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【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ「—— 私 、やることができたから、行かなくちゃ」戸惑うようなあなたの視線を、真正面から見つめ返す。 泣きじゃくっていた少■は、もう、どこにもいない。 「明日また、話をしよう」 「またね、バラニ」 少■は再びあなたの手を離す。 けれどそれは以前のように、そうしていられなくなったからではなくて。 成すべきことを成すために。 少■は踵を返すだろう。 あなたの心は、きっと、今ここにはない。 だから、それを取り戻しに行かなくちゃ。 (-230) 2022/05/06(Fri) 19:47:16 |
【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ「……」 「なにか、よくないこと」「されたの?」 青年の目は少しの驚きを湛えていた。光の薄い目が小さく丸められる。 その実、貴方やこの飼育小屋に対して遠巻きにしていたのは別の理由だったから。 おそるおそる、もう一歩、二歩。腕を伸ばせば届く距離。 それに合わせてがたがたと、飼育小屋の中の動物たちがざわめいた。 一匹欠けた兎小屋の獣たちは、手の届かない方へと壁を作るように追いやられた。 「わからない」「ただ、これからは」 「僕にあった解決法を探す、って」 「今までは、そうじゃなかった」「みたいだった」 たとえその扱いは理不尽に見えるものだったとしても、 例えばかつての子どもたちのように苦しめられたりということは、 青年から見ればなかったのかもしれない、ただ。 実習生へは、青年は学力の遅れや社会行動性の未発達、 いわゆる精神遅滞のきらいがあることを伝えられていた。 実際に青年に行われたことが客観的に見て妥当性のあるものかどうかは、 一面的な意見だけでははかれないものだろう。 「……」 「イシュカは?」 口籠る。貴方が自分と同じように感じていないのは、明らかだったから。 (-231) 2022/05/06(Fri) 19:49:11 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トット「我慢できないんだ。」 「……なんでだろう、辛いわけじゃないのかな。」 「気持ちいいとか?」 血を出すという行為は、自分を傷つける行為に等しいもののはず。 なればあまりしたくない、と思うのが道理な気がするが…… 君に手を伸ばして、窓の内側まで招き入れ。 そっと窓を閉めて、カーテンを閉じる。 図書室には誰もいない。 今の図書室は鍵を閉めていて、営業していない状態だったから。 「…っぅ、ゎ」 それから、解かれた包帯の中身を見て。 それそのものでは、目を細めこそすれ声を出すことはなかったのだけれど。 その後の、ナイフを突き立てる行為には。 思わず声を上げ、目を閉じてしまった。 恐る恐る、目を開けて。 「……わぁ……!」 行為と裏腹に奇麗な言葉の花が咲く。 それは何とも奇麗なもので、奇麗すぎて不気味ささえ覚え。 ぶち、と引き抜かれる花弁に、思わず目が釘付けになる。 こんなに奇麗なのに、血なのか。 「……ありがとう、痛くはない?」 零れそうな涙を、指で掬いながら、問いかけて。 掬ったそれを、ぺろりと口の中に運んで ▼ (-232) 2022/05/06(Fri) 19:52:35 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トットそうして、受け取った花。 しげしげとそれを眺めて。 くぅ、とお腹が鳴いた。 「うん、じゃあ。」 「頂きます。」 貰う側だから、きちんとした敬語で。 ………なんてわけではなく。 それは。 食事の前の、簡易的な祈りの言葉。 ぱくり、とその花を口に運ぶ。 こんなに奇麗な花だけれど、それも血であるのなら。 それは、自分の"食事"の対象に他ならなくて。 今まで、食事の時に噛むなんて行為、してこなかったから。 その新鮮さと、ずっと空腹のお腹が満たされる快感と。 色んなものが混ざって、嬉しくて、気持ち良くて。 「………美味しい………。」 熱っぽく呟いた言葉。 上気した顔は、こちらも同じだった。 「もっと食べられたらいいのに………」 お腹いっぱいまで、食べられたらいいのにな。 (-233) 2022/05/06(Fri) 19:58:08 |
【秘】 半分の仮面 リアン → 月鏡 アオツキ「民の事を考える王は好きだ。僕もそうありたいものだな」 民を見下す、腐った統率者にはなりたくない。 「ショック療法なんかして、爆発でもされたら……皺寄せは同室の僕に来るんだ。 流石にその覚悟は出来ていないぞ。 恋人………」 冗談とわかってはいても、流石に距離が近いものだから。 その時の彼の様子を考えて、眉を寄せた。 自分も距離感を誤って、怒らせたことがあるからなおさらだ。 恋人のいたことがあるという君の発言には、懐疑の声音。 「やらないわけにはいかない。 僕のため、ひいては他の生徒。そして、未来の生徒の為に。 無論、計画こそすれ まだ上にその意思を知られたくはない。 どちらかといえば、今は―――取り入るべき期間なのだろう。 気に入らないが、学園のためにはやむを得ない」 「僕の場合は、家柄の問題もある。 良くない風評があるものだから、外に出たところで……居場所はなくなっていることだろうな。 ……そうだな。僕は、"善行を積むほど、自分の身体が醜い痣や傷に蝕まれていく"病気だ。 逆に悪行を積めば、それは和らぐのだろうが。僕はそのために思いを変える事を望まない」 指先で右頬の化粧を落とす。そこには、 どす黒くおぞましい痣 (-234) 2022/05/06(Fri) 19:59:01 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「ありがと」 ティーカップを貰えば、少し微笑んだ。 倣うように両手で持ち上げて、ふう、と息を吹きかける。 空気の揺らぎと小さな波に混じって、花の香りがした。 瞬きをして、そのまま一口。 甘い。 ……もう、後戻りもできない。 コク、コク、とまた飲んで、ほうと吐き出す息さえ温かい。 ……少し思考がぼやけてきた。眠る前に、と。 「ラピス」 「おれ、たぶん……だめになっちゃうとおもう」 「なおったら」 「 おれたちさかなくなったらつかわれなくなっちゃう 」「それがこわいの」 ゆっくり、まばたき。それから、もう一口。 「ラピスは」 「 さかないはなをゆるせる? 」 (-235) 2022/05/06(Fri) 19:59:49 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ「……ツキは……」 頭を撫でる手に手を添え、指を絡めて膝の上へ下ろす。 心の中を吐き出すように訴える貴方に、頷きながら目線を返す。 ぱち、ぱちと呼吸にあわせるように降りる瞼は、耳を傾けていると示すよう。 少しだけ、沈黙だけが挟まる時間があった。 そのうちに腕の中に掛かる重さを受け止めて、髪の硬い感触に頬を寄せた。 ぐったりと弱ったような貴方の背中を見下ろして、青年は考える。 「ツキは」 「可哀想だ」 「誰かがなぞった人間の形をしていないと」 「耐えられないんだ」 「ツキは、普通じゃなかったんだね」 「普通じゃないから、誰かの普通に憧れて」 「自分じゃないものになったんだね」 とつとつと語る。耳に聞こえた言葉への、純朴な感想だ。 それを理性的な形で表すのならば、同情なのだろう。 ひどく脆弱な精神を曝け出す貴方を、悲哀の目で眺め下ろす。 「ツキは幸せに"された"んだ」 「自分が思うものじゃない」 「他人の思う幸せに」 「ツキは本当は」 「僕じゃなくて、誰かを幸せにしたいんだ」 「その代わりを誰かに、やってほしいんだね」 (-236) 2022/05/06(Fri) 20:03:27 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキとん、とんと背中に回した手が子供をあやすように叩く。 落ち着かせ、心の安寧を取り戻すことを望むように。 純粋に、無雑に。青年はそこに一変の屈折もなく、貴方の言葉を受け入れた。 貴方が誰かに言われた言葉の正誤を断ずることは青年には出来ない。 そこまでの知性を持ち備えるほど、青年の精神は習熟していないのだ。 大きな成人の身体に、まだ彼よりも年下の子供にも劣り兼ねない柔らかい心だ。 貴方を真に救う方法は、未熟な心は持ち得ていない。 「僕が幸せになって」 「僕が普通になったら」 「ツキは、嬉しい?」 「僕、アオの代わり、やってあげる」 「だからもう、苦しくないよ」 それはまるで、片割れを亡くした母親に、子供が父親の代わりを申し出るように。 家族をなくした生き物に、誰でもないものが無邪気に寄り添うように。 耳元で流し込まれる声は大人のそれであるのに、抱く気持ちはひどく幼い。 だからこそ、そんなことも簡単に言ってしまえるのだ。 「これからは、僕がアオの代わりだよ」 (-237) 2022/05/06(Fri) 20:03:38 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「?」 「構わないけれど……そんなに気になるのかね」 不思議そうにしながら、容器に入ったままの錠剤を無防備に手渡す。 あなたの事を信頼しているから、滅多なことはしないだろうと思っているのだ。 「見終わったらちゃんと戻してくれたまえよ?」 それはどうにも、抗不安薬のようなものらしい。 バラニは今まで、このギムナジウムが掲げる理念の通り、生徒同士の交流による病症の緩和を目指していた。 こんな薬には頼らず自らの努力によって克服しようとする姿勢を考えれば。やはり、どこかおかしいものだ。 (-238) 2022/05/06(Fri) 20:05:30 |
【置】 充溢 バレンタイン夢を見た。 大人たちの無遠慮な手が、自分の肌の上を這いまわる夢。 眼球を僅かに動かせること以外は、 指一つすらぴくりともしないし、 だから脳内で反響する言葉を一滴も外に零せない。 誰もが僕を眠っている人間のように扱って、 僕は鮮明に全てを見て、感じて、 ありったけの負の感情を脳内に吐き出していく。 (───) 空の薬瓶が転がっている。 空のアンプルが転がっている。 空の注射器が転がっている。 自分が何をされているのか、何をされたのか、 想像に難くない。けれど全ては分からない。 (L3) 2022/05/06(Fri) 20:06:14 公開: 2022/05/06(Fri) 20:30:00 |
【置】 充溢 バレンタインいつまでたっても覚めない。 と思っているうちに目が覚めた。 否、“夢じゃない”と理解した。 濃く煮詰められた不安の感情と、 それを押し付ける怠い何か、は、 正しく現実の自分が普段から感じているそれと同じ。 違うのは、一切の眠気がないのに、 言葉どころか身体すら動かせない事。 『───うご、いて』 必至に、何度も何度も身体を動かそうと、 念じて、縋って。そうしたら、 自分の声によく似た電子音が、頭の上から響く。 唇も喉も石みたいに固まっている。それなのに。 (L4) 2022/05/06(Fri) 20:14:33 公開: 2022/05/06(Fri) 21:35:00 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト気持ちいいのかと問われれば、「ん"う」と唸る。 いつも図星を突かれた時に出す声だった。 「いうな……」 恨めしげな目、恨めしげな声。恥ずかしいというのは、これが原因らしく。 確かに、花が育つ時のトットの様子は正に"そう"であるようだった。 熱い息に、潤んだ目。跳ねる肩に蕩けた声。 年齢に相応しくないとも言えるその様子は、過ぎた感覚をトットに与えている証左でもあった。 だから、痛くはなかった。 「んふ」「き、もちい……よ」 「だいじょぶ」「あは」 一度は自分から不服とした事実を、簡単に認めた。 掬われた涙が、咲いた色とりどりの花が貴方の口に運ばれるのを、どこか恍惚としながら眺めて。 ▽ (-239) 2022/05/06(Fri) 20:15:18 |
中等部 バラニ(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/06(Fri) 20:16:42 |
【秘】 高等部 ラピス → 花信風 トット何度、微睡みに浸かっていく姿と向き合っただろう。 甘さを口の中で転がして、問い掛けに耳を傾ける。 「………」 少年にとっては、咲くことが、 使われることが存在意義なのかもしれない。 静かに黒板をチョークがなぞる。 『咲かない花があっても、良いと思います』 『世の中全てのものに、使い道は必要ないと思います』 花はただ、咲けるときに咲くだけ。 咲かないなら、そういう花だっただけ。 それが自然なことだと少女は思っていた。 使われなくても、誰が見ていなくても、花はそこにあっていい。 そこにあったことを覚えている人がいれば良い。 『私は、許しますよ』 それが答えだった。 (-240) 2022/05/06(Fri) 20:19:09 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ渡されたそれを見る。 ラベルがあるならそれを見て。 無いなら多分、見た目などで。 それの正体を看破するのだろう。 抗不安薬。 それは、無理やり精神を安定させるための薬。 もちろん、治療の一環として普通に使われるものではあるけれど。 でも。 「………こんなのに頼って、不安を払拭したって。」 「…何の意味もないんじゃないの………。」 これは、いうなれば"治った気になる"だけのものだ。 実際には治ってないのに、もう大丈夫だと自他に思わせるだけのもの。 飲んでる内はいいかもしれない。 でも、やがて効き目が薄くなり、もっと強いものを……となれば。 絶対に今よりひどくなる。絶対に。 「……これを飲まないと酷い事されるの?飲まなきゃいけないの?」 「ねぇ、バラニ………こんなの飲んじゃ駄目だよ………」 ぎゅっと、薬を握り締めて。 懇願するように告げた。 (-241) 2022/05/06(Fri) 20:20:02 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『では、私は今まで通りバットくんと呼んで良いのですね』 人によって違う。 そこにどんな意味や目的が隠れているのかはわからない。 でも、今まで接してきた"少女にとっての青年"はバットだから、これからもそのままで良いかなと思った。 『呼び方がいくつかあるのは不思議な気分です』 『なぜ、咎められてしまうのでしょうか』 同じように、適当な木の根元にちょこんと座る。 小さな体躯はすぐに木々や茂みに紛れてしまいそう。 普段より更に低くなった目線で、また頭上の枝葉を眺める。 ぼうっと過ごす時間は嫌いではない。 (-242) 2022/05/06(Fri) 20:20:30 |
【置】 充溢 バレンタイン『……え?』 その電子音を皮切りに、大人たちは口々に何かを言って、 身体を這うのを続けるもの、慌ただしく部屋を出ていくもの、 まるで働きものの虫たちを眺めているような気分だ。 『なに、やめ───僕、を─── ───!』 『───? どういう、こと……?』 頭で喋りたいと思ったことを、代わりに言ってくれている。 でもフィルターが、マイナスの言葉を濾しとっていくように。 不安の糸から紡がれるものは何もかも、出ていかないように。 そうしてようやく、今自分が置かれた状況と、 その意図を全部理解した。ような気がする。 (L5) 2022/05/06(Fri) 20:24:23 公開: 2022/05/06(Fri) 21:35:00 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト美味しい、と。 その言葉で、なにか どこか 今までにないくらい、色んな気持ちが溢れた。 「おいしい」「あは」 「ふ、んふ あはは えへ ああ……」 「おれおいしいっ?おれたちのことたべてくれるのっ?」 「つかってくれる?おれやくにたつ?」 「うれしい」「うれしい!」「おれたち、もっとさきたい」 ……ゆっくり立ち上がる。足が震えるのは、痛いからではなくて。 体に力が入らないから。ぬるま湯に浮いているような感覚だ。 多幸感。 年相応にはしゃぐ姿は、けれどいつもよりどこかおかしい。 「おれ〜 あは とってくるねぇ」 「もっとあげる んふふ」 言うやいなや、ふらりと図書室を出ようとした。 まるで褒められた犬のよう。……無抵抗に、無邪気に、盲目に。トットは 喜んでいる。 (-243) 2022/05/06(Fri) 20:29:58 |
【置】 充実 バレンタイン『─── おはよう、ございます』 どれだけ強迫的な妄想に取りつかれても、 それはもう、外側に溢れていくことはない。 容れ物に、ちゃんとした蓋がついたのだ。 (L6) 2022/05/06(Fri) 20:30:48 公開: 2022/05/06(Fri) 21:40:00 |
バレンタインは、充溢した不安と、それと同じくらい希望に満ちていた。 (a29) 2022/05/06(Fri) 20:33:09 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス「わからない。でも、理由はあるんだと思う。 ……ミゲルって呼ばれたのは、久々だったかも。 先生たちもたまに、そう呼ぶ人はいるけど」 曖昧に混在している理由は、少なくとも青年はきちんと認知できていないようだった。 どうして自分がそう呼ばれているのか、意味や実情も理解していないのだろう。 だから含みもなく、貴方と同じように首を傾げるだけ。 傍に座った貴方の横に身体を寄せて、じっと見下ろす。 視線の向いた先は自分と同じように、手袋をした手先。 しばらく黙ったまま視線だけが刺すように落ちた。 考えていることを隠すように他愛のないことで間をつなぐ、なんて、 器用なことは青年には出来ないらしかった。 不自然な間があってから、ようやくといったふうに声を出す。 「……ラピスは…… どうして、手袋をしているの。」 (-244) 2022/05/06(Fri) 20:35:11 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トット「気持ち良いんだ。」 「………へぇ………。」 というのは、少し揶揄いの混じった声と目線。 こんなに小さくても。 そう言うのはあるんだなぁ、と。 くす、くす、笑って。 実際に目の当たりにしたそれは確かに。 実際にしてる行為は違えど、そうであると言ってもいいもので。 その表情を可愛いと思い、汗ばんだ顔を美味しそうと思い。 ただ、幼子が自分を慰める行為を、目前で見ている。 慰めた君が出したものを、口に運ぶ。 美味しくて、美味しくてたまらない。 もっと食べたい、もっと欲しい。 ▼ (-245) 2022/05/06(Fri) 20:36:09 |
【秘】 半分の仮面 リアン → 神経質 フィウクス「全くだ」 肩を竦める。 配られているカードだって、中抜きされていたり 目の前で握りつぶされたりした先の残りものなのかもしれない。 これを捨てる事は、人生からのリタイアと同義なのだろう。 僕達はよほどでなければ、それを選べないだろうが。 「使いたくはなかったが、僕の持っている切り札の出番も近そうだな。 どちらにせよ、希望を持たせるには―――僕自身の"治療"だってしなければならないだろう」 必ずしも他者に影響を及ぼすカードではないけれど。 自らの立場を少しでも良いものにするのであれば。 (-246) 2022/05/06(Fri) 20:36:40 |
【秘】 半分の仮面 リアン → 神経質 フィウクス「何だろうな。君が前触れなく腹を立たせるのは、いつものことじゃないのか?」 なんて笑みを浮かべたまま嘯いて。 しかし、君とこうして結託するのであれば―――このまま何もしないのは、惜しいな。 だから、踵を返した君の腕を掴んだ。 そして、逆の手で。 握手の形を取る。 「そんな誓約書なんて用意する時間で、生徒の為の行動が幾つ出来る? 僕達には、これで十分だろう。改めて、宜しく頼む」 目を細めて、満足そうに笑って。 そしてまた一方的に手を離すのだろう。 きっと君はこの行動にも、苛立って仕方ないだろうから。 これ以上の負担はかけないつもりだ。 ―――気に入らなかったときは、八つ当たりの覚悟くらいはしているけどもね。 (-247) 2022/05/06(Fri) 20:37:30 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「…………、……ふふ」 蕩けていく思考の中。狭くなった視界であなたの文字をなぞって。 「よかったぁ」 「じゃあ、 おれ さけなくなっても」 「まだ さけてても」 「いーんだ」 遠のく意識の中、置いたカップは もう空だ。 「ありがと」 「……らぴす」「これ」 座っていられなくなって、机に伏せた。 おもむろに頭に──花飾りに手を伸ばして、 ぷちり、と 音がした。 「……じつは これも」 「おれ のはな……ヘヘ」 「あげる」 あなたのカップの横に、そっと置いて。 そのままふと、意識を手放した。 幸せそうな顔で寝息を立てている。 (-248) 2022/05/06(Fri) 20:39:40 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トット「…君の事、全部食べちゃいたいな………」 君の中の、その全部。 部屋に貯めこんでるものも。 全部、全部、全部。 全部が欲しい。そしたらお腹いっぱいになれる。 「君がくれると、とっても助かるんだ………」 恍惚とした顔で、蜂蜜のような声を漏らす。 様子のおかしい君を、その言葉をぼんやりと聞き。 取ってきてくれるんだ、嬉しいな、と。 思って。 「トットくん………大丈夫………?」 ふらりとした足取りに、ほんのわずかに残った理性で手を伸ばし。 叶うなら体を支えるようにして、問いかけた。 大丈夫だというなら、そのまま。 部屋に行かせるだろうけど。 /* 更新時間が近づいてきちゃったので、ふわっと区切ってもらっても大丈夫です! 勿論続けてもらったら喜びます!どちらでも大丈夫なのでお好きなように! (-249) 2022/05/06(Fri) 20:42:09 |
シャルロッテは、浅はかで愚かな■の子。 (a30) 2022/05/06(Fri) 20:43:14 |
充実 バレンタイン(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/06(Fri) 20:43:55 |
【置】 恋の呪い シャルロッテ日の暮れる頃、バラニと話した後。 少■は一度シャワーを浴びて、服を着替え、それから学舎へ。 先生に授業を欠席したことを叱られながら、いつものように穏やかに笑っていた。 「ごめんなさい、先生」 「あのね————」 『少女』は囁く。 家族が教えてくれたから、どうすれば許してもらえるのか知っている。 家族が教えてくれたから、どうすれば男の人に優しくしてもらえるのか知っている。 家族が教えてくれたから、どうすればお願いを聞いてもらえるのか知っている。 やっぱりなにかがおかしい。 おかしいことに気が付いて、けれど、それを利用することにした。 少■は大人たちの間を渡り歩く。 たくさん頼めば、誰か一人ぐらいは気まぐれを起こしてくれるだろう。 ————さあ、美しき時を取り戻そう。 あなたがそれを望まないとしても。 あなたと大切な話をするために、その心を取り戻さなければ。 (L7) 2022/05/06(Fri) 20:44:21 公開: 2022/05/06(Fri) 20:55:00 |
シャルロッテは、その日、夜遅くまで部屋に戻らなかった。 (a31) 2022/05/06(Fri) 20:44:44 |
バレンタインは、同じく、夜遅くまで部屋に戻らなかった。心配する人はいない。 (a32) 2022/05/06(Fri) 20:46:26 |
【赤】 高等部 ラピス「………。」 夕方、誰もいない空き教室。 静かに席に腰掛けて、壁掛け時計の針が進むのを見ていた。 今日は珍しく黒板に文字を書き殴っていないらしい。 淹れた花のお茶のおかげだろうか。 手元にあるマグカップはとっくに冷めていたけれど。 少しの間ぼうっとして、中身を全て飲み干してから教室を後にした。 (*28) 2022/05/06(Fri) 20:47:54 |
恋の呪い シャルロッテ(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/06(Fri) 20:48:01 |
【置】 花信風 トットトットの部屋は、トットが一人で使っていた。 寂しがりやのトットが自分から「一人部屋が良い」と申し出た時は、周りから驚かれた事を覚えている。 トットの部屋にはトットしかいなかったから、閉め忘れた部屋の鍵を掛ける人も居ない。 薄く開いた部屋の扉の隙間から、ひとひら。 それから、開けたままの窓から吹き抜けた風が扉を押して。 花を、 花を、 花を、 花を、 花を、 ゜花を、 花を、 *。 花を。 廊下へと散りばめるように、花を溢した。 部屋の中は行き場のない花に溢れている。 ベッドに、棚に、机に、床に。 遅すぎる花信風が吹く部屋に、今夜トットは帰らない。 (L8) 2022/05/06(Fri) 20:51:47 公開: 2022/05/06(Fri) 20:55:00 |
【秘】 童心 クロノ → 司書 エルナト「───………」 後ろから抱き留められれば、 誤魔化そうとしたものは、誤魔化し切れず。 ぴき、と言う音の後に少女の面は、身体は、 成熟した女のものになる。 それでも、その中味は変わらない。 「……わ、」 「……分かった…………。」 艶やかな女の声は、困惑を宿したまま言う。 誰もいないところでなら、と言ったのは自分だ。 自分の言ったことと、あなたの言葉で、 それはもう供物にならざる負えない。 優しい声で囁けば、囁かずとも、抵抗の余地も無い。 あなたに捧ぐ雫の源泉は、逃げる事も無い。 自覚の無い自己犠牲は、都合よくあなたに使われる。 ──さあ、今日も、悪魔に供物を捧げよう。 (-250) 2022/05/06(Fri) 20:54:41 |
【秘】 高等部 ラピス → はなわずらいの トット寝息を立てる姿を見て、黙り込む。 最初からそこに声は無かったけれど。 ゆっくり、手袋を外す。 その下にあったのは、所々が青い鉱石で覆われた肌だった。 夜空を映したようなそれは、まるで ラピスラズリ だ。眠りに沈んでいくあなたの頭にそっと、その手を置く。 きっと記憶にも残らないかな、なんて思いながら数度撫でて。 カップの側に置かれた花を指先で拾い上げて、大事に抱える。 大人たちが迎えに来るまで、少女はずっと側にいた。 ありがとう。良い夢が見られるといいね。 ………おやすみ、トット。 (-251) 2022/05/06(Fri) 20:55:26 |
【秘】 はなわずらいの トット → 司書 エルナト「ゎ」 体を支えられて、ハッとしたようにそちらを見る。 少しだけ元に戻ったような様子は、あなたの恍惚とした顔に、耳に残った蜂蜜のような声に、また溶かされて。 「……ん〜ん」「だいじょぶ!」 今度はさっきより確かな歩みで。 「おれ ほんとにうれしいから」「おれいにあげる」 「あは」 風に乗るように、ひらりと開けた扉の隙間からすり抜けた。 ……それから、トットが戻ってくる事はなかった。 少なくとも、今日は。 (-252) 2022/05/06(Fri) 20:59:24 |
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