【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 教会が近づくにつれ、足取りは鉛を携えた ように重くなりました。 空にはもう、いくつもの星が煌めいていて、 神父様が戻っていないという可能性は 随分と低くなっていましたから。 それでも、今日のひとときが私の心に 灯してくれた 火 は、顔を上げて歩を進めるには充分。 意を決して、教会の扉を開けた私の前には、 やはり、と言うか、残念ながらと言うべきか。 表面だけは普段と変わらぬ笑みを浮かべて、 瞳の奥にはぞっとするほどの冷たさを秘めた、 神父様が静かに立っているのでした。 ] (22) 2020/09/24(Thu) 8:05:09 |