【人】 高山 智恵 注文を受けてから、厨房で作るパフェ。 常設メニューのそれは、少し小ぶりの――ふたりでシェアするよりはひとりで食べきるのに適した程度の――グラスに盛られたものだ。 輪切りのバナナにバニラアイスクリームとビターチョコレートアイス、その上にたっぷりのホイップクリームとチョコレートソース、ささやかに添えられたミントの葉一枚。 ホットのアールグレイは、カウンターで茶葉を蒸らし、ポットからティーカップに注いでお客様にお出しするもの。 勿論、オーダーにあったレモンのスライスを添えることも忘れずに。 「お待たせいたしました。 ごゆっくりお寛ぎくださいね」 こうやって客の目の前に出したグラスのパフェとアールグレイは、このカフェならでは、という目立った特徴のあるものではない。多分他のカフェでも、よく見かける感じの見た目のものだろう(あちらの客が頼んだ飾りっ気のないスタンダードなエピビラフ>>0:51も、そんな感じだったかもね)。 それでもこのパフェが、彼の知っているショコラバナナパフェの記憶とどの程度重なるものなのかは、私に解ることではなかったけれど――。 (17) 2022/10/14(Fri) 9:45:43 |