人狼物語 三日月国

45 【R18】雲を泳ぐラッコ


【人】 Cucciolo アジダル



 [ 男は──少しばかり傷の青年は、
  ふと背中越しに見えた影が道に伸びるのを見て振り返る。
  そこに立っていた人物を、観測者を確かめれば
  慌てて手を伸ばしたことだろう。 ]


   あー、待ってお兄さん、
   今ちょっと取り込んでるからこの道行かないで!


 [ 焦燥を滲ませながら自分の後ろだか死角だかに導くように
  かくれてかくれて、と腕を引く。
  彼が何かしゃべろうとすればその唇に立てた指を近づけ
  しぃっと沈黙を要求しよう。

  風景に似つかわしくない素材の良いスーツの襟を開き、
  肩を埃っぽい壁に押し付けるまでしている事態だというのに
  妙に呑気な高揚を讃えた笑みは、
  大人びた子供のようにも見えたことだろう。

  実際ワクワクしている。 ]

 
(22) 2020/10/04(Sun) 8:19:00