【人】 白昼夢 アルレシャーー本物には叶わない、美しさも威力もだ。 少なくとも、自分を白昼夢と知っているアルレシャにとってはそうだ。 たくさんの降り注ぐプレゼントに見惚れかけて、ナイフ五本を持ったまま体勢を低くした。 そのまま、全員に肉薄するくらいの勢いで縦横無尽に駆け回った。さて、一旦琥珀が撃ち尽くされるまではどれくらいかかるだろう。 スピカがナイフを投擲してきたのはその最中だろうか。 走り回る小柄に当てられるのならば、成長を祝わねばなるまい。 兎も角、これは勿論スピカにも近付く。攻撃というよりは、ぐいっと顔を近づけて。 「その言葉は本物か?ただの少女め」 シェルタンの言葉を揺らがせるように。笑い混じりに。慈しむように。 英雄ではなく道端の少女に接するように。ただそう言葉をかけた。尤も、当然のことこれはただの言葉だ。何の力もない。 そうして、足は悪魔の元へと。 射貫け、と命令さえたそれに追尾機能はあるだろうか?あれば、避けるのに苦労するかもしれない。が。 左手で持った分の二本のナイフを、投擲するには近すぎるほどの距離で、叩きつけるようにシェルタンへぶつけるだろう。 (20) 2022/03/06(Sun) 1:13:26 |