![]() | 【人】 陽光の元で ニーノシエスタの時間になっても署に戻ろうとはあまり思えなかった。 街中に居続けるのも見回り中のざわつきを思えば人の眼が気になる。 それに、と考えることもあったから、自然足はその場所へ。 辿り着く、共同墓地の一角。 とある墓石の目の前に胡坐をかいて座り、じっと視線を注いでいた。 祈りを捧げるわけでもない数十秒の沈黙。 ……終えれば深く息を吐いて、今朝貰ったお菓子を取り出した。 苺のクロスタータ、今の自分でもなんとか作れるもの。 けれど自作したものと比べれば見た目の整い方から既に違う。 しばらく眺めてから口へと運び、口内に広がる甘酸っぱさに目を細めていた。 #共同墓地 (33) 2023/09/15(Fri) 13:56:57 |