人狼物語 三日月国

184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨


【人】 修復師 ラシード

─ キュラステル南部:港町 ─


 ……わぁ、あ…。
 すごいです……すごい、ですねっ……
 ………いやあの、すごくないですか!?
 嘘でしょ!? あの窓の意匠、とっくに失われた技法ですよ!?

[衛士に引っぺがされた布頭巾を巻き直しながら。
港の門から島内へと足を踏み入れた若い男は1人、
見開いた目をあちこちへ巡らせ、きらきらと輝かせながら
賑わう朝の街並みを、おっかなびっくり歩いている。
あまりにもあちこち余所見するものだから、
朝市に向かって野菜をたんまり積んだ荷車と危うく衝突しかけるところだ。]

 ったわぁ!!すみませんっ!!

[ぺこぺこと頭を下げる彼に対し、
荷車を引く驢馬に乗った農夫は
「気ぃ付けなぁよ」と笑いかける。
そんな顛末を遠目から眺める人々の目も何処か穏やかだ。
宝箱とも喩えられるキュラステルの住民にとって、
このような光景は風物詩のようなものなのかもしれない。]
 
(38) 2022/11/05(Sat) 2:10:20