【人】 灯守り 小満[そして、会合が終わり円卓を後にする頃には、まだ少年めいた高い声が、きゃんきゃんと響く。 ここ数年の恒例だ。] 『だから! 僕が発言を代行するのは構わないのですけど! せめて会合に参加する姿勢くらいは見せていただけませんと! 時間が序列になるお仕事でないのは承知しておりますが! 小満様は中でも長くお勤めになってらっしゃるのですから! 他の灯守りさま方の規範となる佇まいでいらっしゃらないと!』 『蚕、蚕』 [ 無駄無駄 、と紅が寄ってきて蚕を押し止める。紅とて無駄と断じたくないのだが、百年超の在位期間で、同じようなことを繰り返してなおこれなのだ。 まるで届かぬ言葉を並べられても、右から左に流すだけ。 今代の蚕起桑食が心折れるまでは、続く光景になるだろう。] (22) 2022/01/19(Wed) 1:09:09 |