【人】 生物学者 アマノ[アマノ姓により素性を知る者も周囲には多かった──というか知る者しかいなかった──学生時代、近付いてくる輩は俺の後ろに父親を見る奴ばかり。 特に女はあわよくばという汚い欲が透けて見える輩しかいなかった。 それはまんま、打算で俺を孕み"アマノ大臣の妻"の地位を得て、外面だけはご立派な母親の姿に重なって見え、吐き気しか覚えなかった。 星系工科大学に入学したのも気紛れの一環。 さしたる情熱を持っていたわけじゃない。 おかげさまで脳味噌の出来だけは良かったから、正々堂々、受験して合格したけどな。 つまんなかったら早々に辞めよう、くらいに思っていた大学だったが、初めて見た真の宇宙の姿に魅了された。 そして傍らには、星々の煌めきと同じくらいに眼を輝かせていた同期生がいた。] (26) 2022/07/13(Wed) 6:40:30 |