【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[ホウスケがショボンとする様な対応を、亀のおばちゃんがする事はなかっただろう。むしろ初対面の割にかなりフレンドリーだったと思う。 ウォーターソーセージの昔話について聞かれたら、 「見る?!」とさっきより随分落ち着いたトーンでアルバムを持って来た。 俺は、ヴッ、とイカを詰まらせそうになったが、 止めようとするまでに至らなければおばちゃんはホウスケと同じ様にウキウキとアルバムを開いた。 ……まぁ、ちょっと気恥ずかしいけど、ホウスケにならいいかと思って大人しくしておいた。 本当の母親の様に、幼い頃からの写真を彼女は沢山残していた。 かなり小さい頃から人間に化ける術を身につけていて、 男の子の格好をする人間の子供の姿の写真もあっただろう。 赤ちゃんラッコの写真を指して「ウォーターソーセージに似てるでしょ?ウォーターソーセージってね、」と説明しだして、遂に名前の由来をホウスケに知られたかもしれない。 「水に潜れないかはどうだったかしら、救い上げてから大きくなるまで海に戻してなかったし」とか「アハハお世話する時はアタシは人間の姿だったしそういうやんちゃはなかったかしらね〜」とか、ホウスケの疑問に答えた後、 「ふくろうちゃんってペニスないって本当なの?」と質問を返し、 「ラッコって15pくらいあるのすごくない?亀も大きいけどラッコって背丈の割にスゴいわよねウォソちゃんも大きいのが生えるんだと思ってたけどそうはならなかったわね〜小さい頃からさらし巻かせてた割には育ったみたいだけど」とさっき揉んだ俺の胸を見て来た。 「今日は泊まっていって」と彼女は言って来て、 そうかそういう選択肢もあったな、とちょっと反省した] 「そっか事前に言っておけばよかったわね…… ちょっとウォソちゃん借りるわ。」 [僅かに目を伏せた彼女が、俺の手をぐいぐい引っ張って隣の部屋へ連れて行く。ドレッサーの前に座らせて、「髪の毛綺麗にしてあげるわ」と掛けた声は、扉を開けたままだったのでホウスケにも聞こえただろう] (21) 2021/02/21(Sun) 23:01:47 |