【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[俺の事をウォソちゃんとか呼んで来るくせ、あの見た目で歳くってるのにるみかとか何か呼びたくなくておばちゃんって呼んでた、とか説明して、すっかり冷えた丘の道をホウスケに寄り添いながら下って行った。 夜が近付いていたが、星が明るくて道を見失う事がない。 満天の星空も、きんと冷えた空気も、海の波打つ音さえ聴こえる静寂も随分久し振りだったから、 懐かしくて、るみかの名前の話以降は黙って歩いていただろう。 駅やらに着いて人影もぽつぽつ増えれば、「おばちゃん、ホウスケの事気に入ってくれてよかった」とか話した後、「あ、お土産渡すの忘れたな……」と手荷物の中に包みを見付けて頭を抱えたりした。明日郵送するか。 宿に着けば、実家に戻った時とは違った気の抜け方をした。 向こうは向こうで懐かしかったり落ち着いたりしたけれど、 至れり尽くせりでホウスケと過ごせる時間がたっぷりあるなんて、贅沢だし、ふわふわと浮かれた気持ちになる。 俺は年中海鮮でも飽きないけど、 ホウスケはどうかなとちょっと心配したので、 ほっぺをふくふく膨らませるホウスケに胸を撫で下ろし、それから故郷を褒められて胸を張った] ふふっ美味しいだろう? 俺自身、すぐ帰るんだと思ってたんだよな…… [まぁ、こんなに質の良い海鮮を毎日食べていた訳ではないけども、ラッコ業が魅力的だったのはその通りなんだろう。 海の幸も美味しくて仕方なかったが、 ホウスケのふくふく笑顔をもっと見ていたくて、 目線はほとんど下へは向かなかっただろう] (25) 2021/02/22(Mon) 0:38:59 |