【人】 おかえり 御山洗>>59 百千鳥 「あえっと」 少しだけ口ごもった。こんなに小さな子供は十年前にいただろうか。 年月の流れを考えるに、あの頃5、6歳、学校に入る前? それくらい小さな子供が確かに記憶の端にあった気がする。弟妹の話ばかりしていたのは。 「――ああそうか、都々良さんちの、弟さんのほうか。 覚えてるかな。彰良だよ。年の近い子じゃないと、大人はみんないっしょに見えてたかな……」 木造りの台の上に新聞紙を引いて、ごろっとスイカを転がす。 まだ自分はかすかな思い出を保っていられたけれど、見上げる顔はそうでもないかもしれない。 (65) redhaguki 2021/08/09(Mon) 23:24:01 |