【人】 錆鉄御納戸 ミズチ>>19 アイシャ 差し出された2輪の花に、ミズチは数拍遅れて目をしばたたかせた。隣でその小さな花の片方を受け取ったスカリオーネを見上げる。アイシャがスカリオーネに渡した花と、自身が花占いで示した花とが同じ花であったことを理解したのは、スカリオーネが窓際へと去った後だった。 「……」 ふ、と息を吐く音がした。 「ありがとう、アイシャ。この花はお前の瞳の色をしているな。可愛らしいと思う」 「小生も同じく、変わらず在れれば、在ってくれれば嬉しい。お前の想いと共に、大事にさせてもらう」 花を受け取り、代金を支払った。ミズチにはツケにする理由がない。ミズチが何かをするのなら、自身がそうしたいと思ったからが理由で良いのだ。 (24) 66111 2021/12/10(Fri) 23:00:23 |