【人】 陽光の元で ニーノ>>69 カンターミネ 今度は先程より重くない瞼を動かし何度も瞬きをしながら、ちょっと待てポーズの貴方を見つめていた。 じわりじわりと理解し始めたのは先ほどの言い間違いを流してもらえていないこと、それをはちゃめちゃに笑われていること。 「っち、ちが──言い間違え! 寝惚けてたの! オレは噛みつきません!」 で、突然さっきまで隣に居た人間が声を大きくしたので、子猫がびくっと震えた。 それにすぐに気が付き「あっ、ごめん…」と声を小さくすると同時に、なでなで。 落ち着かせるように額を指先で擦ってやったが、続く貴方の言葉にはまた声が大きくなりそうになった。何とか堪えた。 「危機はないってば、も〜…… ……オレはキミのこと見たことない。 でもよく街うろついてるのは一緒だから、見られてたかも。 というかオレくんじゃなくてニーノだかんな」 「あと子猫目当てじゃなくて、ただの里帰り……育ちがそこで。 昼寝は確かに……ちょっと気が抜けてたのは認めるけど。 っていうか、キミこそ猫は苦手じゃなくても『オレ』には苦手意識持ってた方がいいんじゃない、こんなところに座り込んでるやつ危ない人間かもしれないだろ」 『そこ』とスラムに続く道を指差しつつ、最後の言葉には「女の子だし」と付け加えた。いや勿論危機は無いんだけれども、意識としてこう……。 靡く白衣に関してオレくんは勿論怯えていないが、子猫は少し警戒したようで無害そうな大きいやつの後ろにぴゃっと隠れた。 #路地裏 (72) 2023/09/12(Tue) 21:56:31 |