人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【人】 靖国 冬莉


[愛車へと乗り込み、携帯へと目を落とす。来ていた彼の返事に軽く返しては車を発進させた。指し示られた場所へと向かう道中、通りは辺り一帯人混みばかり。既に出来上がっているのか肩を組んで歩く人等に、店を指差しては甲高い声を挙げて中に入っていく人等。一週間の終わりを彷彿とさせる光景が、窓越しに過ぎ去っていく。
 その中で、ふと 一人佇む姿はまさに先日の——— 端正にスーツを着こなしている彼が其処に居た。
 ウィンカーを鳴らして、直ぐ傍で車を止める。窓硝子を下ろせば、未だ蔓延る冷気が一気に押し寄せてきた。]


 待たせたか、……寒かったろ。
 

[お疲れさん、と薄く笑みを向けて、隣に座るように促す。近くのコンビニで買っておいたホットカフェオレを手渡して、今日は仕事、どうだったのよ。≠ニ世間話を挟みながら発進させる。ルームミラーにアンバランスに掛かっていた、犬のキーホルダーは姿を消していた。*]
(10) 2024/04/27(Sat) 1:23:19