住所が分かればね。」 「絵葉書、送ってあげようか。」 この時は。 誰に生きて欲しいと言われることもなかったから、そんなふうに簡単に、未来を約束する。 数時間後には、青年の挙手によって破られる約束だった。 (-136) 2022/03/06(Sun) 17:03:05 |
![]() | 【神】 美術 エノ「そう、馬鹿なんだよ。」 「怖いけど、こうしないといけないという気持ちばかりがある。」 カイの言葉にただ頷く。 何も返す言葉もない。 「自殺はちょっと怖くて、選ばれたら勇気が出るのかも。」 「でもさ。」 「俺が投票前に自殺しちゃったら、今回の投票は、俺以外の人を選ばなくちゃいけなくなるかもしれないでしょ。」 「それはちょっと申し訳ない。」 「だから、選ばれるまでは生きる予定だよ。」 その方が君達も嬉しいでしょう、と。 せめて、役に立とうの精神だ。 エノと言う男は、幼児をそのまま大人にしたような、 呆れるほど単純な情緒しか持っていなかった。 (G28) 2022/03/06(Sun) 19:04:09 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ合議の後。暫くしてから。 このVR空間を隅々まで駆け回り、君を探す姿がある。 さて、君は、何処にいるだろう。 インドア派の男がヘトヘトになりながら、 君の姿を見付ける事が出来るだろうか? きっと見つけた暁には、あぁ、と口を開き。 「……こんなところに。」 ふらりとした足取りで、 いつか君がそうしてくれたように、近寄って行くだろう。 (-167) 2022/03/06(Sun) 20:06:17 |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ 重い話を(しかも、ほとんど初めての会話で)交わしたあとだからか、少女の口はやや軽い。 脅されることになるとも知らずに。 あなたが気を悪くする様子がない、というのを前提として。 「…………。」 「そうとも、限らないですよ。 …… 好き ……な、人の。負担になるなら会わない方がいい、とも思うし」 “そういうこと”にもうなってる……。 葛藤の末、諦めてそこは受け流すことにした。 口に出してみたら、ちょっと危ない気がしたのでもう言うのはやめようと思った。 会うとか会わないとか、手紙とか。 胸に訴える感傷を、コップを傾ける動作で誤魔化して。 「――絵はがきでくれるんですか?」 雅ですね、と楽しげな相槌。 平安京からの連想ゲーム。 じゃあ、あとで教えるから絶対送ってください。 そんなふうに、あなたとの約束を結ぶ。 少女は、先に破るのは自分なんだろうと思っていた。 (-168) 2022/03/06(Sun) 20:11:02 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ合議の後、青年はまだ癒えてもいない体をひきづって、空間の端に近いところまで来ていた。 そこは海になっていて、地平線の向こうを、ぼんやり青年は眺めていた。 多分ここに来る頃には君はそれはもうヘトヘトだろう。 「…おや、アクタくん。」 声が聞こえれば、そちらを振り返って。 意外そうに目を丸くする。 「嫌われたかと思ってた。」 大丈夫?とつかれてる様子に首を傾げ。 (-188) 2022/03/06(Sun) 22:30:48 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ青年は話を聞くにあたり嫌な顔をする事は全くなく、 むしろ興味津々と言った様子で聞く。 別にそれが色恋だから、と言うわけではなく。 例えば君が昨日見た夢の話だったり、好きな食べ物の話でも、 青年は同じくらいの姿勢で持って聞くのだろう。 なのでしっかり覚えて、悪用される。 「負担になるの?」 「相手からそう言われたの?」 本当に不躾なので、何でもかんでも聞く。 ちなみに、完全にもう恋慕しているのだなと言う認識だ。 殆ど君から目を背けないまま、時たまジュースを口に運ぶ。 柑橘の香りが仄かに部屋に漂っていた。 「絵が好きだからね。」 「あぁでも、俺名字が違うからな。」 「虹谷って名字からくるよ。」 知らない人だと思って捨てないでね、なんて、他愛もない会話。 叶わない未来の会話。 「俺にも送ってね。年賀状、同年代からは貰ったことないや。」 (-189) 2022/03/06(Sun) 22:44:18 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ荒れた息を整えながら 君の側へ駆け寄って、どさりと膝をつく。 「ッ……バカ!」 肩を掴み、泣き出しそうな顔で君を見る。 君が怪我人でなければ感情のまま揺さぶっていただろうが それは出来ないので、力任せに抱きついてやった。 「 嫌いになんて、なるワケない……! なんだよお前ッ! ぼ、ぼく、僕は、お前に死んで欲しく無いのに、 勝手にッ……死ぬとか言ってるし………!」 矢継ぎ早に喋り倒してから ぶんぶんと頭を振る。 違う、こんな事言いたいんじゃない! 「………フカワと、二人で。お前を心配してて。 背中、押して貰って……探してた。」 堪えたいのに、涙を抑えきれなくて ぼろぼろと雫をこぼす。 「……一緒に、生きたいよ、エノ。」 (-197) 2022/03/06(Sun) 23:41:42 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ青年は、肩を掴まれて。 目を丸くして、君の顔を見た。 まさか、そんな風に怒鳴られて、そんな顔をされるなんて、夢にも思ってなかったから。 力任せな抱擁は、大層体に痛みが走ったけれど。 嫌だとは思わなかった。 「………泣かないで。」 「君が泣くと、俺も悲しいよ。」 ぺた、ぺたと掌で君の頬に触れて。 涙を拭うように、動かすけれど、全然拭いきれなくて。 「………………。」 「うん、俺もだよ。」 「生きたい。」 「生きたくて、生きたくて、たまらない。」 「できれば、誰かと一緒に生きたいし。」 「それが君だったら嬉しいなって、思うよ。」 ぽつぽつと語る言葉。 あぁ、最近、ようやく情緒が追いついてきたようで。 そんな風に言われたら、自分まで頬を濡らしてしまって。 (-208) 2022/03/07(Mon) 0:45:01 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「………でも、駄目なんだよ。」 「俺は人を殺しちゃったんだよ。」 「たとえ、ここでそれが罪に問われなくても。」 「あの中で、誰が死ぬべきかなんて、決まってるでしょ。」 「俺、他の人を選べないし。」 「ヒメノさんだけ死んだら、不公平だし。」 「……………それに。」 これは、言おうか、いわまいか迷って、合議の場では閉ざした言葉。 特に、君に聞かれたくなくて、言わなかったのだけど。 「………君も、提供候補者でしょ。」 「このままだと死ぬよ………でも。」 「提供候補者は、臓器が足りてれば、提供を免れるから。」 「だから。」 俺の分の臓器が、君の代わりになればいいと思った。 馬鹿みたいだって、ふざけるなって、思うでしょ? 一度ちゃんと話したくらいの、まだまだこれから知っていく途中だった人に、軽率に命をって、思うかもしれないね。 ……でも、君が温もりをくれたこと。 好きなものを教えてくれたこと、傍に寄り添ってくれたこと。 俺にとってそれは、とてつもなく嬉しかったことなんだよ。 だから。 (-209) 2022/03/07(Mon) 0:51:49 |
![]() |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノいくら拭って貰ったって、涙は止まらない。 これはヒメノの冷たい身に触れて、 君の死を想像したあの時に流した涙の続きだから。 「ダメじゃないッ! 死ぬべき奴なんて、ここに居ない! 生きたいって思って、当然だろ……! なんでッ、どいつもこいつも……」 そうやって、最初っから命を簡単に投げ出すんだ。 誰かの為に、犠牲になろうと思えるんだ。 僕だって、ちょっとだけ、人のこと言えないけどさ。 「……やだよ、エノに死んで欲しくない。 あのとき、思ったんだ。 このままヒメノと一緒に、お前も死んだら……って、 そしたら凄く、怖かった……怖かったんだ……、」 君が居ない未来が、怖い。 思い出すだけでも──バツ印のついた掌ごと、君を抱きしめる腕が震えてしまう。 もしかしたら、この数日篭っていたのは 自分の命を軽んじられたのは ……そんな気持ちから目を逸らして、どうにか押し込めたかったからかもしれない。 ▽ (-218) 2022/03/07(Mon) 2:13:14 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ確かに、 君は人を殺した。 ここがどうであれ、許される事ではない。 W理解できるWとは到底言い難い行為だ。 そうして自分に刻まれたバツ印が、自分が生きて帰れない事実の証左。 「えの、」 だからこれは、フカワと話した都合の良いW奇跡Wの話。 ──選ばれても、臓器提供をしなくても良い世界を願う ──そして、その先の未来で一緒に歩く約束をすること ──アクタさんは、出来ますか? ──一緒に"助けて"くれませんか、彼のことを 「何も考えずに、僕の傍で生きたいって、 ひとつぐらい 我儘言えよ、エノ……!」 君の傷なんてお構いなしに、 震える身を寄せて、とびきり力を込めて、君を抱きしめた。 君と交わした言葉や温度、その全てが心地良くて大切だ。 沢山の愛の言葉や時間なんて、関係なくなるくらいに。 でも──とか、それに──とか、言わないで 共に奇跡を願ってくれやしないか。 (-219) 2022/03/07(Mon) 2:21:44 |
![]() | 【秘】 の名残 カミクズ → 美術 エノその日の話し合いの裏、落ちていく意識の中。 ──ああ、死ぬのだろうな、と思って。 それから、きみに言われた言葉を思い出して。 やっぱり悲しませてしまうかな、なんて罪悪感が蘇って。 それでも、きみには生きて欲しいな、と思った。 その未来をこの目で見る事は叶わないけれど。 それは、ある種の呪いになってしまうとわかっているけれど。 重荷を背負って生きる事は、苦痛を伴うと知っているけれど。 話し合いの様子を、知っていたわけではないけど。 『絵乃さん』 『僕はずっと、きみに生きていて欲しいと思っていたんですよ』 『だから』 『きみが生きていたいと願うなら、 僕は、きみの友人は、それが叶う事を願っています』 でも、それでも、そう願う事は。 友達の無事を、幸せを願うのは、それこそ普通の事でしょう? そんな、ちょっとずるいメッセージは、確かに送信された。 だから、どうか、どうか。 これ以上、大嫌いなこの制度に、 僕が生きて欲しいと思った人が、奪われてしまいませんように。 (-221) 2022/03/07(Mon) 3:10:55 |
エノは、生きてほしいと願われている。 (a19) 2022/03/07(Mon) 12:19:13 |
エノは、沢山の人に、生きてほしいと願われている。 (a20) 2022/03/07(Mon) 12:19:31 |
エノは、何故、俺なんかにそんなことを言ってくれるのだろう、と思った。 (a21) 2022/03/07(Mon) 12:23:18 |
エノは、ここ数日、泣いてばかりだ。20年の分を、取り返すみたいに。 (a22) 2022/03/07(Mon) 12:23:52 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → の名残 カミクズ青年は、その通知を。 どこか、海の見える場所で見た。 「……なんだよ、そんなの。」 「俺だって、ずっと思ってたよ。」 「君に生きてほしかったんだ。」 「俺だって。」 「……俺、だって……………」 ぽた、ぽたと、砂浜に涙が溢れていく。 ずるいよ、自分ばっかり。 俺は君の事、ちゃんと見送りだしたじゃん。 君もそうしてよ。 そうして、くれないと。 「……っぅぅ………く…………」 ───せっかくの脆い決意が、揺らいじゃうよ。馬鹿。 呪いみたいな優しさに、浸されていく。 友達って、ずるいよ。 (-240) 2022/03/07(Mon) 13:03:32 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ抱きしめられた青年の体は、ずっと小さく震えてて。 小動物は、自分の鼓動で体が揺れてしまうのだと聞いた。 きっと今の自分もそうなのだろうと思う。 恐怖で張り裂けそうなくらいに叫ぶ心臓が、 死にたくないと体を揺らし続けている。 虹谷 絵乃は、恐怖に打ち震えるだけの小動物だった。 「俺は」 そんな奇跡を願っちゃいけない人間で。 だって俺、人を殺してるのに。 皆それを知ってるのに。 人殺しだって石を投げられて、当然なのに。 俺、自分の意思で彼女を殺したんだよ。 刺された場所と同じ場所を狙って撃った。 斬られた場所と同じ場所を、自分でナイフを作って斬った。 それでどうなるかなんて、分かってたのに。 理解したくて。 ただそれだけの理由で人を殺しちゃうような、 優しくされちゃいけない人間なんだよ。 なのに。 (-241) 2022/03/07(Mon) 13:17:38 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「───くない」 「─きたい………」 「……死にたく、ないよ…………」 「生き、たいよ……………」 雨のように零れる言葉。 未来への未練、渇望、望み。 死への恐怖、後悔、怯え。 一度降り始めれば、ざぁざぁと。 音を立てて降り注ぐ。 「なんでそんな風に、言ってくれるの……」 「なんで、一緒に生きようとしてくれるの……」 「なんで」 「……なんでこんな印をつけられて、そんなことが言えるの………」 掌を、両手で手繰り寄せる。 付けられた印を、指で撫でる。 君、夢があるって言ってたじゃん。 夢を語る君の顔が、楽しそうで、素敵で。 俺、君には生きててほしいよ。 ……俺が死なないせいで、君の分の臓器が足りなかったら。 俺、死んだ後も後悔しちゃうよ。自分を許せないまま死ぬよ。 ───そんな辛い決断を、俺にさせる気なの?ねぇ…… (-244) 2022/03/07(Mon) 13:26:51 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ合議が終わって、すぐの頃。 青年は君の遺体がある場所を人から聞いて、 そのすぐそばまでやってきた。 VRの世界では、遺体は奇麗なままだ。 あるいは遺体はもう残っていないのかもしれないけど。 「…………ヒメノさん、俺ね。」 挨拶もなしに語りだす。 青年にとっては、独り言のようなものだ。 死人は喋らない。だからこれは、自己満足な自分語りだ。 「本当は、虹谷 絵乃っていうんだ。」 「ニジヤ製薬って、知ってる?凄いおっきい所で、多分、うちの薬くらいは何回も見たことがあるレベルの。」 「そう、その製薬会社の社長の、息子なんだ、俺。」 ぽつぽつと、語っていく。 それはあるいは、『自分が特別である』という事を誇示するような。 自慢話にしか聞こえないのかもしれない。 「特にお金とかに困る事も無くてさ。」 「欲しいものは何でも買ってもらえたし。」 「美味しいものだってたくさん食べた。」 「著名人が集まる立食パーティとかもね、家で開かれたことがある。」 (-247) 2022/03/07(Mon) 13:38:57 |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ 膝の上に置かれた、コップを握る手。 中身のオレンジは目減りしている。 「言われたわけじゃ……」 というかそこまで深く話したこともないし、と。 旗色が悪くなってきた少女はちょっと捨てばちな返答。 ここでこの話はおしまい、と言外に物語って。 逸らしていた目をぱっとあなたの方に向ける。 苗字ちがうの、とぱちぱち瞬いて、首を傾げた。 「ペンネーム? ……じゃあ、エノさんで覚えておきます」 どっちで来てもいいように。 そう言って、それから笑って頷いた。 「うん。暑中見舞いも送ってあげる」 (-249) 2022/03/07(Mon) 13:41:06 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ「なに一つの苦労もない人生だった。」 「虹谷って名前があるだけで、色んなことが許された。」 「俺さ、そんなに体格だってよくないけど。」 「変なのに絡まれたこともないんだよ。」 「ドラマみたいな誘拐事件だって、1回も経験したことない。」 「ただそれなりに、やりたい事を自由にやれる人生だった。」 自分の人生を思い返す。 嫌なことを我慢してやる、という事もなかった。 誰一人、叱ったりすることもなかったから。 したい事をして、したくないことはせずに生きてきた。 それでも、青年はそんなに破天荒な性格でもないから。 きちんと学校には行き、法も犯さずに生きてきた。 ただ家柄がいいだけの、普通の人生だった。 「……でも俺は、この名前が嫌いなんだ。」 「『虹谷』っていう、一生付きまとうこの看板が。」 「『絵乃』を覆い隠してしまいそうで。」 (-251) 2022/03/07(Mon) 13:44:53 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ「『虹谷』というだけで、皆が俺と距離を置く。」 「あんまり話しかけても貰えなかった。」 「話しかけられても、無理して笑顔を作ってるような」 「媚びるみたいな感じだった。」 「友達と一緒に出掛けることもなかった。」 「『万が一怪我させちゃったら怖いから』とか」 「『庶民向けのご飯屋だから貴方の口には合わないと思う』とか」 「言ってもいない言葉で遠慮されて」 この前ね、人から、コンビニで売ってるレモンティーを貰ったんだよ。 美味しいんだね、あれ。 午後のって書いてあったけど、午前中でも飲みたいくらい、なんて、笑って。 「………親も、忙しくて、あんまり家にいなかったな。」 「兄弟仲も、悪くはないけど、仲良しって程でもなかった。」 「俺が、『虹谷』じゃなかったら。」 「もっと家族の距離は近くて、友達は普通に笑ってくれて。」 「一緒に遊んで、怪我して、安いご飯をお腹いっぱい食べて、楽しい時間を過ごせるような」 「そんな、『普通』の人間になれたのかなって。」 それは、特別であることを押し付けられた贅沢な青年の、呟きだった。 (-253) 2022/03/07(Mon) 13:52:04 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ「………ねぇ、君はどうだったんだろう。」 「『普通』が嫌だって言ってた、君は。」 「どんな人生を送ってたのかな。」 「知りたかった。本当に。」 「君の事を知りたかったんだ。」 それは、懺悔の色を帯びて。 「……怖かったよね、最初に印が付いたとき。」 「むかついたよね、それを付けたやつに。」 「自分がもう死ぬってなった時、頭が真っ白になるし」 「なんで、とか、どうして、とか、そればっかり浮かんで」 「そうしてただ、『死にたくない』しか考えられなくなって。」 俺もいまそうなんだよ、と、震える手を握って。 もしこれが、理不尽に突き付けられた死だとしたら。 きっと君と同じ様に、何か活路を探して、刃を手に持ってしまうのではないかというくらいに。 怖くて、怖くて、逃れたくてたまらなくて。 「……俺がつけたんだ、君の印。」 「合議に遅刻して、参加してなかったってだけで。」 「君を、"死んでもいい人間"って判断したんだ。」 「……馬鹿だよね。人が死んでも構わないって、本気で思ってたんだよ、その時は。」 自分に生への執着が芽生えて初めて、死の重さに気付くなんて。 呆れるくらいに幼稚な情緒で。 (-256) 2022/03/07(Mon) 13:59:33 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ「……俺が君を殺したんだ。」 「君の体も。」 「君の心も。」 「俺が殺してしまったんだ。」 ごめん、と。 ぽつりと零れた言葉が、やがて。 雨のように降り注ぐ。 ごめんなさい、ごめんなさい。 恨んでください、呪ってください。 決して許さないでくださいと、何度も、何度も。 やがて、言葉が止んで。 「………今、君の死にたくない気持ちが、嫌というほど理解できる。」 「…きっと、それだけが良かった事。」 「………それだけ、ごめんね、ヒメノさん。」 「……………ごめんね。」 そうして立ち上がり、離れていくことだろう。 (-257) 2022/03/07(Mon) 14:03:36 |
エノは、遺体の前で懺悔した。 (a25) 2022/03/07(Mon) 14:03:55 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ青年は二度目のコップを早々に空にした。 血が足りない分なのか、喉が渇く。 まぁ、ジュースでは水分補給もままならないが。 捨て鉢な様子には、ふ、と小さく笑って。 それ以上の追及はしないであげておく。 「うーん、どっちかというと逆。」 「また今度教えてあげるよ。…あぁでも。」 「この後は君、デートで忙しいもんな。」 じゃあ話す機会ないかも、なんて。 やっぱりちょっと茶化しをいれて。 「いいね、君から来たって一発で分かるようにしといてね。」 「たくさん来るから、埋もれちゃう。」 なんてお願い一つ。 ハガキではなかなか難しいお願いだ。 「………そろそろ合議の時間かな。」 「君は準備したら?俺も………もう少し休んでからいくし。」 そろそろいい時間かな、と時計を見やった。 (-261) 2022/03/07(Mon) 14:08:41 |
![]() | 【秘】 の名残 カミクズ → 美術 エノそれがずるい事だとわかっている。 誰だって死にゆく人には生きていて欲しいと言いたくて、 けれどそれ以上にその意思を尊重したいから口を噤むのだと。 でも、きみがもし、生きていたいと望むなら。 やっぱりそれも尊重したいなと、思うから。 きみは上葛を送り出して、上葛もきみを送り出した。 ただ、送り出す先が、抱く決意が違っているだけ。 なんてのは、屁理屈だろうか。 屁理屈でもいいから、願わくば。 なるだけきみが後からゆっくり来てくれたらいいな、と思う。 文句なら、向こうでいくらでも聞くから。 いつまでだって待てるから、そこは心配しないでほしいな。 (-271) 2022/03/07(Mon) 16:01:14 |
エノは、もうマップに反応のない"友人"に会いたいと思っていた。 (a26) 2022/03/07(Mon) 17:09:00 |
エノは、その友人から送られてきたメッセージに (a27) 2022/03/07(Mon) 17:09:26 |
エノは、「………ずるいよ…………馬鹿………」と、ただ、俯いて呟くのだった。 (a28) 2022/03/07(Mon) 17:10:02 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ君が生きたいと口にすれば 涙で潤んだ瞳が、にっと笑った。 「なんでって……、」 君の指が、掌をなぞる。 バツ印は消えないし、歪むこともなく 逃れられない未来の終わりを告げてくるけれど 「……分かんない、 エノが目の前で死にそうになってて、今こんなんで、 吊り橋効果とか、かも、しれないけど、」 ぐい、と自らの瞼を袖で拭う。 それから同じように、まっさらな方の手の先で、君の頬から──目の端まで。 雨に傘をさすかわりに、拭ってやった。 「でも、これが誰かをW好きWって気持ちなら ……なんか良いなって、思う!」 我ながら、どうにも、舞台の台詞っぽいだろうか。 でも、たまにはペンで綴る言葉を吐いたって、良いだろう。 ……だってこんな気持ち、知らなかったから。 ▽ (-294) 2022/03/07(Mon) 18:44:06 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ「僕も、どうせ死ぬんだって思ってた。 文字さえ書ききれば思い残す事ないやって、 ちょっとは好きになれたW友達Wの為に死んでやるかって、思ってたけど、」 震える君の背を、まるで子供にそうするように 優しく、慈しんで、あやすように撫ぜながら 小さな声で、秘密の話を君に囁く。 誰にも言うなよ、と前置きして。 「そいつがさ、 僕に投票しておいて、 僕の為に臓器提供してやるとか言う癖に ……今更奇跡を信じろとか、言うんだよ。」 おかしいよな、と小さく笑う。 男の頭に浮かんでいるのは、 不運 の名を有する──ここに至るまでに、背中を押してくれた彼だ。「だから、なんかさ、 バカみたいに信じてみたくなった。」 それだけ、と告げて君を腕中から開放する。 「後悔してるならさ、生きろよ。 逃げないで、ちゃんと全部背負って生きてさ。 ……重くなったら、支えてやるから。」 そろりと君の顔を覗き込むその表情は、夢を語った時と同じで、君と歩む未来を想像して、瞳を煌めかせていた。 (-296) 2022/03/07(Mon) 18:47:54 |
![]() | 【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ 笑んだ吐息に、恥ずかしさとか怒りとか好感だとか。 他愛ないそれらがないまぜの、子供じみた感情を抱きつつ。 「そ……うです、デートなので! 明日じゃなかったら、またお喋りしてあげますけど!」 かなりやけっぱちだ。 友達とのお出かけをそう呼ぶくらいの…… つまるところいつも通り、を装うのに見事に失敗している。 そうして、一発で?とオウム返し、考え込む素振り。 促す言葉にはっと顔を上げ、掛け時計へ目をやって。 「……うん、じゃあ。先に行ってきます。 手伝いが必要だったら、呼んでくださいね」 そう言って、立ち上がる。 コップを洗って、必要ならあなたの分のおかわりを注いで。 また後で、と医務室を後にした。 4日目。 少女が投票用紙を2枚、取りに行く前のできごとだった。 (-299) 2022/03/07(Mon) 19:09:51 |
エノは、4日目の投票前、「じゃあ、明後日にでも話すよ」と誰かに言った。 (a31) 2022/03/07(Mon) 19:44:37 |
エノは、その数時間後、その約束を破るように、裁判所で挙手をしたのだった。 (a32) 2022/03/07(Mon) 19:45:15 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ君の、にぃ、と笑う顔が素敵だと思った。 涙を拭われれば、目を細めて。 その顔は、随分幼げに見えただろう。 青年は、まるで幼児がそのまま大人になってしまったかのような。 拙い情緒のまま、君の腕の中に納まっている。 「……俺、愛とか恋とか、わかんない。」 「人とちゃんと仲良くなったことが、ないから。」 「……でも……」 「………君に好きって言ってもらえるのは、嬉しい。」 「………嬉しいし、俺も好きだよ………」 たどたどしく、まだ震える喉から声を出す。 誰かに、愛される事。 きっと自分が心の底から望んでいた事。 もし、生への執着を知らなければ。 ただ、理解だけを追い求めていたらきっと。 『じゃあ、一緒に死んでね』と言ってしまったであろうその言葉。 …今は死にたくないし、死んでほしくもなくて。 (-311) 2022/03/07(Mon) 19:56:55 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「……あの人はさ、勝手だよね。」 「………勝手なことばっかり、言うんだ。」 君の背を押したであろう、その姿を思い浮かべて。 理解したいと言われて。 でも理解できないと言われて。 自分は死ぬけど、君は生きてほしいと言われて。 今はこうして、誰かの背まで押して、俺の決断を鈍らせて。 ……ずるいよ。ずるい人ばっかりだ。 「………俺は、でも。」 「俺が、俺を許せない………」 「ここの誰より、殺してしまった彼女より、自分が自分を許せないんだよ。」 「だから」 「だから…………」 青年は、口を噤んで。 生きたくて仕方ないと泣き叫ぶ心を、抑えて。 「………してしまった罪の、清算は、したい。」 「……もし、もしもだよ。俺の中で清算が出来て」 「それでももし、俺が生きてたら。"奇跡"が起こったら」 「その時は…………」 (-314) 2022/03/07(Mon) 20:03:56 |
![]() | 【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「俺の未来を、貰ってくれる?」 耳元で囁くそれは。 決意が揺らいで、ほんの少し、未来を求めてしまった、その証。 (-319) 2022/03/07(Mon) 20:07:30 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ子供みたい。 そう揶揄ってやろうかと考えて、辞めた。 「…………そ、そうか…… わ、わかり……ました………」 言い出しておいて、その手の言葉にめっぽう弱い。 俺も、と返ってくることが嬉しくて、 むずむずして、何とも言い難くて、視線を逸らした。 ▽ (-332) 2022/03/07(Mon) 20:47:34 |
![]() | 【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ「分かった、」 「ちゃんとやれよ。」 何を、とも。どう、とも。聞かないけれど。 「投げ出すなよ。」 君がそう決めたのならば W清算Wを見届けようと思う。 本当は少しだけ、怖いけど。 それでも誰もが、奇跡を願っているのだから これが最期になるとしても、 前を向いて、生きていたい。 ──夜の砂浜。 すっかり時間は経っていて。 君の隣で、奇跡を待とう。 (-333) 2022/03/07(Mon) 20:48:21 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新