人狼物語 三日月国

86 【R15RP】君と僕の、夏祭り


【人】 二年生 稲出 柊一

[花火の打ち上がる音が、沈黙という空白を埋めて。
パッと開いては、儚く散っていく。]

 花火、凄く綺麗だね。
 この場所、悪くないでしょ?

[木も建物も、遮蔽物と言えるものはない。
花火の花弁の先まで、くっきりと見える。
目に焼き付ける様に、じっと見つめて。
でも、どんなに焼き付けても、消えてしまうから。
形に残したくて、写真を撮った。
今ではスマホでも結構綺麗に撮れるけど、
感動までは写せない。]

 オレ、陸上部なんだ。
 110メートルハードル。

[結局女子とするに相応しい話題なんて思い浮かばなくて、
自分の話するくらいしか、なくなっちゃったんだけど。]

 今年の夏、県大会まで行ったんだ。
 あと1つ順位が上だったら、全国に行けた。

[たった1つ……でもその1が、どれほど高くて厚いかは、
1という数字の持つ印象とはかけ離れている。]
(142) 2021/07/25(Sun) 22:05:28