人狼物語 三日月国

129 【身内】狂花監獄BarreNwort2【R18G】


【人】 白昼夢 アルレシャ

隠者がスコップを見ていないのは
見れば
わかる。
かといってそのためだけに一旦これを消すのも、ベルトに刺したナイフを抜き直すのも愛銃をとるのも、全て無駄に思えた。
だから、この痺れて動かない左腕はもういらない。
身体を揺らすように動かし、煌めく銀閃の的をそこに集中させる。
声には答えない。答えるだけの余裕はない。
白い髪が見える。俺のリボンの効果と似てる。


そちらに目を使っていれば、どうしても他への注意は疎かになる。
気付いた時には銃声と大腿に感じる衝撃があった。
何発かの銃弾が皮膚と肉に穴をあける。
退いた少女もまだ油断はできない。それ以上何を言うこともできない。
それでも気は配っていなければいけない。

目が足りない!障害物もだ!
その場にいる者は、狼の背後に揺らぐような戦場の風景を見るだろう。赤い空、崩れた瓦礫と焦げた跡。

ぶつん、ぶつん、と脳から悲鳴が聞こえて、それらはすぐに消えてしまうのだけど。
鼻の奥に鉄錆の匂いを感知する。

そうして、腹の中心に熱を感じた。
じわ、と溢れ流れる血は即死には至らないが。

「……ッ!!」

まだ終われるか!!

足を踏み出すたびに血を流しながら、スコップを狛犬目掛けて縦に叩きつけようと。
(34) 2022/03/07(Mon) 0:16:29