【人】 法の下に イレネオ>>143 黒眼鏡 寄越された賛辞は目を眇めて受け流した。貴方が指を折る度に、眉間に刻まれた皺は濃くなった。 冗談めいたその態度。 常であれば────それをするのが同僚や先輩、友人であれば、この男も笑って聞いただろう。背もたれに存分に体重を預け、顎を引いて視線は相手に。笑んだ目元でなんだよ、と口を開く。だが、今はそうしない。 貴方がマフィアだから。その一点で。 仕上げに「ジョーク」だと締め括られれば、また一層、口元が苦々しげに歪んだ。 「どうだか。」 「偽証は罪だ。お前たちの特技だろう。」 マフィアの多くは、表向きの仕事で繕って社会に溶け込む。 貴方もそうであると知っている。 #教会 (163) 2023/09/11(Mon) 1:54:41 |