人狼物語 三日月国

94 【身内】青き果実の毒房【R18G】


【人】 4432 貴戸 高志

かん、と革靴の音が一つ。

「……?」

すっかり見慣れた景色となった廊下。それなのに、どこか違和感を抱いてしまうのは何故だろう?
靴音が引っ込んだ空間に耳を傾ける。

誰かの声。
それにしては、まるで内緒話をするかのように声を潜めているような気がするが……。

先ほどよりは落ち着いた足取りで声のする方へ。
声を潜めたくなるような話をするのであれば、こんな廊下なんて開けた場所で行うべきではない。そう言ってやろうなんて思いながら曲がり角を曲がって──


──重なり合う影が、二つ。

「……っ」

小豆色の瞳がかすかに揺れながら、その姿を見てしまった。

「迷彩…………と、暁……」
(14) 2021/09/23(Thu) 2:59:14