人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

 祭りの喧騒の中を、どこか他人事のような気持ちで歩いていた。
 昔はあんなに特別だったりんご飴も、焼きそばも、かき氷も
 色褪せた夢の中では、
一人では
何もかも味気なかった。

 人間の腕が二本しかない理由。
 どう頑張っても、伸ばせる腕の数しか持てないように。

 お利口なのは、その時抱えきれる分だけを手に取る事。
 賢いのは、幾つか纏めて袋に入れて提げてしまうこと。

 どちらでもない
には、順番に手に取って回る事が関の山。
 そうしてその全てを噛み締める暇も無く飲み下して。

 ああ、粗末に扱ってしまったな、なんて思うのだ。
(53) 2021/08/16(Mon) 1:05:47